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『グラブル』メインクエスト“新章”制作の裏側には、開発チーム内の仁義なき“推し種族バトル”があった──ボツの山を乗り越え、イケメン過多の危機(?)を乗り越え、築きあげた“新たな空の世界”をシナリオ制作チームに訊く

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2025年、『グランブルーファンタジー』(以下、『グラブル』)では、12年にわたって紡がれてきたメインクエスト「イスタルシア」編が完結。新たにメインクエストが新章「空と地の契り」編へと突入している。

未知なる舞台。見たことのない種族。そして新たな旅の仲間たちとともに歩みだす、『グラブル』の新たな船出である。

しかし、10年以上の歴史を持つ巨大な艇の進路を変えることは、決して容易なことではない。今回、新章の始動にあわせて、『グラブル』シナリオチームに取材を行ったところ、そこには想像を遥かに超える「開発チーム内での議論」があったことが明らかになった。

「かわいい女の子」か「三枚目の男」か──。まず論点になったのが、新たな旅の仲間たちの選定だ。今回の新章では「各種族からひとりずつ仲間にしたい」というコンセプトが掲げられていたという。

そして、数百を超えるキャラクターの中から選抜するうえで、開発チームが一貫して指針としたのは「主人公との繋がりの強さ」。その結果として選ばれたのがシス、サンダルフォン。そして「自称お姉ちゃん」としていつの間にかパーティに馴染んでいるナルメアだった。

『グラブル』シナリオ制作チームインタビュー:メインクエスト“新章”制作の裏側には開発チーム内の仁義なき“推し種族バトル”があった_001

『グラブル』シナリオ制作チームインタビュー:メインクエスト“新章”制作の裏側には開発チーム内の仁義なき“推し種族バトル”があった_002

『グラブル』シナリオ制作チームインタビュー:メインクエスト“新章”制作の裏側には開発チーム内の仁義なき“推し種族バトル”があった_003

だが、議論がもっとも白熱したのは、新顔でパーティに加わった「ダリダラ」についてだった。彼のポジションのキャラクターを巡っては、チーム内で「かわいい女の子にしたい派」と「三枚目の男にしたい派」で意見が真っ二つに分かれたというのだ。

最終的に「三枚目の男」が選ばれた理由……それは「イケメンだらけの艇では、物語を動かす役割の三枚目が足りない」という、シナリオを書く目線で切実な問題だった。

そして、その議論は新たな舞台で登場する新種族についても同様だ。

これまで『グラブル』の世界は、ヒューマン、ドラフ、エルーン、ハーヴィンと4つの種族で構成されていたが、新章からは新たに4つの種族が登場する。

この新種族の開発にあたって、開発チーム内で仁義なき“推し種族バトル”が勃発したというのだ。

ボツの山を乗り越え、イケメン過多の危機(?)を乗り越え、彼らが築きあげた新たな空の世界はいったいどのようなものなのか? 笑いあり、涙あり、癖(へき)ありの制作秘話をたっぷりとうかがった。

取材/竹中プレジデントfab
編集/竹中プレジデント


「主人公との繋がりの強さ」で選ばれた新章メインメンバー。ナルメアは「存在しない記憶」枠!?

──長く続いているタイトルだからこそ、メインの顔ぶれを一新するのは大きな決断だったと思います。新章でのメインメンバー選定にはどのようなコンセプトがあったのでしょうか。

シナリオ担当B:
『グラブル』はいろいろな種族が空の世界で暮らしている物語ですが、これまでのメインキャラクターは圧倒的にヒューマンが多かったんです。

もちろんそれが悪いわけではありませんが、今回の新章では「各種族からひとりずつ仲間にしたい」というコンセプトを初期から掲げていました。

──各種族からひとりずつとなると、その種族から誰を選ぶか相当な悩みどころですよね。新キャラのダリダラ以外の、シス、ナルメア、サンダルフォン、最終的にこのメンバーに絞り込んだ「決め手」は何だったのでしょう?

シナリオ担当B:
選定の指針として一貫していたのは、やはり「主人公との繋がりの強さ」ですね。主人公と一緒に旅をするうえで、その動機やモチベーションがあるキャラクターを選んでいます。

シナリオ担当A:
たしかに主人公との関わりの強さは、一番重要なところでしたよね。ただ、ナルメアに関しては、繋がりというか「自称お姉ちゃん」なところもありますが(笑)。

──自称お姉ちゃん(笑)。

シナリオ担当A:
ナルメアは、今のメンツの中で一番いわゆる「存在しない記憶」枠だと思っているんです。いつの間にかパーティに入っていて、馴染んじゃっているんですよね。

ただ、彼女が本来持っていた「剣士として高みを目指す」という目的が、現状は少しふわっとしてしまっている。新章では、あらためてその課題に直面することになります。

そこでナルメアの葛藤が描かれますし、それによって彼女の内面がまた一段と深掘りされていくと思います。

──新章でのナルメアの見せ場、非常に楽しみです。ところで、新章での旅の中心となるキャラになるわけですから、決定までかなり難航したんじゃないですか?メンバー選定はどのように?

シナリオ担当B:
まずはチーム内で「このキャラがいい」「いや、このキャラがいい」と、いろいろな案を出しあうところからでしたね。

たとえば、ハーヴィン枠の候補としてシャルロッテやハーゼリーラの名があがったり、主人公との繋がりや感情の強さを考慮するならロベリアやニーアもありなんじゃないか? とか。

ほかにも、ヒューマン枠でビカラ案とか、カリオストロという案もありました。あれこれアイディアを出し合い、メインストーリーでの将来的な活躍の可能性や、キャラクターの魅力を出せるかなどを考慮してこの布陣になったというわけです。

──バランスを考慮してチョイスしたんですね。

シナリオ担当B:
その通りです。最終的には福原(『グランブルーファンタジー』クリエイティブディレクター・福原哲也氏)にも相談して、確定しました。

──ちなみに、初期メンバーの人数には理由が? 極論、もっと多くても支障はないですよね。

シナリオ担当B:
最大の理由は「これから新しいキャラクターたちが入ってくる余地を残したかった」からです。

最初からパーティ枠を埋め尽くしてしまうのではなく、これからの出会いのためにとっておきたい。だからこそ、初期メンバーは後から入ってくるキャラともマッチしやすい面々を選抜しました。

イケメンだらけの艇には「三枚目」が足りない問題。ハーヴィンの新キャラ・ダリダラが登場した経緯

──メンバー選定について、もう少し詳しくお聞きしたいです。このメンバー決定に至るまで、ボツになったアイデアや、開発メンバー同士の議論も山ほどあったのではないでしょうか?

シナリオ担当A:
数えきれないほどありますよね……。

シナリオ担当B:
そうですね……。今回は『グラブル』においてとくに重要なメインクエストの新章です。イラスト、シナリオ、世界観。すべての要素について、関わる人間全員が「これでオッケー」というラインに到達するまでには、相当な議論が必要でした。

──意見が割れたポイントで、とくに印象に残っているものはありますか?

シナリオ担当B:
新キャラのダリダラについては、かなりの激論がありました。

ハーヴィン枠をどうするか考えるなかで、チーム内で「かわいい女の子にしたい派」と「三枚目の男にしたい派」のふたつの意見に分かれたんです。

──ダリダラを見るに、「三枚目の男にしたい派」の意見が採用された形だと思うのですが、どのような理由が?

シナリオ担当A:
全体のバランスと今後の展開を考えたうえですね。サンダルフォンやシスといった「かっこいいキャラ」ばかりだと、どうしても物語を動かしにくいことがあるんです。

シナリオを書く目線で考えた際に、「コメディができて活発な男キャラ」が不可欠だなと。

シナリオ担当B:
人気キャラってどうしても「クールに構えている」ところがあるんですよね……(笑)。

物語を動かす役割を担えて、ギャグもできる「三枚目」が必要なのも理解できるということで、ダリダラが仲間になる方向で話がまとまりました。

──クールでかっこいいサンダルフォンやシスに、いきなり「三枚目」な動きをさせるわけにはいきませんもんね。

シナリオ担当B:
それで言うと……「サンダルフォンの扱い」については、チーム内でも相談を重ねています。

キャラクターの性質上、「三枚目」な動きはもちろん難しいですし、登場のさせかたについても、大きく期待を裏切らないようにしたいなと。

──彼には積み上げてきた歴史がありますからね。迂闊には動かせないプレッシャーがあると。新章において、サンダルフォンはどのようなポジションで描かれるのでしょう?

シナリオ担当B:
今回の新章において、彼は前半の中心人物、いわゆる「モチーフキャラクター」という位置づけです。イスタルシア編で言うところの「黒騎士」や「オーキス」に近いポジションですね。

シナリオ担当A:
物語が進むにつれ、新章での出番は多くなっていく想定ですので楽しみにしていてください。

新章のテーマは「ルリアのアイデンティティを探す旅」。彼女自身の存在を見つめ直す展開が

──メインメンバーも一新され、舞台も変わるわけですが、今回の新章はどのような「テーマ」で描かれる物語になるのでしょうか?

シナリオ担当A:
イスタルシア編が「父の背中を追う物語」だったとするなら、新章は「主人公が自らの足で一歩を踏み出していく物語」というイメージですね。

その過程で、ヒロインであるルリアにもあらためてフォーカスが当たります。ひと言で表すとすれば「ルリアのアイデンティティを探す旅」でしょうか。

もともと作品を象徴するキャラクターではありますが、新章では彼女自身の存在を見つめ直すような、そんな展開になっていきます。

──ルリアの内面に向き合う旅だとして、イスタルシア編のような明確な目的地は設定されるのでしょうか。

シナリオ担当A:
最初の段階では目的地はまだ明かされません。1回目の更新、2回目の更新……と物語が進むにつれて、徐々に方向性や行き先が見えてくる形になると思います。

──新章において「ここをとくに見てほしい!」という要素はありますか?

シナリオ担当A:
新章では「これまで全く接点のなかったキャラクターたち」が、メインクエストの中で当たり前のように会話を始めたりします。

たとえば、シスとサンダルフォンが喋っているところなんて、たぶん誰も見たことないと思うんですよ。そこで生まれる新たな関係性には、ぜひ注目していただきたいですね。

──新キャラクターも続々と登場する【※】ようですが、なかでも「ノトス」の可愛らしさは非常に印象的です。彼女はどのようにして生まれたのでしょうか?

※取材時、先行して新キャラクターのイラスト資料を拝見した。

シナリオ担当A:
ノトスのキャラクターデザインについては、私から特徴をお伝えしてイラストチームに作ってもらいました。

風の星晶獣で女性の姿をしているので、ティアマトとの差別化を一番に意識しましたね。飾らないその性格や言動についても、差別化を意識した中から生まれてきました。その結果、シーザーが迷惑を被る形になってしまいましたが……まぁ幼少の彼と繋がりを持つ存在は非常に少ないので、きっと嫌ってはいないでしょう。

ノトスの髪が短いのもラフな服装も、ティアマトとの違いを出すため、こちらから指定しました。とても可愛らしく描いてもらったので、イラストチームに感謝してます。

──「元耀霊」も、その愛くるしい見た目で、登場に驚くユーザーさんもいるかと思います。彼らは今後どのように物語に絡んでくるのでしょうか。

シナリオ担当A:
新章では空の世界に大きな変化が起こりました。それは主人公たちにとっても同じことです。その変化のひとつが元耀霊の存在です。

ルリアノートを見ていただくとわかるように、フォスやウランについては「編集中」となっています。まだまだ謎が多い存在ですので、この先、主人公たちとどのような関係を築いていくのか、ぜひご注目ください。

──ほかにも、新章では「ここをとくに見てほしい!」という要素はありますか?

シナリオ担当B:
新たに登場する種族にも期待いただけるとうれしいですね。今回の更新では「レヴリス」と「ゼオノイド」という新種族が登場しています。

シナリオ担当A:
レヴリスについては早い段階で肌の色を特徴的にしようという話が決まりました。これは空の四大種族や他の新種族には見られないものなので、レヴリス固有の特徴といっていいでしょうね。

ゼオノイドについては、すでにアブラメリンが登場していたこともあってもっとも早くデザインが決まった種族だったと記憶しています。ツノの本数は基本的に1本か2本です。中にはだいぶ身長が高い者もいます。マミナスはかなりの高身長ですね。

ナルメアと対峙するシーンがありますが、ものすごい身長差だろうなと、書きながら思っていました。

──これまで描かれてこなかった新種族を描くうえで、意識されたことはありますか?

シナリオ担当B:
これまでは「四大種族」がいて、そこに入らないものは「種族不明」として扱ってきました。しかし、新章では「新たな種族」が空の世界に増えます。

既存の空の世界は、島が浮いている点を除けば、食事や風習などは我々が理解しやすい、ある種「現代的」な世界観をベースに作られています。それに対して、新種族の文化をどう差別化するか。

彼ら「地の民」はもともと別の世界にいたわけですから、当然バックボーンも違うし、築いてきた文化も違います。「既存の空の世界と同じでよいのだろうか、違うものにしなくていいのか」という点で、福原もかなりこだわっていましたし、チーム全員でかなり苦心して作り上げました。

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編集者
美少女ゲームとアニメが好きです。「課金額は食費以下」が人生の目標。 本サイトではおもにインタビュー記事や特集記事の編集を担当。
Twitter:@takepresident
ライター
気になったゲームは古今問わず遊ばずにはいられない性格。シリーズ物も大好き。 中学生の時に東方Projectに触れてからゲーム音楽へ目覚め、アトリエシリーズと出会い覚醒。普段聴く音楽が9割ゲーム関連となってしまった。 幅広いジャンルのゲームを遊びながら、まだ見ぬゲーム音楽との出会いを求めて日夜探求し続けている。

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