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シリーズ最新作『プロ野球スピリッツ2024-2025』は次世代野球エンジンとUnreal Engineで「まんま野球中継」なプレイが楽しめる。選手が帽子をとった姿も制作、スタジアムの音の響き方にまでこだわった超ハイクオリティな野球ゲームに

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コナミデジタルエンタテインメントより、10月17日に発売されるPlayStation 5とSteam向け野球ゲームの『プロ野球スピリッツ2024-2025』

本作は、初代『プロ野球スピリッツ2004』から数えて20周年目にあたる記念的な作品。そうしたこともあり、システム面でも大幅な強化がおこなわれているほか、新たなモードも登場するなどシリーズ最大のボリュームとなっているのが特徴である。

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なかでも注目なのが、次世代の野球エンジンである「eBaseball™ Engine」の搭載。こちらは選手の動きなどのモーションや観客、応援など球場内で起きている演出をより臨場感のあるものにするためのものだ。

音響面に関しては特に力が入っているようで、球場内の音響特性、インパルス・レスポンス(IR)をキャプチャしている。これにより、スタジアムの音の響き方をリアルに再現するようにしているのだ。

また、グラフィック面では、シリーズ初となる「Unreal Engine」が採用されている。これまでに以上に選手の肌の質感も向上しており、アップで見ると産毛まで再現しているのがわかるレベルで作り込まれている。また、細かい部分ではあるが従来までのシリーズではなかった、「帽子を取った姿」も再現されている。

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そんな期待高まる本作だが、リリースに先駆けてメディア向けの最速試遊会が行われた。今回は4時間ほどゲームをたっぷりプレイすることができたのだが、それでも「時間が足りない!」と感じるほどのボリュームであった。また、あわせて本作の制作陣にインタビューも実施しているので、そちらも合わせてご覧頂きたい。

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『プロ野球スピリッツ2024-2025』のゲームモードのメニュー。ひとつひとつがかなりのボリュームとなっており、さながら野球ゲームのショッピングモールともいえるような豪華さだ。

文・取材/高島おしゃむ
編集/anymo


「まんま野球中継じゃん!」驚くほどリアルで臨場感のある試合が楽しめる

まずは野球ゲームとしてどのぐらい進化を遂げているのかを知るため、「対戦」モードをプレイしてみた。単純に対戦するチームを選んでスタメンを選択し、ゲームがスタート──かと思っていたのだが、それ以前にかなり細かくプレイスタイルが選べるようになっていたことに驚かされた。

たとえば「対戦メニュー」では、通常のCOM対戦だけではなく、ひとりの選手になりきる「フィールドプレイ」や監督して采配を振る「監督プレイ」、COM同士の対戦が見られる「試合観戦」などを選ぶことができる。野球の楽しみ方もひとそれぞれだが、野球ゲームの楽しみ方の幅も大きく広がっていると感じさせられた部分だ。

今回はCOM対戦を選んだのだが、初めてこのゲームをプレイするということもあり「操作オプション」は難易度が低そうな「カジュアル」を選択。「COMの強さ」も「最弱」を選んでみた。結果的には大きく点差を付けて勝利したのでここまで難易度を下げる必要はなかったものの、初戦で肩の力を抜いてゲームの雰囲気を掴むことができた。

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サクッとプレイ出来る「対戦モード」でも、複数の遊び方が用意されていた。

ひと通り設定を済ませた後、ついにプレイボール。ここで真っ先に思ったのが「まんま野球中継じゃん!」という感想であった。選手が打席に向かうまでの仕草やカメラアングル、バッターボックスに立った後の姿にマウンドからの光景、バックネット裏からの映像にリプレイなど、テレビの野球中継で見てきたようなシーンが、自分がプレイしているゲームの中で繰り広げられている

それでいながらもゲームとしてテンポ感が悪いということもなく、集中力が切れることなく遊べるような作りに仕上げられているのだ。

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こちらは「ペナントレースモード」の画面だが、このようなバックネット裏からの映像など、テレビ中継でよく見たシーンがさりげなく流れる。

コースや球種を決めて投げていくピッチングの方はともかく、自身のプレイで少々心配だったのがバッティングだ。単純にタイミング良くボタンを押せばいいというわけでなく、コースも読んでバットを振る必要があるため、なにかテクニックが必要になるのでは思いながら挑んだ。

実際プレイしてみると、どのあたりにボールが飛んでくるかが事前に表示される仕様から、そこにバットを合わせて振ることができる。慣れてくるとバッティングも楽しく感じるようになってきた。

ちなみに、ボールに対してスイングのタイミングが早すぎたり遅すぎたりしたときは、アナウンスを表示してくれる。そちらを参考にすることで、自分のプレイ自体を磨いていくことができるというわけだ。

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バッティングでは、バントや流し打ちなどのスタイルも選ぶことができる。

バッティングのときはあまり意識することはなかったのだが、バッターとの駆け引きが楽しめると感じたのがピッチングだ。こちらはコースや球種を選んで投げていくのだが、実際の野球のようにどのコースに投げるか考えながら選んでいくため、アクション性よりも頭脳戦を楽しんでいるような気分になる。

最初にプレイした「対戦」では操作モードをカジュアルにしていたため気が付かなかったのだが、ピッチングでは円の収縮に合わせてボタンを押す必要がある。これが絶妙で、試合の展開によって緊張感が増すと、微妙にプレイにも影響を及ぼすことがあるのだ。

たとえばボタンを押すタイミングをミスすると、ボールがすっぽ抜けてしまうということもありうる。ゲームでありながら、本物の試合で起きているプレイヤー同士の心理戦のような感覚も体験することができるようになっていた。

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ピッチングではコースと球種を選んで投げ込んでいく。操作モードによっては、タイミングよくボタンを押していかなくてはいけない。

もうひとつ触れておかなくてはいけないのが、従来までのシリーズとはボールの物理挙動が変わっているところだ。これまではリアルな再現を目指しながらも、ホームランの打球が200Kmを超えるなどゲーム的な気持ちよさや演出も盛り込まれていた。

しかし、今作ではそうしたボールの物理挙動はすべて見直されている。そのため、実際の球場で見るときのような、ホームランを打ったときの打球や失速具合なども再現されているのだ。

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内野手や捕手の動きもかなりリアルになっており、こちらは実際のプロ野球選手の動きをモーションキャプチャして作られている。たとえば、捕手の動きは福岡ソフトバンクホークスの甲斐拓也選手に協力してもらって取り込んだものだ。そのため、従来までのシリーズになかったフレーミングなどキャッチャーの動作も含めてしっかりと再現されているのである。

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操作モードによっては、ピッチングのリリース時に、再度ボタンを押す必要がある。

GM兼社長になってシーズンを戦う新モードの「myBALLPARK」

今作で新たに追加されたゲームモードのひとつが「myBALLPARK」だ。こちらは、簡単にいうとプロ野球チームのGM兼社長となってシーズンを戦っていくといった内容のモードである。GMとしての役割は、選手の獲得や育成を行っていくこと。社長としては、設備投資や収益アップなどビジネス面を支えていくことになる。

育ててきたチームは、SEASONが終了した後で書き出すことができる。こうして作りあげた自分のチームを、リーグやイベントなどでほかのプレイヤーが育てたチームと戦わせることもできるのだ。

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ちなみに「myBALLPARK」では、SEASONレベルと呼ばれるものが設定されており、最初は難易度が低いところから始まる。その難易度で日本一になると、新たな難易度が開放されていくという仕組みだ。

難易度が高くなるほど対戦相手も強くなるが、その分SEASON終了後に獲得できる報酬が豪華になるほか、より強いチームを作ることができるようになる。

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チーム編成では投手13名、野手16名の合計29名で編成を行っていく。各選手にはフィーチャーパワー(FP)と呼ばれる値が設定されており、それが高いほど試合の中で有利な状況を作り出すことができるようになっている。守備適性のない選手をそのポジションに選ぶと、フィーチャーパワーが下がってしまうので注意が必要だ。

もうひとつ、営業面で欠かせない存在となるのが秘書である。秘書はマルチタレントのあのさんや、雪平莉左さん、動画クリエイターの森元流那さんなど最大6人で編成することができる。この秘書自体にもレアリティがあり、高くなるほど秘書スキルと固有系コマンドを獲得することができるようになる。

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あのさんがゲーム内の秘書として登場!

ひとつのSEASONは、大きく分けて4つのセクションに分割されており、それぞれのセクション単位で達成目標が設定されている。目標を達成することで報酬獲得量も増えるので、とりあえず何をすればいいかわからなくなったときは「セクション目標」をチェックするようにしたい。

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一番最初に出る目標は「いずれかの経営コマンドをレベルアップ」というものだ。

ゲームの流れとしては、経営コマンドで秘書に仕事を依頼し、収益アップや練習で使用する機材やアイテムなどを獲得していく。あわせて、選手の練習メニューを決めていく。そして新たなスポンサーと契約することで、収入やファンクラブの会員を増やす。そうしてチーム全体を育てながら、シーズンを乗りきっていくのだ。

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秘書にいろいろとお願いすると体力が減ってしまう。彼女たちのマネージメントも球団経営には重要なポイントとなる。
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なるべく成功率が高い案件を狙っていこう。
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選手の練習メニューなども決めていくことも、SEASONを乗りきるためには重要だ。

リアル版「栄冠ナイン」ともいえる新モード「白球のキセキ」

もうひとつ今作で追加された新モードが「白球のキセキ」だ。こちらは、高校野球の監督としてナインを鍛え上げていき、甲子園に出場して全国制覇を目指すというものである。SNSでも話題になったが、いわゆるリアル版の「栄冠ナイン」といえばわかりやすいかもしれない。

ちなみに「栄冠ナイン」との違いとしては、戦術試合だけではなくアクション試合や選手のひとりになりきって遊べるフィールドプレイなどもできるのが特徴だ。日程スキップもできるため、どちらかというと高校野球シミュレーターのように遊ぶことができるモードだと思えばいいだろう。

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ゲームとしては、春の入学式が終わり野球部の監督に就任するところから始まる。この「白球のキセキ」では監督をサポートしてくれるマネージャーがいるのだが、こちらにはタレントの市原伽恋さん夢羽菜さん岡本莉瑚さん松島かのんさ太田美南さんが登場する。

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マネージャーの岡本莉瑚さんがプレイヤーを優しくサポートしてくれる!?

「白球のキセキ」では、選手を鍛えるための3つの項目を選んで練習を繰り返していく。それぞれのコマンドにはコストが設定されており、コストを超えて選ぶことはできない。コマンドの結果、選手たちの様々な能力が向上していき、それがチームの強さにも繋がっていく。

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練習メニューを選んで選手を鍛えよう!

選手たちの見た目を変える「容姿エディット」も、過去シリーズと比較して大幅に進化している。こちらは球児風だけではなく、プロ野球選手風や年配風なども選択可能な点がユニーク。「容姿エディット」もふくめ、トコトンこだわれるところも本作ならではの魅力といえるだろう。

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「容姿エディット」では、選手の見た目を細かく設定することが可能だ。

ちなみにプレイヤーはあくまでも監督という立場であるため。試合では、選手たちに適格な指示を出して戦っていくことになる。こちらは戦術カードを選んでいくという方式だが、数字が大きいほど成功率も高くなる。

ということで、さっそく練習試合を申し込んでみたのだが、いきなり最弱チームといわれていた対戦相手にも負けてしまった。監督の采配ミスもあったのだが、それだけまだまだチームの力が足りないということなのだろう。

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雨天でも練習試合が行われるのは高校野球ならでは!?

既存のモードもユーザーの声を反映してパワーアップ!

軽く新モードの「myBALLPARK」と「白球のキセキ」を遊んでみた後で、既存のゲームモードもプレイしてみることにした。定番の「ペナントレース」は、監督や選手になってリーグ優勝と日本一を目指すモードだ。こちらは選手としてゲームに参加するだけではなく、監督視点でもプレイ出来るのは面白い。

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この「ペナントレース」は、従来までは最大30年までしか遊べなかった。しかし、今作ではユーザーからの要望が多かったことから、プレイ年数が無制限になっている。また、『パワプロ』でも好評だった、実在選手やOB選手が若返って登場する「転生選手」も遊べるようになった。

さらにこちらもユーザーからの要望が多かった、チームエディットを使った新球団でペナントレースに参加することも可能だ。ユニフォームのデザインやマーク、旗といったものもカスタマイズすることができる。既存の球団を使用するのもいいが、自分だけのドリームチームでペナントレースを制するというのは、なんとも夢がある。

この「ペナントレース」モードをプレイする前に、いくつかのモードを経験してきたということもあってか、試合自体は拮抗した勝負に。そしてその緊張感は、どことなくリアルな開幕戦を感じさせるものであった。

残念ながら後半相手チームにホームランを打たれて負けてしまったものの、リアルな野球を見ているときの気分を味わうことができた。

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惜しくも9回表に勝ち越しホームランをゆるしてしまい、そのまま試合が終了となった。

ひとりのプロ野球選手としてスターを目指していく「スタープレイヤー」では、今作から強化された新機能の人体エディットで、自分の顔だけではなくフォーム、野球のアピールポイントや人間性のステータスなども設定することができるようになっていた。

試合中に発生するミッションに成功すると、監督の評価や球団の査定が上がりやすくなる。また、今回の試遊では確かめることができなかったが、こちらにも「myBALLPARK」に登場したあのさんや雪平さん、森元さんが登場するということなので、楽しみにしよう。

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スター選手をめざしていく「スタープレイヤー」。どん底からのスタートなったが、ここから大きく巻き返していきたい。

この「スタープレイヤー」も「白球のキセキ」と同じように、ゲームを遊び始めた時点ではどん底に近い状況からスタートすることになる。だからこそ徐々に成長してく過程を体験し、より愛着が湧いてくるのだ。

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「スタープレイヤー」では、自分に関係するバッティングや守備以外は、スコア上で試合が展開されていく。そのため、自分が活躍することのみに集中することができるのだ。
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選手やコーチなど、様々な人たちと交流を深めていくことも大事だ。

ハイクオリティな作品を提供するために時間を掛けて作りあげた──『プロ野球スピリッツ2024-2025』製作チームインタビュー

ゲームの試遊後、本作の製作チームから統括ディレクターの山口剛氏とグラフィック担当の吉田和史氏、サウンド担当の柏崎歩氏、myBALLPARK担当の柿崎良幸氏、白球のキセキ担当の池本健二氏の5名が登壇しインタビューが実施された。

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写真左から、山口剛氏、吉田和史氏、柏崎歩氏、柿崎良幸氏、池本健二氏。

──スポーツゲームは毎年リリースするイメージもありますが、『プロ野球スピリッツ』シリーズは、毎回丁寧に作り込んでリリースしている印象です。毎年新作を出すのではなく、このように作り込んでから発表するという方向になった理由を教えていただけますか?

山口剛氏(以下、山口氏)
おっしゃる通り、『プロ野球スピリッツ』シリーズは2015年まで毎年発売していました。その後、4年間空白期間と呼ばれる時期がありました(笑)。

『プロ野球スピリッツ2015』のときに、初めて3Dフォトスキャン技術など、新しい技術を取り入れて、よりリアルな野球ゲームを皆様にお届けしようとしていました。

技術の進歩はゲームやCG業界では常に起こっており、そうしたものを追いかけていく中で、どうしても「長い間研究しなければハイクオリティのものを出していくことができない」ということが見えてきました。中途半端なものを皆様にお見せするよりは、プロとして満足できるものを提供するためにこうした方針に切り替えています

──今作で作り込んだ部分はどちらでしょうか?

山口氏:
グラフィックは手を抜くことができないので、新たに「Unreal Engine」を導入しています。選手の質感や髪の毛、観客のプラカード、球場全体の没入感にこだわって作っています。

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──サウンド面はいかがでしょうか?

柏崎歩氏(以下、柏崎氏)
今回力を入れたものは、大きく分けてふたつあります。ひとつは、スタジアムの音響表現です。実際に球場で響きのデータであるインパルス・レスポンス(IR)をキャプチャし、ゲームに実装しています。それにより、その場にいるかのような音の響きを再現しています。

もうひとつは、音声合成です。これまでもいろいろなご要望を頂いていましたが、オリジナルの選手名やチーム名を滑らかにしゃべってくれます

野球ならではの数字はこれまでも実装していましたが、収録した音声ではパーツの繋がりが悪かったり、ものによってはとてつもない数を収録しなければいけなかったりします。そのため、なかなかいろいろな種類を入れることができませんでした。

今回は音声合成を採用したことで、そのあたりの表現パフォーマンスも広げています。数字もいろいろと盛り込んでいますので、楽しんでいただけると思います。

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──今回はハイエンド向きのプラットフォームをターゲットにしていますが、観客席の作り込みなどはどのようにされているのでしょうか?

山口氏:
3万人以上の観客を出すため、処理負荷などにも気を付けてプログラマーが作っています。観客全員がそれぞれ個々に動くように、これまで以上にこだわって制作しています。少し時間が経つと、観客が移動して、ごはんを買って戻ってくるなど細かい仕込みも入っていたりします(笑)。

また、プレイひとつひとつに対する。観客やベンチの選手の反応にもこだわっているので是非注目してください。

──今作では「eBaseball™ Engine」と「Unreal Engine」のふたつのゲームエンジンが採用されていますが、他のタイトルではふたつというのはあまり聞いた事がありません。どのような使い分けになっているのでしょうか?

山口氏:
野球ゲームは、見た目と動き、観客、音響などいろいろな要素で構成されていますが、グラフィックに関しては、「Unreal Engine」を採用しています。「Unreal Engine」で表現した選手や観客を制御していくものとして、新たに「eBaseball Engine」を制作という形で制作しました。

──ボールの物理挙動も「eBaseball™ Engine」を使用しているのでしょうか?

山口氏:
そうですね。ボールをゲーム上に表示するのは「Unreal Engine」でやっていますが、それをどのように動かすかという部分に関してはすべて「eBaseball™ Engine」を使っています。

──今回球場をレーザースキャンで計測されたそうですが、ゲームを開発している時点で北海道日本ハムファイターズの球場は札幌ドームだったと思います。それをエスコンフィールドHOKKAIDOに変えるタイミングで苦労したところはございましたか?

吉田和史氏
エスコンフィールドHOKKAIDOを作っている最中にも、何度かお伺いさせていただきました。

出来上がるまでの途中をレーザースキャンや撮影をさせていただきながら、徐々に我々も作っていったので、エスコンフィールドHOKKAIDOができたときは、我々もエスコンができたというタイミングでした。

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──選手の見た目がものすごく似ていますが、こちらはスキャンで取り込んでいない状態で似ているのでしょか?

山口氏:
いえ、キャンプ地などにお伺いして撮影しています。シーズン中は撮影ができないので、社内ツールで顔を似せて搭載している選手もいます。

──選手のデータや成績などもアップデートで対応していくのでしょうか?

山口氏:
今シーズン7月1日時点での選手データを収録しています。これ以降はアップデートを何度か予定しています。プロ野球は例年7月31日までがトレード期間終了になっていますので、その日までに毎年駆け込みで入団される選手に関しては、以降のアップデートで変更します。

2025年に関しては、まだ具体的な日程は決まっていませんが、来年の春頃にアップデートを予定しており、そのタイミングで今年の秋に行われるドラフト会議で入団した選手や、来年の春に新しく入団される外国人選手も収録した形で2025年のシーズンが遊べるようになります。

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──アップデートは無料でしょうか?

山口氏:
無料を予定しています。

──発売のタイミングで予定されているDLCはございますか?

山口氏:
『パワフルプロ野球2024-2025』と同様に、応援曲関連のDLCは予定しています。

それに加えて、今作で初めて選手が打席に入るタイミングやピッチャーが登板するタイミングで、実際の試合では登場曲が流れます。そちらに関しても、一部の楽曲になりますがDLCでの販売を予定しています。今のところは、発売日同日の販売予定です。

──今回Steamに初めて対応していますが、そちらの狙いを教えていただけますか?

山口氏:
昨今弊社タイトルでも、いくつかSteamでリリースさせていただいています。やはりSteam市場というのは非常に盛り上がりをみせているというのもあります。

それに加えて、今回の『プロ野球スピリッツ2024-2025』はよりハイクオリティのものを皆さんにお届けしようということを、コンセプトの一部にしています。そうしたときに、どのプラットフォームがふさわしいかということで選んだ結果、PlayStation 5とSteamで進めていくことになりました。

──VRモードを搭載する予定はございますか?

山口氏:
よりリアルになったことで、そうしたお声も非常に多く頂いています。前向きに検討したいんですけど……ここに居るメンバーに怒られそうなので(笑)。

──「myBALLPARK」に登場する秘書の方々を選ばれた理由を教えていただけますか?

柿崎良幸氏:
みなさん有名な方で、とくにファンの方も多いということで選ばせていただきました。僕は雪平さんが好きで、必ず選んでいます(笑)。

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──「白球のキセキ」についてですが、『プロ野球スピリッツ』でリアル版の「栄冠ナイン」を採用することになったきっかけを教えてください。

池本健二氏
まず、『プロ野球スピリッツ』はプロ野球をリアルに作り込んでいくというのがあります。高校野球に関しては、前作で『パワプロ』の「サクセスモード」っぽいものを搭載しました。

そうした中で、ちょうど『プロ野球スピリッツ』でオリジナルチームエディットの機能が追加されましたので、このタイミングならば、ちょうど高校野球のゲームを作りやすいということで採用しました。

プロ野球だけにこだわらず、「野球そのもの」が好きでゲームを買ってくれた方に対して、こんなアプローチもありますよという意図で作っています。

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──遊び方としては、「栄冠ナイン」そのままではないですよね?

池本氏:
「栄冠ナイン」の場合は、アクションが苦手な人でも遊べるようにしています。「白球のキセキ」ではそのような遊び方もできますが、アクションの野球もできるようにしています。プレイヤーによって、好みの遊び方ができます。ペナントレースのシミュレーションモードに近いですね。

「栄冠ナイン」では試合数を絞っていましたが、今回の「白球のキセキ」では東京や大阪など、参加校が多い地域では、多くの試合をしなければなりません(笑)。


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ライター
ライター/編集者。コンピューターホビー雑誌「ログイン」の編集者を経て、1999年よりフリーに。 現在はゲームやホビー、IT、XR系のメディアを中心に、イベント取材やインタビュー、レビュー、コラム記事などを執筆しています。
編集者
3D酔いに全敗の神奈川生まれ99’s。好きなゲームは『ベヨネッタ』『ロリポップチェーンソー』『RUINER』。好きな酔い止めはアネロンニスキャップとNAVAMET。
Twitter:@d0ntcry4nym0re

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