いま読まれている記事

『ストレンジャー ザン ヘヴン』城田優さん×ディーン・フジオカさん特別インタビュー。ともに海外での生活経験を持つおふたりに、これまでの歩みや役柄との重なり、本作に掛ける想いを聞いた

article-thumbnail-261006s

『ストレンジャー ザン ヘヴン』。RGGスタジオが満を持して送り出す新作アクションゲームである本作は、大正4年(1915年)から昭和40年(1965年)まで実に半世紀もの長きに渡って、居場所を求めて戦う男たちの人生を追う。

物語は、大東真(だいとう まこと)が一隻の船に乗り込むところから始まる。アメリカ人の父と日本人の母を持ち、差別に晒されてきた彼は、両親の死をきっかけにサンフランシスコから日本へと渡るべく、怪しげな船に忍び込むこととなった。

そんな大東真と船の中で出会い、彼の生涯の友でありライバルとなるのが、大東とおなじくイギリス人と日本人との間に生まれた真城優(しんじょう ゆう)。冷静な判断力を持ったリアリストでありながら、大東が困っていると見過ごせない“弱点”も持つ、複雑な魅力をみせるキャラクターだ。

『ストレンジャー ザン ヘヴン』城田優×ディーン・フジオカ特別インタビュー_001
(画像は『STRANGER THAN HEAVEN』「ゲームプレイステージ with 牛沢」「スペシャルラストステージ with 城田優&ディーン・フジオカ」 | YouTubeより)

今回電ファミは『ストレンジャー ザン ヘヴン』の出演者である、大東真役の城田優氏と、真城優役のディーン・フジオカ氏にインタビューをおこなう、大変貴重な機会を得た。

おふたりがどのような経緯で本作に出演することとなったのか。複数のルーツを持ち、一筋縄ではいかない複雑なキャラクターを演じるにあたって、キャラクターのどのような部分を“取っ掛かり”としたのか。そうした疑問への回答は、城田氏とディーン氏それぞれの“黎明期”にまでさかのぼる、非常に濃密なものとなったので、ぜひ最後までご覧いただきたい。

『ストレンジャー ザン ヘヴン』城田優×ディーン・フジオカ特別インタビュー_002
城田優氏(画面左)とディーン・フジオカ氏(画面右)。

聞き手/TsushimaHiro
編集/うきゅう


まるで昭和? 焼肉屋で開発者・横山さんに“口説かれ”、ゲームへの出演を決断した城田氏。「自分が真城優を演じる可能性もあった」

──まず、おふたりが本作のオファーをどのようにお受けになったのか、その経緯をお聞きしてもよいでしょうか。

城田優氏(以下、城田氏):
私は、ちょっとカジュアルな感じでこの仕事をいただいたんですよ。『ストレンジャー ザン ヘヴン』のエグゼクティブディレクターである横山さんと焼肉屋へ行ったとき「いま、こういうゲームを作っているんだ」と、その場で口説かれたんです。

『ストレンジャー ザン ヘヴン』城田優×ディーン・フジオカ特別インタビュー_003

まだディーンさんやほかの方のお名前も出ていない状況でした。それこそ、私がディーンさんが演じている真城役としてキャストされる可能性もあったんです。

でも、やっぱり二人の主人公を見たとき、音楽的な要素を持っていたり、それこそハーフであることの苦悩みたいな部分を持つ大東の方が「城田君のもともと生まれ育った環境と、非常に相性がいいんじゃないかと思う」と言われて、私も「そりゃそうですね」と。

そういう感じです。私は、焼肉屋で出演が決まったんです。

ディーン・フジオカ氏(以下、ディーン氏):
なんか、それこそ『ストレンジャー ザン ヘヴン』の舞台でもある、戦後の芸能界みたいな話(笑)。

城田氏:
ほんとにそんな感じでしたよ。ディーンさんはどうだったんですか?

ディーン氏:
私は、普通に令和の芸能界みたいな経緯ですよ。マネジメント経由で企画書をいただきました。

城田氏:
おー、ちゃんとしてる。

ディーン氏:
そうなんですよ。で、企画書を拝見したときに、あまりにも書いてあるキャストが豪華だから、ある種のあり得なさすら感じたんですよね。

城田氏:
スヌープ・ドッグさんがいたりとか。

ディーン氏:
トゥパックさんがいたりとか。「これは、なんなんだ!?」と。

その上で、内容を読ませていただくと、これがまた壮大な、50年に渡る男たちの物語が描かれる。その物語に向けられた目線というのが、妙な言い方ですけど「男だったら共感しないわけにはいかない」という感じで、とにかく作品の存在そのものに驚かされました。

こういうプロジェクトが生まれて、実現に向けて進んでいるということにも驚きましたし、光栄なことに真城優の役でオファーをいただいたということも含めて、とにかくワクワクしました。

いままで培ってきた経験や自分のなかの常識を超えていくような、計り知れない可能性を『ストレンジャー ザン ヘヴン』から感じたことを覚えています。

バルセロナで暮らした城田氏と、海外を転々としたディーン氏。かつて“ちがうもの”として扱われた経験が、大東・真城の生き様と共鳴した

──おふたりが演じる大東と真城は「迫害され、幼少期に居場所を失い、50年かけて自身の居場所を探し続ける」という、非常に複雑な役だったかと思います。おふたりが本作の台本を読んだとき、ご自身の人生と照らし合わせて「ここは共感できるな」と感じた部分はありましたか?

『ストレンジャー ザン ヘヴン』城田優×ディーン・フジオカ特別インタビュー_004
(画像は『STRANGER THAN HEAVEN』「ゲームプレイステージ with 牛沢」「スペシャルラストステージ with 城田優&ディーン・フジオカ」| YouTubeより)

城田氏:
私は幼少期にバルセロナで暮らしていた時期、そして、日本に帰ってきてからも、大東と全く同じような経験をしました。

今でこそ、ハーフや、さまざまな国のアイデンティティを持つ人たちが周囲にいることも意識されるようになってきていますが、30年以上前の当時、家族でバルセロナに住んでいた頃には、通っていた公立の学校に、私と兄弟以外のハーフは誰もいませんでした。幼稚園から高校までひとつにまとまってるデッカい学校で、全校生徒見渡しても僕らだけです。

ですので、周囲からは“ちがうもの”として扱われていました。バルセロナに住んでいるし、意識としては「自分もスペイン人だ」というマインドで生きてはいたものの、周囲からの扱いは、まさに大東そのものでした。

『ストレンジャー ザン ヘヴン』城田優×ディーン・フジオカ特別インタビュー_005
(画像は『STRANGER THAN HEAVEN』1stトレーラー | YouTubeより)

ですので、台本の一部を最初に見せていただいた段階で、役作りをする必要もなく、大東や真城の葛藤、苦しみに対しては「あ、この感覚わかります」という感じでした。本当に、想像する必要もないくらい、スッと入ってくる内容でしたね。

──ディーンさんはいかがでしょうか。

ディーン氏:
真城の「不利な状況でも諦めずに前へ進んでいく」部分に、自分を重ねるところがありました。

私は日本で生まれてアメリカへ行き、その後も中華圏や東南アジアなど、さまざまな国を渡り、生活の場所を変えていった人間です。仕事も含めて、いろんな文化圏や言語圏で活動してきたので、不利な境遇を前提として生きてきた期間が長かったんです。

この不利というのは肉体的にもそうですし、法律やステータスとしてもそうです。時には「ここに住んでいい」という権利を勝ち取るところから始めなくてはいけませんでした。

どこかに居場所を得るというのは、自分の価値を証明し続けなければいけないということで、そこに言語の壁や、現地の社会との距離感、人種的な問題なんかも含めた、さまざまなハンディキャップが積みあがっている状況でした。

──予想以上にハードボイルドで驚いています。

ディーン氏:
当時は、それこそ命のやり取りレベルの暴力を身近に感じながらも、それでも前に進んでいく。

そして、「場所が変われば戦い方も変わる」というのも、『ストレンジャー ザン ヘヴン』で描かれていて、共感したポイントです。作品のなかでは、小倉や熱海、新宿など、時代とともにさまざまな場所へと舞台が移っていきます。これは単に地理的な変化だけでなく、大東と真城という二人のキャラクターもまた、変化し、成長し、なにかを失ってもいく。

私自身、この物語やキャラクターを通じて、時を超えて変わらずにあるものと、時の流れとともに変わっていくものを問われているような感覚になりました。

『ストレンジャー ザン ヘヴン』城田優×ディーン・フジオカ特別インタビュー_006

──そういった過去の経験が、ご自身の演じられた真城の物語とリンクしたと。

ディーン氏:
でも考えてみると、「不利な状況でも、諦めずに前へ進んでいく」というのは私だけの話ではなくて、誰しも、少なからずそういう部分はあるのかもしれないとも思います。

これほど多くの情報に接し、かつてないほど人の行き来がたやすくなった現代であっても、自分の居場所を勝ち取る、つかみ取る、生み出すということは、誰であっても、大なり小なり人生のなかに起きて、乗り越えるべき“壁”として迫ってくるのかもしれません。

だからこそ、プレイヤーのみなさんが『ストレンジャー ザン ヘヴン』を通してある種の疑似体験をしながら、自分の壁に向き合うための勇気をもらうことも、きっとあるんじゃないかな。

そう思わせてくれるような、すごく熱量のこもったプロジェクトだと思っています。

過酷な環境のなか、ディーン氏を救った「人の優しさ」。その経験が巡り巡って、真城というキャラのなかで息づく

──ディーンさんの演じる真城優には、「冷静で計算高いリアリスト」という一面がありつつも、一方で困っている大東真を見て自分の食料をわけてあげる“人情味”も垣間見せるキャラクターになっています。このような人物を演じるにあたって、ご自身のこれまでの経験はどのように活かされましたか?

『ストレンジャー ザン ヘヴン』城田優×ディーン・フジオカ特別インタビュー_007
(画像は『STRANGER THAN HEAVEN』「ゲームプレイステージ with 牛沢」「スペシャルラストステージ with 城田優&ディーン・フジオカ」 | YouTubeより)

ディーン氏:
たくさんありますが、「人の優しさに助けられてきた経験」はとても活きたと思います。

先ほども話題に出しましたが、私の人生の黎明期、まだ俳優のお仕事を始める前、学生の時には、とにかくお金がなく、住むところも非常に厳しい環境でした。

でも、こういう言い方が正しいのかわからないんですが、「恵まれていた」という認識はあるんです。人の優しさに触れる機会があったというか。

──どのようなことがあったのでしょうか。

ディーン氏:
世の中には、自助努力では這い上がれないような境遇があります。自分の場合は、ありがたいことに、いろんな出会いに恵まれました。「今日、どうやってご飯を食べようか」という状況で、炊き出しに救われた時もありました。

その人にとっては不要になった服や家具をもらって救われたこともあります。

──まさに、人情ですね。

ディーン氏:
こういった、「人の優しさ」のおかげで、今このような生き方や仕事ができて、そして過去の自分の経験を表現に活かすことまでできています。

人の優しさに触れた経験は、どんな状況であっても忘れてはいけないと思って生きてきました。たとえ自分がその時どんなに無力で、何もできなかったとしても、いつか何かの選択肢を得たときに、あの時の記憶やぬくもり、いただいた優しさを返していく。

そういう経験や記憶が、巡り巡って、今回の真城優の「一見すると冷たく突き放すようでいて、でも最後の一歩でつい手を差し伸べてしまう」ような彼の気持ちに、歩みよるきっかけになったのではないかと思います。

『ストレンジャー ザン ヘヴン』城田優×ディーン・フジオカ特別インタビュー_008
(画像は『STRANGER THAN HEAVEN』1stトレーラー | YouTubeより)

──本作で真城優を演じたことが、ディーンさんの今後の俳優生活にどんな影響を与えてくれそうでしょうか?

ディーン氏:
今回、任侠と呼ばれるタイプのキャラクターを演じさせていただいたんですが、小さいころから『仁義なき戦い』を見てきた自分としては、やっぱりそういったキャラクターに憧れを持っていたところがありました。

海外の作品としても、ガイ・リッチー監督の『スナッチ』や、『ゴッドファーザー』などで描かれる、社会のルールとは別に、自分たちの厳しい掟を持って、矜持とともに生きる人たち。求めるものを、力で勝ち取っていくような人たちです。

──しかも50年の歩みですから、演技にも熱が入ったのではないでしょうか。

ディーン氏:
『ストレンジャー ザン ヘヴン』のような脚本って、作ろうと思ってもなかなか作れないと思うんです。多文化、多言語が絡み合い、大正から昭和にかけての50年もの時間を使って、貧困などのバックグラウンドゆえに、任侠の道を選ばざるをえなかったキャラクターたちを描く。

私も真城を演じるなかで、自分の魂の部分がたぎるような熱量を物語から感じましたし、作品に引き込まれる自分を意識しながら、一方で自分もまた作品に魂を吹き込んでいく、そういう凄い経験をさせてもらったと思っているので、いつかまた、任侠の役をいただけたら、自分がどんな芝居をできるのかは、すごく楽しみですね。

『ストレンジャー ザン ヘヴン』城田優×ディーン・フジオカ特別インタビュー_009
(画像は『STRANGER THAN HEAVEN』「ゲームプレイステージ with 牛沢」「スペシャルラストステージ with 城田優&ディーン・フジオカ」 | YouTubeより)

──つづいて、城田さんにお伺いします。質問の方向がガラッと変わってしまうんですが、城田さんは「ゲーム好き」を公言されています。本作でゲームの主演キャラクターを演じるにあたって、「ゲームをやっててよかった」と思うようなことはありましたか?

城田氏:
そうですね、そんなに大きな部分ではないですけど、個人的には「ゲームをやっててよかったな」と思うところはありました。

ゲームの収録には、声を出さなきゃいけないシチュエーションがたくさんあります。ひとつひとつのアクションだけでなく、たとえば「ありがとうよ」とか「ん?」のような、街中などで繰り返し使われそうなセリフもあります。

『ストレンジャー ザン ヘヴン』城田優×ディーン・フジオカ特別インタビュー_010

僕自身、ゲームをしていて何度もそういうセリフを聞いてきました。いかに自然に、何度聞いてもらっても違和感のないように言えるか、というのは意識しましたね。

そしてこのゲーム、「何回も使われるだろうな」というセリフの数がめちゃくちゃ多いんですよ。英語と日本語でも、やっぱりニュアンスが変わるし。僕は英語がネイティブではないので、毎回指導の先生に来ていただいて、「厳しくやってください!」とお願いしつつ、やらせていただきました。

50年という時をかけて磨かれていくキャラクターたち。日本に対する複雑な思いや、関係性の変化を言葉とともに伝える演技に注目

──最後に、本作を手に取る日本の、そして世界中の皆様に向けて「自分の演じるキャラクターの、ここだけは見逃さないでほしい」というポイントなどあれば、お聞かせください。

城田氏:
そうですね、さきほどディーンさんが仰ってたように、これだけ壮大なスケールが描かれるゲームって本当にないと思いますし、そのなかで50年に渡って声を作らせていただいたという部分ですかね。

大東と真城のタッグ自体も、その関係性を変化させていきますし、使う言葉ひとつとっても、時代によって全くちがったりするんです。

日本という国に対して、大きなコンプレックスを持ちつつも、一方で日本からたくさんの愛と情熱をもらって育っていく彼らの言葉ひとつひとつの使い方や、その息遣い。本作は海外の方もたくさんプレイされるとは思うんですが、やっぱりこの作品を日本語で遊べるというのは、日本のプレイヤーさんの特権でもあると思います。

私自身、この作品の舞台が日本で、日本語がメインに使われているということが本当に誇らしい気持ちで、声を入れさせていただいたので、ぜひご注目ください。

──ディーンさんはいかがでしょうか。

ディーン氏:
城田くんの言った通りだなと思いつつ、少し補足するなら「本作がゲームである」というところでしょうか。やっぱり、ゲームでしか成立しない物語や設定、展開というものがあって、それによって引き出される表現というものもあるんです。

今回、声を入れていても、「こういうシチュエーションでこういう芝居をするなんて、多分ゲームでしかないだろうな」と思うものが多々ありました。そういう部分に注目していただけたら、追体験として面白いんじゃないかと。

詳しくは言えないんですが、「こんなところでこんなこと、絶対起きないでしょ!」みたいなことが結構あるんですよ。でも、実は自分の心の奥底では、そういう行動をとりたいと思っていて、ゲームがそれを代弁してくれているような感じもあるんです。

「本当はこういうこと、やってみたいでしょ?」と手を差し伸べてくれるような、そんな不思議な感覚が味わえる作品なので、ぜひ楽しんでいただけたらと思っています。(了)

『ストレンジャー ザン ヘヴン』城田優×ディーン・フジオカ特別インタビュー_011

編集・ライター
『MOTHER2』でひらがなを覚え、ゲームと育った生粋のRPG好き。キャラメイクや物語が分岐するTRPG的な体験を好む生態。『Divinity: Original Sin 2』の有志翻訳を経て、『バルダーズ・ゲート3』を独力で全訳し完走。『ゴースト・オブ・ツシマ』の舞台となった対馬のガイドもしている。 Xアカウント(旧Twitter)@Tsushimahiro23
編集者
小説の虜だった子供がソードワールドの洗礼を受けて以来、TRPGを遊び続けて20年。途中FEZとLoLで対人要素の光と闇を学び、steamの格安タイトルからジャンルの多様性を味わいつつ、ゲームの奥深さを日々勉強中。最近はオープンワールドの面白さに目覚めつつある。
Twitter:@reUQest

本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ている場合がございます

新着記事

新着記事

ピックアップ

連載・特集一覧

カテゴリ

その他

若ゲのいたり

カテゴリーピックアップ