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『ヒットマン』の開発元なのに、ステルスゲームではない? 「チケットなしで東京ゲームショウに入るなら、受付に嘘をつけばいい」──『007 ファースト・ライト』開発陣が語る”ブラフ”の遊びを聞いて、これぞボンドだと膝を打った

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『ヒットマン』シリーズのIO Interactiveが手がける、若き日のジェームズ・ボンドを描くスパイアクションアドベンチャー『007 ファースト・ライト』。

2026年5月27日の発売から24時間で150万本、3か月で累計400万本を突破した本作は、東京ゲームショウ2026の会場にNintendo Switch 2版をプレイアブル出展していた。

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『ヒットマン』の開発元が作るボンドのゲーム──そう聞けば誰もがステルスゲームを想像する。だが取材してみると、返ってきたのは意外な答えだった。

今回、電ファミニコゲーマーはTGS2026会場にて、ブースでのSwitch 2版試遊に続き、IO Interactiveのスタッフへのインタビューを実施。

「ステルスゲームなの?」という素朴な疑問を入口に、変装せず話術で切り抜ける「ブラフ」の正体、映画60年の遺産との向き合い方、エージェント47の体にボンド俳優の頭を「すげ替えた」ライセンス獲得秘話、そして会期直前に発表されたSwitch 2版「2027年3月」延期の内幕まで、たっぷりと話を聞いた。

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左からグローバルシニアコミュニケーションズマネージャーのヤン・ロスケル(Yann Roskell)氏、エグゼクティブテクニカルプロデューサーのクリスティーナ・ベガ(Cristina Vega)氏、グローバルブランドマネージャーのローリーヌ・デシャン(Laurine Deschamps)氏

聞き手・文/kawasaki

『ヒットマン』の開発元なのに、ステルスゲームではない?

──東京ゲームショウに出展されている本作を試遊してきました。若きボンドを操作して、敵陣のまっただ中を敵に見つからないように進んでいくというチュートリアルの内容でした。本作はステルスゲームなのでしょうか?

ベガ氏:
まぁ、IO Interactiveが手がけてきた『ヒットマン』はステルスゲームでしたから、そういう印象を持たれるのも無理はないと思います(笑)。でも、あのチュートリアルで描かれるボンドは、ゲーム内のいち側面に過ぎないんですよ。

──というと?

ベガ氏:
たとえば『ヒットマン』は、隠れたり、他人の服を奪って別人になりすまして周囲に溶け込んだりしながら進む、正真正銘のステルスゲームです。

でも本作のボンドは、ステルス以外のアプローチも選べる。堂々と正面から進んで話術でごまかしてもいいし、銃撃や格闘で直接倒してもいい。映画のようにガジェットを駆使してもいい。

攻略法が幅広く用意されていて、そのなかからプレイヤー自身が選んで実行できる。それがこのゲームの大きな見どころです。ステルスは、その選択肢のひとつにすぎません。

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──では、たとえば一般的なTPSが好きな人なら、射撃をメインに楽しむこともできるのでしょうか。

デシャン氏:
そうですね。ステルスがほぼ唯一の選択肢である『ヒットマン』とは違って、最初から最後までアクションで通しても、まったく問題ありません。

そして2周目は新しいガジェットを試したい、今度は戦わずにステルスで行きたい。そんなふうに、さまざまなアプローチを試したくなるリプレイ性にもこだわっています。

──さきほど仰った「話術でごまかす」は、どういったプレイフィールになるのでしょうか。

ベガ氏:
たとえば『ヒットマン』で、チケットを持たずに「東京ゲームショウ」の会場に入るミッションがあるとしましょう(笑)。誰かを倒して入場パスを奪うか、警備員の巡回パターンを観察して、隙を見て忍び込むことになりますよね。

でも『007 ファースト・ライト』のボンドなら、受付の人に話しかけて、嘘をついて通してもらうことだってできるんです。

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──ああ、いかにも007の映画でありそうなシーンですね。

ベガ氏:
ただし、ブラフが通用するのは限られた時間だけ。近くに留まり続けると見破られるので、速やかにその場を離れなければなりません。

ほかにも、ボンドになりきれるメカニクスはたくさんあります。たとえば現場の情報を集めていくと、話術をはじめとした仕掛けの選択肢が増えていく。こうした部分が、『ヒットマン』のようなステルスゲームや一般的なTPSと比べたときの、最大の特徴でしょうね。

デシャン氏:
おっしゃるとおり、これはジェームズ・ボンドというキャラクターをゲームでどう再現するか、考え抜いた結果なんです。ボンドはとても機知に富んだ、チャーミングな人物ですから、その人柄そのものが、前に進むための「道具」のひとつになる。

これはエージェント47(※『ヒットマン』の主人公)がまったく持っていないものですね(笑)。

007らしさとは「手の届かないバカンス」

──ボンドのキャラクター性を、このゲームでも大切にしていることはよく分かりました。映画の『007』では、ボンドのキャラクター以外にも欠かせない要素がたくさんあります。「007らしさ」にもいろいろありますが、その中で最も大事にしたのはどこでしょうか。

デシャン氏:
悩ましいことに、「007らしさ」は人によって言うことが違うんです。

「ボンドといえばカーチェイス」と言う人もいれば、「クールなガジェット」と言う人もいる。あとは「ボンドガール」、「音楽」もとても重要ですし、世界中どこへでも旅する「グローブトロッティング」もそうです。

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──どれか1つ欠けても「007じゃない」と言われそうですね。

デシャン氏:
そうなんです。 だから、どれかひとつではなく、そうした「お約束」の全部を大事にしました。

ベガ氏:
そういったなかで私たちは、「信じられるボンド」を作りたかった。

デシャン氏:
このゲームに登場する主人公が「次のジェームズ・ボンド」だと感じられるようにしたかったんです。考えることが本当に多くて、大きな挑戦でしたが、プレイヤーの皆さんに愛される人物に仕上げられたと思っていますよ。

私たちはよく「007の映画を観に行くのは、現実ではとても手の届かない豪華なバカンスに行くようなものだ」と言うんです。このゲームを遊んだ人にも、そう思っていただけると嬉しいですね。

──じゃあ、007におけるお約束の要素は、一通り入れられたと。

ベガ氏:
ええ、入れたいものは全部入れられたと思いますよ。それに加えて大きかったのは、若く駆け出しの「オリジン(起源)のボンド」を自由に作れたことです。おかげで、このオリジナルストーリーでは思い切り野心的になれました。

それでいて、権利元から「ダメだ」と止められたことは一度もなかったですよ。

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デシャン氏:
映画の歴代ボンド役を振り返ると、ショーン・コネリーにはショーン・コネリーのボンドの演じ方があって、ピアース・ブロスナンにも、ダニエル・クレイグにもそれぞれある。彼らはみな、007というシリーズに新しい魅力をもたらしてきました。

それと同じことを、『007 ファースト・ライト』でもやりたかったんです。ボンド映画が60年間積み重ねてきた「らしさ」を踏襲しつつ、新たな側面や新しいキャラクターを持ち込めたと思っています。

──映画のファンがプレイして、見つけて嬉しくなるような隠し要素はありますか?

デシャン氏:
映画のファンが見つけて嬉しくなる、いわゆるイースターエッグはとても大切にしていますよ。ネタバレになってしまうので詳細まで言えませんが……。

これはもうじき公になるので話してしまいますが、「ジャック・ザ・ブルドッグ」【※】もゲーム内に登場します。Mのデスクの上に置かれていた、ジェームズ・ボンドが実は嫌っている、あの陶器の置物です。ただし本作には、置物ではなく本物の犬として登場するんですよ(笑)。

※ジャック・ザ・ブルドッグ:映画『007 スカイフォール』などダニエル・クレイグ主演作に登場する、Mのデスクに置かれたユニオンジャック柄の陶器のブルドッグ。

史上最年少、26歳のボンド

──本作の主人公のボンドは、いったい「誰」なのでしょうか。映画のこれまでの俳優たちとはまったく違う、新しいボンドの物語が始まる、という認識で合っていますか?

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デシャン氏:
ええ、その通りです。 今作『007 ファースト・ライト』を機に、新しいボンドのオリジン・ストーリー(起源の物語)が始まります。どの映画作品とも、ストーリー上のつながりはありません。ちなみに映画シリーズを含めても、史上最年少のボンドです。

──新しいボンドの物語と聞くと、個人的に『カジノ・ロワイヤル』(※ダニエル・クレイグ主演の第1作)を思い出します。ああいったストーリーに近い部分はあるのでしょうか?

デシャン氏:
ひとついえるのは、これまでの映画に登場した、特定の誰か一人に寄せてはいません。

私たち開発チームは、生粋のジェームズ・ボンドのファンで構成されていますが、世代がバラバラなんです。ダニエル・クレイグで育った若手スタッフもいれば、ショーン・コネリーで育ったベテラン開発者もいる。

誰もが「ジェームズ・ボンドはこうあるべき」という自分なりの像を持っています。そういったなか、映画とは一切結びつかないオリジン・ストーリーを通じて、まったく新しいボンドを作り上げる自由度がありました。

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──なるほど……。史上最年少で、スパイとしてもまだ成熟しきっていないであろうボンドが描かれるわけですか。どのようなキャラクターなのか、非常に興味をそそられます。

デシャン氏:
なにしろ、まだ26歳ですから。ゲーム開始時点では海軍の若い新兵で、MI6のことも知らないし、MもマネーペニーもQも知らない。スパイの世界を、これから発見していくことになるでしょう。

それでも彼はジェームズ・ボンドです。 チャーミングで機知に富むといった資質は、すでに持っています。

ベガ氏:
それに、歴代のボンド役でも、それぞれ特徴が違っていますよね。 たとえばクレイグは最も肉体派のボンドで、頻繁に殴り合っています。いっぽうで(ロジャー・)ムーアはどちらかというとウィット担当。

私たちファンが「これはボンドだ」と納得できる共通のエッセンスがあれば、そういった違いがあっていいんです。

だから今回の『007 ファースト・ライト』でも、歴代のどのボンド役とも違うけれど、そのエッセンスはちゃんと残しています。

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ライセンス獲得秘話。エージェント47をボンド俳優に「すげ替えた」

──ボンド役のパトリック・ギブソン氏をはじめ、キャストを選んだときの話も聞かせてください。

デシャン氏:
「次のボンド俳優」を探すにあたって私たちが求めたのは、「無垢」とまでは言いませんが、スパイの危険な世界をまだ知らない雰囲気を持っていること。温かみを伝えられること。
そして、ゲームの物語の中でジェームズ・ボンドというキャラクターとともに成長していける人です。

今回のゲーム化で俳優を選ぶにあたっては、映画シリーズと同じレベルのクオリティを示したいと考えてきました。パトリック・ギブソン氏は、それに完璧にはまる俳優でした。

また、ゲームをプレイしたプレイヤーやジャーナリストの皆さんもそう感じてくれたようで、彼の演技は高く評価されていると思います。

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──海外のニュースで、面白い記事を読みました。本作が『007』のライセンスを獲得するためのデモ版として、『ヒットマン』のエージェントの体に、ダニエル・クレイグ氏の頭だけをすげ替えたモデルを作った──という話です。これは本当なんですか。

ロスケル氏:
ピッチ(企画の売り込み)の際に、『ヒットマン』をベースにしつつ、エージェント47の代わりにボンド俳優を据えたバージョンをお見せしたと記憶しています。IOIに何ができるかを示すショーケースとして、ひとつのミッションに仕立てたものでした。

ええ、その最初のピッチは実在します。私の記憶では『ヒットマン』のサピエンツァ【※】のミッションがベースで、地下に秘密の研究所を持つ大邸宅という、いかにもスパイ物語らしい舞台でした。 製品版と同じように、標的ひとり以外は誰も撃たずにミッションを解決できる──つまり弾丸1発でミッションを完了できることを見せるデモだったんです。

シューター寄りだった過去のボンドゲームと比べて、より「スパイの物語」としての繊細さを見せる狙いがありました。

※サピエンツァ:『HITMAN』(2016)に登場するイタリアの架空の海辺の町。地下に秘密研究所を隠した大邸宅への潜入ミッションの舞台で、シリーズ屈指の人気マップとして知られる。

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──その話を聞いて、『007』というものすごく有名なIPのゲーム化ライセンスを獲得するのは、さぞ大変だっただろうと思ったんです。ライセンス獲得時の苦労話はありますか。

ベガ氏:
大変ではなかったと思いますよ。私はライセンス業務の担当ではありませんが……私たちがライセンスを追いかけたというより、ライセンスの方から私たちのところに来てくれた、という感覚です。

デシャン氏:
お互いにピッチし合ったような形だったと思いますが、難航はしませんでした。このゲームの権利についてライセンスホルダーと協議を始めたとき、先方の反応は、「IO Interactiveが『Project 007』を手がける」と知ったときのジャーナリストやプレイヤーの反応と同じだったと思います。 つまり、「マッチ・メイド・イン・ヘブン(天の配剤)」だと。

ひとつは、私たち自身がこのライセンスのファンで、「やっていいこと・いけないこと」をよく理解していたこと。それに加えて先方は、私たちが『ヒットマン』で培ったスパイものの専門性も見ていました。

身なりが洗練されていて、エキゾチックな土地を旅して、道中でいくつかの標的を排除する──そういうゲームですから(笑)。ジェームズ・ボンドのゲームがどうあり得るか、それを開発する下地が私たちにすでにあると、分かってもらえたんです。

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ボンドファン、ヒットマンファン、そしてゲームをあまり遊ばない人へ

──本作に興味を持つ人の中には、映画『007』のファンだけれど、ゲームはあまり遊ばない、という人もいます。そういった人が楽しめる工夫はされていますか。

デシャン氏:
「ボンド映画を1本も観ていないし、詳しくないけど大丈夫?」と心配している人には、むしろ好都合なんです。本作は正史(カノン)にとらわれない、フレッシュな解釈ですから。

公式のジェームズ・ボンドの物語ではなく、私たち自身の解釈によるオリジナルストーリー。ジェームズ・ボンドについて何も知らなくても、まっさらな気持ちで初めての物語として楽しめます。

逆に「本物のボンドゲームになっているのか?」と気にしているボンドファンには、こう答えます。ええ、なっています。アストンマーティンもあるし、カーチェイスもアクションも、イースターエッグもありますから。

ベガ氏:
本作を作るにあたって、私たちは3つか4つの異なるオーディエンス(客層)を想定しました。

ひとつはジェームズ・ボンドのファン。映画を全部観て、原作も全部読んで、ゲームも全部遊ぶような人たちです。彼らに向けては、ボンドへの敬意を込めて、忠実に作る必要がありました。

次に、別のタイプのプレイヤー。『ヒットマン』ファンです。「『ヒットマン』を作った連中のゲームだから」という理由で遊んでくれる人たち。彼らが求めるのは「『ヒットマン』でありながら、『ヒットマン』ではないもの」。それをどう満たすかも、ずいぶん考えましたね。

3つ目は、そのどちらでもない、純粋にアクションアドベンチャーが好きな人たち。本作はアクションアドベンチャーでもありますから。ローリーヌが言ったように、独立して成立するオリジナルストーリーなので、予備知識は一切不要です。これらすべてのタイプのプレイヤーが、十分に楽しめるゲームになっていると思います。

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──そういった、映画のファンで普段ゲームをあまり遊ばない人が本作に触れたとき、最初にどこに注目してほしいですか。

ベガ氏:
脚本チームが、とても「ボンドらしい」物語を書き上げました。普段ゲームを遊ばない人には、ゲームとしての良し悪しは分からないかもしれません。でも映画を観ている人なら、「これはボンドだ」と分かるはずです。それが原動力になって、良いゲームだと感じてもらえると思います。

デシャン氏:
それからスペクタクル(大迫力の見せ場)と、シネマティックですね。映画を基準にしていたので、映画的なクオリティを目指して、素晴らしいグラフィックスを実現できるようエンジンを強化しました。音楽も、本作で特に力を入れた部分です。

──今、ストーリーという言葉が出ました。本作はジェームズ・ボンドの新しい物語の「始まり」だと思いますが、この物語はゲーム1作で終わるのでしょうか。それとも次のゲームで、さらに成長したボンドが描かれることはあるのでしょうか。

デシャン氏:
現時点では、私たちはまだ本作自体の開発と、コミュニティのフィードバック収集に集中しています。発売直後に「Year One」ロードマップ【※】を発表しました。発売後にどんなコンテンツで本作をサポートしていくかを示したものです。

『ヒットマン』でやってきたのと同じアプローチですね。『ヒットマン』は発売から数年経った今もなお盛り上がり続けているゲームで、同じ姿勢で『007 ファースト・ライト』も育てていきたい。ですから今は、チーム全体が本作のサポートに全力です。

※Year Oneロードマップ:2026年6月に発表された発売後1年間のコンテンツ計画。戦術シミュレーション(TacSim)モードの新ミッション追加のほか、レニー・クラヴィッツ氏演じる海賊王ボーマが再登場する新ストーリーミッション、PC向けパストレーシング対応、フォトモードなどが予告されている。

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──もし続編を作る機会があるとすれば、どんなゲーム内容にしたいと考えていますか。

デシャン氏:
続編に取り組むことになったら、そのときに考え始めますよ。取り組むことになったら、ですけどね(笑)。

──少し質問を変えます。先ほどブースで試遊したのは、Nintendo Switch 2版でした。Switch 2版といえば、つい先日、発売時期を2027年3月に改めると発表されたばかりです。延期が続いていますが、どういった経緯があったのでしょうか。

ベガ氏:
本編の発売を控えた時期、やるべき作業があまりに多くて、選択を迫られたんです。あの時点でSwitch 2版を出すこともできた。でもそれでは、良い移植にも、良い体験にもならなかったはずです。任天堂ハードのプレイヤーにも本当に良い体験を届けたかった。だから、もっと時間をかけることにしました。

──では、その延期の行き先が「2027年3月」になったのは、なぜなのでしょうか。

ベガ氏:
今、会場でご覧いただいたとおり、Switch 2版はすでに実際にプレイできる状態になっています。現在は最適化の最終段階、ラストスパートです。ただ、2027年3月という時期は、移植の開発状況だけで決まった日付ではありません。

マーケティングや、任天堂とのコミュニケーションも関わっています。さまざまな要因を総合した結果、3月がベストな発売ウィンドウだ、という結論になったんです。

「皆さんがナンバーを勝ち取る日を待ちきれない」

──本作のボンドは群衆の中に紛れ込むプレイが持ち味で、つまり大量の人間を画面に表示する必要がありますよね。プラットフォームによってはスペック的に厳しいのでは? という不安に対しては、どのようにお考えでしょうか。

ベガ氏:
本編の発売時、私たちは8つのプラットフォームでリリースしましたし、『ヒットマン』は14か15のプラットフォームで動いています。つまり私たちはハードウェアを扱い慣れていて、コンソールの経験も豊富です。

何事にも良し悪しはありますが、私はコンソールには”スーパーパワー”があると思っているんです。PCは非常に強力になり得ますが、プロセッサもグラフィックカードも良いのにマザーボードだけ粗悪、というユーザーもいて、そういうシステムは非常に厄介な挙動をします。

プレイヤーも構成も膨大な数があるので、PCがいくら強力でも、良い体験を届けるのがひどく難しくなることもあります。多くのバッファ(余裕)を残して、多様な構成を考慮しなければならない。頭痛の種になり得ます。

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──クローズドなコンソールなら、そうではないと。

ベガ氏:
コンソールはクローズドなシステムです。メモリも、マザーボードも、グラフィックカードも正確に分かっている。だから、そのハードウェアの潜在能力を最大限まで引き出せるんです。

それに、確定している事柄もあります。たとえば、Switchにパストレーシングがないことは分かっている。だから「パストレーシング対応のグラフィックカードを持つ誰かが有効化するかもしれない」というバッファを残す必要がなく、そのコンソールにとって完璧なゲームをただ作ればいい。

もちろんいくつかのトレードオフは必要でしたが、それらは意識的な取捨選択であって、プレイヤーの体験を変えてしまうものではありません。

さらに言えば、Switch向けに開発したレンダリング機能の中には、最適化の面で他のすべてのプラットフォームに恩恵をもたらすものすらあるんですよ。ですからSwitchのプレイヤーにも、他のプラットフォームと変わらない体験をお届けできます。

──今回試遊できたのは、かなり序盤のチュートリアルだけでした。もう少し先のゲームプレイを試したいと思ったのですが、今後そういった機会を作る予定はありますか。

ベガ氏:
どうでしょう、それは私が決めることではなくて(笑)。ゲーム内にはトレーニング要素がもっとあるんですよ。アイスランドのパートもトレーニングの一部ですし、マルタには訓練施設があって、これが実際とても好評なんです。 ただ、別のレベルを公開するとか、3月より前にさらにデモを出すとかについては分かりません。それは然るべき人たちが決めることなので。

デシャン氏:
その機会が来たら検討します。ただ今は、チームがたっぷり愛情を注いできたこのデモを楽しんでいただきたいですね。アイスランドを選んだのは、ゲームの本当に最初の数分間だからです。冒頭そのものを体験してもらえる。製品版を手にしたとき、続きにそのまま飛び込んでもらえるように、という狙いです。

ベガ氏:
プレイしたなら分かるでしょう? 遊んでいると、まさに乗ってきたところで終わる。だから良いティザー(予告編)にもなっているんです。「もっと遊びたい」となりますよね? あそこはちょうどいい区切りなんですよ。

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──日本にはSwitch 2のプレイヤーも、『007』映画のファンもとても多く、本作はいろいろな人が興味を持つと思います。最後に、本作に期待している日本のゲームファンに向けて、それぞれメッセージをお願いします。

デシャン氏:
まず、先日、累計400万本の突破を発表しました。世界中のプレイヤーから、そして日本のプレイヤーからも届く反響と愛情には驚くばかりで、本当に嬉しく思っています。コミュニティのフィードバックにいつも耳を傾けていますので、日本の皆さんとも、もっと交流できたら嬉しいです。

Nintendo Switch移植版は、素晴らしいものになるはずです。ゲームを待っていてくださる日本のプレイヤーの皆さん、お待たせしていてすみません。もうすぐです。皆さんが”ナンバー”(コードネーム)を勝ち取る日を、私たちも待ちきれません。

ベガ氏:
同感です。皆さんの応援と愛情に感謝したい。たくさんの温かいコメントをいただいていて、本当に心が温まります。そしてローリーヌが言ったように、Switch版が出て、あのプラットフォームで楽しんでもらえたときの反応を見るのが、待ちきれません。

ロスケル氏:
私も同じ気持ちです。任天堂ファンの中には、ボンドへの愛がたくさんあります。携帯モードでも、TVモードでも、どんな形でも楽しんでもらえる日を、心待ちにしています。

──本日はありがとうございました。

編集者
元4Gamer。『Diablo』 『Ultima Online』 『EverQuest』 『FF11』 『AION』等々の、黎明期のオンラインRPGにおける熱狂やコミュニティ、そこから生まれたさまざまな文化は今も忘れられません。

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