いま読まれている記事

『グラブル』メインクエスト“新章”制作の裏側には、開発チーム内の仁義なき“推し種族バトル”があった──ボツの山を乗り越え、イケメン過多の危機(?)を乗り越え、築きあげた“新たな空の世界”をシナリオ制作チームに訊く

article-thumbnail-260218g

1

2

ボツの山を築き上げた新種族案。開発チーム内で仁義なき“推し種族バトル”が勃発

──「苦心して作り上げた」というお言葉がありましたが、裏を返せば、そこに至るまでに「日の目を見なかった種族」も山ほどいるということですよね?

シナリオ担当A:
正直、山ほどボツになりましたよね……(笑)。

シナリオ担当B:
そうですね。早い段階で、新たに登場する4種族中2種族は全員一致で決まったんですが、残りの2種族で難航しました。

シナリオ担当A:
獣人系か、ちっちゃい系か、あるいは巨人系か……ほかにもヌメヌメしたスライム系や昆虫系、機械に乗ったピクシー系とか、言葉だけなら夢は無限に広がっていたんです。

それらすべての案を、イラストチームがイラストにしてくれたんです。しかも、ものすごくクオリティが高くて、結果「すべての案がよく見えてくる現象」が起きてしまって(笑)。

シナリオ担当B:
その結果……というわけではないですが、一度すべての案が福原の確認でNGになってしまったこともありましたよね。その後、チーム内で意見が分かれたりもして。最終的にそこで残った案を福原に持って行って、ようやく決定した感じですね。

シナリオ担当A:
あの時はだいぶ煮詰まってましたね。ちなみに……残念ながら私の「推し種族」は採用されませんでした。種族名も決めて、設定も考えていたんですが……(笑)。

──新種族は、ユーザーさんにとっては新章をプレイして初めて知るサプライズになったでしょうね。

シナリオ担当A:
そうですね。新種族の情報は、実際にプレイして初めて知る驚きを大切にしたかったんです。ですから、プロモーション映像でも一切触れませんでした。

最初の更新でも「4種族いること」は示唆されますが、焦点が当たるのは2種族だけなので、「残りの種族はどんな感じなんだろう?」と興味を持っていただけるとうれしいですね。

──新種族のデザインを決める際、シナリオチームとイラストチームが話し合ったとのことですが、そうしたチーム間の連携は普段から頻繁に行われているのですか?

シナリオ担当B:
いえ、これまではそこまで頻繁ではありませんでした。シナリオはシナリオ、イラストはイラストでチームが分かれていますし、ディレクターやプランナーがその間に入って「シナリオではこう想定しているから、こういう絵を描いてほしい」と伝言するようなフローでしたね。

ですが、メインクエスト新章の制作からはかなり近い距離感で連携しています。「シナリオ的にはこういう絵がほしい」「イラスト的にはこうしたほうが映える」と、直接コミュニケーションをとりながら制作しています。

──連携が密になったきっかけは何だったのでしょうか?

シナリオ担当A:
やはり、イラストチームとシナリオチームが同席する「会議」がセッティングされたことが一番大きいですね。

直接机を囲んで「ああだこうだ」と言いあえる環境ができた。あの会議のおかげで、チームの垣根を越えたコミュニケーションが自然と生まれるようになっていきました。

シナリオ担当B:
イラストチームは本当に『グラブル』への愛がすごいんです。たとえばX(旧Twitter)アカウントでの投稿イラストも、プロデューサーやSNS運用チームからの発注ではなく、「ユーザーさんを楽しませたいから描きました!」と自発的に描いてくれたものがほとんどです。

その姿勢に新種族の開発中も助けられました。というのも、言葉だけで「こういう〇〇がいい」と話しても、脳内のイメージはズレがちです。でもイラストチームが打ち合わせの中で「描けますよ」とサラッと絵にしてくれる。それを見て、全員ですり合わせができるんです。

──シナリオチーム、イラストチームともに同じ社内にいるからこその強みですね。ただ、それほどメリットがあるなら、なぜ今までそうしてこなかったのでしょうか?

シナリオ担当B:
誤解を恐れずに言えば「これまではそれで問題がなかったから」でしょうね。イスタルシア編の執筆をほぼひとりで担当した寺嶋(メインクエスト「イスタルシア編」シナリオライター寺嶋氏)のケースのように、個人の能力で成立させられていた部分があったんです。

それに「みんなで話しあう」というのは諸刃の剣でもあります。いろいろな人が意見を出し始めると、方向性がブレて収拾がつかなくなるリスクもありますから。

今の『グラブル』チームは12年かけて熟成されてきたからこそ、このやりかたが機能しているんじゃないかと思います。もしリリース初期の段階で取り入れていたら、それこそ各々が勝手なことを言って混乱するだけの場になっていたかもしれません。今だからこそ実現できた体制ですね。

変わってしまった空の世界で。今後はメインクエストだけでなく、月末のシナリオイベントでも時間軸が進んだ世界線での物語が描かれる

──今後の更新スケジュールについては、どのような計画になっているのでしょうか?

シナリオ担当B:
この記事が出る前の生放送で発表しているかと思いますが、年3回の更新を予定しています。

開発状況によって変動する可能性はありますが、今回の12月更新と同じぐらいのボリュームのものを、4月、8月、12月のタイミングでお届けできればと考えています。

──なるほど、年3回ペースと。

シナリオ担当A:
基本的には「4話構成」なんですが、初回は情報量が多いので、4話にしては長めになっています。手元のデータを見ると……だいたい6万2000字くらいですね。

ですので、体感としてはだいたい「月末シナリオイベント」と同じくらいの文章量かなと。

──メインストーリーの更新1回分で、シナリオイベント1回分の物語が読めるイメージですね。

シナリオ担当A:
今回は最初ということもあって、いろいろ詰め込んでいたら増えてしまったところはあります(笑)。ですので、それより少しコンパクトになる回もあるかもしれません。

──新章ではイスタルシア編から時間軸が進み、新たな旅が始まっています。ひとつ気になるのが、メインクエスト以外……月末のシナリオイベントへの影響です。

シナリオ担当A:
月末のシナリオイベントでも、基本的には「赤き地平の大浮上」が起こった後の世界にシフトした時間軸で展開しようと考えています。

ただ、たとえば四騎士関連のようなシリーズものなどは、あえてイスタルシア編の世界観のまま描くケースもあると思います。イベントの内容によって柔軟にやっていく予定です。

──本日は貴重なお話をありがとうございました。 最後に、『グラブル』ユーザーのみなさんにメッセージをお願いします。

シナリオ担当A:
新章では新たな種族、新たなキャラクターがたくさん登場します。ですが、新要素だけではありません。イスタルシア編から登場している、おなじみのキャラクターたちも引き続き活躍します。

新しい物語と、これまでの懐かしい物語。この2軸で楽しんでいただける構成になっていますので、ぜひ期待していただければと思います。

シナリオ担当B:
もし、まだゲーム内で新章をプレイしていない方がいれば、ぜひご自身の手でプレイしてみて、これからの『グランブルーファンタジー』がどういう世界を描いていくのかを目撃してほしいですね。

そして、すでに新章を遊んだ方は、変わってしまった空の世界や、新種族、新たな敵の存在を知っているはずです。

今後は、新種族のキャラクターがガチャで登場する機会もあるかもしれません。そうした追加キャラや、月末シナリオイベントへの世界観の反映も含めて、今までにない体験をお届けできるはずですので、ぜひ新しい『グラブル』の世界を楽しみにしていただけると嬉しいです。

(了)


取材中、とくに印象に残っているのが、新キャラクター「ダリダラ」の選定にまつわるエピソードだ。

「かわいい女の子にしたい派」と「三枚目の男にしたい派」の対立。そして、その決着の理由が「イケメンだらけの艇では、物語を動かす三枚目が足りない」という、シナリオチームならではの切実な問題だったとは……。

12年という長い歳月を積み重ねてきた『グラブル』という巨大な艇。その新章の裏側には、キャラクターひとりひとりを巡る膨大な議論と、クリエイターたちの並々ならぬ「作品愛」が詰まっていた。

三枚目の彼と、自称お姉ちゃんと、いつもの仲間たちとともに。未知なる空の旅は始まったばかりだ。変わってしまった空の世界で、まだ見ぬ種族たちとどう交わっていくのか。メインクエストはもちろん、月末シナリオイベントへの波及も含め、これからの『グラブル』から目が離せない。


© Cygames, Inc.

1

2

編集者
美少女ゲームとアニメが好きです。「課金額は食費以下」が人生の目標。 本サイトではおもにインタビュー記事や特集記事の編集を担当。
Twitter:@takepresident
ライター
気になったゲームは古今問わず遊ばずにはいられない性格。シリーズ物も大好き。 中学生の時に東方Projectに触れてからゲーム音楽へ目覚め、アトリエシリーズと出会い覚醒。普段聴く音楽が9割ゲーム関連となってしまった。 幅広いジャンルのゲームを遊びながら、まだ見ぬゲーム音楽との出会いを求めて日夜探求し続けている。

本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ている場合がございます

新着記事

新着記事

ピックアップ

連載・特集一覧

カテゴリ

その他

若ゲのいたり

カテゴリーピックアップ

インタビュー

インタビューの記事一覧