いま読まれている記事

「チートを無効にするチート」の存在が噂に。『Apex Legends』を覆う無数のチーターの影、人気ゲームの宿命か

article-thumbnail-190315l

 リリースから1ヶ月ほどで総プレイヤー数5000万人を突破したElectronic ArtsとRespawn Entertainmentのバトルロイヤルゲーム『Apex Legends』だが、人口の増加とともにチーターの報告も相次いでいる。勝利するために悪質なチートを使用する者のみならず、チートそのものを販売する業者が謎の文字列を残し、ゲーム開始時に即座に離脱するという現象も見受けられる。

 アクティブプレイヤー数は公表されていないが、Twitchではリリース時に20万人以上いた視聴者が記事執筆時点では約4万人と5分の1以下に減少するなど、盛り上がりが止まりつつある印象を受ける。語気を強めて言えば、チートによってゲームは破壊されつつあり、その影響が出始めていると言っていいだろう。

 そんななか、海外メディアDexertoは、海外フォーラムRedditにて取り上げられた「相手のチートを無効にするチートを販売する業者」の存在を報じている。

「チートを無効にするチート」の存在が噂に。『Apex Legends』を覆う無数のチーターの影、人気ゲームの宿命か_001
(画像はReddit 「Apparently some Chinese players are so sick of the hacks and decide to write a cheat program to battle other cheats (rough translation in comments」より)

 「Avenger」と呼ばれるこのプログラムは、相手が利用している自動で照準を合わせるオートエイム、高速で移動できるようになるスピードハックを無効化する。また、壁越しでも敵の位置がわかるウォールハックを利用しているチーターのみを、自分も壁越しに見ることができるという。さらに、発見したチーターを通報できるファイルを自動で制作するというすぐれものだ。

 『Apex Legends』のPC版で導入されているアンチチートプログラム「Easy Anti-Cheat」は、チーターのIDのや使用したと思われるチートの種類、発見時刻などを書いて通報する必要があり、これを簡略化することができる。ただしこの機能もゲームをハックして行われているため、これを導入しているプレイヤーもチーターであることに変わりはない。

 チーターを倒すためこちら側もチーターとなって戦う必要があるのか。Respawn Entertainmentのデビュー作であり、『Apex Legends』のルーツでもある『Titanfall』を思い出したプレイヤーもいるかもしれない。同作ではチーター同士を同じサーバーに収監し戦わせるチート対策が取られ、「チーターのウインブルドン」と話題になったこともある。

「チートを無効にするチート」の存在が噂に。『Apex Legends』を覆う無数のチーターの影、人気ゲームの宿命か_002
(画像はTitanfall 2公式サイトより)

 このチートを無効化するチートの販売は、特にチーターが多いと言われる中国でも話題になっており、複数のメディアがこれを報じている。ただし、どこで販売されているかまではわからないようだ。チート販売は犯罪であり、巨額の罰金が課せられるケースも少なくないため、クローズドなウェブで取引が行われている。そのため表層ウェブでは見つけられないのかもしれない。

 この画像をRedditに投稿したSilentRedBoi氏も、このプログラムが本当にあるかはわからないと書き込んでいる。あるいは、チート対策に不満を持つファンが作った現状を皮肉るジョークの可能性もある。

「チートを無効にするチート」の存在が噂に。『Apex Legends』を覆う無数のチーターの影、人気ゲームの宿命か_003
(画像は『Apex Legends』公式サイトより)

 このチート無効チートが冗談か否かに関わらず、『Apex Legends』はチートによって大きな被害を受けていることは事実だ。海外メディアKotakuの調査によれば、長い時間を掛けてチート対策が進んだ『Fortnite』から、まだ対策の甘い『Apex Legends』へとチート販売業者が流れ込んでいるという。あるチート販売業者はたった4日で5000ドル(約56万円)を稼いだと報告されている。

「チートを無効にするチート」の存在が噂に。『Apex Legends』を覆う無数のチーターの影、人気ゲームの宿命か_004
(画像は『Apex Legends』公式サイトより)

 Respawn Entertainmentもチート対策を進めており、リリースまでに35万アカウント以上をBANしたとRedditを通じて伝えている。今後もチートとの戦いを宣言しているものの、無料ゲームではあまり意味をなさないアカウントBANと、今なお破り続けられているアンチチートプログラムの対策に関しては、後手に回っている印象をプレイヤーたちに与えている。

 チートはゲームのガンだ。そしてチート販売業者は、たとえチート蔓延によってゲームが崩壊したとしても、ほかの人気ゲームに転移すればまた稼ぐことができる。近年であれば人気の陰りの一因となった『PLAYERUNKNOWN’S BATTLEGROUNDS』の例のように、人気マルチプレイヤーゲームとチートとの戦いは切っても切れないもので、対策が進まなければ人気の衰退に繋がることになる。はたして『Apex Legends』は今後どうなるのか、ゲームとチートの戦いは今後もしばらく続くだろう。

ライター/古嶋誉幸

関連記事:

【榎本俊二4コマ】キラーソフトの脱衣麻雀をクロスプレイしたら神ゲーのステータスがコンティニューした…不条理4コマ巨匠が現代ゲーム用語を漫画化!【現代ゲーム用語大全】

『Grand Theft Auto Online』のチートツールを販売していた男性に15万ドルの損害賠償。弁護士費用の7万ドルも合わせた22万ドル、約2400万円の支払いを命じられる

ライター
「チートを無効にするチート」の存在が噂に。『Apex Legends』を覆う無数のチーターの影、人気ゲームの宿命か_005
一日を変え、一生を変える一本を!学生時代Half-Lifeに人生の屋台骨を折られてから幾星霜、一本のゲームにその後の人生を変えられました。FPSを中心にゲーム三昧の人生を送っています。
Twitter: @pornski_eros

本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ている場合がございます

Amazon売上ランキング

集計期間:2024年4月20日00時~2024年4月20日01時

新着記事

新着記事

ピックアップ

連載・特集一覧

カテゴリ

その他

若ゲのいたり

カテゴリーピックアップ