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ダンジョンから命懸けで仕入れた品だからこそ、客にふっかけるのが気持ちいい。買ってくれるギリギリの高値を模索するローグライト+ショップ経営『ムーンライター2: エンドレス・ヴォルト』プレイレポ

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客が笑顔で商品を買ってくれた。商売人なら大喜びする場面だろう。

ところが、ゲーム内で店主を務める筆者はちっともうれしくない。
それどころか、頭に浮かんだのはこんなひと言だった。

「……もっと、高く売れたのに。」

まるでお花屋さんのように、店主もお客もみんな笑顔。
そんな商売を想像していたはずが、いまや頭の中は、あといくらふんだくれるかでいっぱいだ。

筆者をこんな商売に夢中にさせたのが、『ムーンライター2: エンドレス・ヴォルト』(Moonlighter 2: The Endless Vault)だ。本作は、“冒険者”と“商人”の二足のわらじで進む、ショップ経営ローグライトアクションゲーム。主人公のウィルは新天地トレスナで店を立て直していく。

目指すのは、奪われた故郷を取り戻すこと。ダンジョンで集めた「遺物」に自分で値段をつけて店で売り、その稼ぎで村を発展させながら、謎のアーティファクト「エンドレス・ヴォルト」の試練に挑んでいく。

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ただ、この商売は仕入れが命懸けすぎる。

たった1本の回復薬を握りしめ、仕入れ先のダンジョンへ。近くからも遠くからも敵の攻撃が押し寄せ、あっという間に袋叩きだ。

そうして命からがら持ち帰ったお宝を、安全圏から不満顔で品定めされる。

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客が満足する適正価格で売れば、チップまでもらえる。だが裏を返せば、もっと高く売れたかもしれない値段で手を打つということだ。苦労の末のお宝を、そんな値段で手放したくない。

気づけば筆者は、客が不満顔でも買ってくれるギリギリの値段を探していた。

命懸けで持ち帰ったからこそ、少しでも高く売りたい。そして、高くても買ってもらえると気持ちいい。商売の工夫が見事に空回りしたところまで含め、すっかり欲にまみれた店主の仕事っぷりをお伝えしたい。

文/なごみ
編集/kawasaki

仕入れはいつも命懸け。勝てた! もう帰る!

店先に並べるお宝は、自分でダンジョンから持ち帰るしかない。

ダンジョンでは、ローグライトらしくマップ上の候補から次の行き先を選ぶ。宝箱のある場所へ向かうか、強敵と戦って良いお宝を狙うか。それとも、攻撃を強化する「パーク」を取りに行くか。品ぞろえを充実させたくても、まずは生きて帰れるだけの戦力が欲しい。

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操作は直感的で、キャラクターを動かすこと自体に戸惑いは少ない。それでも、筆者の序盤の探索は散々だった。

近接の敵に詰め寄られ、その向こうからは遠距離攻撃が飛んでくる。一度の被弾で体力を2割ほど持っていかれることもあるのに、持ち込める回復薬は最初のうちは1本だけ。ボスに会う前から疲弊し、残り体力1%ほどで帰還することもあった。店に立つ前に、店主の方が倒れかねない。

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そんな戦いで頼もしい味方になるのが、探索中に手に入るパークだ。銃撃に追尾弾のような「スパイク」が加わる効果は便利だったし、通常攻撃に「バブル」の追加爆発が乗るのも爽快。攻撃の手応えが変わると、もう少し先のお宝も見たくなる。

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ところが、回復薬を使い切って迎えたボス戦では、そんな余裕は消え去った。ボスは硬い。しかも、周囲には遠距離攻撃をしてくる雑魚までいる。こいつに勝てば良い遺物が手に入るのだが、こちらはもう回復できない。

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ソウルライクさながらの緊張感のなか、手に汗を握って戦い、ようやくボスを倒せた。

「勝てた! よし、もう帰る!」

こうしてやっと持ち帰った遺物を、店頭に並べる。こちらとしては、少しでも高く売りたい。

ところが、客は商品を一瞥し、「ふーん……」と不満げな声を出しやがる。吹き出しも、(-_-)といった顔。さらに値段が高すぎると、怒りマークを出して帰ってしまう。

おいおい、こっちは死にかけて持ち帰ったんだぞ?

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もちろん、客にそんな事情は関係ない。遺物の品質に応じた価格の上乗せもあるので、良い品にはちゃんと価値がつく。
それでも、さっきまで必死に戦っていた店主としては、安全な店内で品定めされるのは正直面白くない。

苦労の末の仕入れだ。そう簡単に安売りしてたまるかと、こちらも意地になってきた。

客にふっかけるのが気持ちいい。チップ? そんなもの知るか

安売りはしたくないが、客に帰られてばかりでは商売にならない。狙うのは、不満でも買ってくれるギリギリの値段だ。

まずは最高額をつけ、客の反応を見ながら20%ほどずつ、高価そうな遺物なら10%ほどずつ値段を下げる。

値段を下げていくと、不満げな顔のままでも買ってくれるようになる。買ってくれるなら、値下げはここまでだ。笑顔になるまでサービスする必要はない。

もちろん、さらに下げて適正価格にすれば、客は喜んでチップも払ってくれる。ただ、チップをもらうには、不満顔でも買ってくれる値段より安くしなければならない。

このときの筆者が通したかったのは、客の満足ではなく、自分でつけた強気な値札だ。チップはいらん、買え買え。

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逆に、客が笑顔になると「やってしまった……」と値付けを悔やむ。
もっと高くても買ってくれたのではないか。客が喜んだ分だけ、こちらの顔が曇っていく。最初に想像していた、みんな笑顔の商売はどこへ行ったのか。

この値付けを、毎回ゼロからやり直す必要はない。一度売れたときの設定は、次に商品を並べる際にも自動で反映される。自分の手で次々と商品を補充すれば、先ほど見つけた、不満顔でも買ってくれる値段で商売を続けられる。

商品を並べる。客が渋い顔で買う。また並べる。

出来上がったのは、ずいぶん阿漕(あこぎ)な店だった。なのに、自分で店を回している感覚が爽快で、手が止まらない。命懸けで持ち帰ったお宝を、高くても買ってもらえた。そう思うと、仕入れの苦労まで報われた気がするのだ。

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しかも、この稼ぎには使い道がある。次の仕入れに備え、ウィルを強くできるのである。

回復薬を2本持てるようになったときは、本当にありがたかった。1本であれだけ苦しんだのだから、もう1本あるだけで心強い。スキルツリーでは体力も増やせるし、ボスの攻撃を1回無効にできる防具もある。

命懸けだった仕入れに、ようやく余裕が出てきた。

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武器を替えれば、仕入れでの戦い方そのものが変わる。リーチの長い大剣は、「切れ味ゲージ」が高いほど攻撃の威力が増す。ゲージを維持しながら戦う武器なのだが、その維持方法を変える効果によって、一気に扱いやすくなった。

バーサークモードで手数が大きく増えるガントレットは、『モンハン』の鬼人化を連想する勢いで攻められる。

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ふっかけて稼いだお金が、次の仕入れの心強さや新しい戦い方になって返ってくる。装備が整えば、もっと奥にある、もっと高く売れそうなお宝にも手が届く。早くダンジョンで試したくて仕方がない。

高く売って、強くなって、また潜る。この循環に夢中になるうち、商売の方でも、値付け以外の工夫に手を出すようになった。

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客には強気だった店主、時間に追われて大安売り

少しでも高く売るための仕事は、店に戻る前から始まっている。遺物を詰めるリュックの中にも、ひと工夫の余地があるのだ。

遺物にかかった「呪い」の中には、矢印の方向にある遺物を燃やす効果がある。一方で、ほかの遺物が燃えるたびに価値が上がるものもある。このふたつを組み合わせ、安い遺物をわざと燃やせば、売りたい品の価値を上げられる。

命懸けで持ち帰ろうとしているお宝を、今度は自分で燃やす。より高く売るためなら、燃やすところまで計算に入れるわけだ。
最初は複雑に感じたが、効果が分かってくると、遺物の組み合わせや配置を考えるのが楽しくなる。

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店の方でも、高く売るための仕掛けに目が向いた。壁紙や床、設置物を変えて自分好みにできるが、注目したのは売値に関わる設備や、店に置けるペットの「ブロブレット」だ。

筆者が試したのは、“次に売れる3個”の遺物を50%高く売れるブロブレットの効果と、商品を20%高く売れる展示ケースの組み合わせだ。せっかくの3個分を、展示ケース以外の商品で使い切ってしまうのは惜しい。

そこで、その時点で4か所あった売り場のうち、“狙いの展示ケース1か所だけ”に商品を並べた。残りの3か所は空のまま開店。買える商品を絞れば、狙った遺物に効果を使えるはず。何を、どの順番で買ってもらうかまで考えた作戦だった。

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ところが、営業には時間制限がある。売れ残った遺物は次に持ち越せるが、できれば今のうちに売ってしまいたい。武器を強化して、早く次のダンジョンに潜りたいのだ。

そのために稼ぎたいのに、売り場は1か所だけ。商売の効率が悪く、時間ばかりが気になってくる。売りたいあまり、自分から値段を大きく下げてしまった。すると、客の目にゴールドマークが浮かぶ。安くしすぎたか……。

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高く売るために、設備の効果を組み合わせた。売り場まで絞った。その結果が大安売りである。

チップはいらんと強気だった店主が、時間に追われた途端、客に大サービスしている。自分で始めた作戦とはいえ、なかなか情けない。

慣れれば、もっと効率よく売れるのだろう。効果の組み合わせだけでなく、実際に店を回す手際も必要なのだと身に染みた。客の不満顔には耐えられても、閉店までの時間には耐えられなかった。

客の笑顔はさておき、また命懸けの仕入れに行ってきます

儲けようと工夫した挙げ句、自分から安売りしてしまった。それでも、命懸けで持ち帰った遺物を、不満げな客にも高く買ってもらえる気持ちよさは忘れられない。

自分で手に入れた品だから、値付けにも妙な意地が出る。冒険者と商人をひとりで引き受ける本作では、ダンジョンでの必死さが、そのまま商売への熱になっていた。

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客の品定めには、相変わらずムッとするだろう。それでも、新しい装備を手に入れると、自然と仕入れに向かいたくなる。

次はどんなお宝を、いくらで売りつけてやろうか。
“お客様”の笑顔はひとまずさておき、また命懸けでお宝を持ち帰ってこようと思う。

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本作はSteam版など、デジタル版が現在配信中。また2027年1月21日には、セガからPS5とNintendo Switch 2向けのパッケージ版も発売される予定だ。

ライター
ゲームの好きなところは、誰でも主人公になれるという公平さ。 子供の頃よりも現実に直面する場面が増えたからこそ、束の間にゲームをする。 お気に入りのゲームは『UNDERTALE』

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