まだWebのVRはつらめ…それでもPARCOが挑戦する理由。VR版ECサイト仕掛け人にその課題と将来性を聞いてみた【ドワンゴVR部も登場!】

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 VRといえば、導入に10万円はかかるOculus RiftやHTC Viveなど、とかく遊ぶまでのコストが高いイメージがある。普及品と言われるPS VRでさえも、PS4から一式揃えるとなると10万円近くするのだから、なかなか大変だ。
 では、もし無料でVRが楽しめたら……? そんな夢を叶える可能性があるのが、今ブラウザで我々が見ている「Web」上でVRを楽しむテクノロジーだろう。

 実はそんな試みが現在、Web サイト「VR PARCO」で行われている。

「360度ショッピング体験」をうたうVR PARCO。(画像は同ホームページより)

 PARCOと言えば、ソフトバンクのロボット「Pepper」に外国語や博多弁をしゃべらせて接客させたり、先日開かれたクリエイティブの祭典「SXSW」に出展したりと、最近はテクノロジー面での先進的な取り組みでも注目を集める企業だ。
 そんなPARCOが3月22日、4月9日までの期間限定でオープンしたのが、このVRで店内を回遊しながらショッピングを楽しめるWeb サイト「VR PARCO」だ。

 ここでは利用者は実際の店舗を歩くように見て回りながら、登録されている商品を購入することができる。しかも特別なアプリやVR専用端末などは必要なく、スマホやPCのWebブラウザから利用できるというし、スマホを使ったVRゴーグルにも対応しているというのだ!

 そこで今回、電ファミではドワンゴVR部のgreenspa氏とともに、VR PARCOの仕掛け人であるVOYAGE GROUP VR室の伊藤淳室長にお話を伺った。VRショッピングの未来像、そしてWebブラウザだけで楽しめるWeb VRの将来性はどんなところにあるのだろうか。

VOYAGE GROUP VR室の伊藤淳室長。

取材・構成/透明ランナー
取材/鈴木慎之介


国内初、購入までできるVRショッピング

先日オープンしたこちらの「VR PARCO」ですが、どんなサービスなんですか?

簡単に言うと、どこにいても実際にPARCOの店舗で買い物をしているような臨場感が味わえるように、というコンセプトのWeb VRアプリケーションです。

WebベースのVRですか? 今あるVRコンテンツはほぼすべてネイティブアプリですけど……。

ゲームはそれでいいと思うんですが、僕らはショッピングですからね。やはりWebのほうがいいんです。これからどんどんVRが普及していくと、毎回アプリを入れるのは面倒だし他の人にシェアしにくいんですよね。いずれはシェア機能もつけたいです。

VR空間上で商品を選択して購入することができる。(画像はVR PARCOより)

最近は服なんかでもInstagramやTwitter検索で見て買う人が多いですからね。簡単にシェアできれば嬉しいです。

将来的には自分の位置・見え方単位でURLを発行することで、「この商品いいよね」という体験を簡単にシェアできるようにしていきたいです。コミュニケーションが取りやすいというのはWebならではの特性ですよね。

そして商品の購入までできると。

そうです。店内の様子を見て回れるVRアプリはちょくちょく出ていますが、購入までできるVRショッピングは国内ではまだ他に例がないんじゃないかと思います。今回は3店舗あわせて約70アイテムを購入することができます。やっぱり購入までいけないと意味がないと思うんです。

「家具やセレクト雑貨ショップなど、VRで見て回ることに価値がある3店舗です」(伊藤室長)。(画像はVR PARCOより)

VRショッピングの可能性

ここで、ドワンゴVR部のgreenspaさんに登場してもらいたいと思うのですが、使ってみてどうでしたか?

体験させていただいたんですが、うーん…。ぶっちゃけた話、「VR PARCO」を経由して買い物する人が出てくるかと言われると、正直微妙だと思うんですよ……。期間限定のキャンペーンとしてやるなら別ですが。プロモーションとしてはともかく……。いきなりDisりで申し訳ない!

いきなりDis(笑)!

いや、これは「VR PARCO」がどうこうではなく、VRショッピングという体験自体の問題ですね。

といいますと?

VRゴーグルを被らないと買い物できないし、アプリをまたいで複数の商品を並べて比較するのも難しい。「いつでもどこでも、たくさんの情報から精査して欲しい物が買える」というネットショッピングの利点が活かせないんですよ。
そこでちょっとお伺いしたいんですが、伊藤さんはVRショッピングにはどういう利点や強みがあるとお考えですか?

買い物には2つの側面があると思うんです。ひとつはより良いものを安く買うという機能面。そしてもう一つが買い物自体を楽しむという面です。
まだしばらくは、VRならではの楽しさに重点を置く方向でいかないと難しいと思います。店舗を忠実に再現する方向では、もう少し技術的な発展を待つ必要があると思うので。

たとえばどんなイメージですか?

空撮で上空を飛んでいるところからお店にスッと入っていけるとか、好きなアニメのキャラクターと話をしながら買い物して、記念写真が撮れるとか(笑)。VRだからこそ体験できるエンターテイメントの方向に振っていかないといけないなと思います。今は現実を再現するほうのVRにフォーカスが当たってますけど。

なるほど。世界的にもVRショッピングアプリはそういう「買い物の楽しさ」を演出する方向に向かっていますね。そうそう、中国でもAlibabaという、日本で言うところのAmazonと楽天を合体させたような超大型インターネットショッピングモールが、「Buy+」というVRショッピングを始めたんですが、体験されたことあります?

中国のオンライン・マーケット大手アリババが昨年から提供を始めたVRショッピングサービス「Buy+」。

中国国内でないと体験できないやつですよね。動画で見る限り、UIは洗練されてるけど実際に使うとどうなのかなという感じなんですが、本当にあんな体験できるんですか?

実は私も体験したことはないんですが(笑)、ニュースサイトの動画を見ると本当にあんな感じみたいですね。VR空間内での移動は定められたポイントを移動していくだけで、技術的にはVR PARCOさんとそんなに変わらないんですけど、ひとつひとつのポイントがエンタメなんですよ。たとえば宝石店に立つとテレビショッピングよろしくイケメンが解説してくれるとか(笑)。

さすが無限にカネがある会社は違うなあ……(笑)。

よければ一緒に中国まで体験しに行きましょう(笑)。それはともかく、「向こうから話しかけてきてくれる」というのは重要ですね。これはドワンゴVR部の持論なんですが、VRってその性質上どうしても自分自身との思索に沈み込んでしまうような面があって。放っておくとどんどん内省的になってしまうんですよ。

でもショッピングって、それと真逆ですよね。

はい。ショッピングには外向的な好奇心を引き出さないといけないので、そのために店員やキャラクターがどんどん話しかけてくるデザインにしたんでしょうね。

なるほど。

Alibabaは実店舗を持たないインターネットショップなので、彼らの考える理想のショッピングセンターをVRの中に作りたい、という気持ちは理解できるんです。そういう意味ではPARCOさんが、実店舗を持っているにもかかわらずVRで勝負を仕掛けるというのは驚きでした。

それが、このアプリケーションの公開後、他の百貨店さんからも、デジタルマーケティングの一環としてVRに挑戦してみたいという問い合わせがけっこうありまして。業界全体の注目度はかなり高いなと感じています。

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