いま読まれている記事

堀井雄二氏×鳥嶋和彦氏のラジオ『KosoKoso放送局』の公開収録に、坂口博信氏・植松伸夫氏・松野泰己氏が参戦。「いちばん好きなゲームは何ですか?」「ゲーム作りにはなにが大切ですか?」『ドラクエ』『FF』生みの親に聞いてみた【TGS2024】

article-thumbnail-240929t

1

2

3

4

5

6

「最後かもしれない」坂口・植松タッグの『FANTASIAN Neo Dimension』

Naz氏:
でも、そんなおふたりが、この2024年も同じ作品に携わって、この冬に発売されるという『FANTASIAN Neo Dimension』についてぜひ最後におふたりから、 ちょっとお話いただけたら嬉しいです。

堀井雄二氏×鳥嶋和彦氏のラジオ『KosoKoso放送局』の公開収録に、坂口博信氏・植松伸夫氏・松野泰己氏が参戦_030

植松氏:
僕ももう、何十年かゲーム音楽をやらせてもらってて、やっぱりもう歳も歳なんで。

ゲームの最初から最後まで、全部ひとりで担当させてもらうのは、もうこれを最後にしようと思ったんです。だからもう、本当に全力で取り組んだ作品です。ぜひ皆さんに遊んでいただきたいと思います。

Naz氏:
坂口さん、お願いします。

坂口氏:
スクエニブースではふざけてばっかりで「『FF14』をよろしく」とか言ってたんですけど(笑)、じゃあここはちゃんと真剣に。せっかくいい話ですからね。

Naz氏:
お願いします。

坂口氏:
毎回毎回、植松さんの曲はもちろん心に残るんですけど、 やっぱり『FANTASIAN Neo Dimension』の曲っていうのは、特にバラード系のものとかは、 ちょっとうるっときますね、僕は。

本当に、なんかわけのわからない涙が、ちょっと出かかる。「キーナのテーマ」とか。だから、それは僕からすると、本当に感謝しかない。

やっぱり、ゲームには最後の方まで音楽をつけないんですよ。 特に僕は、仮のものでもつけたくなくて。で、最後の段階で音楽をのせるんですけど、そうするともう、倍増どころじゃないんですよね。感情の起伏が、本当に10倍ぐらい跳ね上がる箇所が出てきて。

そこは本当に、感謝って言い方はおかしいんだけど、その相互作用がありがたくてしょうがないですね。改めて、ありがとうございました。

植松氏:
こちらこそありがとう。

鳥嶋氏:
幸せな考えですよ。言葉を交わさなくても仕事ができるってのはね、最高のコンビだと思う。

Naz氏:
いま、ゲームショウの方でもブースが出ていて。坂口さん、サインされてましたよね。

坂口氏:
はいはい。植松さんも。

Naz氏:
なるほど。じゃあ皆さん見に行っていただいて。

坂口氏:
そうですね、船のジオラマが飾ってあるんで。そこにふたりでサインをしてきました。

鳥嶋氏:
このゲームがオンラインで遊べるときに、坂口さんが「これは僕の遺作だ」って。「遺言だ、もう最後だ」って言ってたんですよ。

それで僕はね、「そんなバカな」って。「お前がゲーム作るのやめたらいったいなにが残るんだ」ってね。

坂口氏:
いやいやいや。いろいろ残りますって(笑)。

鳥嶋氏:
で、当然この次もあるんですよね。

坂口氏:
これでやめようと思ったんですけど。すごいスタッフがね、ほんとに優秀で、性格もいい子たちなんですよ。「離れたくないな」と思って。

鳥嶋氏:
相変わらずセンチだね(笑)。

坂口氏:
植松さんが全部を書くっていうのは、もうちょっと。体力的にっていうのもあるし、やっぱりいまはコンサート活動もあるので。今度の土日もね、「con TIKI SHOW」【※】に僕も行くんですけど。

※「植松伸夫 con TIKI SHOW」:植松氏がキーボード奏者を務める5人組グループ「植松伸夫 con TIKI」による、ライブイベント。

植松氏:
日曜日、多少まだチケット余ってます(笑)。

坂口氏:
宣伝かよ(笑)。

植松氏:
坂口さんも来場しております。はい。

坂口氏:
ただ、やっぱり何曲かは書いてくれるっていうこともあるんで。また、植松さんの曲を。

鳥嶋氏:
「to be continued」ですね?

坂口氏:
そうですね。頑張りたいと思います。

堀井雄二氏×鳥嶋和彦氏のラジオ『KosoKoso放送局』の公開収録に、坂口博信氏・植松伸夫氏・松野泰己氏が参戦_031

パート2開始・最近キャンプにハマっている『タクティクスオウガ』松野泰己氏登場

Naz氏:
パート2のゲストはこの方です。ALGEBRA FACTORY代表取締役、『伝説のオウガバトル』『タクティクスオウガ』『ファイナルファンタジー』シリーズなど、さまざまなヒット作品を手がけてきたゲームクリエイターの松野泰己さんです!

松野氏:
どうも、お疲れ様です。

Naz氏:
『タクティクス』もいいですね。

松野氏:
いいですね。さっき『FF14』チームから『FF14』の扇子をいただきました。

堀井雄二氏×鳥嶋和彦氏のラジオ『KosoKoso放送局』の公開収録に、坂口博信氏・植松伸夫氏・松野泰己氏が参戦_032

坂口氏:
あんたも『FF14』の宣伝か、って。

Naz氏:
個人的な報告、ありがとうございます(笑)。

鳥嶋氏:
さっき控え室で聞いていたら、松野さんは東京ゲームショウのステージにのぼるのは初めてだって。

松野氏:
そういうのは全部断ってて、プロデューサーに任せてましたから(笑)。

坂口氏:
あ、そうだっけ。おー。

鳥嶋氏:
だから、本当にレアなんですよ。

坂口氏:
レアですね。……初めてなのに半ズボンか。

一同:
(笑)。

松野氏:
今日は暑かったんで。会場、暑いですね。外の方が涼しくて。

鳥嶋氏:
このかっこうの松野さんに会うと、この前堀井さん、Nazさんと一緒に参加したキャンプを思い出して(笑)。

坂口氏:
皆さん、あのですね、松野は今キャンプにハマっているんですけど。なんとこの3人を招いて4人でキャンプしたんですよね。

松野氏:
そうそう、嫁さんも一緒でしたけど。

坂口氏:
いやー、そのキャンプの夜が怖いわ。話の内容が。

鳥嶋氏:
坂口さんの大嫌いな虫はいませんでしたよ(笑)。

Naz氏:
堀井さんが意外に楽しそうで。

堀井氏:
富士山がすごい綺麗だったよね。

坂口氏:
いや、すいません。一言いいですか。あの……似合わないです(笑)。キャンプが似合わない(笑)。

松野氏:
いやいやいや、『クロノ・トリガー』のワンシーンのような焚き火を焚いてましたから。

堀井雄二氏×鳥嶋和彦氏のラジオ『KosoKoso放送局』の公開収録に、坂口博信氏・植松伸夫氏・松野泰己氏が参戦_033

松野氏:
(会場に写された『クロノ・トリガー』のキャンプシーンを見ながら)堀井さんと、鳥嶋さんと、こんな感じで。

坂口氏:
これ、用意してたの?(笑)。この話になるとは思わなかった。僕は偶然に言っただけですよ。

Naz氏:
はい、この話になると思ってました。これをやりたいっていうことで、松野さんに連れてっていただいて。

坂口氏:
僕が参加しても「魔王」ですね。「基本的にやる気なし」みたいな。

鳥嶋氏:
堀井さんが作ってくれた焼きそばがおいしかったんだよ。

坂口氏:
それは興味ありますね。

堀井氏:
そう、焼きそばね。僕、焼肉とかもやるんで。バーベキューやったりとかね、楽しかったね。本栖湖【※】まで行ったんですよ。

※本栖湖:山梨県にある、富士五湖のひとつ。

堀井雄二氏×鳥嶋和彦氏のラジオ『KosoKoso放送局』の公開収録に、坂口博信氏・植松伸夫氏・松野泰己氏が参戦_034

松野氏:
『ゆるキャン』の聖地に行ってきました。

坂口氏:
あのー……。僕は行きません。

Naz氏:
でも私たち、坂口さんをお連れするための予行演習で。

鳥嶋氏:
僕ら「じゃあ試しに、虫が来るかどうか行ってみようか」って、それで行ったんだよ。やっぱ坂口くんが出てこないと完結しないから。

坂口氏:
ラジオを聞いていない皆さんは何のことかわからないかもしれないですけど、僕、虫が嫌いなんです。だから、松野くんが「キャンプに行きたい」と言ったときに「虫が出るから嫌だ」って。

松野氏:
大丈夫です。「秋キャン」と「冬キャン」は虫が出ないんで。

坂口氏:
まあ、冬は出ないか。

鳥嶋氏:
だから、パリのカフェじゃなくても虫は出ないです。

坂口氏:
またそういう。

堀井氏:
行ったの、何月だっけ。

Naz氏:
あれ、夏ぐらいですよね。

松野氏:
5月の終わりですね。

堀井氏:
ぜんぜん虫いなかったよね。

坂口氏:
僕はハワイに住んでるじゃないですか。人間にとって南国で天国だと、虫にとっても天国なんですよ。

鳥嶋氏:
はいはい。

坂口氏:
やたら虫が出てくるわけですよ。それで嫌いになっちゃって。

鳥嶋氏:
あ、ハワイは日本より虫が多い。

坂口氏:
多いです。「Gくん」とかはもうでっかいし、バンバン飛んできますよ、「Gくん」。たまんないっすよ。

堀井氏:
逆に虫に慣れてるんじゃないの?

坂口氏:
いや、だから、それで逆にダメになっちゃって(笑)。

堀井雄二氏×鳥嶋和彦氏のラジオ『KosoKoso放送局』の公開収録に、坂口博信氏・植松伸夫氏・松野泰己氏が参戦_035

TGS登壇が始めての松野氏。海外コンベンションとの空気感の違いについて・4人の「一番好きなゲーム」について

Naz氏:
松野さんをここに呼んで虫とキャンプの話……(笑)。

鳥嶋氏:
確かに、これで終わったら聞いている人に申し訳ないよね(笑)。

Naz氏:
そうなんですよ。松野さん、東京ゲームショウのステージに登壇するのは初めてっておっしゃってましたけど、海外のコンベンションとか行かれてましたよね。

松野氏:
ゴールデンウィークの前に、イタリアのナポリのコミコンがありまして。そこにご招待を受けて、音楽の崎元くん【※】と一緒に行ってきました。

※崎元仁氏:松野氏の『伝説のオウガバトル』『タクティクスオウガ』などの音楽を担当したサウンドクリエイター。

Naz氏:
海外のコンベンションの熱気というか、雰囲気って、日本と全然違いますか。

松野氏:
ごめんなさい、日本のコミコンに行ったことがないんでアレなんですけど。一応歴史が古くて、1998年から始まって。今、2024年のナポリに行ったんですけども、会場が広いんですよ。

東京ドームで約15個分。(TGSが開催されている)幕張メッセだと、駐車場を含めた敷地の約3個分ぐらいの広さの会場で。4日間開催して、17万5000人が来場しました。

Naz氏:
鳥嶋さんも行かれてますよね。

鳥嶋氏:
はい。ここにいらっしゃる方には申し訳ないんですけど、僕は海外の方がね、コンベンションに行ってて、テンションが上がるんですよ。なぜかと言うと、来てる人たちが最初からもう「楽しむぞ」って感じのオーラを出してきてるんで。で、日本の人達ってこう、ものすごく控えめだったり。

松野氏:
皆さん奥ゆかしいですよね。別に楽しんでないわけじゃないんですけど。

鳥嶋氏:
だから僕はもうちょっとね、気持ちを出してもいいんじゃないかと。皆さん、騒いでいいんですよ、ほんとに。「つまんないな」と思ったらブーイングしてほしいし。

堀井雄二氏×鳥嶋和彦氏のラジオ『KosoKoso放送局』の公開収録に、坂口博信氏・植松伸夫氏・松野泰己氏が参戦_036

Naz氏:
確かに。そういったところで、ちょっと松野さんを迎えて、会場の方から質問も受け付けてみたいと思います。その質問を起点に話をしてみたいなっていうとこもありまして。

松野氏:
すいません、その段取り聞いてないんですけど(笑)。

坂口氏:
いや、それは僕もなにも聞いてない(笑)。

鳥嶋氏:
僕も聞いてないよ(笑)。

Naz氏:
ちょっと鳥嶋さん、違いますよね。段取りしました(笑)。

せっかくの機会ですので、もし皆さんの中に坂口さん、松野さん、堀井さん、鳥嶋さんを含めて質問してみたいぞという方がいましたら……。じゃあいま、いちばん元気よく手をあげてくださった白いTシャツの方。

松野氏:
電波に乗ってもいい質問にしてくださいね。

来場客:
皆さんにお伺いしたいんですけど、今までやったゲームの中で、いちばん好きなゲームを教えてください。理由も含めて伺いたいなと思います。

坂口氏:
僕はやっぱりいちばん最初にやったApple IIの『ウィザードリィ』です。カルチャーショックだったんで。そういうものの存在を知らなかったので、 もうダメですね。もうあのときのショックは未だに忘れられない。

でもちょっとおもしろくて。僕がショックを受けたときに、なんと堀井さんと鳥嶋さんもじつは「ジャンプ」編集部でやってたらしいです。「ウルティマ2」とか。

堀井氏:
やってましたね。

鳥嶋氏:
確かにね、あんなにね、寝食を忘れてやったことはない。

Naz氏:
松野さんはいかがですか。

松野氏:
たくさんゲームをやってるので、いちばんって決めるのがとても難しいんですけど。やっぱり、ゲーム業界に入ったときに「作ってみたいな」と思ったのはロールプレイングゲームで。

なんでかって言うと、やっぱりストーリー性があって、世界観があって、要は絵も描けない、プログラムも組めないような、「プランナー」と呼ばれてる人間がやれそうなのが、RPGだったと。

そういう意味でなにに影響を受けたかと言ったら、隣にいらっしゃる堀井さんの『ドラゴンクエスト』であり、『ファイナルファンタジー』であり。

最初の『1』『2』『3』くらいまでをプレイしたのは、僕はまだ業界人ではなく、皆さんと同じ一般のユーザーだったので、それこそ寝食を忘れて、 もう徹夜でやったりとか。もう、やり尽くしました。 

当時、攻略本とかはまだそれほど出てる時期ではなかったので、自分でダンジョンを方眼紙で書いたり、敵の落とすものをメモしたり。そうやって、攻略を一歩一歩やって。

堀井雄二氏×鳥嶋和彦氏のラジオ『KosoKoso放送局』の公開収録に、坂口博信氏・植松伸夫氏・松野泰己氏が参戦_037

松野氏:
ゲームを作ってる方から「どうやってゲーム作りを覚えたんですか。マスターしたんですか」ってよく言われるんですよね。僕の時代は、先輩がいたわけでもないので、独学でやるしかなくて。

やっぱりお手本となる教科書というのは先人たち、先輩たちが作った『ドラゴンクエスト』であり、『ファイナルファンタジー』であり。もちろんそれ以外のゲームを全てお手本として、教本として、勉強させてもらいました。

坂口氏:
あのー……。どっちの方が好きなの。

一同:
(笑)。

鳥嶋氏:
いい質問だ(笑)。

松野氏:
あのね、そういうね、「パパとママ、どっちが好き」って。やめてください(笑)。どうするんですか。お孫さんに「おじいちゃんとおばあちゃん、どっちが好き」って。聞くんですか(笑)。

坂口氏:
で、どっちが好きなの。

一同:
(笑)。

Naz氏:
やだな、私じゃなくてよかった(笑)。

堀井氏:
僕もね、『ウィザードリィ』にハマったんですけども、この話はさんざんしてるんで。逆にね、 ちょっと違う話をしたいと思います。

じつはパソコンを買ったときに初めてやったゲームは多分『スタートレック』っていうゲームだったと思う。あの当時って、すごいプロテクトも甘くて。ゲームを遊んだときに「ストップ」ってやって、「リスト」ってやると、BASICのプログラムがバーっと出たんですよ。

このBASICのプログラムを改造して、困ったときにレベル上げをやったりとか、 改造して遊んでました(笑)。

鳥嶋氏:
堀井さんの自宅に最初に遊びに行ったとき、その改造したゲームを見せられて。燃料補給の時に焼き芋屋のテーマが流れるの。

堀井雄二氏×鳥嶋和彦氏のラジオ『KosoKoso放送局』の公開収録に、坂口博信氏・植松伸夫氏・松野泰己氏が参戦_038

Naz氏:
あー。チャルメラだ。

鳥嶋氏:
あれでね、僕は「堀井さんはいたずら好きだな」と。

Naz氏:
チュンソフトの中村さん【※】くらいの、天才青年だったってことですよね。

※中村光一氏:『かまいたちの夜』『風来のシレン』シリーズなどで知られるスパイク・チュンソフト会長。高校生時代から自作ゲームでコンテストに入賞していたことで知られる。

堀井氏:
BASICはおもしろかったです。

1

2

3

4

5

6

ライター
スパイスからカレー作っちゃう系の元バンドマン。占いも覚えたが占いたいことがないのですぐ忘れた。思い出のゲームは『ファイナルファンタジー・クリスタルクロニクル』
編集者
幼少期からホラーゲームが好き。RPGは登場人物への感情移入が激しく的外れな考察をしがちで、レベル上げも怠るため終盤に苦しくなるタイプ。自著『デブからの脱却』(KADOKAWA)発売中
Twitter:@MarieYanamoto

本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ている場合がございます

新着記事

新着記事

ピックアップ

連載・特集一覧

カテゴリ

その他

若ゲのいたり

カテゴリーピックアップ

インタビュー

インタビューの記事一覧