いま読まれている記事

都市開発ゲーム『Cities: Skylines』のスクリーンショットが実際の都市計画にて盗用。都市デザインを紹介するパンフレットに

article-thumbnail-180806b

 2017年に提出されたイギリスのノーフォーク州の新たな都市建設計画を解説するLanpro社のパンフレットに、『Cities: Skylines』のスクリーンショットを使用していたことがファンによって発見された。
 スクリーンショットは3年前にIVIaartenと名乗るユーザーによってRedditに投稿されたもの。見比べてみると、ほぼそのまま使用されていることがわかる。

 Lanpro社の計画では、この都市を「ノーフォークの美しい景観と調和した高品質で未来的なデザインの都市」としている。

都市開発ゲーム『Cities: Skylines』のスクリーンショットが実際の都市計画にて盗用。都市デザインを紹介するパンフレットに_001
(画像はLanpro社のパンフレットより)

 本件を最初に報告したのは、同じくノーフォーク州をベースとするローカル紙「Eastern Daily Press」だ。盗用を発見したノーフォーク州に住むゲーマーのMatt Carding-Woods氏は、このパンフレットの小さなスクリーンショットが『Cities: Skylines』のものであることを、下部にある変色した木々から見抜いた。

 これは焼却炉が引き起こす環境汚染を示す変化だ。また、中央下部の鉄道の終点が独特なカーブを描いている点も、これが同作だとわかる要因になっている。

都市開発ゲーム『Cities: Skylines』のスクリーンショットが実際の都市計画にて盗用。都市デザインを紹介するパンフレットに_002
盗用されたスクリーンショット。
(画像はRedditより)

 そもそもこの都市計画自体には、かねてより批判が噴出しており、慈善団体である「イギリスの田舎を守る運動(Campaign to Protect Rural England)」は、地方議員と協力してこの計画を強く批判している。
 また、教区協議会も、この計画には不備があると指摘。パンフレット5ページ目で示されている地図には、森林委員会の所有するビンツリーウッズが含まれているのだという。

 また、盗用を発見したMatt Carding-Woods氏も、Lanpro社を都市計画のプロとして怠惰であるとし、同社のこの計画そのものへの姿勢を示すものだと批判している。
 そして『Cities: Skylines』は、完全に現実的な都市管理を意図したゲームではないと語った。

※『Cities: Skylines』を使ったワークショップ

 そういった一方で、こういった都市管理ゲームが学校の授業や実際の都市開発に利用されているケースも多々ある。今回話題となった『Cities: Skylines』では、2016年にスウェーデンの都市開発で実際に採用され、2日間のワークショップでさまざまな分野の人々にゲームを使い都市を作るという催しが実施された。
 完璧とはいかないまでも、今回のように都市計画のプロから見てもサンプルとして使用したいぐらい、『Cities: Skylines』は精密な都市を描写できているのかもしれない。

 なお、Lanpro社のマネージングディレクターChris Leeming氏はこの件について、「計画をモデル化し、わかりやすく説明するため、ソフトウェアを真剣に利用した」と述べているが、他人の制作したスクリーンショットを盗用していることについては触れていない。今後もこの都市計画への批判は続くことだろう。

文/古嶋 誉幸
編集/ishigenn

関連記事:

【SLG編・第1回】コーエー『信長の野望』は歴史の特異点なのか? まず人類がゲームで戦争をシミュレーションしてきた歴史を省みよう【ゲーム語りの基礎教養】

海賊版を自ら配信したゲームメーカーの真意は、違法コピー問題を真剣に考えた末の強烈な皮肉──企業運営シミュレーションゲームに厳しい現実を追体験する「海賊版モード」を実装

ライター
都市開発ゲーム『Cities: Skylines』のスクリーンショットが実際の都市計画にて盗用。都市デザインを紹介するパンフレットに_003
一日を変え、一生を変える一本を!学生時代Half-Lifeに人生の屋台骨を折られてから幾星霜、一本のゲームにその後の人生を変えられました。FPSを中心にゲーム三昧の人生を送っています。
Twitter: @pornski_eros
編集
都市開発ゲーム『Cities: Skylines』のスクリーンショットが実際の都市計画にて盗用。都市デザインを紹介するパンフレットに_004
ニュースから企画まで幅広く執筆予定の編集部デスク。ペーペーのフリーライター時代からゲーム情報サイト「AUTOMATON」の二代目編集長を経て電ファミニコゲーマーにたどり着く。「インディーとか洋ゲーばっかりやってるんでしょ?」とよく言われるが、和ゲーもソシャゲもレトロも楽しくたしなむ雑食派。
Twitter:@ishigenn

本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ている場合がございます

Amazon売上ランキング

集計期間:2024年3月28日20時~2024年3月28日21時

新着記事

新着記事

ピックアップ

連載・特集一覧

カテゴリ

その他

若ゲのいたり

カテゴリーピックアップ