「ムスリム圏でポケモンGO禁止はウソ」 ヨハネスブルグまでも実地調査した男が“その目”で見てきた、新興国のゲーム産業やブラックマーケットの実態とは?

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[各国ゲーム事情]1.南米のゲーム事情

――たとえばブラックマーケットについてですが、具体的にはどんな感じなんでしょう。

佐藤氏:
 僕が知る限りでも、有象無象の怪しいものがいろいろあるんですよ。取り締まっても取り締まっても新しい商法が出てくる始末です。ゲーム開発者にきちんと利益が戻ってこないのは大問題なのですが、新興国の中間層の多くがゲームを購入する市場になってしまっているのも事実です。
 弊社では世界の100程度のゲーム関連のブラックマーケットを把握しています。中国とか東南アジアとかもとんでもない場所が多いのですが、南米はその中でも強烈なのが多く、問題の根が深いです。

――南米ですか。

 アルゼンチンのブエノスアイレスなんか、郊外に行くと超怪しいマーケットがあります。怪しい偽物ばっかりを扱っていてアメリカに毎年怒られている……っていうようなマーケットなんですけど。
 メキシコにも、メキシコシティの北にテピート地区という、これまた超怪しいマーケットがあって、ここは組織的に海賊版を作っているところに軍が踏み込んでいくようなところなんです。警察だと抵抗されるので、軍が出動するわけです。
 この辺り、現地の政治や経済、社会構造の問題が複雑に絡んでいて、なかなか一朝一夕では解決できないな、と感じています。

――なるほど、なかなか根深そうな問題ですね。

佐藤氏:
 あとはラテンアメリカの最近の話だと、「キューバ初のモバイルゲームがリリース」というニュースを耳にしました。キューバはアメリカとの関係が悪いので、通常のアプリストアから出せないはずなんですが、なんとかモバイルゲームを作った人がいるそうです。
 キューバではあまりゲームは作られていないんですが、実はキューバ人はエンジニアとして優秀だと言われていて、他のラテンアメリカの国ではけっこう活躍してるんですよね。

キューバの首都・ハバナ。画像は2005年に撮影されたもの。
Image by Madaki. Licensed under the terms of the cc-by-3.0.)

――キューバですか。あまりイメージが湧かないですが……。

佐藤氏:
 僕がアルゼンチンに行ったときにゲームの開発者と話をしていたら、「うちのゲーム会社にプログラマーでキューバ人の人がいるよ」と紹介してくれて。周りにいた別会社のチリ人やウルグアイ人やエクアドル人も「え、知らないの? キューバ人のプログラマーってめっちゃ優秀なんだよ!」と言っていたので、ラテンアメリカでは割と常識らしいんです。
 キューバの初等教育は中南米ではトップクラスに優秀で、いい工科大学もあるんですが、いくら教育が良くても仕事がないので国外に出るしか仕方がない。でもアメリカには行けないので、みんなラテンアメリカに仕事を求めに行くんですよ。

[各国ゲーム事情]2.南アフリカのゲーム事情

――他に佐藤さんが面白いと思っている国はありますか?

佐藤氏:
 どのくらいの人が興味を持つのかが謎なんですけど(笑)、南アフリカとかナイジェリアとか、アフリカの話も少ししたいですね。

 先日、南アフリカのヨハネスブルグという街に行ったんですが、どうしても必要があったので、ヨハネスブルグ中央駅の近くにある「DVD Highway」と呼ばれるブラックマーケットにも行ってきました。「中心駅から半径200mは強盗にあう確率が150%」とか何とか噂されているあの辺りです。

「DVD Highway」の様子。たくさんのDVDが雑多に売られている。
(画像:佐藤さん撮影)

――それはつまり、平均で1回以上強盗に遭うってことですよね……。

佐藤氏:
 でも僕は一回も遭いませんでした。何かあると色々な人に迷惑がかかるので、相当な準備をして行ったのですが、行ってみるとパトロールカーや警察もたくさん見張りをしていて、言うほど危険ではなかったです。
 日本人の駐在員で大変な目に遭われた方の話は実際にうかがったことがあるので、ヨハネスブルグが他の都市に比べ治安が非常に悪いのは事実だと思います。しかし中央駅の近くについては、ジンバブエやモザンビークからの不法移民が商売をしているので、南アフリカ国籍を持つ人の間で話に尾ひれが付いて広がってる部分もあると思ってるんですけどね。私も行く前に現地の人にさんざん脅かされましたし。

 お金持ちの人がいる「綺麗なマーケット」も大事ではあるんですけど、それだけを見ても新興国マーケットの全体像は見えません。普通の人がスマートフォンでどうやってゲームを遊んでいるのか、家庭用のゲームをどこでどうやって遊んでいるのか、ゲームを遊んでいないとしたらほかにどんな娯楽があるのかという部分は、マーケットの全貌をつかむ上でとても重要だと思っています。
 例えば、ヨハネスブルグの低所得者向けアパートメント「ポンテタワー」に行ってみたんですよ。

――ええっ!? あの色んな意味で名高いポンテタワー【※】ですか。

※ポンテタワー……南アフリカ共和国最大の都市ヨハネスブルグにある、荒廃した高層マンションの名称。身の毛もよだつ逸話がいくつもあり、日本のネットでも「犯罪者の巣窟」「性的サービスからドラッグまで“なんでも”数分で手に入る」「生存時間15秒」など危険性を強調する真偽不明な噂が流れる場所。当初は白人たち憧れの高級マンションだったが、アパルトヘイトの時代が終わると犯罪組織が侵入し始め、治安は急激に悪化。もといた白人たちは次々と退去し、廃墟となる。近年では再開発の動きが見られ、最上階の高級な部屋にはすでに入居した人もいるようだが、まだまだ危険がたくさんあると言われている。
(画像:佐藤さん撮影)

佐藤氏:
 ええ。でも、共同スペースを見たら、ちゃんとアーケードゲームやXboX360が置いてあるんですよ。どんなに貧しくても、みんなゲームはするんだということが分かりますよね。

「ポンテタワー」の中に設置されたアーケードゲーム。
(画像:佐藤さん撮影)

 大変残念ですが、新興国は海賊版のゲームを遊んできた人がとても多いし、モバイルアプリの時代になってもブラックマーケットは相変わらず残っています。これから中間層としてゲームにお金を使えるようになる人たちが、今どんなゲームをどうやって入手し遊んでいるのか、どうしたら正規版を手にとってくれるのか、知りたい人もいるんじゃないかなと思っています。

――ちなみに、南アフリカ発のゲームってあったりするんですか?

佐藤氏:
 南アフリカには弊社調べでは現在45のゲームスタジオがあって、『Desktop Dungeons』とか『Broforce』とか、結構おもしろいタイトルが出ています。
 僕が最近好きなのは『Viscera Cleanup Detail』というFPS【※】です。

南アフリカ発のFPS、『Viscera Cleanup Detail』。
(画像は『Viscera Cleanup Detail』の公式Steamより)

※FPS
First Person Shooterの略。プレイヤーもしくは主人公の一人称視点でゲーム内の世界を任意で移動する3Dのアクションシューティングゲーム。

 FPSって誰かが死んだら、しばらくすると死体がなくなってるじゃないですか。ということは誰かがそれを掃除してるわけですよね。その掃除を本気でやるという(笑)。掃除機を使って死体や血のりを一生懸命に掃除するっていうゲームです。
 「この発想はなかった!」という変なゲームを南アフリカの会社が作っているのって、それ自体が面白くないですか? 資金がないからアイディアで勝負するしかないところがあって、そういうアイディアの中からいいゲームが出てくるところがあるんですよね。

[各国ゲーム事情]3.中東のゲーム事情

――ちなみに、冒頭でお話をされてましたけど、中東にもお詳しいんですよね。大学院でゲームサークルを作ったあと、なぜヨルダンに行くことになったか聞き忘れていて……。

佐藤氏:
 世界中でゲームがどのように遊ばれているのかを知って、日本人の知らないゲームマーケットに興味が生まれたんです。
 例えば、アフリカ人に「君の国ではどういうゲームで遊んでいる?」と聞いて、ナイジェリアで遊んでいるボードゲームを持って来てもらうと、現地で「どういうゲームで遊んでいるのか」や「どういうルールなのか」がわかるんです。で、同じボードゲームなのにナイジェリア人とタンザニア人でルールが全然違ったりするわけです。
 それで、自分でも行って見てみたくなったのですが、そのときに日本人にとって一番分かりにくいマーケットはどこだろう、と考えたんです。

――すごく佐藤さんらしい思考回路ですね(笑)。

佐藤氏:
 ただ、一番分かりにくいのはアフリカだったんですが、当時はまだまだ市場として厳しいだろうと想像したんですね。そこで、次に分かりにくいマーケットとして、中東を選びました。
 それで中東の友達にいろいろお願いしていたら、ヨルダン人の友達が「良い仕事を知ってるよ」と、ヨルダンのゲーム会社のプロジェクトを教えてくれたんですよ。

――へー、ヨルダンにゲーム会社ってあるんですか?

佐藤氏:
 一番大きいのはMaysalwardというモバイルゲームの会社で、グローバルにゲームを手がけています。MMORPGの会社もありますが、やっぱりスマホゲームの会社がほとんどですね。
 ただ、コンタクトをとってヨルダンに行ったんですけど、そのプロジェクトがぜんぜん違うものになっていて(笑)、やっぱり雇えないと。

――それはまた災難な……。

佐藤氏:
 しょうがないので、ヨルダン国内の企業を一社ずつ回って「僕を雇ってください」とお願いしたんです。そしたら「実は今ヨルダンにゲームの業界団体を作ろうとしている。よかったら少し働いてみないか」と声がかかって、そこで働くことになりました。アブドゥッラー二世王立財団の下にある「Jordan Gaming Task Force(ヨルダン・ゲーミング・タスクフォース)」というところです。

――その業界団体では、どんなことをされていたんですか?

佐藤氏:
 ヨルダンにはゲーム会社が2~30社くらいあるんですけれども、ヨルダンのゲーム産業をほかの国にアピールしたり、逆にヨルダン政府と業界を代表して交渉をしていく団体です。
 幅広く手がけていて、中には西ヨーロッパの企業と協力してゲームを作るようなのもあったのですが、私の仕事はリサーチです。世界各地で営業を行うにあたって、マーケティングオフィスを設けるのに一番ふさわしい場所を調べたり、ヨルダンの政府がゲーム会社に対して、例えば税金を軽減したり従業員を雇いやすくしたりのような支援策はないのかと調査したり、ですね。
 それで、ヨーロッパやアメリカの企業や政府などにコンタクトを取って交渉したり取材したりして、レポートを作っていました。その後、新興国事情に通じていることから現在の会社に入社し、3年前から本格的に新興国ゲーム市場調査事業を始め、今に至ります。

アラブでは『一休さん』が大人気!? 日本人が知らない世界の人気IP

――なるほど、そういう経緯だったんですね。ちなみに、ここまでのお話で一つ気になったのですが、逆に海外マーケットの中で日本のゲームはどういう扱いなのでしょうか。佐藤さんはその辺も見ているのではないかと思います。

佐藤氏:
 日本のIP【※】についてですが、たとえば「『タイガーマスク』ってどこが窓口なの? コンタクトを取りたい」という話は世界中どこに行っても聞きますね。

※IP
Intellectual Property(インテレクチュアルプロパティ)という、知的財産を意味する言葉の略。

 日本のIPについては、大きく二通りですね。
 まず一つ目は、「世界中どこに行っても人気があるもの」です。前者の代表は例えば『NARUTO』や『ワンピース』でしょう。もうアメリカから中東、ラテンアメリカまで、どこに行っても若い人は皆さん大好きですね。ただ、世界中どこでも知られているけれど、現地の言葉に訳されているのは東アジア、よくて東南アジアの一部までで、それ以外の地域はだいたい英語やフランス語など、ヨーロッパの言語です。逆に言うと、それらの言語が読める層しか読んでいないし、見ていない。

『NARUTO』(画像左)と『ワンピース』(画像右)の英語版。
(画像はそれぞれAmazonより)

――なるほど。

佐藤氏:
 それで二つ目が、「それぞれの地域ごとによく知られているもの」ですね。
 例えば、その国で昔流れていた古いアニメなんかは、昔現地のテレビ局が放映権を買ったときにきちんと現地の言葉へ吹き替えをしていたりします。40代、50代の人でも知っていて、意外なほど知名度があるんですよ。

――たとえばどんなものですか?

佐藤氏:
 『キャプテン翼』は、アニメが中東ではかなり昔から今に至るまでやっていて、アラブでもイランでも配信されています。向こうでは『キャプテン・マージド』というタイトルで、現地の声優が吹き替えて放映しているんですけど、ものすごく人気です。現地のアニメショップを見ても『キャプテン翼』だけは売れる範囲が広いし、グッズを大人買いしていく人も多いです。現地アニメ専門チャンネルではアメリカの最新のアニメと一緒にいまだに放映されていたりします。

「Captain Majed(キャプテン・マージド)」で検索してみると、アラビア語の画像もヒットする。

 他には『UFOロボ グレンダイザー』や『超電磁ロボ コン・バトラーV』、『タイガーマスク』なんかも人気があります。アラブ諸国へ行く時には『グレンダイザー』のアラビア語版の主題歌を少しでも覚えていくと、アラブ人が面白い反応をしてくれます(笑)。意外なところでは『一休さん』ですね。アラビア語版でもペルシア語版でもタイトルは同じくアラビア文字のつづりで「一休さん」になっていて、幅広く人気があります。

――それは知りませんでした。今でも根強い人気があるんですね。

佐藤氏:
 こういうIPが、なぜか必ず各地域に一つくらいはあるんですよ(笑)。例えばインドだったら『ドラえもん』や『忍者ハットリくん』、タイだと『進撃の巨人』かな。インドネシアだと少女漫画ですけど『こっちむいて!みい子』がすごい人気ですよ。

 ラテンアメリカだと『聖闘士星矢』ですね。いや、日本人がびっくりするくらい、ラテンアメリカで絶大な人気を誇っていますからね。もちろん、ゲームもちゃんと現地の言葉に訳されて出されています。

スペイン語に翻訳された『聖闘士星矢』。
(画像:佐藤さん撮影)

――一国で人気を獲得するのって相当な話なので、そういう各地域の違いはIPを輸出する際に参考にしたいところですよね。

佐藤氏:
 もちろん、重要になってくると思います。実のところ、日本の側が「今やっている最新のアニメやマンガを輸出していきたい」という考え方になりがちなのですが、受け手側は、新しいとか古いとかそんなことはどうでもよいという事情もしばしばあるんです。自分たちがよく知っている古いIPのリメイクなんかにこそ、興味をすごく持つことがあるんです。

――日本では忘れられているけど、現地ではよく知られているIPというのが眠っているんですね。

佐藤氏:
 そのとおりです。アラブ圏のことで言うと、たとえば『釣りキチ三平』『プラレス3四郎』といったアニメを日本ではどれくらいの人が見たことがあるでしょうか。

『釣りキチ三平 作者自選傑作集 1』(2012・KCデラックス)
(画像はAmazonより)

 また、『恐竜大戦争アイゼンボーグ』をどれくらいの人が知っているでしょうか。たぶん、古いアニメや特撮なのでそこまで多くはないのではないかと思うのですが、アラブではこういうアニメが一度アラビア語版に翻訳されると、何度も何度も再放送されるので、今挙げたものを結構いろいろな年齢層の人が知っていて、むしろ向こうから日本ではあまり多くの人が知らないことを意外に思われる位なのです。なのでそういうところを研究するとすごく面白いと思います。

新興国は課金やDL数の実態が不明…盤石なレポートの調査体制

――それでは、最後に「新興国ゲームビジネスレポート」の最新号の内容をお願いできればと思います。

佐藤氏:
 今月で「新興国ゲームビジネスレポート」は第二十五号になります。先月の特集は「タイのゲーム市場:バンコクと地方との間にある溝」です。今月の特集は「新興国のゲームメディア」を予定しています。

――電ファミというゲームメディアとしては、各国のゲームメディア事情はぜひ知りたいですね! 特集以外にはどんな企画があるんですか?

佐藤氏:
 定番の企画について説明しますと、まず毎月国ごとのゲーム企業リストを載せています。2017年3月号では、バングラデシュ、スリランカ、ネパールのゲーム企業リストをまとめました。現地の協力で提供してもらって、ちゃんと会社が現存しているかどうか、連絡先とURL、企業の種類をすべて載せています。
 これまで取り上げてきた国については、東南アジアだとインドネシア(105社)やベトナム(74社)、ラテンアメリカだとブラジル(173社)やコロンビア(63社)。東ヨーロッパだとポーランド(99社)、セルビアやクロアチア、ボスニア=ヘルツェゴビナ、モンテネグロなどの旧ユーゴスラビア諸国(合計で72社)といったところです。だいぶいろいろな国を取り上げてきましたけど、今月はタイをまとめます。インドもお問い合わせが多いので近いうちにまとめたいと思います。

――現地に進出するときに重宝しそうですよね。他にはどんな記事があるんですか?

佐藤氏:
 「MAPs」という月刊連載も面白いですよ。これは、各国のスマホゲームのARPPU(課金している1ユーザーあたりの平均収益)や課金の頻度、こうしたデータの中央値などのデータをグラフにまとめています。世界13の国・地域を選んで継続的にやっている連載です。
 というのは、新興国ではGoogle PlayやAppStoreみたいな正規のストアって、クレジットカードを持っていない人が多くて、あまり使われないんです。Google Playでキャリア決済に対応する国も増えてきましたが、まだ見通しの立っていない国も多いです。だから、普通にストアのデータを見ても、ダウンロード数や課金額の実態がよくわからないんですよ。

――えっ、そうなると、どこで新興国の人は買っているんですか?

佐藤氏:
 いろいろな方法がありますが、サードパーティのマーケットストアを使ってる人が、意外にも多いんです。日本でいうと、昔あった「楽天アプリ市場」とかドコモの「dゲーム」とか、ああいうものです。例えば、中国やイランではGoogle Playで課金できないので、そういうサードパーティのアプリストアがたくさんあるんです。
 ちなみに、社内的には本当は、データは90か国以上あるんですけどね。ただ、レポートにこれを全て載せても仕方がないだろうということで、インドやブラジルなど重要な国に絞っています。

――スマホゲームで世界に進出したい日本企業には、重要な情報源になりそうですね。

佐藤氏:
 そういう意味では、「ゲームイベントリスト」も貴重かもしれないですよ。
 世界中のゲーム産業に関係するカンファレンスやイベントをまとめていて、これはこれで結構手間がかかっています(笑)。例えば、中国のイベントは「チャイナジョイ」や「GDC China」以外にもたくさんあるんですが、まず英語では出てこないので、中国語で調べたり中国人に聞くしかない。現地の人に教えてもらったものや、普通にググってもまず出てこないものもたくさんあります。現地に出張に行ったときに役に立つと思うんです。イベントの主催者によるインタビューを載せたり、直接行った現地報告を載せることもあります。

――あの……一体どこからそういう謎のニュースを仕入れてくるんですか(笑)?

佐藤氏:
 ニュースについては、世界中にいろいろな人脈があるので、現地の人に聞いたり、自分から直接現地のメディアを見て調べたりしています。国際部の縛りとして、日本のメディアで出たものは載せない、レポート配信前に出てしまったら別のニュースに差し替えるというポリシーでやっています。
 だから、ボツになったネタも沢山あります。日本語のブログで載せられた場合にも、基本的には載せません。できたてほやほやの世界中のニュースが分かるようにと思って、毎月やっています。なるべく地域も被らないようにしています。手間は毎回惜しまず、必ず面白いエピソードは毎号盛り込みます。
 間違いなく、ウチにしか出来ないレポートだと思います。

――いや、読者の人でゲーム会社に勤めている人がいたら、ぜひ手に取ってみればわかると思うのですが、すごく内容の濃い構成なんですよね。

佐藤氏:
 まあ、「これはおもしろい!」という話が、世界中に常にあるからこそ、毎月書いてるんですけどね(笑)。

――いやあ、すごく興味深い話で、ちょっと話したりないですね。もしよければ、新興国のゲーム事情について、電ファミでもっと教えてもらえませんか。ゲーム業界はもちろんのこと、単純に海外の本当の生活や文化を知りたい人にも、興味深いエピソードがどんどん出てくる気がします。

佐藤氏:
 僕でよければ喜んでお話したいと思います。
 そういえばこの前、サウジアラビアの国王陛下と多数の政府高官が来日しましたよね。その際に日本企業との間のビジネスミーティングが開かれて、実は僕も少しその場に参加していたんですが、サウジアラビアってスマホゲームにものすごく課金する人がいるんですよ。こういう話知りたくないですか?

――アラブの大富豪のゲーム事情……! その話、ぜひ聞かせてください!


 世界中のゲーム事情に通じ、圧倒的な知識量を誇る佐藤さん。まだまだ私たちが知らない濃ゆい話が聞けそうです。

 というわけで、このまま電ファミでは、佐藤さんのインタビュー連載を始めちゃうことにしました。次回はさっそく「サウジアラビア」編。既に収録は済ませておりまして、「サウジの人がスマホゲームに異様に課金するのはどうして?」「サウジの若者はなぜ車の暴走事故で死ぬのか?」「日本のゲーム企業が石油王にアピールするにはどうすればいいの?」など、佐藤さんにしか語れないサウジアラビアのアツいゲーム事情をたっぷりお届けできそうです。
 日本ではなかなか知ることのない他国の文化がゲームを通じて覗けそうな、この連載――皆さま、お楽しみに!

 

プロフィール
メディアクリエイト国際部チーフアナリスト。東南アジア、中東、ラテンアメリカなど、新興国各地域のゲームビジネスをまとめた「月刊 新興国ゲームビジネスレポート」の執筆を担当している。サンダーバード国際経営大学院修了。ヨルダン=ハシミテ王国のゲーム業界団体でゲーム産業の域外進出のための調査活動を行った経歴を持つ。 CEDECやGMGDC(中国)、Big Asia Tour(東南アジア)、MENA Game Congress(レバノン)、GIC(ポーランド)、Reboot Develop(クロアチア)など、国内外のゲーム業界カンファレンスで多数登壇。
ホームページ:http://www.m-create.com/
取材・文
電ファミニコゲーマー編集部員。映画を観るのとアナログゲームをするのが好き。
Twitter:@_k18

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