はじめに
電ファミ初の「企業協賛企画」として、DeNAさまと協力し約1年をかけて展開されていく大プロジェクトです。
iモード時代から数えると、その立ち上がりから約20年の月日が経過している日本のモバイルゲーム産業。PlayStation 2や Xboxが登場するなど、コンシューマゲーム市場も華やかなりし2000年前後。
しかし、その裏で産声をあげたモバイルゲームもまた、ゲーム黎明期とそれと似た“熱”を帯びた特別な時代を体験していました。急激に勃興したその業界は、いろんな課題や問題にぶち当たりながらも巨大化し、今のスマートフォン向けゲームの市場へと受け継がれていきます。
いまや、モバイルゲームなくしてゲーム業界を語れないといっても過言ではないほどですが、一方で、その歴史や出来事の経緯をきちんとまとめた文章や書籍は数えるほどしかありません。
今回の企画は、そんなモバイルゲーム業界の歴史を、当事者たちにきちんと話を聞いていって、その証言/記録を、これからの時代に向けた“共有すべき知見”としてまとめていこうというもの。がむしゃらだった時代を振り返ってもらいながら、笑いあり涙あり、そして学びあり(?)な記事を作ってければと思う次第です。
■この年表&目次について
DeNA さまとの協賛企画「日本モバイルゲーム産業史」に関する記事の目次と、日本のモバイルゲームの歴史年表を兼ねた特設ページです。
各キャリアのwebサービスがスタートした1999年から2018年までの主要なトピック・タイトルを記述しています。
また、電ファミ読者や協力者のみなさまからいただいた解説文や、参考文献からの情報を適宜掲載しています。
■年表に寄稿いただいた協力者のみなさま(敬称略、五十音順)
あまいろ、castella、GiGi、小山友介、澤紫臣、清水亮、寺島壽久、中川大地、Balsamico、Masahiro Oono、ヨシムネ、Ryu、roku
■トピック、ゲームタイトルの選定基準
原則として、参考文献に記述があるもの、電ファミ読者・協力者の方々からご指摘いただいたものを採用しています。
■解説文・寄稿記事を募集中!
電ファミ編集部では、読者のみなさまより年表に記載するタイトル・トピック・解説文・寄稿記事を募集しています。
投稿していただいた文章は、電ファミ編集部から年表内に追記させていただきます。
投稿は下記のフォーム、もしくは電ファミ公式Discordから。
投稿フォーム:https://forms.gle/mL9ZXxZ42Kj4hTdU7
年表 & 目次についてもっと詳しく
DeNAさまのコメント
株式会社ディー・エヌ・エー
ゲーム・エンターテイメント事業本部
ゲーム事業部 事業本部
佐々木悠
DeNAでは、ゲーム業界の発展に貢献するための活動として、GDM(Game Developers Meeting)を開催するなど、様々な活動を行っております。今回、この企画に協賛させて頂くことで、日本のモバイルゲームの発展、ひいてはゲーム業界全体の発展に寄与できれば幸いです。
■ Game Developers Meetingの活動
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目次
- 1999
- iモード、EZweb、J-スカイのサービス開始
- 2000
- iモードの爆発的ヒット。携帯電話の普及台数が固定電話を上回る
- 2001
- Javaアプリと3Dゲームの登場
- 2002
- 大容量化・3D化競争
- 2003
- モバイルゲームの一般化
- 2004
- 3G端末、パケット定額制の登場
- 2005
- 日本のネット対応ケータイ普及率が世界一位に
- 2006
- モバゲータウンとグリーが急成長
- 2007
- ソーシャルゲームの夜明け、そして市場拡大へ
- 2008
- スマートフォンの登場
- 2009
- 『サンシャイン牧場』と『怪盗ロワイヤル』の爆発的ヒット
- 2010
- ソーシャルゲームの時代。スマートフォンが新たなゲームプラットフォームとして台頭
- 2011
- ソーシャルゲームの全盛とフィーチャーフォン支配の終焉
- 2012
- 『パズドラ』インパクト
- 2013
- 『モンスト』の大ヒット。モバイルゲームの主流はブラウザからアプリへ
- 2014
- モバイルゲームの多様化が進む。「事前登録」方式の登場
- 2015
- 任天堂、DeNAと業務提携を発表。スマホゲーム市場参入を表明
- 2016
- 『ポケモンGO』が社会現象となる
- 2017
- 『荒野行動』『アズールレーン』など中国系タイトルの進出
- 2018
- クロスプラットフォーム時代の到来
1999
iモード、EZweb、J-スカイのサービス開始
NTTドコモ(iモード)、DDIセルラーグループ(EZweb)、J-PHONE(J-スカイ)の三社からの携帯電話IP接続サービスが提供され、日本のモバイルインターネットが始まった。着メロやゲームといったコンテンツは月額100円〜300円程度と手軽な料金で提供され、「インターネットのコンテンツは一般的に無料」という当時の常識を覆すことにもなった。*1
NTTドコモ、「iモード」サービス開始
「iモードのスタート当初は携帯電話の性能面(通信速度、CPU速度)などが低く、携帯電話のシステム(OS)の仕様から独自のプログラムを動かすことができなかった。そのため、ゲームはWebゲームと呼ばれるwebページのリンクをたどって遊ぶものしか出来なかった。」*2
DeNA創業
『ドコでも遊べガス』
バンダイネットワークス
『どこでも遊べガス』はネットワーク時代における新しいゲーム/エンターテインメントの形として非常に画期的な企画だった。プレイヤーはそれに掛け金をベットしていくのだが、クイズの内容は「渋谷のスクランブル交差点近くにスイカを置いたら、何分で持ち去られるか」など、だれも答えを知らないクイズ問題が毎日出題された。まさにモバイルネットワークがなければできない、画期的な企画であったと言える。*3
DDIセルラーグループ、「EZweb」サービス開始
『いつでもキャラっぱ!』
バンダイネットワークス
待受画面の画像を初めて販売した『いつでもキャラっぱ!』
実は最初に発売された二つのiモード端末(F501i, N501i)には任意の画像を待ち受けに設定するという概念そのものがなかった。待ち受け画面に設定する絵そのものを販売しようとしたのは、バンダイが最初である。バンダイのニュープロパティ事業部(後のバンダイネットワークス)は、もともとピピンアットマークの手仕舞いをするために組織されたが、初代事業部長の強い希望で敗戦処理を引き受けるかわりに新しい領域への進出を会社に認めさせた。P501iは待ち受け画面に対応した最初の端末となった。そしてiモードならではの有料コンテンツとして、待ち受け画面サービスが爆発的にヒットするのである。
解説:清水亮
初期携帯端末のグラフィック性能
501iシリーズのうち、Panasonic製の「P501i」だけ発売が少し遅く、左記の「キャラっぱ!」の仕様に堪えるものだった。モノクロ液晶でGIF表示可能というのは全501iシリーズに共通だったが、GIFアニメに対応していたはP501iのみ。ところが502iシリーズになると、NとPのみモノクロ4階調で他社は256色カラー(Nはマイナーチェンジ版のN502itでカラー)となり、このあたりからスペックの違いやその端末ならではの特色をメーカーが競うようになっていった。ゲーム開発においては、各機種での表示確認が増えていくことになった。
解説:澤紫臣
ドワンゴ、iモード用ゲームコンテンツサイト「ドワンゴかもね」をサービス開始
『釣りバカ気分』
ドワンゴ
ドワンゴのモバイルゲーム初参入作品『釣りバカ気分』
ネットワークゲーム用の通信サーバー技術をセガなどに展開していたドワンゴは、自社コンテンツを運営したことがなかった。NTTドコモに企画を持ち込んだなかで、いくつかある企画の中から釣りゲームの企画をNTTドコモの夏野剛が強く気に入ったことで参入が確定した。川上量生社長(当時)は当初猛反対していたが、森栄樹常務(当時)に説得され、参入を決意。「釣りバカ気分」はサービス開始から一時間で1000ユーザーを集め、この後、ドワンゴはモバイルコンテンツ事業に本格的に参入していくことになる。また、熱中したユーザーが莫大なパケット料金を請求される「パケ死」という現象も生まれた。
解説:清水亮
『ときめきメモリアル』
コナミ
初の家庭用ゲームの完全移植作品。コナミはiモードコンテンツ参入と同時に同社の人気コンテンツである『ときめきメモリアル』の投入を決めた。コナミはドワンゴに出資しており、会員管理システムなどはすべてドワンゴから提供された。*4
『ファミ通.com for iモード』
アスキー
『ファミ通.com for iモード』のリリース事情
月額200円、ニュース(見出しは無料)とクロレビ検索。おまけで画面を見せるとナンジャタウンや後楽園の入場割引もできた。
ちなみに、7月以前、ファミ通.comはポケベル向け情報サービスとしての計画もあり、「10文字だと見出しぐらいだよねぇ」と悩んでいた。そんな時、iモードの普及が100万台を超えた&ポケベル伸び悩みと聞き、そっち(iモード)でやりたい、と打診。9月ごろに実施承認された。12月ロンチとなったのは、ニッチエンタメ(=ドコモ上層部のイメージ)はもう少し市場が広がってから始めたいというNTTドコモ側の意向。
解説:電ファミ読者
J-PHONE 、「J-スカイ」サービス開始
「J-スカイ」サービス開始時のゲームは、バンダイネットワークスの『Ringing』とボルテージの『Side-K』。共にテキストアドベンチャータイプのブラウザゲームだった。特にホラー映画『リング』の世界観を彷彿とさせる『Ringing』は、ケータイにメールが届く演出など、ケータイらしさを生かした画期的な作りだった。*5
携帯電話によるインターネット利用者数は367万人に*6
2000
iモードの大ヒット。携帯電話の普及台数が固定電話を上回る
「2000年3月末に携帯電話の普及台数はISDNを除く固定電話を上回り、2000年4月末にはPHSを含めて5794万台に達した。その急速な拡大の裏には、巨大な買い替え需要を喚起した「iモード」の爆発的ヒットがあった。その勢いは目覚ましく、それまで国内最大のISPであったニフティーをたった1年で抜き去り、NTTがインターネット最大のプロバイダとなったほど。 *7
「iモード」ヒットの理由
「1999年2月22日のサービス開始からたった13ヶ月で500万人加入を突破している。国内最大のISP(インターネット・サービス・プロバイダー)であったニフティーを、たった一年で抜き去り、NTTドコモがインターネット最大のプロバイダーとなったのである。
インターネットは常時接続が前提のメディアである。機器を購入しただけで、それを擬似的であっても世界で初めて可能にしたのが「iモード」であった。「iモード」は「インターネット常時接続」をオールインワンで購入することを可能にした。[中略]また「iモード」のもう一つの成功の理由は、AOLの成功理由でもあったマイクロペイメントとコンテンツ・プロバイダーの料金徴収代行を行ったことである。インターネットでは1円払うのにも抵抗を感じるのだが、「iモード」では簡単に有料サービスを買ってしまうのも、NTTドコモという信頼度の高い企業がその部分に責任を持っているからに他ならない。」
『マルチメディア白書 2000』3頁
モバイルコンテンツ市場が407億円(対前年比866%)という飛躍的な成長を遂げる*8
折りたたみ式で独走していたNシリーズが、502itでカラーに対応して人気を博した時代。折りたたみ式の端末は「パカパカ」と呼ばれていた。*9
N502it*10
ドワンゴ、世界初のモバイルマッシブマルチプレイヤーオンラインゲーム『海運ジェネレーション』をサービス開始
早くも携帯でMMOを実現した『海運ジェネレーション』
ドワンゴは世界初となる本格的なマッシブマルチプレイヤーオンライン(MMO)シミュレーションゲームである海運ジェネレーションをサービス開始した。同時に、このコンテンツは初のカラー対応タイトルでもあった。プレイヤーは中世ヨーロッパ風世界の住人となって、貿易の旅に出る。移動時間は実時間で数分から数時間、最大で数日間にまで及ぶよう設計されていた。それぞれの港に需給バランスがあり、一人ひとりのプレイヤーの行動が世界全体のプレイヤーに影響を及ぼしあう構成になっていた。航路で海賊に襲われた際、救援を求めることで他のプレイヤーに救出されるなどの要素もあり、数年間にわたって遊ばれるゲームとなった。ギルドシステムなど、他のプレイヤーと協力する要素も初めて取り入れられた。
解説:清水亮
携帯電話の普及台数が固定電話を上回る
携帯電話によるインターネット利用者数は750万人に*11
iモード利用者が約850万人を突破
この時点でiモード公式コンテンツには約550社、約1000サイトが存在。有料コンテンツの割合は20%程度だが、iモード利用者の2人に1人が、2つ以上の有料コンテンツを購読している。*12
DDIセルラーグループ、KDD、IDOの3社が合併、「KDDI」発足。ブランド名は「au」に
NTTドコモ、「iアプリSDK」提供開始
NTTドコモはiアプリ用ソフトウェア開発キット(SDK)の提供を8月31日深夜に開始した。これは事前に告知していた情報が、「8月中にSDK配布」だったため。*13
ドワンゴ、iアプリ対応としては初のMMORPG『サムライロマネスク』開発を東京ゲームショウで発表
ドワンゴは世界初となるiアプリ(モバイルJavaアプリ)を使ったMMORPG、『サムライロマネスク』の開発を発表。当時、NTTドコモグループでさえiアプリの仕様を把握しておらず(仕様公開は8/31だったため)、この発表はセンセーショナルに報じられた。このゲームの企画を受けて、端末メーカーから逆に「どのような製品仕様になっているべきか」という問い合わせがドワンゴに殺到した。*14
2001
Javaアプリと3Dゲームの登場
Javaが使えるようになったことにより、ダウンロード型のゲームが提供できるようになった。ダウンロード型ゲームでは、一度落とせば必要な時だけネットに接続すればゲームを楽しむことができた。*20 また、エイチアイが提供する3DミドルウェアのMascotCapsuleが多くの端末に提供され、3Dゲームが携帯端末でも遊べるようになった。
携帯電話のカラー液晶化が進む
256色のSTN液晶から65,536色を表示可能なTFT液晶に。*21
『スターソルジャー』
ハドソン
503iシリーズのアプリサイズは15kBしかなかった
「がしかし、結果から言えば503iでは市場の期待の大きさに応えることはできなかった。
いくつかの理由はあるものの、最大の理由は503iのアプリケーションサイズが15Kバイト(スクラッチパッド含む)と非常に少なかったことであろう。
15Kバイトという容量はまともなゲームを動かすためにはあまりに小さく、結果として少ないグラフィックパターンの繰り返しで遊べるようなゲームしか登場し得なかった。また携帯電話自体の動作速度や操作性もゲームを楽しむのに十分なものとは言い難いものであった。」
浅見成志「携帯電話の進化とケータイゲーム」226頁
『サムライロマネスク』
ドワンゴ
ジー・モード、主要3キャリアの公式サイトとしてゲームサービスを提供開始
「ゲームで遊ぼ!」(iモード)、「テトリス&100円ゲーム」「対戦ぐるじゃむ」(KDDI)など。隙間時間で気軽に楽しめる「カジュアルゲーム」市場を開拓した。*23
エイチアイ、3DミドルウェアのMascotCapsuleの提供を開始。多くの端末に採用される。
GDC(Game Developers Conference)でモバイルゲームに関するセッションが初開催
米国で開催されたGDCにおいてモバイルゲームについてのセッションが多数開催された。議論の対象となったのは、世界で最も先行していた日本の事例がほとんどで、特に「釣りバカ気分」「海運ジェネレーション」「サムライロマネスク」が議論の対象になった。*24
『首都高バトルi』『首都高バトルJ』
元気
J-PHONE、「Javaアプリ」サービスを開始
E3でモバイルゲームのパネルディスカッションが初開催
E3においてモバイルゲームのパネルディスカッションが初めて開催された。日本からの出席者は夏野剛と清水亮。*25
KDDI 、 「ezplus」サービスを開始
韓国のMMORPG『The Legend of Mir 2』で、後にモバイルゲームビジネスで主流となる「アイテム課金制」が発明される*26
ボーダフォン、J-PHONEの親会社日本テレコム(JT)を買収
ブランド名のVodafoneへの移行を進める。
NTTドコモ、3G通信サービス「FOMA」を提供開始
既存規格(PDC)が最大28.8kbpsのところを、FOMAでは最大384kbpsのスピードに
iモード利用者が3000万人を突破
国内携帯電話のIP接続サービス契約数(インターネット利用端末)は約4,944万台に*27
当時のモバイルゲームの課題
1.制作言語の違い。iモードではC-HTML、auではHDML、J-PHONEではMMLとバラバラだった。
2.キャリア公式メニューに採用されないと勝負できなかった。
3.課金形式や条件、タイミングなどがキャリア依存。ドコモでは課金額上限は月300円までだった。
森栄樹「オンラインゲーム&モバイルゲームの現状と可能性」204頁
バッテリーの問題
「携帯電話を動かす電池は、初期のニッケル水素型からリチウムイオン型が主流になった。この結果、1度充電した後の待ち受け時間や連続通話時間も、当初の数十時間、十数分から、現在では待ち受け時間が400時間、連続通話時間も120分を超えるようになってきた。
しかし、携帯電話を使って長時間音楽を聞いたり、ゲームをするとなると、バッテリーの消費量は格段に増える。そしていったん電池が切れてしまえば、後は一定の時間をかけて再充電するしか手がなくなってしまう。つまり、現在の携帯電話のバッテリーは、長い時間、エンタテインメントを楽しむには必ずしも向いていないのだ。」
豊河与志雄「「ケータイ」が拓く新たなモバイル・エンタテインメントの未来像」270頁
Javaのさまざまな利点
「従来の携帯電話では、あらかじめ組み込んだプログラム以外のプログラムをあとから追加して動かすことは難しかった。それぞれの機種によってOSが異なるうえ、プログラムを保存するメモリーの容量も小さかったからだ。したがって、携帯電話で楽しむゲームソフトも複雑なプログラムを必要としない簡単なもので、しかもインターネットと常に接続してサーバーとやりとりしながら進めるものが大半だった。
だが、Java対応でインターネット接続ができる携帯電話ならば、Javaで書かれた「Javaアプレット」という容量の小さいプログラムソフトをインターネット経由でダウンロードすることで、プログラムの追加や変更が容易にできるようになる。
複雑なプログラムを必要とするゲームソフトをダウンロードしてから動かしたり、後からキャラクターやデータを追加することも可能になる。
しかも、1度プログラムをダウンロードした後は、通信を切断してサーバーと切り離してもプログラムを動かせるから、通信料金も格段に安くすむ。
これまで、「携帯電話の上では満足にプログラムを動かせないから」といって敬遠していたゲームソフト会社の多くも、Java対応の携帯電話が一般的になってくれば、一転して本格的なゲームソフトを供給してくる可能性は高い。」
豊河与志雄「「ケータイ」が拓く新たなモバイル・エンタテインメントの未来像」266-267頁
J-PHONE、KDDIはJavaアプリのサイズを50KBに設定
「両者のJavaプラットフォームはiアプリにおける大きな制約事項であったアプリケーションサイズを50Kバイトに設定。加えてアプリックス社のJavaプラットフォームJBlendを採用することで、高速で機種依存の少ないJava実行環境を実現した。
特にゲームを重視していたJ-フォンのJava搭載機においては、2Dゲームの開発に多用される2Dスプライトエンジン、3Dポリゴン描画を可能とするMascot Capsuleを搭載。当時の携帯電話向けゲーム実行環境としては一歩抜きん出たサービスを提供し、携帯電話でも十分にゲームが楽しめることを証明した。
以降数年にわたり、携帯キャリア間の戦いはJava(あるいはBREW)を中心とする携帯電話アプリケーションプラットフォームの強化を軸に展開される。」
浅見成志「携帯電話の進化とケータイゲーム」226頁
2002
携帯電話端末の大容量化・3D化競争
Java搭載携帯電話端末が登場してからわずか1年の間に、アプリサイズは10倍に拡大し、表現方法も2Dから3Dにシフトし始めた。J-PHONEは『ゼビウス』や『スペースハリアー』などの往年のアーケードゲームを、ドコモは『SIMCITY』などPCで世界的なヒットを飛ばしたゲームを目玉としていた。*28
大手ゲームメーカーによる携帯ゲームコンテンツの提供が広まる
「2000〜2001年においては、ゲームメーカーは家庭用ゲーム機やPCベースのオンラインゲームよりも、携帯端末上での展開に注目した。ベンチャー企業だけでなく、大手ゲームメーカーも携帯コンテンツを提供し、2002年2月時点で、携帯電話向けのゲームコンテンツ数は288タイトル、提供会社数は73社となっている。」
森栄樹「オンラインゲーム&モバイルゲームの現状と可能性」202頁
携帯電話の普及台数が6800万台を突破
J-PHONE、J-SH51を発売
Javaアプリサイズを100KBまで拡大。MascotCapsuleはVer.2に拡張され、光源処理などが可能に*29
KDDI、3G通信サービス「CDMA2000」を提供開始
NTTドコモ、504iシリーズを発売
iアプリサイズは最大130KBに、MascotCapsule Ver.2も搭載*30
三菱電機、3Dポリゴンエンジン「Z3Dグラフィックスエンジン」を公開
MascotCapsuleに対抗。ドコモのD504iには当エンジンを使用した『どこでもチョコボ』がプリインストールされる。
『どこでもチョコボ』
スクウェア
バンダイネットワークスとディースリー・パブリッシャー、モバイルゲームサイト「SIMPLE100 シリーズ」をオープン
© MEGAHOUSE 2006
© BANDAI NETWORKS/D3 PUBLISHER,MC 2006*31
ボーステック、504i専用ゲームサイト「iゲーム大好き!」をオープン
2003
モバイルゲームの一般化
メモリの制限が厳しいJava仮想マシン上ではなくOS上で直接アプリケーションを動作させる環境が整備され、以前は120×130ピクセルほどだった液晶画面もQVGA(320×240ピクセル)の採用がスタンダードになったことで、携帯電話ゲームサービスは一般化してゆく。*34また携帯端末向けのFlashプレイヤー「Flash Lite」のリリースにより、表現力も進歩した。
モバイルゲーム市場は344億円(前年比111.9%)に*35
アドビシステムズ、携帯電話端末向けのFlashプレイヤー「Flash Lite」をリリース
NTTドコモの携帯端末が採用
『探偵・癸生川凌介事件譚』シリーズ
元気
『TETRIS 2002』
ジー・モード
当時フィーチャーフォンにおける『テトリス』はジー・モードがライセンスを獲得し、独占配信を行っていた。J-フォンでは「テトリスコレクション」、auでは「テトリス&100円ゲーム」などサービス名にその名を冠したこともあり、絶大的な人気を誇っていた。
Tetris ® & © 1985~2019 Tetris Holding. / ©G-MODE Corporation
au、ネイティブアプリプラットフォームの「EZアプリ(BREW)」サービスを開始
J-PHONE、256KBアプリ対応機「J-SH53」を発売
MascotCapsule Ver.3を搭載*36
NTTドコモ、「505i」シリーズを発売
アプリサイズは230KB、MascotCapsule Ver.3搭載、Flash Lite 1.0搭載*37
『コロニーな生活』
馬場功淳(現:コロプラ)
©COLOPL, Inc.
『I.Q Intelligent Qube』
ソニー・コンピュータエンタテインメント
『リッジレーサー』
ナムコ
ナムコはJ-フォンのJ-SH53から搭載される大容量Java対応アプリ向けに、3Dレースゲームの人気タイトル『リッジレーサー』を配信開始。J-SH53からJava対応アプリの容量は最大256キロバイトに増加し、3DCGによるケータイゲーム配信が本格化した。*38
『ウルティマ オンライン モバイル版』
ドワンゴ
『電車でGO! 3D』
タイトー
KDDI、BREW2.1、Java Phase3をリリース
MascotCapsuleを搭載。これにより3キャリアがすべて3D対応を果たした*39
『サイキックフォース~EPISODE ONE~』
タイトー
KDDI、パケット定額制サービス「EZフラット」を導入*40
2004
3G端末、パケット定額制の登場
3G回線による通信の高速化、メモリ、CPU、描画性能などの高性能化により大容量のゲームを搭載可能に。NTTドコモの900iシリーズでは『ドラクエ』や『FF』がプリインストールされた。また、各社のパケット定額制サービスが出揃い、現代的な通信インフラが整った。
Facebook、サービス開始
『テイルズ オブ タクティクス』
ナムコ
田中良和氏が個人サイトとして「グリー」アルファ版を公開
NTTドコモ、FOMA「900i」シリーズを発売
アプリサイズは500KBに。また、NTTドコモは3G端末普及の切り札としてケータイゲームを打ち出し、大成功を収めた。
N900i
© DOCOMO CS Tohoku, INC. All Rights Reserved.*41
FOMA普及の切り札としてのケータイゲーム
「3Gへのシフトが思うように進まない中、NTTドコモが3G携帯電話FOMA900i普及の切り札としてのは、テレビ電話でも音楽配信でもなく、ケータイゲームであった。
FOMA900iの発表にさかのぼること3ヶ月前、NTTドコモとスクウェア・エニックスが、次期FOMAに「ドラゴンクエスト」「ファイナルファンタジー」が移植されることを発表。これまで携帯電話の新製品発表の歴史において、新機種より早くコンテンツが発表された例はなく、NTTドコモがFOMA900iを普及させる上で、いかにケータイゲームを重要視していたかが分かる。
2004年2月に発売されたFOMA900iではアプリケーションサイズが500Kバイトと従来の230KBに比べて2倍以上に拡大。「ドラゴンクエスト」「ファイナルファンタジー」に加えて、「セガの「J.LEAGUE プロサッカークラブをつくろう!MOBILE」や、ナムコの「テイルズ オブ タクティクス」といった家庭用ゲームの主力タイトルが続々と発表された。FOMA900iシリーズは、ケータイゲームを切り札の1つとして大成功を収め、ユーザーの3G移行の起爆剤となったのである。」
浅見成志「携帯電話の進化とケータイゲーム」227頁
『ドラゴンクエスト』
スクウェア・エニックス
© 1986-2004 ARMOR PROJECT/BIRD STUDIO/SPIKE CHUNSOFT/SQUARE ENIX All Rights Reserved.*42
『J.LEAGUE プロサッカークラブをつくろう! MOBILE』
セガ
『機動戦士ガンダム3Dオペレーション』
バンダイ
mixi、サービス開始
FOMAの契約数が全国で300万件を突破*44
『モバイル天外魔境』
ハドソン
国内のモバイルSNSの起源と言われている「ktst.jp」がオープン*45
NTTドコモ、パケット定額制サービス「パケ・ホーダイ」を導入*47
ドワンゴ、東京証券取引所市場第一部に上場
『トラビアン』
Travian Games GmbH
mixiモバイル、サービス開始
『ビフォア クライシス -ファイナルファンタジーVII-』
スクウェア・エニックス
© 2004 SQUARE ENIX CO., LTD. All Rights Reserved.
CHARACTER DESIGN:TETSUYA NOMURA*48
ボーダフォン、パケット定額制サービス「パケットフリー」を導入
これにより3Gサービスを提供する全キャリアがパケット定額制を採用した。*49
『フライハイトクラウディア』
ジー・モード
携帯電話とは思えない本格的なストーリーやグラフィックが魅力のRPG。本作から2010年にかけてナンバリングタイトルが4作まで作られたほか、『フライハイトフロンティア』など派生作品も配信された、息の長いタイトル。
©G-MODE Corporation
2005
日本のネット対応ケータイ普及率が世界一位に
総務省のデータによると、2005年3月末には、国内の携帯電話契約数は8,700万件、このうちインターネットサービス契約数は7,503万件を記録。その比率は世界一で、さらに3G携帯電話の契約数も3,035万件となり、日本は世界に先駆けてパーソナルなコンテンツ流通メディアとしての携帯電話が普及した国となった。*50
この頃の携帯端末の3DCGエンジン性能
「3G端末におけるもうひとつの進化は3DCGエンジンの高機能化である。現在提供されている携帯電話向け3Dゲームにおいては、その動作スピードや映像のクオリティーは、まだまだオリジナルゲームには到達していない。2006年には本格普及期に入るであろうエイチアイ製マスコットカプセルVer.4には多彩な3Dレンダリング機能が搭載されており、これらの機能を実用的なスピードで実現できる携帯電話が登場すれば、初代プレイステーション並みの、あるいはそれを超える映像表現が実現できるようになる。」
福本正史「ケータイゲーム市場の現状と展望」223頁
家庭用シリーズの間隔を補うモバイルオリジナルタイトル
「[『テイルズ オブ ブレイカー』といったタイトルは]携帯電話向けのオリジナルストーリーを設定し、家庭用シリーズと並行して開発・提供することで、さまざまな相乗効果が生まれている。家庭用シリーズの出荷間隔は1年程度あるのだが、その間をケータイゲームで補うことで継続してゲームの世界観を楽しめるようになり、ロイヤルユーザーに支持されている。」
福本正史「ケータイゲーム市場の現状と展望」222頁
FOMAの契約数が1000万台を突破*52
ドワンゴ、チュンソフトを子会社化*53
『コロニーな生活☆PLUS』
馬場功淳
『まちつく!』
ウノウ
グリーモバイル、サービス開始
『テイルズ オブ コモンズ』
ナムコ
ガンホー、ゲームアーツを子会社化
ドワンゴ、スパイクを子会社化*54
2006
モバゲータウンとグリーが急成長
DeNA、「モバゲータウン」をリリース。カジュアルユーザー層を取り込み、独自のモバイルSNS文化を築き上げていく。一方、グリーはKDDIと提携し「EZ GREE」をサービス開始。モバイル利用では機能が限定されがちなSNSが多い中で、PC向けのほぼ全機能をモバイル対応とし、好評を博した。
「勝手アプリ」の隆盛
キャリア公式サイトからではない、一般サイト(勝手サイト)で公開される「勝手アプリ」が隆盛を極めた。iモード、ソフトバンクモバイルでは公開可能だったが、KDDIでは検証が必要かつ専用サーバーからのみ配信可能なため、勝手アプリは存在しえなかった。*58
DeNA、モバゲータウン (現「Mobage(モバゲー)」) を開始
カジュアルユーザー層を取り込み、独自のモバイルSNS文化を築き上げていく。
© DeNA Co., Ltd. All rights reserved.*60
若年層に急速に普及したモバゲータウン
「PCベースのSNSの利用者層は、基本的に20代後半〜40代の比較的ITリテラシーの高い社会人を中心としていたのに対し、モバゲーはリリース以降、10代〜20代前半の若年層の間に口コミで急速に普及。Facebookやmixiとは、まったく異なるカルチャーを築き上げていく。ケータイ文化の脈絡から捉えるなら、モバゲーの登場と普及は、SNS的なサロン文化というよりも、ケータイ小説の投稿プラットフォームとして隆盛した「魔法のiらんど」や、着メロ配信サイトなどを利用する若年層のコミュニケーション文化に立脚していたと言える。」
中川大地『現代ゲーム全史 文明の遊戯史観から』432頁
ソフトバンク、ボーダフォンを買収する契約を結んだと発表
スクウェア・エニックスとポケモン、ケータイ分野で提携を発表*62
カプコン、カナダのモバイルゲーム開発会社コズミック・インフィニティを買収*63
KDDI、グリーとの業務資本提携を発表
ドワンゴ、魔法のiらんどと業務資本提携
NTTドコモ、KDDI、ソフトバンクモバイルが東京ゲームショウに出展*64
KDDI、Flash Lite 2.0対応端末を発売
ジー・モード、iモードのサイト会員数が148万人を記録
コンシューマ市場と違い、女性の比率が男性を上回る。年齢も10代から50代までと幅広い*65
『歌舞伎町ホスト伝説 ナイトキング』
ビービーエムエフ・ボーステック
ライトユーザー向けゲームの雄、ボーステック
「特にブランド力に頼ることなく、世間のトレンドや話題をいち早く内容に反映させたゲームコンテンツを開発し、大きな話題と共にユーザーを獲得するものが多いのも、ライトユーザー向けゲームの特長だ。
たとえば、ボーステックのミニゲームサイト「iゲーム大好き!」は、2006年から2007年にかけてドコモiモード内のメニューリストランキング大幅に上昇させたサイトの1つである。そのきっかけは、2006年度下半期に、当時注目されていたホストブームを題材としたシミュレーションゲーム『歌舞伎町ホスト伝説 ナイトキング』を開発し、大きな話題と人気を獲得したことだった。このゲームは、現在では第3部まで配信される人気シリーズに育っている。」
角谷行雄「携帯電話の進化とコンテンツ戦略の多様化からケータイゲーム市場の将来を見る」183頁
ボーダフォン、社名をソフトバンクモバイルに、ブランド名をSoftBankに変更
ソフトバンクモバイル、Flash Lite 2.0対応端末を発売
ソフトバンクモバイル、「割賦販売」方式を開始
端末料金を12回か24回の分割払いにし、同時に月額利用料金を引き下げることで、月々の総支払料金を抑える。これによりユーザーは2年以上同じ端末を使えば割安な月額料金のみの負担となり、キャリアは2年間の囲い込みが可能となった。*66
番号ポータビリティ(MNP)制度が導入される
モバゲータウン、会員数が200万人を突破
この時点で国内モバイルSNSの最大規模となる*67
NTTドコモ、FOMA「903i」シリーズで「メガゲーム」を発表
アプリサイズは1Mバイトに拡大。「メガゲーム」では外部メモリを活用することで、全体で10MBに達するゲームも登場した。*68
KDDIとグリー、「EZ GREE」をサービス開始
モバイル利用では機能が限定されがちなSNSが多い中で、PC向けのほぼ全機能をモバイル対応とし、好評を博す。また、従来の完全招待制ではなく、auユーザーであればすぐに入会できるようになった。これにより、18歳以下の利用を禁止するmixiが取りこぼしたユーザー層を獲得。*69
© GREE, Inc.*70
グリーのモバイル進出のきっかけ
「06年頃、あるソフトウェア開発者から「DSやPSPの売り上げが据置型ゲーム機のそれを上回った」と聞かされたことが、モバイル進出を決めたキッカケのひとつでした。いま子供に「ゲーム機って何?」と訊くと、彼らはみなDSやPSPだと答える。PlayStation3やXbox 360などは一般的に「ゲーム機」の範疇から外れてしまっている。まあ、言い方をかえれば、マニア向けかお父さんの所有物ぐらいにしか認識していません。[中略]
06年頃といえば、まだモバイルゲームはいまひとつ奥深くないし面白くなかった。ただ、みんなソレを求めているという空気が充満していた。そのムードを理解しなければ、モバイル版GREEは始まらない事業だったと言えます。」
田中良和「ゲームの将来を担うのはモバイル。コミュニケーションこそ最高のコンテンツ」28頁
『ラヴニーの絵本』
ケイブ
ゲームを始める際の主人公キャラクターごとに課金を行う「アカウント課金」方式を採用。
女性向けモバイルゲームの隆盛
「ボルテージの運営するシミュレーションゲームサイト「恋人はNo.1ホスト」や「キャバ嬢秘密の恋」は、同じくホストやキャバ嬢など、当時脚光を浴びていた夜の世界がテーマの恋愛シミュレーションゲームを配信し、大きな支持を得て、メニューリストランキング上位に躍進した。特徴的なのは、これらのサイトが女性層をターゲットにしたことである。この2作品は、どちらも主人公が女性であり、女性の視点から構成された作品だった。これは、ノンブランドであっても、作品のコンセプトと配信タイミングによっては、まったく新しいユーザー層を開拓して囲い込めることを示す格好の事例となった。」*71
『恋人はNo.1ホスト』
ボルテージ
2007
ソーシャルゲームの夜明け、そして市場拡大へ
携帯電話ゲーム市場は順調に伸びていたが、2007年には成熟化し、市場は飽和状態に。その状況下で「ソーシャルゲーム」がその市場を急拡大させていく。*72その立役者となったのは、グリーの『釣り★スタ』であった。
モバイルゲームでもアイテム課金制が広まり始める*73
個別課金方式の登場
従来の月額課金方式ではライトユーザー・ヘビーユーザーのどちらからも同じ料金を徴収していたが、個別課金方式で「単品買い」が可能になったことにより、ライトユーザーには月額課金の障壁を取り払い、ヘビーユーザーには利用頻度に応じた対価を請求できるようになった。
月額課金方式と個別課金方式
「それまで広く採用されていた方式は、「毎月100円でゲームアプリが何タイトルまでダウンロード可能」「毎月200円でポイントが250ポイント付与され、そのポイントを消費してゲームアプリをダウンロード」「毎月300円でゲームが遊び放題」などのパターンがほとんどであった。
こうした月額課金方式の販売手法は、ユーザーの利用頻度に関わらず、毎月の収益が安定して予測しやすく、収支計画を立てやすいというメリットがある。反面、ユーザーの利用頻度がどんなに高くなろうと、それに応じた収益アップが見込めないという課題もあった。つまり、ライトユーザーからもヘビーユーザーからも、同じ料金しか徴収できなかったのである。
課金体系の自由度の低さをうまくフォローしたのが、個別課金方式だった。この方式は、サイト内のゲームコンテンツを単品買いさせることを可能にした。これにより、目当てのゲームを1タイトルだけ買いたいが、毎月一定料金を支払い続けるのは敬遠したいと考えているライトユーザーの、サイト利用および入会に対する心理的なハードルを大きく下げることができるようになった。
個別課金方式では、配信コンテンツの人気が毎月の売り上げに大きく影響し、収益が予測しにくい。しかし、単品買いだけしたいと考えるユーザーを獲得しやすいこと、および、一気に何タイトルも購入して遊びたいヘビーユーザーに対し、利用頻度に応じた対価を請求できることなどは大きなメリットだろう。」
角谷行雄「携帯電話の進化とコンテンツ戦略の多様化からケータイゲーム市場の将来を見る」184頁
アプリサイズの増大により、体験版を正規版に内蔵した頒布方式が登場
「「ゲームの無料体験版ダウンロード」などはその代表例だろう。家庭用ゲームではなかなか低コストでは実現できない施策だが、ケータイゲーム市場では以前から当たり前に行われてきた。また、体験版からユーザーを正式に入会させるまでのフローも作りやすく、その効果も高い。体験版のゲームアプリそのものを、公式サイトへのアクセスに誘導できるよう作り込めるからだ。
最近では、ケータイゲームの体験版と正規版を別個に作るのではなく、正規版の機能の1つとして体験版を搭載するケースも増えてきた。アプリケーションサイズが大きくなり、プロモーション要素にも容量を割ける環境が整ったことが背景にある。これにより。「最初の1、2面は非会員でもプレイできるが、3面以降は購入手続きが必要」という仕組みや、「経験値をたくさん積んでも、正式に入会しないとレベル10以上にならない」といった仕掛けが作れる。また、入会したら改めて正規版をダウンロードしなければならない、という二度手間も解消することが可能になる。こうした取り組みは、非会員ユーザーが正式に入会するまでのフローを簡略化し、入会へのモチベーションを高め、維持させる効果の高い手法として評価されている。」
角谷行雄「携帯電話の進化とコンテンツ戦略の多様化からケータイゲーム市場の将来を見る」185頁
ドワンゴ、アイテム課金制を導入した「携帯ゲームオンライン」をオープン
アプリのダウンロードを完全無料とし、レアアイテムのみを課金対象とする「アイテム課金制」に踏み切った。*74
『チャリ走』
スパイシーソフト
『チャリ走全国一周』
©Spicysoft × ©Yuta Hoshino
©2012 石森プロ・テレビ朝日・ADK・東映
©2007-2012LIRENEO SOFT*75
グリー、『釣り★スタ』をリリース
“ソーシャルゲーム”というジャンルの立役者となる。また、基本プレイ無料+アイテム課金制という「フリーミアム」型のビジネスモデルを確立
既存のモバイルゲームよりもきわめて広範な層に訴求した『釣り★スタ』
「この日常生活の隙間で遊べるような継続性とゆるいコミュニケーション性が要件となって、本作は携帯電話でプレイする「ソーシャルゲーム(ソシャゲ)」というカテゴリーの立役者となり、それまでのオンラインゲームとも携帯アプリゲームとも異なる、きわめて広範な層に訴求するゲームジャンルを切り拓くに至った。マネタイズの仕組みとしても、携帯電話キャリアによる強力な代金徴収システムのバックボーンのもと、プレイ自体は無料でありながらゲームを有利に進めるための釣り竿などのアイテムを購入する際に課金が発生するフリーミアム型のビジネスモデルが成功し、急激な勢いで新市場が出現することになったのである。」
中川大地『現代ゲーム全史 文明の遊戯史観から』434頁
NTTドコモ、「904i」シリーズを発売
携帯電話端末を振る、傾ける、手をかざす等のアクションで操作する「直感ゲーム」を搭載。*77
Flashをサポートせずに発売されたiPhone
iPhoneがリリースされた当時、FlashはPCにおける主流の技術であり、Youtubeなどの動画サイトはじめとした動的なコンテンツに広く使われていたため、この事実は驚きをもって迎えられた。しかし、この時点では「いずれサポートするだろう」という見方もあった。
解説:寺島壽久
『踊り子クリノッペ』
グリー
“インドの山奥で見つかった”不思議な生き物『クリノッペ』に食事となる水あめをあげたり、小瓶を振ってお風呂に入れたり、ダンスを教えて運動しながらコミュニケーション手段を増やしたりして楽しむ育成シミュレーション。着せ替え要素やダンスバトルなどの対戦要素もあり、癒されつつも夢中になれるタイトル。*79
mixi、携帯電話のPVがPCを上回ったと発表
Facebook、サードパーティ向けアプリ開発用API「Facebook Platform」を公開
ブラウザ上で動作するカジュアルゲームの開発が本格化していく。*80
総務省、未成年者の携帯フィルタリング機能の原則義務化を要請*82
2008
スマートフォンの登場
2007年6月に米国で初代iPhoneが発売され、2008年7月11日に日本で初のiPhoneとなる「iPhone 3G」が発売。また、10月には米国で初のAndroid搭載スマートフォンが発売された(日本初のAndroidスマートフォンは2009年7月の「HT-03A」となる)。スマートフォンの普及は世界的な潮流となり、既存の国産フィーチャーフォンが「ガラケー(ガラパゴスケータイ)」と呼ばれるほどに、そのシェアを置き換えていくことになる。*85
2008年の国内SNSでのアイテム販売の市場規模は157億円
2006年では5億円、2007年では60億円、と急速に市場が拡大した(総務省調べ)。*86
日本のケータイの平均ダウンロード速度は302kbpsとの調査結果が発表(インプレスR&D調べ)。*87
Zynga、『FarmVille』『Mafia Wars』でいわゆる“スタミナ制”を導入
国内のソーシャルゲームにも軒並み導入されることとなる。
「スタミナ制」の仕組み
「[『FarmVille』と『Mafia Wars』の]どちらのゲームも、プレイヤーにあっては行動力にあたる有限の数値を消費することで操作を行うことができるというかたちで、一度にできる操作の手数が制限されている。この行動力にあたる数値は、時間を経ることで回復するので、この手のソーシャルゲームでは、無課金の場合は数時間おきにサービスにログインして操作を行うという習慣化が基本的なプレイスタイルになる。どうしても回復時間を待たずに操作を行いたい場合は、行動力の回復アイテムを有料で購入することができるため、武器などのパラメーター強化アイテムと並び、いわば時間という資産がソーシャルゲームの収益源になっているのである(なお、こうしたシステムは、のちに「スタミナ制」と総称されるようになる)。」
中川大地『現代ゲーム全史 文明の遊戯史観から』435頁
KDDI、グラフィックの強化と最大容量を拡大したKCP+端末向けアプリ「Full Game!」開始
KDDIは2月28日に、携帯電話のプラットフォーム「KCP+」搭載端末向けに、グラフィック性能の強化と最大容量を拡大したゲームアプリ「Full Game!」を配信開始。
Full Game!は、アプリ本体が最大1.5Mバイト、追加アプリが最大8.5Mバイトの合計10Mバイトまで対応するゲームアプリ。KCP+端末で採用するクアルコムのBREW4.0の組み合わせにより描写力が向上し、家庭用ゲーム機のような3Dグラフィックを実現した。
ローンチアプリは、カプコン『バイオハザード4 モバイルエディション』、フロム・ソフトウェア『アーマード・コア モバイル4』、セガ『パワースマッシュEZ』および『ガチンコ★ベースボール』。*89
解説:Ryu
Apple、ネイティブアプリのSDKを公開
Appleは当初HTML5でのアプリを推奨しており、公式サイトでもHTML5アプリを紹介していた。ネイティブアプリはAppleが配布するか、Jailbreak(脱獄)と呼ばれるセキュリティの穴を突いた方法でインストールするしかなかった。しかし、SDKの公開によって状況は一変した。*90
ガンホー、グラヴィティ(『ラグナロクオンライン』開発会社)を子会社化
モバゲータウンの会員数が1000万人を突破*92
DeNA、モバゲータウンにアイテム課金制を導入*93
『イルーナ戦記Online』
アソビモ
『空気読み。』
ジー・モード
当時流行していた「場の空気を読む」ことを主題にした、“空気読めてる度”診断ゲーム。ジー・モードの人気シリーズとなり、2009年にはニンテンドーDSiウェア、2018年にはNintendo Switchでもリリースされた。
©G-MODE Corporation
App Storeがオープン
iPhoneのアプリを販売するApp Storeが公開される。所定の登録料を支払い、ガイドラインに従えば誰でもアプリゲームを公開できた。この仕組みによってゲーム販売への障壁は下がり、当時は「ゲームを民主化した」とまで言われた。*95
『Enigmo』
Pangea Software, Beatshapers
水滴を壺の中に誘導する物理パズル。iOSアプリ初期のヒット作で、物理パズルの流行を作った。開発会社はMac向けのアプリを作っていたが「以後、PC向けゲームは開発しない」と発言するほどの路線転換のきっかけとなった。*96
当時のiPhone 3Gへの反響
「 iPhone 3Gは、新しもの好きやAppleファンには好評だったが、使いこなすのにPCが必要になることもあり、日本で一般に広く浸透するまでには至らなかったという印象だ。iPhone 3G単体で持つよりも、フィーチャーフォンと2台持ちする人が多かった。ディスプレイが大きいので地図は見やすかったものの、当時、特に重要な機能の1つだったキャリアメールが「Eメール(i)」に変わり、完全なプッシュ配信ではなかったり、迷惑メール対策をしている他キャリアのケータイに送るとブロックされたりと、使い勝手にも不満が残った。
写真やWebサイトを指で拡大縮小して見るのは新鮮だったが、カメラ性能自体はフィーチャーフォンに及ばなかった。フリック入力は歓迎されたが、Webサイトで日本語を入力しようとするとレスポンスが悪くなることもあった。使い勝手が改善され、iPhone人気が高まるのは、次の「iPhone 3GS」からとなる。」
iPhoneを振り返る:日本上陸を果たした「iPhone 3G」 ケータイが“インターネットマシン”に – ITmedia Mobile
『Super Monkey Ball』
セガ
AppleによるネイティブアプリSDKのお披露目に利用され、先行開発していた優位とクオリティでヒット。Appleが紹介して、そのゲームがヒットする方程式がここから始まった。*100
『釣りゲータウン』
DeNA、ORSO
『ハコニワ』
グリー
コロプラ設立
AppBank設立
スマートフォンアプリ専用サイトAppBankが運営を始める。ゲーム業界の外から作られたメディアのため、ゲーム紹介時も既存メディアとな異なる文体や着眼点、フットワークの軽さで注目を集め、瞬く間にアプリ業界のトップメディアとなった。一時期はAppBankで紹介されたアプリが、翌日のApp Storeダウンロードランキング1位になるほどの影響力を持っていた。*103
『iShoot』
Ethan Nicholas
6週間で開発し、発売2週間で$60,000の売上を叩き出したtことで一躍有名に。生まれて間もないApp Storeドリームの体現者として話題になった。App Storeの登場時は、こうした個人や中小開発会社が次々と話題になった。*104
世界初となるAndroid搭載スマートフォン(T-Mobile G1)が全米向けに発売される*105
『クリスタル・ディフェンダーズ』
スクウェア・エニックス
スクウェア・エニックスのiOSアプリ参入作。しかし、フィーチャーフォンのゲームをベタ移植したことにより、操作性などが最適化されなかったため不評だった。App Store初期は、スクエニに限らず、多くの日本メーカーが同じようにフィーチャーフォンのアプリを移植し、最適化に失敗していた。黎明期は先入観にとらわれない個人開発者のアプリが優勢だった。*106
2009
『サンシャイン牧場』と『怪盗ロワイヤル』の爆発的ヒット
Zyngaの『FarmVille』『Mafia Wars』を国内向けに再構築した『サンシャイン牧場』(Rekoo/mixi)、『怪盗ロワイヤル』(DeNA/モバゲー)の爆発的ヒットにより、「ファーム系」「ロワイヤル系」が流行。国内ソーシャルゲームの代表的な類型のひとつとなり、ほぼ同一のシステムに衣装題材の「ガワ」だけを変えたタイトルが無数にリリースされた。
『釣りゲータウン2』
DeNA、ORSO
『DanceDanceRevolution S』
KONAMI
『Flight Control』
Firemint
次々とやってくる飛行機をドラッグして着陸させる航空管制ゲーム。指でなぞる操作に、PCから人気のタイムマネジメントを融合させ、スマホゲームとして完成させた。*109
『エレメンタルモンスターTD』
ハドソン
『パズドラ』プロデューサーの山本大介が手がけたタワーディフェンスで、美しいグラフィック、TCGの要素を取り入れたコレクションの要素などによりヒットを飛ばした。*110
グリー会員数が1000万人を突破する*111
『Doodle Jump』
Aidan McCarthy
傾け操作で移動し、ぴょんぴょん飛び跳ねて上にのぼり続けるアクションゲーム。大ヒットして加速度センサーの使い方を示しただけでなく、本作はリリース時から継続的なアップデートにより売り上げを伸ばすことで収益を得る、運営型ゲームに近い運用がなされた。 後に基本無料化するとさらに収益を伸ばし、カジュアルゲームを無料で提供して収益を得るモデルを広めた。*113
『双剣舞曲オンライン』
ドワンゴ
『セブンソード(SEVEN SWORDS)』
アソビモ
『FarmVille』
Zynga
iPhone 3GS 発売
『iYamato』
ゼペット
iOSにアプリ内課金(IAP)が導入される
当初、AppleはIAP(In-App Purchase:アプリ内課金)を認めておらず、iPhoneアプリのマネタイズは有料販売か広告モデルに限られていた。しかし、IAPの導入で基本無料ゲームが成立するようになり、収益構造が変化していく。*116
NTTドコモ、日本初のAndroid搭載スマホ「HT-03A」を発売
3.2インチ液晶ディスプレイを搭載、Androidのバージョンは1.5*117
© DOCOMO CS Tohoku, INC. All Rights Reserved.*118
『ブラウザ三国志』
AQインタラクティブ
『スペースインベーダー インフィニティジーン』
タイトー
プレイの進行とともに、シューティングの歴史をなぞりつつゲームシステム・機体が進化するシューティング。ゲーム内容の素晴らしさだけでなく、ゲーム中の様々なアイデアが後のスマホのシューティングゲームに大きな影響を与えた。*119
ミクシィ、「mixiアプリ」を公開し、オープンプラットフォーム化*120
『サンシャイン牧場 』がヒットする
『サンシャイン牧場 』
Rekoo
サンシャイン牧場は瞬く間に広がり、リリースからわずか3カ月で300万ユーザーを超えた。ミクシィの決算報告*121によれば2009年9月30日でユーザー数は約1,792万人となっており、わずか3カ月でプラットフォーム上の約17%のユーザーに広まったことになる。2010年2月には会員数450万人を突破し、話題となった。*121
© Rekoo Japan Co., Ltd. All rights Reserved.*122
「ファーム系」の流行
『FarmVille』『サンシャイン牧場』のヒットにより、「ファーム系」が流行。ソーシャルゲームの代表的な類型のひとつとなる。
ゆるい親愛関係を確認する『サンシャイン牧場』
「本作をプレイしているマイミク(mixiサービス内で相互承認した友達)同士であれば互いの農牧場のに「虫入れ」や「いたずら」を行うことで収穫量を増やせるといった仕様により、普段はあまり交流のなくなっていた者同士が言葉を交わさずに相互のゆるい親愛を感じ合えるようになるなど、不活性化していたソーシャルグラフを部分的に再生させる効能を発揮したとも言えるだろう。」
中川大地『現代ゲーム全史 文明の遊戯史観から』436頁
グリー、著作権侵害でDeNAを提訴
最終的にDeNAは勝訴するものの、『釣りゲータウン2』の配信は終了となった。
「釣りゲー訴訟」の争点
「著作権侵害の対象とされたのは、SNSの仕組みではなく、それに付随する「釣り」を題材としたSNS連動ゲームコンテンツについてであった。
それぞれ『釣り★スタ』(グリー)、『釣りゲータウン』(モバゲータウン)という名称で運営されていたが、画面構成や遷移が似ていることが焦点となっている。」
澤紫臣「コミュニケーションプラットフォームとして進化を遂げるケータイゲーム」211項
『Canabalt』
Semi-Secret Software
ワンタッチで遊べる操作の簡易さ、緊張感あふれる演出でヒットとなった。2Dの元祖ランゲームとして、その後のランゲーム隆盛の流れを生み出していく。*124
『怪盗ロワイヤル』がヒットする
「ロワイヤル」系の流行
「2009年10月に発表された『怪盗ロワイヤル』(DeNA)のヒットは大きなインパクトであった。ケータイ向けソーシャルゲームの代名詞と呼ばれるほど拡大し、またたく間に数百万単位のユーザーを獲得した。これが起爆剤となって、オープン化後、我も我もとソーシャルゲームに挑む企業が増え、一挙に盛り上がりを見せることとなったのだ。
「ロワイヤル系」のゲームデザインの特徴
「まず、プレイヤーはジャンケンのような三すくみの有利不利関係をもつキャラクターの中から、ひとつを持ちキャラとして選択。ガラケーの決定ボタンやテンキー中央の「5」を押すたびに当該タイトルの趣向に合わせた簡易な状況説明テキストや静止画による一本道ストーリーがページをめくるように進行、自動的にアイテムを拾ったりバトルを行ったりしてRPG風にレベルが上がるという、「ミッション」モードでの独り遊びが基本となる。その上で、SNS上で同タイトルをプレイしている他のプレイヤーに攻撃を仕掛けることのできる「バトル」モードを備え、勝てばアイテムなどを奪うことができるという二本柱のシステムを備えることが、カテゴリー成立要件になっていたと言えるだろう。」
中川大地『現代ゲーム全史 文明の遊戯史観から』454頁
『ぼくのレストラン』
Synphonie
息の長いレストラン経営ゲーム。当時の女性プレイヤーの獲得に大きく貢献した。*126
(C) 1999-2019 mixi, Inc. All rights reserved.*127
『モバ7』
バタフライ
『恋してキャバ嬢』
KLab
『Angry Birds』がヒットする
引っ張り操作で鳥を発射し、緑の豚を倒す物理パズル・シューティング。物理パズルが人気を得ていた当時の時流と、操作性の良さ、有名人による言及などの幸運が相まって世界的なヒットとなる。
2010
ソーシャルゲームの時代。スマートフォンが新たなゲームプラットフォームとして台頭
2009年の『サンシャイン牧場』や『怪盗ロワイヤル』のヒットにより、2010年代は「ソーシャルゲームの時代」として幕を開けることになる。同時にそれは、スマートフォンの急速な普及とともに、日本のガラケー文化の最後の灯火をなすものでもあった。*130また、前年のミクシィに続きDeNA、グリーもオープンプラットフォーム化し、ソーシャルゲームメーカーが多数誕生することになった。
SNSにおけるアバターアイテム販売市場規模は447億円
対前年比285%という驚異的な成長を遂げた。*131
ソーシャルとコンシューマのゲーム性の違い
「しかしゲーム開発会社では、従来のコンシューマーゲームの開発を得意としていた企業であればあるほど、ソーシャルゲームのシンプルな構成(実際は複雑な内容を簡単な操作で進行させていることも多い)に戸惑いを覚えたという。開発期間をあまりとらずにリリースし、運営しながらの作り込みをすることや、操作で習熟する必要性をできる限り排除していくといったソーシャルゲームのセオリーは、やりこむことでプレーヤーが上達し面白味が増す仕掛けを作ってきたゲームの方向性とは全く違うのだ。」
澤紫臣「ソーシャル化進むモバイルゲーム動向」162−163頁
モバゲータウンがオープンプラットフォーム化
2010年1月にモバゲータウンがオープン化し、多くのタイトルが提供されるようになった。グリーも同年12月にオープン化を果たす。*132
『Sowrd & Poker』
GAIA
ポーカーとRPGを組み合わせたパズルRPGとして世界的にヒット。これ以後、パズルRPGをはじめスロットRPGなど、RPGと他ジャンルゲームを掛け合わせた作品が増えていく。その後の展開も期待されたが、開発会社のGAIAが財政的に苦しく、『Sword & Poker 2』リリース後に公式ページがアクセス不能になり、会社と連絡が取れなくなってしまう。*133
『農園ホッコリーナ』
DeNA
『こいけん!』
ベクター
『英雄になりたい!』
カヤック
PBMの流れを汲む大規模戦争ゲーム。ユーザーコミュニティが活発。モバイルゲームのノベライズの先駆けでもある。*134
© KAYAC Inc. All Rights Reserved.*135
『ファイナルファンタジーI』
スクウェア・エニックス
あの『ファイナルファンタジー』が2作品、ついにスマホに登場。
『ファイナルファンタジーII』
スクウェア・エニックス
『ラグナロクオンライン Mobile Story』
ガンホー・オンライン・エンターテイメント
『ストリートファイターIV』
カプコン
Apple、Flashを支持しない6つの理由を公開
2007年のiPhone発売以来、Flashの非サポートは話題になっていたが、この発表によってFlashの立場は決定的に悪くなった。このとき、AppleはHTML5のような業界標準仕様を推奨すると表明していた。*137
資金決済法の施行がモバイルゲーム業界に与えた影響
2010年に施行された資金決済法(正式名称:資金決済に関する法律)により、利用者が代金を前払いするプリペイドカードや電子マネーと同様に、ゲームにおける課金アイテムも「前払式支払い手段」とみなされるようになった。その場合、事業者が倒産した場合などに未使用分を利用者に返金できるように、事前に財務局へ供託金を支払う義務が発生する。例えば、「魔法石」のようなゲーム内通貨は前払式支払い手段に該当するため、サービス終了時には返金が必須となる。
メーカーによってはこの供託金が負担になったほか、課金アイテムが「前払式支払い手段」であると指摘され、財務局による立ち入り検査を受けるようなトラブルも発生した。
解説:寺島壽久
『CHAOS RINGS』
スクウェア・エニックス
スクウェア・エニックス初のスマートフォン向けオリジナルRPGとして世界中で注目され、世界15カ国でApp Storeセールスランキング1位を獲得した。*139
『戦国ロワイヤル』
DeNA
『やきゅとも!』
ポケラボ
『セレスアルカ』
アソビモ
『太鼓の達人プラス』
バンダイナムコエンターテインメント
それまで楽曲パックごとに別売りとなっていた『太鼓の達人』アプリを統合し、アプリDL無料+追加楽曲を課金購入する形式で人気となり、長期にわたってアップデートが続くヒット商品になった。アプリDL無料+楽曲の追加購入という形式は後の音楽ゲームにも引き継がれることになる。*141
グリー、東京証券取引所市場第一部に上場
『君とナイショの…今日から彼氏』
ウインライト
アイドル育成ものの先駆け『ドリームプロデューサー』
モバゲーのアイドル育成ものの先駆けで、登録者数100万以上を獲得した人気作。ユニット女性プレイヤーの多さでも話題になった。街でスカウトした女の子を育ててアイドルにするのが目的のゲームだが、育成のための体力が時限回復のため無課金では待ち時間が発生し、その間にストックしている候補生が他のプレイヤーに引き抜かれることがあるというロワイヤル的な要素で成り立っている。期間限定イベントで人気声優アイドルスフィアが登場する等の試みも行われている。2011年9月サービス終了後、Mixiアプリとして復活するも、これも現在はサービス終了している。
解説:GiGi
『ゲーム発展国++』
カイロソフト
カイロソフトのスマホ参入作。カイロソフトはもともとフィーチャーフォンで好評を博していたが、『ゲーム発展国++』が海外でもヒットしたことで一躍ワールドワイドで人気のメーカーとなった。*144
『大乱闘!!ギルドバトル』
gloops
スマートフォン向けグリーがリリース
『無限マラソン』
エイチーム
『ヒメこい』
グリー
『コーデマニア』
サムザップ
『100万人の信長の野望』
コーエーテクモゲームス
コーエーのモバゲー参入作。老舗ゲームメーカーのモバグリ本格参入が当時驚きをもって受け止められた。*145
© コーエーテクモゲームス All Rights Reserved.*146
『海賊王国コロンブス』
グリー
UnityがAndroidに対応
モバイルゲームの開発にUnityを採用するケースが増えていった
『ドラゴンコレクション』がヒットする
『ドラゴンコレクション』はガチャによるキャラクター、キャラクタースキルシステムなど『パズドラ』以降の基本無料ゲームに受け継がれるガチャ・キャラ売りシステムを作り出した。対戦などに使用するものは消費アイテムが一般的だった基本無料ゲーム業界において、永続的に使えるアイテムを基本に据えたことがユーザーに受け入れられた。また、運営としても上級者、初心者満遍なく遊べるイベントを行い、現代的なゲーム運営の基礎を示した。
「コレクション系」の流行
『ドラコレ』のヒットにより、「コレクション系」が「ロワイヤル系」に取って代わる。カードの合成や進化、他プレイヤーのカードを借用して攻略するレイドイベントなどが特徴的な要素。
「コレクション系」の特徴
「これらのタイトルでは、プレイヤーのバトル能力の単位がキャラクターの図像の描かれた「カード」となり、アイテムとしての収集性や、デッキ構築による戦略性、カード同士の「合成」「進化」による育成性といった、「ポケモン」や「遊☆戯☆王」に似た遊びの性格が取り込まれていた。加えて、レアリティの高いカードを「ガチャ」などによって入手するシステムが導入されることで、射幸心を煽るアイテム課金ビジネスとしての基盤もまた、ますます強固に整えられることになったのである。
この過程で、ロワイヤル系が持っていたプレイヤー同士のバトルによるアイテム奪い合いの要素は薄まり、むしろ他プレイヤーが育成した強いキャラクターカードを自分のミッション攻略に“借用”できたり、一定期間中に登場する巨大な敵キャラを多数のプレイヤーが協力して倒すという、MMO-RPGでいう「レイド」のようなイベント運営のスタイルが採り入れられるなどの協調的な要素も少なからず盛り込まれることになった。」
中川大地『現代ゲーム全史 文明の遊戯史観から』455-456頁
『ドラゴンコレクション』で「ガチャ」システムが普及する
ソーシャルゲームにおける「ガチャ」の一般形式
「ガチャとは「ゲーム進行を有利にする強力なアイテムやゲームキャラが当る、有料のくじ引き」のことで、ゲーム中では街中にある「ガチャガチャ(カプセルトイの自動販売機)」的な演出が為されることが多いことでこの名前が一般化した。プレイヤーもガチャを購入することを「ガチャを回す」と表現する。ガチャ1回の料金は100円〜500円程度で、10回分の料金で11回くじが引ける(ガチャが回せる)形式が一般的である。ゲームシステムは、キャラクターの追加でゲームの拡張およびガチャによる販売促進が容易なカードバトル形式が大半を占めるようになった。」
小山友介『日本デジタルゲーム産業史 ファミコン以前からスマホゲームまで』324頁
日本で「ガチャ」が根付いた理由
「現在も採用されているガチャが、さまざまな法的な規制を受ける「くじ」でも「懸賞」でも「景品」でもなく、もちろん「賭博」でもなく、規制の緩い「偶然性のあるアイテム販売」として容認されているのは、日本の特殊事情による。もとからあったアイテム販売に、すでに社会が許容している野外玩具「ガチャガチャ」の要素が加わったものとして、ガチャは容認された。こうして、日本型ソーシャルゲームの基本ビジネスモデルはできあがった。」
平林久和「2017年、モバイルゲーム市場の現状と展望〜ガチャの次に目指すもの〜」27頁
DeNA、「Yahoo! モバゲー」をサービス開始
『モダンコンバット2:Black Pegasus』
ゲームロフト
『モダンコンバット』シリーズの2作目。1作目から完成度は高かったが、さらにビジュアルを進化させ、ゲームロフトの大ヒット作となった。*149
DeNA、ngmocoを買収
米国のソーシャルゲームプラットフォーマー・ngmocoはコミュニティサービス「plus+ Network」を提供しているだけでなく、累計5,000万DL以上の人気ゲームを輩出する開発力を持っていた。これをもってグローバル進出を狙うが、「期待する水準のヒットタイトルの創出に至らなかった」として2016年に清算が発表された。*150
『100万人の三国志』
コーエーテクモゲームス
コーエーのグリー参入作。老舗ゲームメーカーのモバグリ本格参入が当時驚きをもって受け止められた。*151
© コーエーテクモゲームス All Rights Reserved.*152
コロプラ、位置ゲープラットフォーム「コラプラ+」サービス開始
『Dungeon Raid』
Fireflame Games(Alex Kuptsov)
3マッチパズル+ローグライクの人気作。口コミで話題を広げてヒット。パズル+RPGのオリジナル作品として『パズドラ』制作の際も参考にされている。*154
『Smurfs’ Village』
PopReach Incorporated
海外で人気のキャラクター・スマーフの村づくりゲーム。海外でヒットし、未成年者の課金が問題となるほどに売れた。日本ではカプコンが2011年7月に配信。*155
「モバゲータウン for Smartphone」サービス開始
『Infinity Blade』
Epic Games
コンシューマでも使用されるゲーム開発エンジン「Unreal Engine 3」がiPhoneで動作することを示したことで、スマホのゲーム機としての期待感がさらに高まった。 『Infinity Balde』は当時のiOSアプリとしては最も売れたタイトルとなり、リリースから4日間で160万ドルを、2011年末までに2,300万ドルの売上をたたき出した。*157
『ガンダムロワイヤル』
バンダイナムコゲームス
『アイドルマスターモバイル エリアゲーム』
バンダイナムコゲームス
『戦国コレクション』
コナミデジタルエンタテインメント
2011
ソーシャルゲームの全盛とフィーチャーフォン支配の終焉
ソーシャルゲームの市場規模拡大はすさまじく、2007年から2011年までのわずか5年で60億円から2,078億円と30倍を超える急成長を遂げた。一方で既存の携帯電話ゲーム市場は縮小し、2011年には市場全体の約20%までに落ち込んだ。*158
『暴走列伝 単車の虎』
Donuts
『カイブツクロニクル』
アドウェイズ
『ちょこっとファーム』
ドリコム
『桃太郎電鉄JAPAN+』
コナミデジタルエンタテインメント
DeNA、「モバゲータウン」の名称を「Mobage(モバゲー)」に変更
Amazon Appstore for Androidがオープン
自由に独自ストアを作れるAndroidの仕組みを利用して、Amazonは早い時期にストアを作った。
『ファイナルファンタジーIII』
スクウェア・エニックス
2006年にリメイクされたDS版のビジュアルをアップグレードして移植し、大ヒット。これ以後、スクウェア・エニックスのスマホ移植タイトルはこうしたアップグレードが基本となっていく。*159
『聖戦ケルベロス』
グリー
グリー、OpenFeintを買収
OpenFeintは世界で約7500万ユーザーを抱えており、グリーの約2500万ユーザーと合わせ、世界最大級となる1億ユーザー超のプラットフォームを目指した。*161
『ドラゴンリーグ』
アソビズム
gloopsの大乱闘ギルドバトルと並ぶギルドバトル系の雄。独特のビジュアルと良く練られたゲーム設計で人気を博した。*162
© 2011 Asobism,co.ltd. All Rights Reserved.*163
Cygames設立
『帝国ロワイヤル』
DeNA
Android版「Mobage」リリース*164
DeNA、公正取引委員会から排除措置命令を受ける
DeNAはモバゲータウンにゲームを提供する会社に対して、GREEにゲームを提供しないよう圧力をかけていた。当時のモバゲータウンの会員数はGREEよりも多く、有利な立場にいた。*166
『ブラウザ三国志モバイル』
AQインタラクティブ
NHN Japan(現LINE)、「LINE」をリリース
「LINEは、ガラケーから移行したばかりの国内のスマホユーザーが即座に親しい仲間たちのネットワークに加入することのできる標準ツールとしての性格を獲得し、12年までには必須のコミュニケーションインフラとして爆発的な普及を果たすことになる。」*167
『Tiny Tower』
NimbleBit
いわゆるアイドル系(放置系)経営ゲームの初期ヒット作。後にスターウォーズやレゴとコラボするほどの人気になる。『Tiny Tower』系というべき多くのゲームを生み出し、日本でもガンホーが『クレイジータワー』というフォロワーをリリースした。*168
『おさわり探偵 なめこ栽培キット』 がヒットする
リリース後半年で500万DLを突破、定番アプリゲームとしての地位を確立し、ぬいぐるみなどのグッズも発売。
ソーシャルゲームとは異なる文脈でヒットした『なめこ』
『おさわり探偵 なめこ栽培キット』は、かわいいだけでなく毒をもったキャラクター、時間を待って栽培するだけのシンプルな仕組み、収穫操作の気持ち良さでヒットした。オンライン通信も必要ないためiPod Touchユーザーにも波及して、女性・若年層を巻き込むことに成功し、ソーシャルゲームとは異なる文脈でヒットした。
ホワイトユーザー(Apple IDなどを作ることすらせず、基本アプリで満足していた超ライトユーザー)に初めてアプリをダウンロードさせた功績を認められ、AMDアワードを受賞している。*170
『なめこ』や『LINE』などのヒットは、このようなホワイトユーザーを潜在的なアプリゲームプレイヤー予備軍とし、その後のゲーム市場の活性化に寄与した。
解説:寺島壽久
コロプラ、「位置ゲー」(コロプラの登録商標)の基本特許を取得*171
『アイドルレボリューション』
CyberX
『グルーヴコースター』
タイトー
タッチパネルとスマホの性能を活かした新しい音楽ゲーム。さまざまな賞を受賞した。
『探検ドリランド』がリニューアルでヒットする
2008年にリリースされた『探検ドリランド』がリニューアルして大ヒットを果たした。以前はドリルで岩を砕いて宝を手に入れる内容だったが、リニューアル後はキャラクターを育て、時間で回復するスタミナを消費してボスと戦う育成ゲームとなり、『ドラゴンコレクション』のガチャシステムを踏襲していた。*172
アップル、為替レートの変動に伴う調整を根拠にiOSアプリの価格改定を行う。最低価格が115円から85円に。
iOS版「Mobage」リリース
DeNA、FlashをHTML5に変換するエンジン「ExGame」を提供開始*174
FlashからHTML5への移行事情
ガラケーからスマホへの移行期のソシャゲでは、ガチャや合成の演出のアニメーションによくswf(Flashファイル)が使われていましたが、スマホでは、とくにAndroid4以降、いよいよswfをブラウザ上で再生できなくなってしまいました。
そうなると、その演出部分はスマホ向けにまるまる手作業で実装するか、もしくは演出を出さないようにするかしないといけなくなります。ですが、いわゆるHTML5的なアニメーションなどの実装手法は、その頃まだあまり手が付けられておらず、実装するとなるとかなりの時間がかかり、しかも元のものよりもそれなりに劣化したものになってしまいがちでした。
プラットフォーマーが自社で運用していたタイトルでも同じ問題があることは分かっており、結果、「ExGame」(DeNA)や「LWF」(グリー)などの変換ツールを開発会社向けにも提供することになったようです。それらのツールを使って変換すれば、出力されたものを少し調整すればほぼそのまま元のアニメーションなどを再現することができ、移植時の作り直しが発生しなくなった、移植後、運営時にもひとつのswfをガラケーとスマホに適用できた、などの効果が得られ大変助かりました。
解説:castella
『レッツ!ゴルフ3』
ゲームロフト
この頃から基本プレイ無料+アイテム課金制が覇権を取り始め、『レッツ!ゴルフ』シリーズのような、これまで買い切りで人気を博していたタイトルも次々とアイテム課金制を採用していった。*175
『アイログ』
グリー
『神撃のバハムート』がヒットする
「とりわけ『バハムート』は、スマートフォンへの移植版が海外のアプリストアでもダウンロード数ランキングの上位を記録するなど、もっぱらドメスティックな市場に特化発展したこの種のゲームとしては、異例のヒットを遂げた。」*176
『Jetpack Joyride』
Halfbrick Studios
iOSアプリでは2011年を代表するヒット作。飽和していたランゲームに、タッチタイミングで上下移動+同じ操作で攻撃も同時に行うという新機軸を持ち込んだ。*178
ガンホー、アクワイアを子会社化
KDDI、iPhoneを販売開始*179
グリー、東京ゲームショウ2011に初出展
『ケリ姫クエスト』
ガンホー・オンライン・エンターテイメント
DeNA、プロ野球への新規参入。横浜ベイスターズを子会社化*180
『ガルコレ』
Synphonie
『アイドルマスター シンデレラガールズ』がヒットする
2012
『パズドラ』インパクト
『パズドラ』の影響はすさまじく、モバイルゲームのみならず、ゲーム産業の歴史を変えてしまった。ガンホーの売上高は2011年には100億円に満たなかったが、『パズドラ』発表年の2012年には売上高は2倍以上、利益に至っては7倍以上になった。さらに、2013年には売上高は1,630億円、営業利益は912億円に達した。これは、月に100億円以上が『パズドラ』関連の売上としてガンホーに入っていることを意味する。家庭用ゲーム機向けのパッケージゲームを1本販売した際にゲーム開発会社に入るお金を概算で3,000円とすると、『パズドラ』は毎月300万本以上のパッケージゲームが売れ続けていることに匹敵する。*182
フィーチャーフォンのモバイルコンテンツ市場が大幅の純減(対前年比73%)となる4793億円を記録
これはモバイル・コンテンツ・フォーラムによる統計史上初の出来事となる。一方で、スマートフォンにおけるモバイルコンテンツ市場は2607億円(対前年比461%)と大幅な拡大。特にゲーム市場は3713億円(対前年比542%)の急成長を見せた。市場全体に対するゲーム関連コンテンツの割合も、スマートフォンでは70.1%、フィーチャーフォンでは47.7%とゲームへの依存度が高くなっている。*183
日本のAndroid端末利用者は世界で最も多く有料アプリを購入していることが判明
「一方、国内のAndroid端末利用者は世界で最も多く有料アプリを購入していることがGoogle調査によって明らかになっている。1端末あたりの有料アプリインストール数はスマートフォンの市場占有率が高いアメリカ、イギリス、韓国と比較しても2〜3倍と抜きん出て高く、海外アプリデベロッパーからも注目を集めている。」
佐藤進「Androidアプリの国内マーケット動向」54頁
ソーシャルゲームのネイティブアプリ化の影響
モバイルゲームの主戦場がApp Store・Google Playへと移ったことで、DeNAとグリーのユーザー囲い込みが解かれ、『パズドラ』と『モンスト』というビッグプレイヤーを生み出した。しかし、それ以外のほとんどのソーシャルゲームはスマホへの対応に苦戦し、利益を減らした。*184
当時のSNSプラットフォーマーの状況
「だが、スマートフォンユーザーが増えた2011年後半から状況は一変した。OSが提供するマーケット上では従来のSNSユーザーを目当てにした集客の効果は薄く、アプリを開発する企業にとってSNSプラットフォーム上でゲームをリリースするうまみがなくなってしまったのである。従来のブラウザー型ゲームをネイティブアプリでくるむ「ガワブラウザー」「ガワネイティブ」と呼ばれる手法でアプリを移植開発したタイトルも作られていったが、フィーチャーフォンからスマートフォンへ買い替えたユーザーをつなぎ止める役割は果たせたものの、新たに始めるユーザーにとってSNSの会員登録はハードルが高いこともあり、マーケットに残ったタイトルはわずかであった。」
澤紫臣「スマートフォンゲームアプリの動向と展望」65頁
リワード広告の勃興と終焉
2012年頃よりリワード広告というAppleやGoogleの規約に違反する広告手法が台頭していた。
これは「お小遣いアプリ」と呼ばれるアプリを通じて、iTunesカードやGooglePlayギフトカードなどの報酬と引き換えに、ユーザーに他のアプリをダウンロードさせる広告手法であった。リワード広告を利用したアプリは実際に使われている実態がなくてもランキングが上昇してしまうため、人気のアプリを探しているユーザーの利便性を損ねること、実際よりもアプリを良く見せる優良誤認の可能性を指摘されており、グレーゾーンにあるものだった。しかし、確実な効果が見込めるため多くのスマホゲームに利用されていた。
2014年ごろからプラットフォーム側の対策が強くなっていき、2015年には『モンスターストライク』のオーブと引き換えにリワード広告を行う『モンスト攻略』アプリ(当時、上場を控えていたAppBank株式会社の柱事業として設定されていた大手リワード広告だった)がリワード終了を宣言し、次第に下火となっていった。
解説:寺島壽久
NHN Japan、ネイバージャパン、ライブドアの3社が経営統合
『ファイナルファンタジー ブリゲイド』(『ファイナルファンタジー ブリゲイド ブレイク ザ シール』)
スクウェア・エニックス
『パズル&ドラゴンズ』がヒットする
『パズドラ』が発明した「ゲリラダンジョン」と「詫び石」
「特定の時間にゲームを起動すると、特別なアイテムが手に入る挑戦ができる「ゲリラダンジョン」というゲームのサービス形式も多くのスマートフォンゲームに見られるようになったが、これを発明したのは『パズル&ドラゴンズ』である。
また、「詫び石」を普及させる発端を作ったのも『パズル&ドラゴンズ』である。『パズル&ドラゴンズ』では、サーバー障害などが原因でゲームプレイができなくなったことへのユーザー補填として、ゲーム内で使えるアイテム「魔法石」を全ユーザーへに配布している。転じて、他のゲームでも、障害に対する補填を「詫び石」と呼ぶようになった。『パズル&ドラゴンズ』以降、国内発のゲームでは障害発生の補填としての「詫び石」配布は常識となっている。」
脇俊済「iPhoneアプリのヒット動向」51頁
スマホ時代の『ドラコレ』とも言える『パズドラ』
『パズル&ドラゴンズ』は、『ドラゴンコレクション』で確立されたガチャバトルゲームをスマホの文法にのっとって進化させた、スマホ時代の『ドラゴンコレクション』とも言える作品だった。
当時、「ソーシャルゲームに複雑なゲームは必要ない」という言説もあったが、『パズドラ』のヒットで趨勢が変わり、ガチャ+育成+パズルなどを採用したバトルRPGというフォーマットのゲームが急速に増えていく。
また、曜日ダンジョン、ゲリラダンジョンといったスマホゲームでは今や定番と化したイベント運営手法も生み出し、これも模倣されていった。
解説:寺島壽久
『探検ドリランド』カード増殖バグによるRMT騒動
『探検ドリランド』においてカードを無限に複製できてしまうバグが発見され、増やしたレアカードをYahoo!オークション(現・ヤフオク!)などで販売するRMTが行われていた。規約で禁止されていたRMTが大手を振って行われていたことで、新聞などで大きく取り上げられた。この騒動により、ソーシャルゲームへの風当たりは強くなり、コンプガチャにスポットライトが当たっていく。*186
ソーシャルゲームへの高額課金が社会問題に
ソーシャルゲーム大手6社(NHN Japan、グリー、サイバーエージェント、DeNA、ドワンゴ、ミクシィ)は「ソーシャルゲームの利用環境向上等に関する連絡協議会」を設置。自主規制案の検討(青少年ユーザーの月額1万円以下)などを進める
Google、「Android Market」を「Google Play」へ改名*187
『CHAOS RINGS II』
スクウェア・エニックス、メディア・ビジョン
かつて15か国で1位を獲得したシリーズ最新作『CHAOS RINGS II』でさえランキング1位を取ることができず、有料アプリビジネスが厳しくなっていることを見せつけた。このとき、同作のプロデューサーであった安藤武博氏は「”基本無料+都度課金(いわゆるF2P)”の流れは止められないにせよ、一瞬でも1位は取れると思っていました。この一件は、“ものの売り方”について、今まで以上に考えさせられる良い機会となりました。」と語っている。*188
DeNA、「Mobage」における青少年ユーザの月額課金制限を追加導入
一線を画す豪華さを見せつけた『ミリオンアーサー』
システムとしては『ドラゴンコレクション』系のカードゲームそのものであったが、それまでのものとは一線を画す豪華さで、スマホの表現力を見せつけてヒットを飛ばした。
それまでのゲームはフィーチャーフォン由来の小さいサイズのイラストが多かったが、『ミリオンアーサー』はスマホサイズに最適化されたカードイラストをもち、キャラクターボイス再生にも対応していた(当時のブラウザゲームにおいてボイス再生は最新技術であり、『アイドルマスター シンデレラガールズ』にも実装されていなかった)。
シナリオにライトノベル作家の鎌池和馬(『とある魔術の禁書目録』など)、テーマ曲にヒャダインを起用するなど、豪華なキャスティングも話題となった。
解説:寺島壽久
『キャンディークラッシュ(Candy Crush Saga)』
King
『パズドラ』系がヒットを飛ばす日本において、『キャンディークラッシュ』が海外と同じくヒットするかどうかは未知数な部分があった。しかし、日本向けの正式サービスが始まると、大規模な宣伝と粘り強いネット広告の出稿でユーザーを獲得し、熱中度の高いゲーム内容が受け入れられ、日本でもヒット作品となった。*190
KLab、東京証券取引所市場第一部に市場変更
『パズル&ドラゴンズ』で初めて「詫び石」が配布される
『パズドラ』で発生した大きなシステム障害のお詫びとして、有料アイテムの「魔法石」が配布された。このことから、運営側の障害や不手際に対してのお詫びとしての有料アイテム配布を指して、「詫び石」と呼ぶようになった。有料アイテムが一般的でなかった当時は、「詫び石を配ったら(有料アイテムを使う練習ができて)売り上げが上がった」などの副次的な効果も生まれ、開発側のみならずユーザー側にも「詫び石」の概念は普及し、現代にいたる。*191
『Subway Surfers』
Kiloo, SYBO Games
左右の傾け操作で走っていたランゲームに、スワイプによるレーン移動を導入して爆発的にヒットした。2017年には世界で最もダウンロードされたアプリとなり、映画化も決まっている。*192
『Plague Inc. -伝染病株式会社-』
Ndemic Creations
架空の伝染病を作り、人為的な進化を加えることで毒性を強化しつつ繁殖させ、人類を滅亡させるゲーム。疫学に基づくリアルなシミュレーションとゲームの面白さが評価されてヒットした。 日本語に対応した後は、病気に面白い病名をつけてスクリーンショットを撮ることでTwitterを中心にバズを生み、日本でもヒットした。*193
『ぐんまのやぼう』
RucKyGAMES
スマホ初期のアプリ開発においては、個人の開発者がフットワークの軽さを発揮し、特徴的なアプリを発表して話題になった。『ぐんまのやぼう』を開発したRucKyGamesは刺身にたんぽぽを乗せる内職をする『i刺身』などのユニークなアプリで脚光を浴びていたが、本アプリは特に話題となり、後にアプリがきっかけとなりぐんま観光特使に任命される。*194
© RucKyGAMES*195
消費者庁、「コンプガチャ」に対して景品表示法に違反するとの見解を出す予定であると発表
消費者庁、「オンラインゲームの「コンプガチャ」と景品表示法の景品規制について 」公表*196
コンプガチャは「景品表示法が禁止する絵合わせに該当する」と指摘したが、通常課金のガチャには景品規制は及ばないとの見解を示した。*197
消費者庁の発表が及ぼした影響
「これにより、ガラケーでのソーシャルゲーム事業の大きな収益源が断たれるとともに、特に従来型のパッケージゲームのファンなどに顕著だった「こんなアコギな商法はゲームの名に値しない」といったタイプの批判に拍車がかかり、“ソーシャル”の呼称を持つこのジャンルの社会的信用もまた大きく損なわれる事態となった。」
中川大地『現代ゲーム全史 文明の遊戯史観から』474-476頁
グリー、E3に初出展
『ヘイ・デイ』
Supercell
種をまいて時間を待って収穫し、お金を稼いで新しい作物を得る農園系ゲームに対し、作物でも金でもなく農園自体を拡張するリソースを集める仕組み、スマホに最適化された気持ちいい収穫の操作、他のプレイヤーとのトレードなど新しい仕組みが導入されてヒットを飛ばし、その後の農園系ゲームが『ヘイ・デイ』の仕組みを模倣するほどに影響力を持った。 洗練されたシステムゆえか、『Simcity Build it!』、『どうぶつの森 ポケットキャンプ』など、農園系とは異なるジャンルでも『ヘイ・デイ』のシステムが採用されるケースも。*198
『Dead Trigger』
Madfinger Games
ハイクオリティなシューターとして注目を集めるが、Android版リリースの際に「驚くほど高い違法コピー率」の対策として基本無料化した。当時はゲーム名で検索すると最初に違法コピーサイトが出てくるほどの惨状だった。*199
Adobe、FlashのAndroidサポートから撤退
AdobeはFlashをスマホ向けにも提供していたが、PCブラウザ版と比べて大きく機能が劣り、次第にネイティブアプリが主流になっていった。また、iOS端末で動かないこともこの判断を後押ししたといわれ、当時のネットメディアでは「ジョブズ(Apple)がFlashを殺した」とまで言われた。*200
『CSR RACING』
NaturalMotion Games、Boss Alien Ltd
レースゲームと言えば、加速、減速に複雑なコーナリングをこなすものだったが、『CSR』はスタートとギアアップのタイミングだけを指示する簡易操作のレースゲームとして世界でヒットした。後に日本でも『ドリフトスピリッツ』などのフォロワーを生み出していく。*201
LINEがプラットフォーム化、「LINE GAME」を提供開始
『探検ドリランド』がアニメ化
『パズル&ドラゴンズ』が「CEDEC AWARDS 2012」最優秀賞を受賞
『クラッシュ・オブ・クラン』がヒットする
『クラッシュ・オブ・クラン』は、スマホゲームで人気のタワーディフェンスを対戦オンラインゲームに取り込み、ステージ(村)を作る側と、攻める側の両方をプレイヤーにゆだねる画期的な仕組みを持っていた。これを高い完成度に仕上げたことでヒットし、『クラクラ』系と呼ばれるジャンルを作り出した。当初はよだれを垂らした野蛮人がアイコンのビジュアルを見て、ヒットは難しいと予測する者も多かったが、元来の面白さ、AppBankによる動画効果などによって大ヒットに至った。*202
© 2012 Supercell*203
『クラッシュ・オブ・クラン』
Supercell
『ダービーオーナーズクラブ モバイル』
セガゲームス
コロプラ、東京ゲームショウ2012に初出展
『空気読み。』
ジー・モード
グリー、ポケラボを子会社化
グリー、FlashをUnityやHTML5に変換するソフト「Lightweight SWF(LWF)」を提供開始*205
『ガールフレンド(仮)』
サイバーエージェント
キャッチコピーは「耳で萌える学園恋愛ゲーム!」。Amebaプラットフォームのキラーコンテンツとして登場し、魅力的なイラストと共に、声優・ボイス機能が最新機能であった時代の流れを活かしてヒットした。*206
『ロード・トゥ・ドラゴン』
アクワイア
一般社団法人ソーシャルゲーム協会(JASGA)が設立
コンプガチャ騒動を受け、自主規制や青少年等に対する啓発活動を目的とする*207
『にゃんこ大戦争』
ポノス
これまでもポノスはスマホ上で類似システムのタワーディフェンスをリリースしていたが、『にゃんこ大戦争』は奇妙なキャラクターによって話題になり、大ヒット作品となった。 また、ガチャシステムを導入しており、長期運営が可能なタイトルとなっていた。*208
© PONOS Corp.*209
『ケリ姫スイーツ』
ガンホー・オンライン・エンターテイメント
『LINE POP』
LINE
LINEゲームの本格的なヒット作。その秘密は、LINEユーザー同士でライフをプレゼントすることによる、SNSでの拡散にあった。友達にライフのプレゼントを頼まれ、アプリをインストールして一緒に遊んでいくFacebook初期のソーシャルゲーム同様の広がり方が再現された。*210
© LINE Corporation*211
『ドラゴンコインズ』
セガネットワークス
NTTドコモ、「dゲーム」でソーシャルゲームプラットフォーマーに
大手携帯電話会社であるNTTドコモが直接プラットフォーマーになることは驚きをもって迎えられたが、App Store、Google Playという大きな出口を抑えられた状況で大きく発展することはなかった。*212
『クイズ Answer×Answer Pocket』
セガネットワークス
2013
『モンスト』の大ヒット。ブラウザからアプリの時代へ
『パズドラ』やLINEゲームのヒットが続くなか、ミクシィの『モンスターストライク』(『モンスト』)が大ヒットを記録。モバイルゲームの主流は、モバゲーやグリーなどのSNSプラットフォームからブラウザ上で動作する形態から、スマートフォンのネイティブアプリへと切り替わっていった。
スマートフォンのモバイルコンテンツの市場規模が、初めてフィーチャーフォン市場を逆転*213
iPhoneアプリ市場が月商100億円を超える
『パズドラ』とLINE Gameがその売り上げの8割以上を占めた。*214
フリーミアムモデルがユーザーに浸透
数年前には散見されたフリーミアム型のアプリに対する低評価や否定的なレビューはまず見られなくなった。*215
スマホの高性能化に比例した開発費の高騰
「ガラケー時代は「1本数百万円で数十本つくって、1本当てたら濡れてに粟」というビジネスでよかったのが、スマホ時代には「1本数千万円かかるので、それぞれのタイトルを丁寧にプロモーションしてヒット作に育てる」ことが必要になった。実際、スマホのネイティブアプリによる初の大ヒットタイトルである「パズル&ドラゴンズ」のようなゲームの開発費は4,500万程度と言われており(『アスキークラウド』, 第2号, 2013年)、これはPSP向けのゲームと比べてもあまり違いがない。」
小山友介『日本デジタルゲーム産業史 ファミコン以前からスマホゲームまで』336頁
LINE登録ユーザーが世界で1億人を突破する*216
『ドラコレ&ポーカー』
コナミデジタルエンタテインメント
黎明期の大人気ゲーム『Sword & Poker』と、フィーチャーフォンのヒットタイトル『ドラゴンコレクション』のコラボタイトル。注目の中で登場したが、ヒットしなかった。*217
『神獄のヴァルハラゲート』
グラニ
ガンホー、グラスホッパー・マニュファクチュアを子会社化
『アイドルマスター ミリオンライブ!』
バンダイナムコエンターテインメント
『Real Racing 3』
Firemonkeys Studios
美しいグラフィックだけでなく、有料ゲームシリーズが基本無料化する流れによって話題となった。 また、『Real Racing』2作目までの開発元Firemintはエレクトニック・アーツに買収されIronMonkeys Studioと合併し、Firemonkeys Studiosと名を変えて再編された。このようにして有料ゲーム開発メーカーの再編が始まりつつあった。*218
コロプラ、ソーシャルゲームインフォを子会社化
『パズル&ドラゴンズ』が累計1000万ダウンロードを達成
ガンホー、時価総額でDeNAを上回る
終値ベースの時価総額は4323億円となり、DeNAの3737億円を抜いた。グリーの2619億円、スクウェア・エニックス・ホールディングスの1246億円などを大きく上回った。*219
『クイズRPG 魔法使いと黒猫のウィズ』
コロプラ
©COLOPL, Inc.
LINE GAMEで提供している16タイトルで累計1億ダウンロードを突破
『ときめきレストラン☆☆☆』
コナミ
NHN Japan、LINE株式会社に商号変更
『Vainglory』
Super Evil Megacorp
PCで流行しているMOBAを、群を抜くクオリティでスマホ向けに作り上げ、Appleのイベントで紹介されて華々しくデビューを飾った。当初は日本でもeスポーツタイトルとして注目を浴び、eスポーツ大会の大手「RAGE」の第1回の種目として採用された。*220
『戦国炎舞 -KIZNA-』
サムザップ
『ラブライブ! スクールアイドルフェスティバル』
KLab・ブシロード
能力よりもキャラでガチャを成立させた『スクフェス』
人気アニメを題材としたリズムゲームとして注目を浴びただけでなく、すでに有料ジャンルで人気を誇っていたリズムゲームのプレイが実質的に無料化されていることも本作の特徴だった。
多くのゲームではレアなガチャキャラの入手・長期育成をしなければ終盤のステージや高難度コンテンツ(音ゲーでは楽曲の制限や難易度に相当すると考えられる)にアクセスできなかったが、『スクフェス』ではある程度の能力を持つカードと腕前があればすべての曲がクリア可能で、ゲームプレイにおける課金の必要性は低かった。
それにもかかわらずガチャのセールスは伸びた。これは『ドラゴンコレクション』型の能力を売る商売から脱し、『FGO』や『アズールレーン』に引き継がれるキャラクター人気中心型の商売も成り立つことを示したと言える。
解説:寺島壽久
「釣りゲーム」訴訟問題で、最高裁判所にてグリーの上告が棄却される。*221
『艦隊これくしょん -艦これ-』がヒットする
当初はPCブラウザ版(Flash)のみのサービスであったが、2016年にはAndroid版がリリース、2018年にはHTML5化され、スマートフォンでもプレイできるようになった。
キャラクターの喪失が話題を呼んだ『艦これ』
『ドラゴンコレクション』以降、基本無料ゲームではガチャから手に入れたキャラクターが永遠に残ることが常識になっていたが、『艦これ』ではキャラクターが戦闘で倒れると消えることがあった。そのことがSNSでバズを生み、ヒットの一因となった。
また、ガチャを「建造」というゲーム内資源を使う方式に変更し、ある程度プレイすればプレイヤーが通常キャラをコンプリートすることが可能だった。そのため、アンチガチャのキャラクターゲームとして高い支持を集めた。
解説:寺島壽久
『ぷよぷよ!!クエスト』
セガネットワークス(現・セガゲームス)
ガンホーの時価総額が一時1兆円を超える*223
ガンホーの時価総額が任天堂を超える
午前終値ベースの時価総額は1兆5455億円となり、任天堂の1兆5342億円を上回った。*224
『Flappy Bird』
dotGears
画面タッチで鳥をはばたかせ、土管を避けて前に進むだけのアクションゲームだが、恐ろしく難易度が高いことが話題になって世界中でヒットした。 単純にヒットしただけでなく、短時間で終わる熱中度の高いゲームを遊ばせ、プレイの合間に広告を挟むスタイルは収益性が高く、その後にこれをモデルにした「ハイパーカジュアル」と呼ばれるゲームジャンルを生み出した。*225
『怪盗グルーのミニオンラッシュ』
ゲームロフト
『ブレイブ フロンティア』
エイリム
ドット絵のキャラクターを採用し、メインストーリーが存在する本格RPGとして注目を浴び、ヒット作品に。予想以上のヒットのため7月3日のリリース後からアクセスが難しくなり、7月8日から7月16日までの長期メンテナンスを行ってから再度サービスを再開した。*226
『Game of War』
MZ
『NET麻雀 MJモバイル』
セガ
『チェインクロニクル』
セガネットワークス(現・セガゲームス)
© SEGA
シナリオ重視型ゲームの可能性を示した『チェンクロ』
「(とくに男性向けの)ソーシャルゲームでシナリオに力を入れても売上につながりづらい」と言われる中で、『チェインクロニクル』はシナリオを売りにヒットを飛ばした。
ゲーム内容、シナリオが良かったことはもちろんだが、レアリティの低いキャラクターにも高レアリティ帯のキャラクターと同等の個別ストーリーやイラストを用意(当時はレアリティが低いキャラクターのイラストの質が劣っていたり、個別ストーリーがないことは普通だった)したことは当時としては画期的だった。
シナリオを通じて人気となった低レアキャラクターが高いレアリティで再登場するなど、ヒットタイトルでキャラクターの物語が売り上げにつながったことも含めて、シナリオ重視型ゲームの可能性を示した。これは『FGO』などの後続タイトルに大きな影響を与えた。
解説:寺島壽久
『アヴァベルオンライン』
アソビモ
それまでMMORPGが強かったアソビモの中でもハイレベルなグラフィックに加え、ギルドバトルなどの対人戦に力を入れた野心作。その後に流行するスマホ向けの高クオリティMMORPG+ギルドバトルをいち早く取り入れてヒットした。*227
『星宝転生ジュエルセイバー』、サービス終了後に素材フリー化宣言
サービス終了したアプリゲームは跡形もなく消えることが常であったが、『ジュエルセイバー』ではプレイ可能な状態でシナリオを全てウェブに公開し、イラストについても許諾が取れたものは他のゲームに利用できる「フリー化」宣言を行って話題となった。なお、2019年に公式ウェブサイトは消滅し、閲覧できなくなってしまっている。*228
『ニキの愛されコーデ』
Papergames
『テトリスモンスター』
エレクトロニック・アーツ
『麻雀格闘倶楽部Sp』
コナミデジタルエンタテインメント
NTTドコモ、iPhoneを販売開始*229
『ディバインゲート』
ガンホー・オンライン・エンターテイメント、アクワイア
『パズル&ドラゴンズ』が累計2000万ダウンロードを達成
『モンスターストライク』がヒットする
『モンスターストライク』
ミクシィ
© XFLAG
マルチプレイ推しが成功を収めた『モンスト』
SNSの一時代を築いたミクシィが突如ゲーム界に現れ、リリースしたアクションRPGが本作。2013年は未だ『パズドラ』一強の時代であり、そのなかで『モンスト』が大ヒットできた理由のひとつには、マルチプレイを非常に推してくるゲームシステムがあったといえる。
配信当時、『パズドラ』を含めてまだひとりで遊ぶことも多かったスマホゲームのなかで、スマホを持ち寄って最大4人で遊べる機能は新鮮さがあった。それだけではなく、マルチプレイだと報酬を多く貰えたり、「マルチ専用クエスト」に挑めたりと、とにかくソロよりマルチでプレイすることの恩恵が大きかった。
なお、マルチプレイを推奨するものの、配信から6年が経った2019年現在でも頑なにランダムマッチ(不特定多数とのプレイ)を採用せず、あくまで“知り合い同士”で遊ぶことを大切にしている辺り、SNSを運営するミクシィらしいプレイスタイルを貫いているのだと考えられる。
解説:Balsamico
ソフトバンクとガンホー、15.3億ドル(約1515億円)でSupercellを買収
アップル、iOSアプリの価格改定を行う。最低価格が85円から100円に。
App Store価格改定の影響
「もともと、App Store内での価格設定はアップルが用意している価格表から選択する方式のため、その価格表が改定されれば、それにしたがってApp Store内で販売しているものすべてが変更される。加えて、いくらのものがいくらに変更されるのかといった内容や、変更される時刻についての事前告知がなされていなかったため、価格改定後に現実に即してアプリ内での価格表記を書き換えるなどの作業に追われたアプリ企業も多かったという。」
澤紫臣「スマートフォンゲームアプリの動向と展望」66頁
『古の女神と宝石の射手』
コパン
『ドリフトスピリッツ』
バンダイナムコエンターテインメント
『ぷよぷよ!!クエスト アーケード』、サービス開始。スマホタイトルのアーケード輸入が始まる
時間で元気(スタミナ)が回復し、元気があれば無料でプレイできる基本無料形式でアーケードに設置されて話題となった。この頃からスマホからアーケードへの輸出が始まり、2014年4月には『パズドラ バトルトーナメント』、2015年3月には『モンスターストライク MULTI BURST』など、スマホで人気を博したタイトルが続々とアーケードに参入していく。*230
『オーシャンホーン – 未知の海にひそむかい物』
Cornfox & Bros.
『Deemo』
Rayark
Rayarkの代表作となるリズムゲーム。当時、物語が重視されなかったリズムゲームにおいて、世界観と物語を前面に押し出し、リズムゲームを遊ぶほどに物語が進むという点はスマホゲームでは画期的だった。 安価な本体価格に反した曲数の多さ、『FF』の植松伸夫など有名クリエイターが楽曲を提供することでも話題となった。*231
ドワンゴ、MAGES.を完全子会社化
『ドラゴンクエストVIII 空と海と大地と呪われし姫君』
スクウェア・エニックス
この頃のスマホゲームのグラフィックは携帯ゲーム機レベルの作品が多かったが、PS2の大作RPGを移植したことで、その技術力の高さを印象付けた。*232
『ボーイフレンド(仮)』
サイバーエージェント
ネタに振り切った広告が話題を呼んだ『ボーイフレンド(仮)』
前年にリリースされた『ガールフレンド(仮)』の兄弟作品。ゲームエンジンは同様のものを使用しており、システムも共通する部分が多い。2013年当時は完全新作の女性向け恋愛シュミレーションゲームが目新しかったこともあり、大きな反響があった。
また、2014年ごろに展開された
「野菜がキライだから俺と別れたのか? すまないがベジタリアン以外は帰ってくれ」
「緑髪で眼鏡だからバスケで3P打てると思ったら大間違いだ!」
といったネタ要素に振り切った広告展開でも話題を集めた。
2016年にはリズムゲーム『ボーイフレンド(仮)きらめきノート』をリリース、惜しまれつつも2019年6月24日にサービスを終了した。本家『ボーイフレンド(仮)』は2018年3月ごろから更新をストップしているものの、サービスを継続しており、いつでも藤城学園に帰ることができる。
解説:あまいろ
『剣と魔法のログレス いにしえの女神』
マーベラスAQL
もとはPCのブラウザMMORPGゲームであったが、これをスマホ向けに作り直してヒットした。 スタミナなしに好きなだけ遊べて、簡易フィールドに大勢が集まり、チャットしながら協力バトルが楽しめる構造が受け入れられた。*234
2014
モバイルゲームの多様化が進む。「事前登録」方式の登場
『パズドラ』の登場以降、「ボタンをタップするだけ」やスタミナ制。ガチャといった枠組みから離れて、「手触り」感の追求や、シンプルさへのカウンターとしての「王道」や「正統派」を謳うゲームが多くリリースされ、モバイルゲームの多様化が進んだ。また、リリース前にユーザー登録をしておくと正式スタート時にゲーム内の特典がもらえる「事前登録」方式が広まり始めた。*235
スマホゲームの“広告メディア化”戦略
「100万ダウンロードされるような大作オンラインゲーム1本を数十人がかりで作るのは相当に大変なことであるが、5000ダウンロードされるミニゲーム200種類を10人くらいで作っていこう、というのは現実的に思い描ける範囲ではないだろうか。そうやってできたアプリは、作り続け、リリースし続けることで、単体のゲームではなく全体として「広告メディア」と呼べる規模になっていく。
こういった過程で生み出されたゲームは、トップセールスランキングに現れず、そこそこの話題性があれば、無料ランキングの上位に時折顔を出すことになる。また、一度それなりのダウンロード数を得たゲームは、グラフィックや世界観をすげ替えて、別の新しいゲームとしてリリースされる。この繰り返しで、着々とエンドユーザーのスマホのホーム画面にアイコンを増やしていくのである。なかなか観測しづらいが、これもスマホゲームビジネスならではの手法といえる。」
澤紫臣「2014年のスマホゲーム市場の概況」56頁
「事前登録」方式の登場
「最近目立つようになったのが「事前登録」と呼ばれる手法である。プレイヤーがゲームのリリース前にサイト上でユーザー登録(メールアドレスの入力が一般的である)をしておくと、後にゲームをスタートした際、事前登録と同時に発行されたコード番号などを用いてゲーム内の特典を受け取れるという仕組みである。事前登録というのは、コンソール機のパッケージゲームにおける購入予約に近いもので、事前情報からゲーム内容を想像できるようなゲームに慣れた層を対象としているコンテンツや、そうでなくとも、単純に見た目がリッチであったり著名IPを使用していたりというような、ゲーム内容を想像できなくても期待を持たせることができるコンテンツに有効だといえる。こういった手法が可能になったのも、目の肥えたプレイヤーにも受け入れられるゲームがスマートフォンアプリとして登場するようになったことの証左といえるだろう。」
澤紫臣「スマートフォンゲームアプリの動向と展望」67頁
フィーチャーフォン・スマートフォンゲームをあわせた国内の市場規模は9,000億円を突破*236
『LINE POP』が世界累計4000万ダウンロードを突破*237
『ドラゴンクエストモンスターズ スーパーライト』
スクウェア・エニックス、Cygames
レアリティ別のガチャ排出率表記への風潮が強まる
2012年にソーシャルゲームプラットフォーム事業者6社協議が開かれた後、グリーやモバゲーなど日本のプラットフォームではガチャにおけるレアリティ別の排出率表記が義務化されていたが、Apple・Googleのプラットフォームの消費者保護は遅れており、スマホアプリでの確率表記は一般的ではなく、ユーザーの間には排出率表記を求める声があった。そういった声は、ガチャ排出率にまつわる具体的なトラブルをきっかけに、さらに強まり続け、2014年頃からスマホアプリでもレアリティ別のガチャ排出率表記を行うものが増えていった。*238
『LINE:ディズニー ツムツム』がヒットする
『LINE:ディズニー ツムツム』
開発 NHN PlayArt 運営 LINE
©Disney ©Disney/Pixar
『ダンジョンキーパー』
エレクトロニック・アーツ
悪の魔術師となって正義の勇者を迎撃するPCゲーム『ダンジョンキーパー』が『クラクラ』型の対戦ゲームになって登場したが、PC版のファンが課金システムに対して抗議し、炎上。日本で発生した課金にまつわる問題が、海外でも同じように発生し始めていた。*239
グリー、Wright Flyer Studiosを設立
『Threes!』
Sirvo
インディー発のヒットパズルゲーム。スワイプの気持ち良さとパズルの手ごたえが絶妙にマッチしていた。リリース後まもなく『2048』という無料の類似アプリが登場してヒットしたことに作者が言及し、「アイデア勝負のインディーゲームのコピーは是か非か」と、大きく話題になった。*240
『サモンズボード』
ガンホー・オンライン・エンターテイメント
『LIMBO』
Playdead
『アイドルマスター SideM』
バンダイナムコゲームス
ONE-UP、旧ジー・モードと合併し株式会社ジー・モードに社名を変更
『グランブルーファンタジー』がヒットする
『ハースストーン』
ブリザード・エンターテイメント
初期はPCのみだったが、スマホに移植してからさらに大きくユーザーを伸ばした。スマホに合わせてゲームを作るのではなく、PCで人気が出たオンラインゲームをそのままの内容でスマホに移植する成功例となった。*242
コロプラ、東京証券取引所市場第一部に市場変更
LINEの登録ユーザー数が世界で4億人を突破*243
『スクールガールストライカーズ』
スクウェア・エニックス
『パズドラ』のヒット以来、パズル・アクションゲーム+ガチャという形式のゲームが増えていたが、『スクールガールストライカーズ』はスマホの性能を活かした3Dキャラクター表現・着せ替えを活かした、クラシックスタイルな『ドラゴンコレクション』系ゲームの進化系として作られ、ヒットを飛ばした。*245
マイネット、他社ソシャゲを買い取り運営するグロース事業を開始
ソーシャルゲームが増える中で、収益はあっても伸び悩むゲームも増え、メーカーの開発資源を圧迫していた。マイネットはそんなソーシャルゲームを買い取り、自社のノウハウによって伸ばすグロース事業を開始する。グロース事業はゲームを終了まで運営するものと、アプリを成長させて大きな収益を目指す再生事業の2つがあったが、2019年8月に再生事業については完全に撤退を表明した。*246
『World of Tanks Blitz 』
Wargaming.net
ドワンゴ、KADOKAWAと経営統合を発表*248
『ONE PIECEトレジャークルーズ』
バンダイナムコゲームス
『消滅都市』
Wright Flyer Studios
GREEの事業再編の結果登場したWright Flyer Studios(現:WFS)の作品として注目を浴びた。 その世界観・物語性で話題になったが、スマホで爆発的な人気を得たランゲームと日本的なガチャシステムを組み合わせた手法も見事だった。*249
『生きろ!マンボウ!-3億匹の仲間はみな死んだ-』
SELECT BUTTON
『サマナーズウォー:Sky Arena』
Com2uS
育成・オートバトル・ギルドバトル系RPGの大ヒット作であり、日本でも息の長いヒット作となった。 韓国では似たシステムの作品が複数存在し、それらの一部は日本でも登場していたが、同じモンスターのレア度を上げ続けられる(先行した『ハローヒーロー』などはレア度を上げるとモンスターもレア度が高いモンスターからランダムに選ばれて変化してしまっていた)など、日本でも受け入れられやすい内容となっていた。*250
『にゃんこ大戦争』が1000万ダウンロードを突破*251
セガネットワークスとgumi、資本業務提携契約を締結*252
『白猫プロジェクト』がヒットする
ガチャに依存せず楽しめた『白猫プロジェクト』
美しいグラフィック、コンシューマを意識した演出のアクションの手ごたえ、スライド操作に対して「ぷにコン」という名前を付けてわかりやすく広めたこと、スタミナの廃止などでたちまち人気となった。
それまでも『聖剣伝説 RISE of MANA』など、ガチャを組み合わせたアクションRPGは登場していたが、ガチャから強力なアイテムが出ないと早々に行き詰まり、アクションを楽しむどころではなくなっていた。
ところが『白猫プロジェクト』ではメインストーリーのハードルは低く抑えられており、少なくともリリース当初は多くのプレイヤーがアクションゲームとして楽しめる作りだった。
解説:寺島壽久
『白猫プロジェクト』
コロプラ
©COLOPL, Inc.
『モンスターストライク』が1000万ダウンロードを突破*253
『モダンコンバット5:Blackout』
ゲームロフト
スマホ黎明期から有料買い切り型ゲームとして最大級の人気を得ていた『モダンコンバット』シリーズが基本無料化して賛否両論が巻き起こる。しかし、ゲームロフトは有料ゲームの開発終了を宣言し、本作から完全に基本無料ゲームだけを開発するようになる。*254
Amazon、Fire Phoneを発売
Amazonが独自のAndroidスマートフォンを発売し、市場の囲い込みを図った。Amazonのサービスとの連携に加え、Amazon Game Studioを設立してAmazon Appstore専用のゲーム群を開発・提供していたが、端末自体の性能が低いこと、アプリがキラータイトルとなりえなかったことなどもあり、Fire Phoneは失敗してしまう。*255
『パズル&ドラゴンズ』の累計ダウンロード数が3000万を突破*256
LINE、gumiと資本業務提携
『白猫プロジェクト』が1000万ダウンロードを突破*257
『ファイナルファンタジー レコードキーパー』
スクウェア・エニックス、DeNA
スクウェア・エニックス、サービス終了後でも遊べるアプリを提供
オンラインゲーム『GUNS N’ SOULS』のサービス終了後、アプリがオフラインで遊べるように修正して公開された。2017年ごろからサービス終了後も遊ぶことができるファンサービスアプリは増えていくが、スクエニは2014年からサービス終了を見据えてファンに残るものを提供する方向に向かっていた。アプリとしては、これが最初期のものとなる。*258
『テラバトル』
ミストウォーカー
『ねこあつめ』
Hit-Point
家の庭先にグッズを置くと、それに呼び寄せられたネコがやってくる放置ゲーム。シンプルだが、その可愛さが話題となってじわじわとダウンロード数を伸ばし、最終的に日本のみならず海外でも人気を得て、2016年には1,500万ダウンロードを突破した。*259
© Hit-Point Co.,Ltd.*260
『ファントム オブ キル』
Fuji&gumi Games
『パズル&ドラゴンズ』の世界累計ダウンロード数が4000万を突破*261
『白猫プロジェクト』が2000万ダウンロードを突破*262
『乖離性ミリオンアーサー』
スクウェア・エニックス
『クロッシーロード』
Hipster Whale
スクウェア・エニックス、クラウドストリーミングサービス『DIVE IN』を開始
クラウド技術「Gクラスタ」を利用し、スマートフォンで『FFXIII』などを遊ぶことができた。先進的な取り組みではあったが、2015年9月13日にサービスは終了となる。*264
『SimCity BuildIt』
エレクトロニック・アーツ、マクシス
『実況パワフルプロ野球』
コナミ
2015
任天堂、DeNAと業務提携。スマホゲーム市場参入を表明
スマホゲーム進出に慎重だった任天堂が、DeNAと提携し業界に参入し、反響を呼んだ。任天堂は人気IPを活かしたゲームの開発を主導し、DeNAは顧客の利用状況の分析や、モバイルWebサービスの構築・運営などを手掛ける。*265
モバイルゲーム市場が飽和する兆しを見せる
スマホゲームユーザーの伸びが2015年後期から鈍化傾向に(ゲームエイジ総研調べ)。*266
『Tap Titans』
Game Hive
いわゆるクリッカー系ゲームをスマホの基本無料RPGとして取り入れた記念碑的作品。これ以後、クリッカー系ゲームには転生システム(前回より強い状態で最初のステージからやり直す仕組み。いわゆる「強くてニューゲーム」を繰り返す)が軒並み導入されることになる。*267
ネット上の口コミで話題となった『Q』
「ダウンロードランキングで3位となった『Q』はネット上での口コミで話題性を高め、新規のパズルゲームながら、わずか1週間足らずでiOS・Google Play合算で100万ダウンロードを達成した。その後も順調にダウンロード数を伸ばし、合算800万ダウンロードを突破している。」
『2016 ゲーム産業白書』メディアクリエイト、2016年、200頁
『ドラゴンボールZ ドッカンバトル』がヒットする
リリース後に世界7か国でセールス1位を獲得。『ドラゴンボール』のアニメそのもののキャラクターがスマホ上で動くのは衝撃的であった。2019年8月30日には世界3億DLを突破し、日本的なガチャビジネスが世界で通じないという説を否定する実績を残している。*269
『ドラゴンボールZ ドッカンバトル』
バンダイナムコエンターテインメント
© バードスタジオ/集英社・フジテレビ・東映アニメーション
© BANDAI NAMCO Entertainment Inc.
『プリンセスコネクト!』
Cygames、Ameba
『城とドラゴン』
アソビズム
任天堂、DeNAと業務提携を発表。スマホゲーム市場参入を表明。*270
「フリー・トゥ・プレイ」ではなく「フリー・トゥ・スタート」
「従来、任天堂はモバイルプラットフォームへのゲーム提供はしておらず、安易にIPをスマートデバイスへ出すことでそれを毀損するような方策は取らずにきていた。その意味では大きな方向転換ではないかと考えられる。
また、発表に際しては「フリー・トゥ・プレイ」(基本無料でアイテム課金型のビジネスモデルを指すことが多い)ではなく、「フリー・トゥ・スタート」というこだわった呼び方をしていた点でも、今後も既存の著名ゲームをスマホなどに移植してビジネスモデルを変えるだけ、というような方向にはならないと予測できる。」
澤紫臣「2014年のスマホゲーム市場の概況」58頁
マーベラス、ジー・モードを子会社化
『モンスターストライク』の好調で、ミクシィの四半期売上高がガンホーとDeNAを上回る*271
一般社団法人ソーシャルゲーム協会(JASGA)、CESAに吸収され消滅。
『ゴシックは魔法乙女』
ケイブ
それまでの基本無料シューティングでは、敵を倒すための攻撃力などに課金する仕組みで、弱い状態ではステージをクリアできなかった。しかし、『ゴシックは魔法乙女』では腕前さえあればステージはクリアでき、課金はスコアにのみ影響するものとなっていた(『スクフェス』のリズムパートと同じ構造)。*272
アップル、iOSアプリの価格改定を行う。最低価格が100円から120円に。
DMMゲームストアがサービス開始
DMMのAndroidゲームマーケット(現・DMM GAMESストア)。スマートフォンで『艦これ』が提供される唯一のストアとして脚光を浴びた。*273
『Lifeline』
3 Minute Games
通知バーを利用してスマホのメッセージアプリでつながっているかのように会話を行うノベルアドベンチャーとしてヒットを飛ばし、この手の演出を利用するゲームが続出した。*274
『LINE バブル2』
LINE、LINE Plus Corporation
「乙女ゲーム」を脱却し、「キャラクター同士の関係性」を前面に打ち出した『あんさんぶるスターズ!』
本作において特筆すべきは、ファンコミュニティの盛り上がりに従い、作品の方向性そのものが変わったことである。初期の『あんさんぶるスターズ!』は、親愛度ボーナスによって解放される最後の要素がボイス付きの「甘い言葉」だったことや、初期に公開されたイベントでの台詞「(あなたは自分のもっとも愛する『Unit』を、あるいはIdolを、男性を選ばなくてはいけないのかもしれません)」に見られるように、乙女ゲーム的な要素も多くふくまれていた。
しかし、Twitter等でキャラクター同士の濃厚な関係性が注目されることが多かったせいか、2016年3月にはプレイヤーキャラクターがほとんど登場しないシナリオが公開。その後、露骨な乙女ゲーム的な要素が取り扱われることも減っていった。
このような方針転換を行った『あんさんぶるスターズ!』の成功による影響は大きく、2015年以降はキャラクター同士の関係性に重点を置いたゲームが増えて行った。女性向けスマホゲーム=乙女ゲームという先入観を覆す一因になったと思われる。
解説:あまいろ
通信キャリア端末のSIMロックフリーの義務化が施行
『メビウス ファイナルファンタジー』
スクウェア・エニックス
『イケメン戦国◆時をかける恋』
サイバード
ミクシィが初めてガンホーの営業利益を上回り、業界トップに*276
『Fate/Grand Order』 がヒットする
「日本ゲーム大賞 2018」の「年間作品部門 優秀賞」を受賞。2018年上半期には世界でストアランキング売上1位を記録した。*277
『Fate/Grand Order』
TYPE-MOON / FGO PROJECT
©TYPE-MOON / FGO PROJECT
『メイプルストーリーポケット』
ネクソン
楽天、Androidアプリストア「楽天アプリ市場」を開始
楽天がAndroidアプリマーケットに進出するが、翌年12月12日には撤退する。*278
『アイドリッシュセブン』
バンダイナムコオンライン
洗練されたプロモーションが話題を集めた『アイドリッシュセブン』
本作の強みの一つが洗練されたプロモーションである。劇中アイドルを実在するアイドルのように扱ったDHCとのタイアップも話題を呼んだが、ここでは2019年の渋谷駅での広告を紹介したい。
2019年12月16日、事前告知等は一切なしで以下の壁面パネルが設置される。
「2019.12.17 TUE-
舞台の幕が上がる。
この数分間、君を夢中にしたい。
BLACK or WHiTE」
この時点では壁面の端に小さなロゴが入っているだけで、一見したところスマートフォンゲームの宣伝であるとは分からない。
2019年12月17日午前、以下の文言が書かれた黒幕が設置される。
「黒く塗りつぶせ、白く染め上げろ」
同日正午、衆目の中で幕が落とされ、作中画像を多量に使った巨大広告とPVをフル尺で流すパネルが現れる。
これは劇中でキャラクター達が参加するライブイベント「BLACK or WHITE」に準えられたもので、ファン以外からも大きな反響があった。こうした気合の入ったプロモーションは、女性向けスマホゲームがレッドオーシャンになりつつある現在でも、コンテンツの人気を維持する大きな武器になっていると思われる。
解説:あまいろ
『ポケとる スマホ版』
ポケモン、ジニアス・ソノリティ
ポケモン初のスマホ基本無料ゲーム。
『アイドルマスター シンデレラガールズ スターライトステージ』
Cygames、バンダイナムコエンターテインメント
『モンスターハンター エクスプロア』
カプコン
コロプラ、ピラミッドを買収*279
『モンスターストライク』がYoutubeでアニメ化
『星のドラゴンクエスト』
スクウェア・エニックス
『妖怪ウォッチ ぷにぷに』
レベルファイブ、NHN PlayArt
『FINAL FANTASY BRAVE EXVIUS』
スクウェア・エニックス
『モンスターストライク』の3DS版が発売
2016
『ポケモンGO』が社会現象となる
ARを活用した位置情報ゲーム『ポケモンGO』は、リリースされるや否や、瞬く間に世界中のアプリストアのランキングを席巻し8週間で世界5億ダウンロードを突破。日本だけでなく、世界中でポケストップに集まるプレイヤーが観察されるなど、社会現象となるほどの圧倒的な人気を誇った。「リアルを舞台にゲームを遊べたら……」という夢を、世界的人気作品である『ポケットモンスター』と 位置情報ゲームを組み合わせることで、大規模な形ではほとんど初めて鮮やかに形にしてみせたゲームである。
モバイルゲームユーザーのうち、67.7%が「これまで課金したことがない」と回答
『ファミ通モバイルゲーム白書2017』の調査結果によると、モバイルゲームユーザーのうち、じつに67.7%が「これまで課金したことがない」と回答している。
また、モバイルゲームに対する月々の消費額を見ると、課金経験者のうち「5,000円以上」に該当するユーザーが8.0%、「2.000円以上」に該当するユーザーが22.7%に達する。すなわち、現在のモバイルゲーム市場にはいまだ課金に対して抵抗感を持つ人が多く、業界全体がいわゆる高ARPPUのユーザー層に支えられていることがわかる。
平林久和「2017年、モバイルゲーム市場の現状と展望〜ガチャの次に目指すもの〜」29頁
『グリムノーツ』
スクウェア・エニックス
『パズル&ドラゴンズ』が累計4000万DLを突破
ガンホーとゲームロフトが戦略的業務提携を発表
『予言者育成学園 Fortune Tellers Academy』
スクウェア・エニックス
日本オンラインゲーム協会(JOGA)、ガイドラインを改定
ガチャの確率表記は義務化されていないが、ガチャの実施期間や、「通常ガチャの何倍の確率」などといった排出確率に関する表記に関してはより厳しくなった。*281
『マーベル ツムツム』
ミクシィ、ウォルト・ディズニー・ジャパン、NHN PlayArt
『刀剣乱舞-ONLINE- Pocket』
DMM.com
『クラッシュ・ロワイヤル』がヒットする
『クラロワ』は1対1の対戦RTSの完成形をいきなり提示して見せ、これまでのSupercell作品と同様に多くのフォロワーを生み出した。また、一定時間待つか有料アイテムで開けることのできる変形ガチャ“宝箱システム”は本作の登場後、多くのゲームに取り入れられた。*282
『パズドラレーダー』
ガンホー・オンライン・エンターテイメント
『Miitomo』
任天堂
『ポケモンコマスター』
ポケモン、HEROZ
CESA、ガチャに関するガイドラインを発表。個別アイテムの排出率表記を必須とする
CESAによってガチャに関わるガイドラインが設定され、賛同企業は1年の猶予期間の後に個別アイテムの排出率表記が必須となった。賛同しない企業はCESAに加入していても確率表記をする必要はなかったが、多くの企業が従った。当時はガチャの情報としてレアリティ別の確率表記は普及していたが、まだ個別アイテムの排出率表記は一般的ではなかった。しかし、排出率に関するトラブルは様々なタイトルで頻出しており、2016年初め頃から、徐々に個別アイテム排出率表記への機運が高まっていた。*284
コロプラ、エイティングを子会社化
『ドリフェス!』
バンダイ
ゲームロフトがヴィベンディに買収される*285
『Shadowverse』
Cygames
日本でいち早くデジタルカードゲーム分野で大々的な展開と成功を収めたゲームが『Shadowverse』。競技性の高さを生かし、優勝賞金1億1,000万円の世界大会の開催やプロリーグの設立など、eスポーツシーンに積極的に参入し、話題を集めている。
© Cygames, Inc.*286
ソフトバンク、Supercellを約7700億円(73億ドル)でテンセントに売却
LINE、ニューヨーク証券取引所および東京証券取引所市場第一部に上場
『ポケモンGO』が社会現象に
『TIME LOCKER』
sotaro otsuka
プレイヤーが止まると時間が止まるというルールを追加した、インディー発のトップダウンビューのシューティング。App Store Japan の「Best of 2016」iPhoneゲーム部門において、ベストゲームに選ばれた『クラッシュ・ロワイヤル』に続き次点(2位)に選ばれる。そのシンプルなゲーム性はカジュアルユーザー層と同時に一部のコアゲーマー層にも支持され、2018年時点で200万ダウンロードを突破した。*288
『Pokémon GO』
ナイアンティック、ポケモン
©2016–2019 Niantic, Inc. ©2016–2019 Pokémon. ©1995–2019 Nintendo / Creatures Inc. / GAME FREAK inc.*289
『白猫テニス』
コロプラ
『囚われのパルマ』
カプコン
グリーとブシロード、スマホゲームの共同開発で資本業務提携を発表
『遊戯王 デュエルリンクス』
コナミデジタルエンタテインメント
『実況パワフルサッカー』
KONAMI
『モンスターストライク』がアニメ映画化
リリース4日で4,000万DLを記録した『スーパーマリオラン』
App Store先行でリリースされ、Appleは『スーパーマリオ ラン』のために初めてApp Storeの予約受付機能を提供し、大々的にプロモーションを行った。
任天堂初のスマホゲームという話題性もあり、リリースから4日で4,000万ダウンロードという新記録を打ち立てるに至る。*291収益面でも有料アプリとしては上々のものであったが、後にリリースした『ファイアーエムブレムヒーローズ』などには及ばなかった。
また、基本無料を主にプレイする層には買い切りスタイルが受け入れられず、初期はレビュー欄が大きく荒れた。
解説:寺島壽久
『#コンパス 【戦闘摂理解析システム】』
NHN PlayArt、ドワンゴ
『リーグ・オブ・レジェンド』などに代表されるMOBAタイトルはたびたび登場していたが、日本向けのMOBAとして作られたものの多くは短命で終わっていた。しかし、『#コンパス』はガチャやボーカロイド文化などの世界観の組み合わせにより、日本単体でも運営可能な収益を得ることに成功した。*292
2017
『荒野行動』『アズールレーン』など中国系タイトルの進出
NetEaseの『荒野行動』、Yostar/Manjuuの『アズールレーン』など中国系タイトルがストアランキングに進出し始め、日本市場でも存在感を示し始めた。世界で3.7億ドル(約400億円)の売上を記録した『荒野行動』においては、その収益のうち97%が中国と日本からなっており、うち74%が日本からの収益となっている(Sensor Tower調べ)。*293
日本のモバイルゲーム市場規模は中国、アメリカに続いて世界第3位に。
「ゲーム専用機市場が示す長期低落傾向とは打って変わって、日本国内のスマートデバイスゲーム市場は急成長してきている。前出・CESAがゲーム白書で公表した統計によると2017年の市場規模は1兆3,192億円である。2016年の1兆1,698億円と比べて約12%伸びている。
フィーチャーフォン市場が100億円を下回る
かつて2500億円以上の市場規模を誇ったフィーチャーフォン向けゲーム市場であったが、年々縮小が続き、2017年には100億円台を下回る95億円に。*294
『A3!』
リベル・エンタテインメント
『ファイアーエムブレム ヒーローズ』
任天堂、インテリジェントシステムズ
『スーパーマリオラン』に続く任天堂ブランドのスマホゲームとして、またガチャを採用した任天堂ゲームとしても話題となった。ゲーム自体もスマホで楽しめるコンパクトな『ファイアーエムブレム』としてうまく作られており、世界各国でヒットした。 本作リリース後にNintendo Switchで登場した『ファイアーエムブレム 風花雪月』はシリーズ最高の売上本数を記録しており、ブランドの盛り上げにも貢献したと考えられる。*295
© 2017 Nintendo / INTELLIGENT SYSTEMS*296
『ファイアーエムブレム ヒーローズ』のガチャ確率上方修正
配信から半年くらいたったころの公式の紹介動画にて、ガチャで当たる星3と星4の確率が入れ替わる告知(星3は36%、星4は58%に)と、ガチャの初回無料告知がされました。
こういったゲームではかなり珍しい大盤振る舞いな変更だったので結構騒がれた覚えがあります。
変更の理由については説明はなかったですが、売り上げが予想以上だったのかなとはよく言われていました。
(こちらの記事)によると、半年弱で1億ドル以上とのことです。
こちらの売り上げがよかったせいか、最新作の『ファイアーエムブレム 風花雪月』は内容もよく、売り上げも伸びているようで、スマホでもコンシューマーでもうまく両立できてるなと思った事例でした。
解説:roku
『崩壊3rd』
miHoYo
アニメ的なビジュアルのキャラクターが美しく描かれることで話題を集めただけでなく、コンシューマのような本格的なアクションシステムを備えていることでも話題となり、中国ゲームの技術力を印象付けるタイトルとなった。*297
『テイルズ オブ ザ レイズ』
バンダイナムコエンターテインメント
『バンドリ! ガールズバンドパーティ!』
Craft Egg、ブシロード
『放置少女〜百花繚乱の萌姫たち〜』
FightSong
きわどい動画広告を繰り返してユーザー数を増やし、売り上げを伸ばしていった。お色気だけのゲームに見えて、課金によって目に見えてゲームが快適になるVIPシステム、サーバー内で順位を競う仕組みなど堅実な課金構造を持っており、人気アプリとなった。*298
『どうぶつタワーバトル』
Yuta Yabuzaki
以前からその面白さは一部で知られていたが、『どうぶつの森 ポケットキャンプ』がリリースされると「どうぶつ」の検索ワードで上位にきたことで耳目を集め、ダウンロードを伸ばしてヒット作品となる。*299
『アナザーエデン 時空を超える猫』
グリー、Wright Flyer Studios
「ソシャゲやめた!」のフレーズが話題となった『アナザーエデン』
リリース前から「ソシャゲやめた!」という衝撃的なワードで話題になったが、実際にフレンドやSNS連動などを廃し、エンディングがある家庭用RPGと同じ構造のゲームとして制作されており、プレイヤーからは驚きをもって迎えられた。
ほぼ家庭用と同等のスタイルのゲーム(リリース当初はガチャ売上を考慮したと思われる難所も見られたが)にガチャをつけることで、売り上げを伸ばしたことは開発者にも衝撃を与えた。
解説:寺島壽久
『拡張少女系トライナリー』
コーエーテクモゲームス、ガスト
『B-PROJECT 無敵*デンジャラス』
S&P
『アイドルマスター ミリオンライブ! シアターデイズ』
バンダイナムコエンターテインメント
『ファイナルファンタジー15:新たなる王国』
MZ、Epic Action
スクウェア・エニックスのライセンスゲームとして話題になったが、リリース後は広告動画とゲーム内容が全く異なることが話題になった。*301
『みんゴル』
フォワードワークス
フォワードワークスのスマホ参入タイトル。
Yahoo!ゲーム ゲームプラス、サービス開始
HTML5ゲーム、クラウドゲームプラットフォームを統合しており、スマホでもPCでも同じゲームを遊べることを特徴としている。スクエニのオリジナルHTML5ゲーム『アンティークカルバネーレ』をローンチタイトルとし、『FFXIII』や『ブレイブリーデフォルト』などのタイトルをクラウドゲームで遊ぶことができた。*302
『アンティーク カルネヴァーレ』
スクウェア・エニックス
Yahoo!ゲーム ゲームプラスの看板タイトルとされていたが、リリースから約9か月後の2018年4月にサービス終了。HTML5の表現力は上がったが、Apple、Googleの2大プラットフォームの強さを印象付けた。*303
Adobe、Flashを2020年末にサービス終了すると告知*304
『リネージュ2 レボリューション』
ネットマーブルゲームズ
韓国ではPCで人気を得たオンラインゲームをスマホ化し、大ヒットさせるIP戦略が始まっていた。人気PCゲームをスマホで出して売る「オンラインゲームIP」の流れが日本でも始まる。*306
『アイドルマスター SideM LIVE ON ST@GE!』
バンダイナムコエンターテインメント
『アズールレーン』
Yostar、Manjuu、YONGSHI
© 2017 Manjuu Co.,Ltd. & YongShi Co.,Ltd. All Rights Reserved. © 2017 Yostar, Inc. All Rights Reserved.*307
バトルロイヤルブームをいち早くスマホに取り込んだ『荒野行動』
「ダウンロードランキングでは『荒野行動』が首位を獲得。前年はiOS版のみランクインしていたが当年はGoogle Play版との両方で1位を獲得している。また『荒野行動』はダウンロードだけでなく売上ランキングでも5位にランクインしており、近年のバトルロイヤルブームをいち早くスマホに取り込んだことで注目を集めることに成功したと言えるだろう。[中略]また『荒野行動』は課金要素がキャラクター類ではなくコスチューム類が中心であることも注目すべき点であろう。」
『2019 ゲーム産業白書』メディアクリエイト、2019年、184頁
『どうぶつの森 ポケットキャンプ』
任天堂
Apple、ガチャの排出率表記を義務化*309
2018
クロスプラットフォーム時代の到来
『フォートナイト』や『PUBG』など、PC・コンソールで世界的な人気を博したタイトルがモバイルにも進出。従来の移植版や多機種展開とは違い、PC版・スマホ版のどちらでも同じアカウントや同じサーバーで遊べるなどの特徴がある「クロスプラットフォーム」として展開された。
任天堂、特許侵害でコロプラを提訴
『白猫プロジェクト』の差し止めと44億円の損害賠償、遅延損害金を求めた。*310
グリー、特許侵害でSupercellを提訴
グリーが特許を理由にSupercellを訴え、Supercellは『クラッシュ・オブ・クラン』から該当機能を一時的に削除。2019年2月には和解が成立し、機能が復活している。*311
『パズル&ドラゴンズ』、『モンスターストライク』がeスポーツのプロライセンス発行タイトルに
スマホゲームでもプロゲーマーが誕生
日本国内のeスポーツ産業の普及と発展を目的として「一般社団法人日本eスポーツ連合」が設立。プロライセンス発行タイトル『ウイニングイレブン』や『ストリートファイター』といった世界大会常連のコンシューマータイトルに並ぶかたちで『パズル&ドラゴンズ』と『モンスターストライク』が採用された。闘会議を始めとして国内外で大会がひらかれ、いわゆる“プロ選手”がスマートフォンゲーム界でも誕生することになる。*312
解説:Balsamico
『プリンセスコネクト!Re:Dive』
サイバーエージェント・Cygames
2015年に配信された『プリンセスコネクト!』の続編としてリリースされたアニメRPG。ストーリーでアニメとゲームパートがシームレスに移行するだけでなく、バトルパートにおいても豪華なカットインアニメ演出とともに必殺技が繰り出されるなど、美麗なアニメを観ているかのような演出で人気を博した。
『ブレイブフロンティア2』
エイリム
大ヒットタイトル『ブレイブフロンティア』の続編。有料ガチャを排除し、キャラクターを指定して1,200円程度で購入できるゲームとして登場したが、売り上げが振るわず、2019年3月を最後にアップデートを終了する。*313
『ダンジョンメーカー』
GameCoaster
『キングスレイド』
Vespa
『フォートナイト』がヒットする
PC・コンソール・モバイル含む『フォートナイト』全体の2018年の収益はゲーム史上最高の24億ドル(約2600億円)を記録した(SuperData調べ)。*314
PUBG Corporation、NetEaseの『荒野行動』を提訴
『PUBG』側が『荒野行動』がゲームの類似性を問題視して提訴。PCゲームを再現できるようになったスマホの性能向上が引き起こしたクロスプラットフォーム時代の問題を示した。裁判は和解で終わっている。
『共闘ことばRPG コトダマン』
セガゲームス*316
Enza、サービス開始
ドリコムとバンダイナムコが共同出資したBXDによって誕生したHTML5ゲームプラットフォーム。ローンチタイトルとして『アイドルマスター シャイニーカラーズ』、ローンチ間もなく『ドラゴンボールZ ブッチギリマッチ』をリリースしており、他のHTML5プラットフォームよりも強力な独自タイトルがあった。*317
『アイドルマスター シャイニーカラーズ』
バンダイナムコエンターテインメント、 BXD
HTML5プラットフォーム・Enzaのキラータイトルとして登場したが、2019年3月にスマホアプリ版がリリースされた。*318
『王に俺はなる』
日本聖訓
NeteaseがBungieとの提携を発表*320
日本初のブロックチェーンゲーム『くりぷ豚』
「「くりぷ豚」(グッドラックスリー)は、ブロックチェーン技術を使った育成シミュレーションゲームだ(図表4-6-5)。ペットである「くりぷトン」を飼い、繁殖させて市場に出し他のユーザーに購入してもらう。売買が成立すればイーサリアムを稼げ、仮想通貨取引所で日本円に替えることができる。」
『デジタルコンテンツ白書2018』95頁
四半期売上で『FGO』が『モンスト』を超える
2018年上半期のモバイルゲーム売上高ランキングで、『Fate/Grand Order』 が3年連続首位の『モンスターストライク』を超え一位に(Mobile Index調べ)。*322
フィーチャーフォン版『アイドルマスター シンデレラガールズ』がサービス終了*324
『ドールズフロントライン』
サンボーン
『艦隊これくしょん~艦これ~』がFlashからHTML5に移行
LINE、「LINE QUICK GAME」を提供開始
専用アプリのインストールが不要で、LINEアプリ内でプレイできるHTML5のゲームサービス。*325
カイロソフトが東京ゲームショウに初出展
Wright Flyer Studiosが社名を「株式会社WFS」に変更*327
『荒野行動』の売り上げ累計が3億7000万ドル(約416億円)との発表
うち74%の2億7400万ドル(約308億円)が日本が占めた*328
『叛逆性ミリオンアーサー』がアニメ化
ベルギーにてルートボックス(ガチャ)が違法化。ガチャゲームに影響
スクウェア・エニックスの基本無料作品3タイトルがベルギー国内でサービス終了となり、バンダイナムコエンターテインメントの『ドラゴンボールZ ドッカンバトル』はガチャを廃止してサービスを継続した。*329
『ロマンシング サガ リ・ユニバース』
スクウェア・エニックス、アカツキ
『パズル&ドラゴンズ』欧州版がサービス終了*330
注釈
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