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『シン・クロニクル』を体験してみて「このゲーム、ヤバい!」と思った話。運営型RPGだからこその「本当に一度しかできない選択」が味わえるかもしれない…!

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 運営型のスマートフォンRPGでは、ストーリーを最重要視するプレイヤーは少ない。たとえば、ストーリー重視で大ヒットをした『Fate/Grand Order』ですらストーリーをもっとも重視するプレイヤーは10%に過ぎないことがわかっている。

 しかし、そんなスマートフォンRPGの世界に、さらにストーリーに深く踏み込んだ新作がセガから発表された。

『チェインクロニクル』開発陣が手掛ける後継作『シン・クロニクル』正式発表。まったく新しい世界とゲームシステムを採用したスマホ向けRPG

 プレイヤーの選択が物語の結末を変更し、二度と戻れないRPG『シン・クロニクル』だ。
 発表によれば、選択で物語が変化するだけでなく、仲間になるキャラクターすらプレイヤーの決断によって変わってしまうという。
 もちろん、プレイヤーの選択で仲間にならなかったキャラクターはガチャからも出ない。
 本当に、そんな究極の選択を基本無料のスマホRPG(以下、スマートフォンRPG)で可能なのだろうか。そして、そんなゲームはどのような作りなのだろうか。興味は尽きない。

 そんななか、2021年12月15日リリース予定の『シン・クロニクル』の序章を一足先に体験できたので、読者の皆さまにインプレッションをお届けしたい。

文/寺島壽久


もしかして1人用RPGとして面白いのでは?

 本作は、滅びが約束された世界「ヘルドラ」を舞台として人類生存のための戦いを描いたRPGだ。
 大陸の中心に開いた巨大な大穴「奈落」から、黒の軍勢と呼ばれる魔物が這い出し、地上を脅かし続けている。
 人類は奈落を囲む巨大な障壁を築き、それを守る「境界騎士団」を組織して戦っており、黒の軍勢による大侵攻「蝕」に対抗する新人騎士としてプレイヤーが参戦するところからゲームは始まる。

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 序章のプレイを始めて驚いたのは、『シン・クロニクル』の売りとされる「選択」がなくとも、充分に面白い1人用RPGになっていそうなことだった。

 実際、豪華な物語演出、探索して楽しい3Dフィールド、駆け引きが感じられるバトルシステム、より良い装備を集めるハック&スラッシュ要素などが存在しており、開始から長い間は普通の1人用RPGとして遊べてしまった。
 まずはそれらの要素から説明していこう。

リッチな物語演出に引き込まれる

 『ウマ娘』『原神』以降、スマートフォン向けゲームの演出はさらに豪華になる一方だが、『シン・クロニクル』もまた2021年規準と言える豪華さを備えており、開幕から物量に驚かされた。

 新米騎士である主人公は、戦の中で奈落の底に落ち込む。

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 奈落の底では謎の少女クロエと出会うが、主人公は奈落から脱出する力を持っておらず、死を待つのみとなる。

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 だが、奈落の底には希望もあり、運命を変える書物「クロニクル」の力を得て、地上へと帰還を果たす。

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 奈落から帰還した力を認められた主人公は、新規の騎士隊の長として奈落を探索する任務を授かり、プレイヤーの冒険が始まるといった内容だ。

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 文字にすると短くシンプルだが、その演出の物量はすさまじい。
 印象的なシーンは動画、専用の一枚絵(スチル)が使われているし、奈落を彷徨う3Dシーンもある。

 通常シーンでもキャラクターの位置関係を自然に見せたり、遠近感を出す演出があり、単純に立ち絵を表示するだけの演出より見栄えがある。

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 『シン・クロニクル』ならではの演出、序盤の演出のためだけに作られた素材などがたたみかけるように繰り出され、プレイヤーに物語を飲み込ませてしまう。
 この演出の具合を見れば「ああ、これは気合いが入っている」と多くのプレイヤーが納得することだろう。

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メインはフィールド探索RPG

 騎士隊を結成するといよいよ通常プレイの開始となる。

 ゲームのメイン部分は、AP(スタミナ)を消費して1つずつステージを探索し、ステージ内のボスを倒して先へ進むものとなっている。

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 ステージは3Dで作られており、このなかを自由に探索できる。
 フィールドはかなりリッチに作り込まれており、見た目はなかなか。
 体力を回復できる薬草があったり、宝箱から装備を得たり、イベントが発生したりもする。

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 なお、手に入れた装備はステージクリア後に鑑定され、使用可能になる。本作の装備はガチャから出るものではなく、フィールドを探索して手に入れるもの。

 良い装備には能力を強化する「アビリティ」が付与されており、『ディアブロ』などのハック&スラッシュゲームのように最高の装備を探す遊びも楽しめるわけだ。

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 そして、フィールドには敵もいて、敵と接触するとバトルに突入するのだが……敵と戦いを始めるときの状態で有利不利が変化する仕組みがあり、これが小さいけど意外に楽しい。

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 たとえばフィールドに大勢の敵がいるとき敵に捕まると、複数の敵が一斉に襲いかかってくるためバトルは不利になってしまう。

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 逆に、背後から近づいたり、ぶつかる直前に攻撃ボタンを押してこちらから斬りかかると先制攻撃が発生し、有利な状態からバトルが始まる。

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 敵はそれぞれ独自の行動パターンでフィールドを動いており、プレイヤーを発見すると襲ってきたり、持ち場を守っていたりする。
 敵の配置を考えて機先を制する簡易なアクション・スニーク要素は単純だが、探索での良いアクセントとして機能している。

 今回の体験ではバトルを避けて進むことも可能だったので、ときには戦わない選択も必要になるかもしれない。

直感的な操作のターン制バトル

 敵とぶつかるといよいよバトルが始まる。
 バトルはターン制を採用しており、左下に表示されるアイコンの順番にキャラクターのターンがやってくる。
 キャラクター操作はアクションゲームのように直感的で、バーチャルスティックで移動したい地点まで移動し、行動ボタンを押すとターゲットに向かって指定の行動を行う。

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 各キャラは、通常攻撃と固有のスキルを持っており、BP(行動回数)が許す限り自由に行動できる。
 通常攻撃なら消費BP1、スキルは消費BP2などと行動に必要なBPが決まっており、3BPあるなら攻撃を3回してもいいし、スキルと攻撃を組み合わせて使ってもいい。

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 また、行動するときはキャラクターの位置も重要になる。
 敵の攻撃範囲は赤い円で視覚化されており、行動時に円から逃れることでダメージを避けられる。
 体験できた部分は簡単だったが、ゲームが進めばBPが残っていても途中で行動を終了することで、敵から離れて生存するような駆け引きもあり得る。

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 銃を持っているキャラクターなら敵の攻撃範囲に入らずに一方的に攻撃できるし、敵に攻撃されやすい特技を持っていれば瀕死の仲間をかばって行くことも可能。
 行動順、位置関係、敵のターゲットの取り合い、さらには必殺技など、さまざまな要素が絡み合い、王道のターン制ながら充分に戦術の駆け引きが感じられるシステムになっていた。

探索と共に物語も進む。

 フィールド探索と共にイベントが発生し、物語が進むのも『シン・クロニクル』の特徴だ。
 スマートフォンRPGにおいてはアドベンチャーパート+バトルというように、物語とクエストが分離されていることが多いが、本作ではフィールド内の決まった地点でも会話が発生し、物語が進んでいく。

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 会話量はかなり豊富で、フィールド探索が楽しいこともあり、感覚としては物語主導の買い切り・1人用RPGを遊んでいるような気持ちで遊べる。

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 冒険を終えたときに条件を満たすと、キャンプシーンに移行して仲間と会話することもある。

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 キャンプでは、キャラクターの背景、メインストーリーに関わる情報などが語られていくという。
 ここでの会話によって主人公との仲が深まるだけでなく、各キャラクター同士の仲が深まり終盤に影響を及ぼすのだとか。

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 序章では決まったキャラクターがキャンプで会話していたが、序章を過ぎるとガチャから引き当てた仲間もキャンプでの会話相手として登場する。

 今回は体験できなかったが、ガチャで引き当てたキャラクターをパーティーに入れるとメインストーリーに関わる会話をすることもあるようだ。
 これまでのスマートフォンRPGにはない要素で、正式版で楽しみにしている仕組みのひとつだ。

そしてやってきた究極の選択

 フィールドを探索して、バトルして、物語を堪能して。『シン・クロニクル』は面白いけども、特別ではないひとり用のスマートフォンRPGだった。
 ……が、序章の終盤でその感想は覆された。

 なんと、プレイヤーが言った言葉をゲームが覚えていたのだ。

 序盤でヒロインに誓った言葉が記憶されていて、それが物語のクライマックスで「あなたはこう言ったはずです!」とプレイヤーに提示される。
 プレイヤーが言ったことを登場人物が覚えていて、クライマックスで言葉として放たれるのは他のスマートフォンRPGにないインパクトで、物語的にもすごく盛り上がる。

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 それを経験してから、筆者にとってこのゲームの「選択」は特別に感じられるようになった。
 たとえば、序章では選択によってヒロインとの「絆」の値が変化した。

 もちろん、多くのゲームでも好感度システムは採用されている。しかし、選択をやり直すことはできないし、別のヒロインとの絆を上げるための仕組みもない。

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 多くのスマートフォンRPGでは、どんな選択をしても物語の結末も、経過も変化しない。
 しかし、本作の選択肢は小さいものでも物語に変化を及ぼすことがあるのだ。

 小さな選択ですら物語に反映されるのだから、この「絆」というやつは大きな変化に繋がるに違いない。
 序章だからか、選択肢もいちいちキャラクターを天秤にかけるようなものが多く、本当に悩んだ。

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 単に面白くひとり用RPGとして遊んでいたのに、じわりじわりとプレイヤーに選択肢の重要さを見せつけ、気づけば悩んでいる。
 『シン・クロニクル』には、そういった面白さがあった。

 そして、序章が終わるときまた驚く。
 本作の物語は章立てになっており、章の終わりには必ず大きく決定的な「運命の選択」が待っているのだが……。

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 キャンプの交流で仲良くなったキャラクターたちが、プレイヤーの選択によって派閥を組み、対立しているではないか!

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 なるほど、天秤にかけるような選択が多かったわけだ。
 公式放送で「プレイヤーの運命の選択によって仲間になるキャラクターもいる」と語られていたが、仲間キャラクターが異なる意見を持ち、最後にプレイヤーに選択をゆだねる仕組みなのだろう。

 仲間を巻き込んだ選択が繰り返されるRPG。確かに、これは今までにない。

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 さらに序章を過ぎるとゲーム内の主要登場人物だけでなく、ガチャからランダムに排出されるキャラクターですら意見を述べ、最終局面ではプレイヤーに選択を迫ることがあるという。
 パーティーに加えたガチャキャラクターがメインストーリーの選択に対して関与してくるなんて、実現できるのだろうか。

 それぞれの正義を持って、パーティーのメンバーが対立する究極の選択……考えるだけでゾクゾクしてくる。
 序章の選択肢はチュートリアルも兼ねていることもあり、ややパンチに欠ける気もしたが、それは正式リリース版以降のお楽しみ、ということだろう。

まとめ

 単純にプレイして楽しいだけでなく、プレイヤー個人の選択が物語を変化させる体験は他のスマートフォンRPGにないもので、物語主導のゲーム、新しいゲームを待っているなら試す価値がある、そう感じられる体験プレイだった。
 筆者自身、正式版がリリースされたら絶対試そうと考えている。

 ところで、「こういうゲームを遊びたいなら、買い切り型のRPGで物語分岐があるゲームを遊べば良いのでは?」と考える方もいるかもしれない。
 たしかに、単純に物語分岐を楽しみたいであればそれでもいいかもしれない。一般的な買い切り型RPGであれば、さまざまなルートを通って比較しすべてを知る楽しみも味わえる。

 実際、筆者もそう考えていたのだが、今回の『シン・クロニクル』の体験プレイを通じて意見が変わった。

 今回、この記事を書くためのプレイ時間は2時間しかなかった。だから、絶対に後戻りできない。
 そう考え始めた瞬間から、普段のやり直せるRPGよりはるかに選択に悩むようになっていることがはっきり体感できた。

 買い切り型と異なり、運営型RPGでは「簡単にやり直せないからこそ選択が重くなる」ということは充分にあり得る(リリース時はともかく、長期運営になったらやり直しはまず無理だろう)。
 おそらく、本作は買い切り型ゲームではなかなか味わえない、本当の「いちどしかできない選択」を体験させてくれることだろう。
 そういった意味でも、体験する価値は十分にありそうだと感じている。

ライター
スマホ黎明期からゲームをプレイし続け、自ブログ「ゲームキャスト」にてひたすら面白い新作ゲームをプレイし、感想を書き続けている。過去にはAppBankでげーむふぁいたー名義で執筆。

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