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GC版『ゼルダの伝説 風のタクト』タイムアタック研究で大きな一歩。17年にわたり不可能だった“バリアスキップ”が「メモリの魔法」によって達成される

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 『ゼルダの伝説 風のタクト』には、タイムアタックに挑むスピードランナーたちの挑戦を阻み続けてきた大きな壁が存在する。

 それはラストダンジョンであるガノン城までの道を繋ぐ橋にある大きな結界だ。プレイヤーに「バリア」と呼ばれて親しまれているこの結界は、通常のストーリーを進めて消失させない限り、けっしてその先へ通ることができないように設計されている。

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(画像は筆者作成のTwitchクリップより)

 『ゼルダの伝説 風のタクト』のタイムアタックにおいては、多くのテクニックを駆使すればゲームを始めてから比較的早い段階でこのバリアがある場所まで来ることができる。そのため、このバリアを正規の方法以外で突破できるかどうかが、長年の課題とされてきた。そして、いつしかこのバリアを突破することを“バリアスキップ”と呼ぶようになった。

 2012年にWii Uで発売されたリメイク版『ゼルダの伝説 風のタクト HD』では、2016年にバリアスキップは達成。だが2002年にニンテンドーゲームキューブで発売されたオリジナル版のバリアは、17年にわたり突破されなかった。

 しかし研究を続けたスピードランナーたちが長年にわたり挑み続けた結果、2019年7月7日についに実機でオリジナル版のバリアスキップが成された。

 しかし、2019年に入って新しい動きが出てくる。今までバリアスキップのためにはリンクの移動速度が必要だという観点から検証が繰り返されてきたが、「ゲームキューブの動的メモリを枯渇させてバリアを読み込むためのメモリを確保させない方法」が検討され始めたのだ。

 手に“勇者の弓”を持った状態で空中に飛び出て特定の操作を高速で入力することにより、リンクが弓を構える動作がキャンセルされて矢を持った状態になるというテクニックがある。これを繰り返すことで手に矢を何十本も持っているという状態にもでき、限界まで繰り返すとアイテムを出すことすらできない状態にすることができる。

 この状態でかぎづめロープを使うことにより、画面には反映されないが透明なロープが出ているという状態にすることができる。このロープはひとつ出すごとにゲームキューブの動的メモリを使用するため、透明なロープを1万回以上出し続けることで、バリアを読み込むためのメモリを確保させないようにすることができる。これが今回、新しく見つかったテクニックだ。

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(画像はThe Legend of Zelda: The Wind Waker – Leaderboard – speedrun.comより)

 透明なロープを出すために1万回以上ボタンを押し続けるのはさすがに骨が折れるが、その後、Gymnast86氏によって透明なロープを出す回数を大幅に抑えたセットアップが開拓され、さらにはDemon氏によって弓を使わないやり方が開拓されたりと、まだまだ最適化を求めて研究は続行中だ。

 現在のバリアスキップを用いた『ゼルダの伝説 風のタクト』のスピードランの世界記録は、約2時間にまで短縮されている。必要なアイテムが多いことからリメイク版のように1時間を切るところまでタイムが縮まることは難しそうだが、今後の展開が期待される。

ライター/もか
協力/いわび

ライター
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小学校の頃にゲーム雑誌でタイムアタック特集を見てこんな遊び方もあるんだと感動し、RTAという言葉が生まれる以前からゲームの早解きを行い続けて現在に至る。
Twitter:@moka_peer

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