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問答無用で子どもの命を犠牲にさせられる──。後味最悪の負けイベントからはじまる『戦場のフーガ』、キュートなケモノ×激重ストーリーのギャップのヤバさを今こそ語りたい!

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独特ながらも洗練されたゲームシステム

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 ケモノ、戦争、ソウルキャノン……。こういったような、可愛らしいキャラクターと内容のギャップは個性的であり、作品の大きな魅力となり得ますが、同時に相反する要素も兼ね備えがちなもの。逆に、ここまでの内容で眼前に非常に高いハードルが築き上げられている方もいらっしゃるのではないかと思います。

 かくいう私も、能天気でお気楽なタイプでして、ケモノに抵抗感はないにせよ、暗いストーリーは非常に苦手。正直に言わせていただくと、チュートリアルの負けイベを終えただけで、かなり気が滅入ってしまい、一度プレイを中断してしまいました。

 しかし、そんな頭お花畑人間である私が、それでもプレイする手を止めることができなかったのは、『戦場のフーガ』が、ゲームとして面白いからに他なりません。
 ということで、ここからは、本作のゲームシステムについてお話していきたいと思います。

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 “ドラマティックシミュレーションRPG” をゲームジャンルとして掲げる『戦場のフーガ』。戦闘部分のシステムは、通常攻撃や発動にはSPを消費するスキルを駆使して戦う一般的なコマンド式RPGでありつつも、その他はシミュレーションゲームの要素が強め。特に印象的で独特だと感じたのが、戦闘回数や戦う相手、入手できるアイテムなどがほぼほぼ決まっているということです。

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 一体全体どういうことなのかと言いますと、本作は、画面上部に表示されているルートに沿ってタラニスが走行し、それに合わせてゲームが進行していくのです。このルートマップにはイベントマスが表示されており、その種類によって、戦闘や体力回復、アイテム獲得などが発生。つまり、どのタイミングで何がおきるのかが、ある程度先までプレイヤーに開示された状態になっているというわけです。

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 かといって一本道なのかというとそういうわけではなく、ルート分岐も複数用意されています。それぞれのルートは「安全な道」、「普通の道」、「危険な道」と表現されており、危険な道では強敵が登場しますが、経験値や有用なアイテムが多く手にはいるというメリットも。安全な道はRPGが苦手な人でも遊びやすいものとなっているため、現在の戦力とプレイヤースキルに合わせたルートの選択が重要です。

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 このように、戦闘後に何が起こるかという情報が戦闘前の段階から与えられているため、ルートに応じた戦略を立てることができるのも本作の面白いポイントです。「次に回復マスがあるから、この戦闘はある程度無理しても大丈夫だな」とか、「まだまだバトルが続くから、スキルは温存しておこう」といった具合ですね。

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 続いては戦闘システムについて。先ほども軽く触れましたが、本作の戦闘は比較的シンプルなコマンド制。各キャラクターの行動順は、画面上部にあるタイムラインに表示されており、それに従ってターンが巡ってきます。

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 本作の戦闘において重要なのが、タラニスに設置されている3つの砲座に対して、子供たちをどのように配置していくのかということ。各砲座には、実際に攻撃やスキルを発動するキャラクターと、それをサポートするキャラクターを設置することができ、6人のパーティを組んで戦闘を行います。

 子供たちの使用できる武器は、命中率が高いけれど攻撃力は低い “マシンガン” 、命中率は低いけれど攻撃力が高い “キャノン”、中間的な性能の “グレネード” のいずれか。子供たちには、これら三種類の中から使用できる武器がそれぞれ設定されており、敵の弱点などを考えて、こちらが有利になるよう、場面に応じて使い分けていくことが重要です。

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攻撃時に戦車のHPを回復してくれるサポートスキル

 そして、メインキャラクターだけでなく、サポートキャラクターを誰にするのかも大切です。命中率が上がる、攻撃をするごとにHPを少し回復するなど、子供たちにはそれぞれサポートスキルが設定されているため、戦況を踏まえつつ、誰をメインにして誰をサポートに回すのかを考えていかなければなりません。
 この配置転換は頻繁に行うことができるため、じっくりと策を練りつつドンドンと配置を変えて戦闘を進められるというところが、本作の戦闘の楽しいところですね。

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協力必殺技

 また、同じ砲座にいるキャラクターは、少しずつ親愛レベルが上昇していきます。この親愛レベルは、同じ砲座にいるときのサポート効果がより大きくなったり、協力必殺技も発動可能になったりするなど、ゲームを進める上でのメリットがかなり大きいため、積極的に上げていきたいところ。
 そのため、敵と有利に戦うための戦略はもちろんのこと、親密度も考えつつ配置を決めるのも先を見据えた一手として有効です。

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 そして、本作におけるかなり重要なシステムの1つが、“インターミッション”。これは、戦闘の合間合間で発生する戦力増強期間で、戦車タラニスを改造して強化したり、料理によって仲間全員のステータスを一時的に高めたりすることができます。

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 このインターミッションでは、改造や料理以外にも、食物栽培・会話・洗濯・昼寝・遺跡探索などの様々な選択肢があり、AP(アクションポイント)が0になるまでの間、好きなように行動を選択することができます。

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みんなの連絡ノート

 これだけ多くの選択肢があると、何に手をつけていけばいいのか迷いが生じてしまうものですが、そんな時に行動の指針となるのが、“みんなの連絡ノート”
 ここには子供たちがインターミッションの間にやっておきたいと思っている行動が書かれており、願い通りに行動をしてあげると、そのキャラクターのテンションが上がります。

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 このテンションは、戦闘中に攻撃をしたり攻撃を受けたりすることで高まるパラメータであり、最高潮に達すると子供たちが「ヒーロー状態」に突入。それぞれに固有の特殊能力が5ターン発現します。これら特殊能力は、回復スキルの効果が2倍になるなど、分かりやすく強力なものばかり。
 そんなヒーロー状態に不可欠なテンションをあらかじめ高めた状態で戦闘を開始することができるわけですから、インターミッション中にみんなの連絡帳に書かれた願いを叶えておくことは攻略の上で非常に重要。なるべく多くの願いを叶えようとすると、すぐにAPがなくなります。

 このように、本作は戦闘中から戦闘準備に至るまで、頭を悩ませながら状況に応じた動きを考えていく場面が多くあり、非常に戦略性の高いゲームとなっています。

ケモノ×鬱ストーリー×シミュレーションRPG。どれか一つでもビビッとくれば楽しめる

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 さて、ここまで『戦場のフーガ』を構築する主な要素、本作の魅力についてお話ししてきました。ケモノで鬱ストーリーでシミュレーションRPGな本作、正直なところ、プレイをする前は「ケモノ好きの鬱ストーリー好きのシミュレーションRPG好きがターゲットってどんだけ人を選ぶんだよ!」などと思っていまして、若干敬遠気味だったのですが、実際にプレイをしてみますと、それぞれの要素のクオリティが高い作品でした。

 そのため、実は本作は、“ケモノ好きかつ鬱ストーリー好きかつシミュレーションRPG好きが楽しめる” ような狭いゲームではなく、“ケモノ好きか鬱ストーリー好きかシミュレーションRPG好き” が楽しめる広いゲームとなっているのです。……それでも狭いよという指摘は受け付け対応時間外となりますので、ご容赦いただきたいと存じます。

 そんな、ケモノを御馳走に鬱ストーリー風味のシミュレーションRPGを美味しくいただくゲーム『戦場のフーガ』。ここまでお話ししてきた中で、少しでも惹かれる部分がありましたら、一度プレイしてみることをオススメします。

 そして、忘れてはいけないのが、5月11日発売予定の続編、『戦場のフーガ2』。こちらの作品は、『戦場のフーガ』の1年後が舞台となっており、話が完全に連続しています。

 「悲劇が、少年を復讐者に変える」と謳われている、1よりもより一層ハードなものになっていることが予想されるストーリー展開はもちろんのこと、個人的には、新たな仲間として加わる大統領の次女、バニラの存在が非常に気になるところ。このバニラにビビッと来た方も、是非、続編発売直前のこのタイミングで、前作から遊んでみてはいかがでしょうか。

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