『アズールレーン』――ここ最近よく耳にするスマホゲームの名だ。本作は中国のManjuu Co.ltdとYongshi Co.ltdが開発を行い、ビリビリ動画で配信。プレイヤーは指揮官となり、擬人化された艦船キャラクターを育成し、艦隊を作り上げ、シューティングゲーム形式でバトルを繰り広げる。
そんな『アズールレーン』が日本で話題だ。日本サービスはYostarという会社が行っており、9月14日にサービスイン。9月19日の段階では20万ダウンロードだったが、9月26日に同時接続者の規模が当初の想定を大幅に越えていることが明かされ、10月3日に100万ユーザー、10月18日には200万ユーザーを突破したことが発表された。
また10月28日には、App Storeのトップセールスランキングにて、『Fate/Grand Order』に次ぐ2位を記録するなど、10月に入ってから非常に盛り上がっている。
では、この盛り上がりを作り上げたYostarとは、一体どのような会社なのだろうか。そして、なぜ『アズールレーン』をヒットに導くことができたのだろうか。我々はそんな疑問に迫るべく、同社の代表取締役社長である李衡達氏にインタビューを実施した。
課金バランスやメンテナンスログの公開といった運営方針はもちろんのこと、Yostarという会社やその環境など、今まで見えてこなかった『アズールレーン』運営の裏側をお届けする。
運営会社の社長がヒット要因を分析
――本日はよろしくお願いします……って何だか顔色が悪いですが、大丈夫ですか?
李氏:
こんな顔ですみません(笑)。ちょっと我々の予想を超えることが起こっていまして……。
――それはユーザー規模のことでしょうか。特に10月に入ってからは凄いですよね。いろんなニュースサイトでも記事になってますし、ユーザー数も200万人を超えています。
李氏:
その通りです。『アズールレーン』は、イラストのクオリティーが高く、SDキャラが可愛い。そしてゲームシステムには中毒性があります。
そういった要素が上手く融合していて、日本では『艦これ』【※】という偉大な大先輩のおかげで、艦船擬人化という確立されたジャンルに一定数のユーザーさんがいます。
正直なところ、中国のゲームですし、艦船の擬人化なので、日本では叩かれるという予測はしていましたが、それでも一定の層の方は楽しんでくれてるのではないかと思っていました。
※艦これ
角川ゲームスが開発しDMM.comがブラウザゲームとして配信している育成シミュレーションゲーム『艦隊これくしょん -艦これ-』、およびそのメディアミックス作品群。2013年にサービスを開始。
――その辺りがヒット要因なわけですね。
李氏:
ですので、作品を見た瞬間「これは受けそうだな」と思っていましたが、ここまでのヒットは想像外ですよ(笑)。完全に我々の予想を超えました。デベロッパー含めて誰も予想できていなかったでしょう。
ゆえに準備不足なところがあり、ユーザーさんにはご迷惑をかけてしまい申し訳ないと思っています。今はスタッフの頑張りがあり、なんとか一ヶ月続けてこれたという感じです。
――『アズールレーン』はヒットしたと言えると思うんですが、正直なところどのような心境でしょうか。
李氏:
正直なところ、実感は湧いてこないです。ただ……ひたすらに忙しいですね(笑)。なぜかというと、毎日ユーザーさんからの問い合わせに答えなければいけない。とにかく数が膨大です。我々の方針としては、できるだけ親切に接したいので、ユーザーさんからの問い合わせにはなるはやで対応しています。
ディレクターもすごくこだわってまして、本人ですら深夜まで対応しています。ただサーバーをやらかしたことも含めて、もう何徹したか覚えてません(笑)。
――サーバーのパンクなんかを見ていると、初期の『艦これ』に近い盛り上がりを感じますよね。
李氏:
『艦これ』はすごくすごく素晴らしいゲームですので、引き合いに出していただけるのは大変光栄です。開発陣自身がオタクなので、ローカライズされる前から日本向けに仕上がっていたのは、ヒットした大きな要因だと思います。
日本版は元々目指していた露出度を実現、開発会社「これが表現の自由だ! 我々はこれを求めていた!」
――確かに実際にプレイしていて、非常に我々向けのゲームだと感じました。特に凄いと思ったのがイラストでして。中国の会社が手掛けた日本風のゲームって沢山ありますが、やっぱりイラストに違和感があります。ところが、『アズールレーン』にはその違和感がないんですよ。
李氏:
『アズールレーン』は違和感ないですよね。これはイラストを統括されている方のセンスだと思います。その方がレビュー・管理してまして、現在のクオリティーになっています。
ただ、ここ2、3年で中国のイラストレーターはすごく進歩しました。コミケの壁サークルを見ていると、中国・台湾の作家さんが増えてきていると思います。
――またイラストに関しては、中国は規制が凄く厳しいと聞きます。日本ではそこまでの規制がないので、より魅力的になったのではないでしょうか。
李氏:
おっしゃる通り、中国では規制されましたが、日本では元々目指していた露出度を実現することができました。開発元も「これが表現の自由だ! 我々はこれを求めていた!」って喜んでましたね。
そのため二次創作のガイドラインに関しても、特にうるさく言うつもりはなく、最低限のルールを守って頂ければ大丈夫ですという意味のガイドラインを先日公開しました。
――規制の部分、テキストではどうでしょうか。
李氏:
非常に自由ですよ。NGワードもありますが、特にそこまで意識してないです。もちろん、不謹慎な内容やコンテンツは取り除き、不快感を与えないようにしています。
何はともあれ、ローカライズという面は我々が担当していますが、今回のヒットは間違いなくコンテンツ自体のパワーがすごいからですね。
Yostarのスタッフはたった10名!? ローカライズも内製だった
――いやいや(笑)。運営会社の功績も非常に大きいと思いますよ。ということで、まずは御社について教えて頂けないでしょうか。
李氏:
弊社は中国で作られた日本風のゲームを、日本で展開する会社です。そもそも、中国メーカーの開発力は日本メーカーと同じぐらい伸びてきまして、今後いろんなアイデアが中国からどんどん出てくると思います。
そこに日本ユーザーさんの好みや習慣に合った要素を取り入れれば、日本では成功するでしょうし、中国のメーカーも日本市場は捨てがたいと考えているので、バンバン攻めてきます。
そういう背景があり、2017年7月に1作目『異世界からのノノ』【※】、9月に2作目『アズールレーン』を日本で展開しました。余力があれば、また来年に新作を持ってきたいですね。
※異世界からのノノ
2017年1月より中国でサービスを開始した、iOS/Android用アクションRPG。中国版でも日本の声優を起用しており、Live2Dでキャラクターのイラストがアニメーションするようになっている。
――では『アズールレーン』が日本に来るまでの経緯も伺っていいでしょうか。
李氏:
今でこそ『アズールレーン』は、中国市場において日本風ゲームの中でダントツとまではいかないものの、第二集団のリーダーの様な感じですが、日本での配信権利の交渉を行っていたのは、まだ世間には発表されていない――大体2016年の秋ぐらいのことです。
当時、中国にある本社がデベロッパーさんにコンタクトを取りまして、権利を取得することになったんです。本社にとって日本市場でのヒットは悲願だったので、今回『アズールレーン』が受けてくれて大変うれしいです。
――第二集団のリーダー、なるほど。もしよければ現在の中国のアプリ市場の状況を教えてもらえませんか?
李氏:
日本のユーザーさんはソロで周回や、友達・家族でマルチプレイをする傾向が強いですが、中国はPvP(Player vs Player)が人気なんです。最強を目指すみたいなのが好みらしいですね。ですので、騰訊や網易などが運営するゲーム性の強いゲームがランキング上位を独占しています。
ところがここ最近は、日本風のゲームもタイミングが合えばトップ10に入ることも出てきました。例えば『Fate/Grand Order』、『崩壊3rd』【※1】、『陰陽師』【※2】などですね。この手のゲームの多くはビリビリ動画【※3】のプラットフォームで運営されてまして、『Fate/Grand Order』が1位で、『アズールレーン』が2位という感じです。
※1 崩壊3rd
中国で2016年よりサービスを開始した、miHoYoのiOS/Android用3Dアクションゲーム。日本では2017年2月リリース。プレイヤーは対崩壊用戦艦「ハイペリオン号」の艦長として、戦乙女(ヴァルキリー)と呼ばれる少女たちを育成し、「崩壊」に立ち向かっていく。
※2 陰陽師
中国で2016年よりサービスを開始した、網易のiOS/Android用RPG。中国版でも日本の声優が起用されている。平安時代がモチーフになっており、安倍晴明や源博雅といった人物の他、多数の式神が登場。日本では2017年2月にリリースされた。
※3 ビリビリ動画
正式名称は哔哩哔哩。上海幻電信息科技有限公司による動画共有サービス。画面にコメントが流れるのが特徴で、なんとなく日本の某サービスに似ているが、名前は『とある魔術の禁書目録』の御坂美琴の愛称からとのこと。日本のアニメの配信やスマートフォン用ゲームの中国展開に積極的で、最近では『刀剣乱舞-ONLINE-』や『Fate/Grand Order』なども展開している。
――ちなみになんですが……(オフィスを見渡しながら)ここで運営が行われているんでしょうか。
李氏:
ここです。アルバイトを入れて10名でやっています。もともと正社員も6人しかいないので……。ローカライズも全て内製でして、うちのディレクターがすごく日本語が上手く、そこでクオリティーチェックを行っています。
ただ……ここ一ヶ月の動きとスタッフの数を見ると、正直なところ判断ミスだと痛感しています。スタッフには本当に感謝しています。
――先ほどローカライズの話が少し出ましたが、そこも内製なんですか!? なんというか、規模が比例していない。プロモーションも自社で管理されてるんでしょうか。
李氏:
プロモーション部分は信頼できる会社さんと一緒にやってまして、例えば『アズールレーン』に興味がありそうなユーザーさんが集まるサイトにバナーを出したりしています。
また直近だと、劇場版「Fate/stay night [Heaven’s Feel] I.presage flower」【※】が大ヒットしていますが、上映される前の広告で『アズールレーン』が流れます。これはネタ的な要素も多いですが(笑)。みんなでわいわいやってきましょうというのが一番じゃないですか。
※Fate/stay night [Heaven’s Feel] I.presage flower
『Fate/stay night』の「Heaven’s Feel」ルートを3部作で描く劇場アニメ作品。なお「Fate」とは、2004年に発売されたPC用ビジュアルノベル『Fate/stay night』を中心とするシリーズのこと。『Fate/stay night』のコンシューマ化やアニメ化をはじめ、本編の10年前の出来事を語る『Fate/Zero』、コンシューマオリジナルのRPG『Fate/EXTRA』、東欧での聖杯大戦を描いた外典小説『Fate/Apocrypha』、前述のスマホゲーム『Fate/Grand Order』など、多岐に渡る展開が行われている。
――その雰囲気はこのオフィスやツイッターから感じますね。
李氏:
この会社自体、オタクの群れなので、みんなが仲間意識を持って、ユーザーさん含めてテンションがハイになることを考えて運営しています。ツイッターで変なネタを投稿してみたりね。こういうことを続けてると何かやらかした時に大変なことになりますけど……(笑)。
『アズールレーン』運営の裏側、「ケッコン」はなぜ結婚ではなくケッコンなのか
――……それにしても、まさかこんな少数で運営されているとは。コンテンツの実装スケジュールもかなり密じゃないですか。もう計画的にというよりも、できたものから出してるんじゃないかと思えるほどに(笑)。
李氏:
割と後者ですよ(笑)。もちろん計画的にはやってますが、皆さんの反応を見つつどのコンテンツを投入するか検証し、そこからローカライズ作業を進めています。
李氏:
例えば、中国は数ヶ月先行しているので、中国版と近いタイミングで同じイベントを持ってくると、ユーザーさんの進行状況とイベント内容がマッチしないという問題が出てきます。
――海外ゲームだとできるだけ早く最新のコンテンツを遊びたいと思ってしまいますが、そう言われればそうですね。
李氏:
なので、今日本のユーザーさんにとって最適なコンテンツは何か――という視点で見ています。ただそうすると、最新ものが日本では遊べなくなってしまうので、かならず日本独自のアレンジを加えて実装しています。
そこはデベロッパーと協議しながらやってまして、レスポンスが早く、日本市場もよく理解しているので、非常にいい協力体制が築けていると思います。でも自分でいうのもあれですが、ペースが速すぎますよね(笑)。
――「ケッコン」【※】システムもこんな早くに実装されて驚きです。ところで、なぜ「ケッコン」という名称なんでしょうか。
李氏:
自分は結婚してますが、もう墓場ですよ。二次元に求めるしかない! オタクは絶対に結婚に向いてないんです! やりたい放題できない! 超合金を遊び倒せない! 箱から出すたびに怒られる! 自由にエロゲーもできない! だから「ケッコン」です。
オタクのみなさん、結婚は慎重に……二次元なら重婚し放題ですからね。
――え!? そんな理由なんですか(笑)。
李氏:
あはは(笑)。冗談はここまでにして、中国では「誓約」という名称ですが、もうそういうシステムですから、日本語版ではあえて踏み込もうと。もちろんカタカナで書くと話題になるとは分かっていましたが、でも漢字は生々しいので、社内で協議した結果、「ケッコン」になりました。
――なるほどなるほど(笑)。またローカライズといえば、パロディーネタも上手く取り入れられていますよね。例えば「ユニコーン」とか。
李氏:
パロディーネタの中には、中国で流行ってるネタもシナリオに混ざっているのでそこは苦悩しながら工夫しています。ユニコーン【※】に関してはもう世界共通のネタなので、そのままにしています(笑)。
メンテナンスのログを公開するのは「まず自分たちが納得するため」
――今回のインタビューで特に伺いたいことが2点ありまして、その一つが課金バランスなんです。一番レアなSSRの出現割合が7%って異様に高いじゃないですか。このバランスにした理由をぜひ伺いたいです。
李氏:
いちユーザーとして今のガチャ文化に違和感を覚えているというか、「こういう風にした方がいいんじゃないか」という考えがあります。そこで『アズールレーン』では現在のバランスにしているんです。
とにかく、楽しくてストレスを感じない課金方式にしようと。課金させる仕組みよりも、「面白いから課金してあげよう」となるように心掛けています。
――良心的ですね……それゆえに、課金慣れしたユーザーさんからは「こんな少額で今後も運営できるのか!?」と心配する声も上がっていますが。
李氏:
大丈夫です! 皆様のおかげで運営は大丈夫です! ありがとうございます……あ、これ太字でお願いしますね(笑)。
自分はこの業界に入ってまだ数年ですが、今のガチャって正直なところ望ましくないじゃないですか。我々はとりあえず楽しんでいただきたいんです。これが運営方針でもあります。
――ストレスなく、ワイワイとハイになれるぐらい、楽しいものにしたいと。なるほど、色々と納得しました。そしてもう一つがメンテナンスの件なんです。あそこまでログといいますか、原因や状況を公開する運営会社なんて見たことがないので、どのような方針なのか非常に気になっています。
李氏:
簡単な話なんですが、ユーザーさんに納得していただくには、まず自分たちが納得しなくてはいけないんです。メンテナンスの時に公開しているログは、そのためのものです。
というのも、インフラ周りは開発会社さんが担当していますので、我々が整備をしているわけではないんです。だからこそ、ですね。
スマホゲームの運営はサービス業ですので、ユーザーさんがご満足して頂けるようなものを提供するために、原因と状況の説明という最低限の責任は果たさなければいけないと考えています。
――あのログにはそんな意味があったんですね。
李氏はmiHoYoの社長だった
――話を伺っていると、いわゆるオタクコンテンツが好きじゃないと現在のような運営はできないと思うんですが、李さんの来歴を伺ってもいいでしょうか。
李氏:
僕はロボットアニメが大好きなんですよ。『無敵超人ザンボット3』、『ガンダム』、『蒼き流星SPTレイズナー』、『太陽の牙ダグラム』、『装甲騎兵ボトムズ』、『トップをねらえ!』、『THE ビッグオー』、『聖戦士ダンバイン』、『重戦機エルガイム』。あと美少女ものだと、『きまぐれオレンジ☆ロード』ですね。鮎川【※】が好きです。後は『めぞん一刻』。あ、好きなのは管理人さんです! むしろ一択ですよね。エロゲーだと、『WHITE ALBUM』、リーフ社の作品、「BALDR」シリーズなどですね。
そんな感じのオタクだったんで、ずっと日本に行きたかった。そして2010年に中国の学部を卒業して、中国で内定を取ったんですが、オタクなんで日本に行きたかったんですよ。
※鮎川まどか
まつもと泉の漫画作品『きまぐれオレンジ☆ロード』に登場するヒロイン。
――ということは……。
李氏:
そこで内定を断り、日本に来たんです。まずは日本語学校、そして半年後に大学院に行き、普通のサラリーマンになりました。とあるコンサルの会社ですね。法学部だったので。そこで割と安定した生活を送っていました。
それから1年半が経ったころ、エロゲー仲間から「一緒にスマホゲームの会社をやりませんか?」と誘われたんです。それが『崩壊学園』【※1】や『崩壊3rd』を日本で展開することになるmiHoYo(日本法人)【※2】です。
当時はそこまで深く考えてなかったですが、すごく業界が盛り上がっていたので、2人で立ち上げたんです。立場は僕が法務で、彼が社長でしたね。ところがその社長が退職することになりまして、僕が社長を引き継ぐことになったんです。そして円満退職し、今に至ります。
※1 崩壊学園
2015年よりサービスを開始した、iOS/Android用アクションゲーム。『崩壊3rd』の前作で、中国では『崩壊学園2』というタイトルでリリースされた。
※2 miHoYo
「崩壊学園」シリーズを手がける中国のゲームメーカー。2011年頃に立ち上げられ、2015年に日本法人が設立された。
――そこからYostarの立ち上げに関わるわけですね。
李氏:
そうです。親会社から弊社を立ち上げるからと声をかけられ、立ち上げを手伝いました。miHoYoは自社開発のゲームのみを運営してましたが、弊社は外部のタイトルを運営する会社なので、そのぶん自由度は高くやっていけるかなと。
――ただ先ほど「何徹したか覚えてない」という話がありましたが、人手は足りていないと。
李氏:
人は随時募集してます! 職種はなんでもいいです! スーツを着て品川や虎ノ門に行ってたサラリーマン時代が懐かしいです――ってぐらい不足しているんです(笑)。
いつか『アズールレーン』にザンボット3を出したい
――今後の話を少し伺いたいのですが、『アズールレーン』に日本独自のコンテンツやキャラクターは実装されたりするんでしょうか。
李氏:
実装させていきたいですね。日本には様々なコンテンツがあるので、おいおいコラボもやっていきたいです……特にロボットで! ザンボット3【※】とかね。
――ザンボット3!?
李氏:
完全に趣味の話をしてしまいました(笑)。ザンボット3かどうかはさておき、せっかく日本にいるので他のIPとのコラボは、ユーザーさんが納得する形で実現させていきたいですね。自社開発ではないので、そういった自由度はむしろ高くなると思います。
――ではもう少し現実的な部分ではどうでしょうか。流石に直近は忙しいと思いますが。
李氏:
ユーザーさんを失望させないために質のいいイベントを入れていき、年内に何かのサプライズをお届けしたいですね。IP展開も我々の一存で決められることではないですが、前向きに検討していますし、グッズ化は早い段階でお届けできると思います。
ちなみに、冬コミは申し込んでません。できれば来年の夏は出展したいですね……ユーザーさんは来てくれますかね?
――来ますよ!
李氏:
……じゃ企業ブース2コマ申請しましょう!
――おお! では当日を楽しみにしています。本日はありがとうございました。(了)
今回の取材は、これまで謎に包まれていたYostarという会社の実態が明らかになるものとなった。特に驚きなのは、この規模のスマホゲームをたった10名の会社が運営していたという事実だ。
取材はYostarのオフィスで実施したが、「テンションがハイになることを考えて運営しています」という李氏の言葉に偽りはなく、その雰囲気はベンチャー企業というよりも、まるで大学のオタクサークルのようだった。スマホゲームにもさまざまな規模があるが、百万単位のユーザーを抱えるスマホゲームで、このような雰囲気の運営チームはそうそうない。
『アズールレーン』のヒット要因は多くのニュースサイトで考察されているが、インタビューで語られた内容を踏まえると、「とりあえず楽しんでいただきたい」というユーザーファーストな運営方針なくして、今のヒットはなかったように思う。
日本でのサービスはまだ始まったばかりだが、本作とYostarが日本のスマホゲーム市場とユーザーに影響を与えていくことは確かだろう。
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