【日曜、最終回!】「誰もうまくいくと思ってなかった」ゲームがテーマの異色仮面ライダー『エグゼイド』誕生秘話。パックマンやPS VRとコラボした1年をキーマンと振り返る

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 「ノーコンティニューでクリアしてやるぜ!」「超キョウリョクプレイでクリアしてやるぜ!」といったキメゼリフがゲーマー心をくすぐる仮面ライダーを、電ファミ読者はチェックしているだろうか?

 “ゲーム”と“医療”という2つのテーマを持った異色のヒーロー『仮面ライダーエグゼイド』が、ついに8月27日にテレビシリーズ最終回を迎えることになった。

劇場版「エグゼイド・キュウレンジャー」製作委員会 (c)石森プロ・テレビ朝日・ADK・東映

 前述のようなセリフはもちろん、キャラクターデザインにもゲーム要素が取り入れられ、さらに『パックマン』や『ギャラクシアン』といった実名ゲームタイトルとのコラボレーションも実現。8月5日から公開中の映画『劇場版 仮面ライダーエグゼイド トゥルー・エンディング』では、「PlayStation VR」とコラボしているという。

 こんなライダーが全然ゲームメディアで取材されていないことが気になっていた電ファミ編集部だったが、この最終回直前というギリギリのタイミングで、『エグゼイド』のキーマンにインタビューできる機会に巡り会えた。気分はもう、マキシマムパワーエックス! である。

 今回お話を伺ったのは、本作のプロデューサーを務める東映の大森敬仁氏@Takahito_Omori)、そしてテレビシリーズと映画の脚本を担当された高橋悠也氏@yuya_takahashi)のおふたり。

 両名のゲーム遍歴からはじまって、製作経緯やこれまでのコラボについてなどなど、さまざまな“エグゼイド×ゲーム”をお聞きした。最終回を観る前に、ぜひ目を通していただけると幸いだ。

取材、文/浅井 渚
構成/なかJ


東映の大森敬仁プロデューサー(写真左)、脚本担当の高橋悠也氏(写真右)

今はじめて語り合う? 自分が遊んだゲームの話

――テレビシリーズが2016年10月2日の第1話放送開始から約1年、いよいよ最終回を迎えますが、この1年間を通して、ファンの方々からの反応はいかがでしたか?

大森敬仁氏(以下、大森氏):
 ファンの方というより、関係各位の方々から、「今だからいうけど、誰もうまくいくと思ってなかったよね」って言われて「えぇー! そう思ってたの!?」ってなりましたね(笑)。

大森敬仁氏

高橋悠也氏(以下、高橋氏):
 1話がオンエアされた日の、Twitterのトレンドに「ワンダースワン」【※】が入っててビックリしたのを覚えています(笑)。「そこかよ!」って思いましたよ(笑)。やっぱりみんなゲームのことに注目していたんですね。

※ワンダースワン
1999年にバンダイから発売された携帯型ゲーム機。主人公の宝生永夢(ほうしょう・えむ)が、16年前の子ども時代に医師によって救われたという回想シーンに登場した。

大森氏:
 テーマを「ゲーム」にしたことで、ある程度“世代を決めちゃった”という気は少しあります。なので、「仮面ライダー」のファンの中でも、若い世代の人たちには受け入れてもらえたけれど、もっと上の世代にはどうだったんでしょうね。

 とはいえ、我々すらもう“親の世代”になっている、ということもあるので、「チャレンジしてよかった」という気持ちです。

――お二人とも30代後半ということは、ちょうどスーパーファミコン直撃世代?

大森氏:
 子どもの頃はよく遊んでいましたね。ボクは兄弟がいるので、みんながやるようなゲームは一通りやって成長した世代です。

高橋氏:
 ボクはRPGが好きだったので、『ドラクエ』とか有名なRPGは、ほとんどプレイしていました。友だちとも対戦ゲームをやってましたけれど、友だちとはずっと一緒にいられるわけじゃない。でも、家に帰ってもゲームをやりたい……ということで、RPGをよくやっていましたね。

高橋悠也氏

大森氏:
 兄とゲームをしなくなってから一番ハマったのは、スーパーファミコン版の『伝説のオウガバトル』【※】でした。

※伝説のオウガバトル
1993年、クエストからスーパーファミコン用ソフトとして発売されたリアルタイムストラテジーシミュレーションRPG。神聖ゼテギネア帝国の恐怖政治から民衆を解放するため、一人の若き指導者が立ち上がった。反乱軍として、民衆の支持を得ながら都市を制圧していくことが必要になるため、「都市を戦場にしない」「高レベルのユニットが低レベルのユニットを袋叩きにしない」など、モラルの高い“英雄的な戦い”を求められる。企画・シナリオを手がけたのは松野泰己氏。

高橋氏:
 おぉ! あったねぇ!

大森氏:
 あのゲーム、マップの途中でセーブできないんですよね。それで、家に帰ってきた兄貴がテレビを見たいからって、リセットを押されて、「はぁー!?」ってなる、あの絶望感……。

高橋氏:
 あるある(笑)!

大森氏:
 あと、あんまりキャラを強くしすぎちゃいけないとか、マルチエンディングとか、要素がイロイロあって、いくらやっても終わらないから「これ、老後にやりたいなあ」って思ってました。

高橋氏:
 子どもの頃、すでに老後のことを考えてた?(笑)

大森氏:
 というか、まさかこんなに高橋さんが食い付くとは思ってなかったなあ。「知らない」とか「ふーん」って言われるかなって……(笑)。

高橋氏:
 いや、スーファミのタイトルでマイベストを募集したら、上の方にランクインすると思いますよ(笑)。

大森氏:
 そうなんだ!? ……『仮面ライダーエグゼイド』(以下、『エグゼイド』)【※】をはじめて一年経って、やっとちゃんと、高橋さんとゲームの話ができた気がします(笑)。

※仮面ライダーエグゼイド
2016年10月2日からテレビ朝日系列で、毎週日曜8:00から放送されている特撮テレビドラマ作品で、「仮面ライダー」シリーズ第18作目。仮面ライダーのデザインにゲームを、そして物語の舞台に病院を起用していることが特徴のひとつ。

なかなかテーマにできなかった“ゲーム”

――いまはじめて“ゲームバナシ”なんですね(笑)? 『エグゼイド』の企画段階で話題に出たりしたんだろうな、と思ってました。

大森氏:
 企画段階の話というと……。“ゲーム”をテーマにすることは――「仮面ライダー」シリーズは子ども向けの番組ですから――子どもに向けた取っかかりとしては、敬遠されていたんです。対象年齢が未就学児童なので、オモチャはそれこそ触れる世代なんですけど、ゲームはまだ触れない世代だろう、ということで。
 でも、ボクの感覚からすると、自分を含めた親世代がゲーム世代になってきていて、その子どもたちも日常的に触れているのではないか……とずっと思っていたんです。
 だから、“ゲーム”を「仮面ライダー」のメインモチーフにできないか、ずっと方向性を探っていたんです。

高橋氏:
 今このタイミングで「“ゲーム”をテーマにした仮面ライダー」をやることになったきっかけって、何かあったんですか?

大森氏:
 ボクがまたプロデューサーをやらせてもらえたから、ってことでしょうね(笑)。

 でも、最初は関係各位から反対されました。ゲームって、それぞれのタイトルごとにそれぞれの世界観があるけれど、それをわかりやすくビジュアル化するのは難しいのではという意見もありました。
 でも、「仮面ライダー」は最終的に「戦うドラマ」で、“ゲーム”にも“勝負”という部分が大きく、相性はいいと思っていたんです。「だからやろうよ!」と押し通した感じですね。

――押し通したっ!!

大森氏:
 最後の最後まで、反対されてたんですよ。でも、「レベル1」のコンセプトができて、やっとGOサインが出ました。

デフォルメされたキャラクターのような、三頭身の状態を指す

――確かに、ボタンがついていたり、ゲームのキャラクターらしいビジュアルであったりと、『エグゼイド』のモチーフが「ゲーム」だということを理解しやすいビジュアルですもんね。

大森氏:
 まず、ライダーらしいレベル2」のデザインが先に出てきたんです。

「レベル1」からレベルアップし、等身大の姿になった状態を指す

 それはそれで、「レベル1」と同じようにボタンもありますし、ある程度のゲーム感はあるな、と思ってはいたんですが、コンセプト的なものが伝わりにくいということはありました。
 それで、「レベルアップ」【※】のコンセプトデザインが上がってきたとき、イチバン最初にこの「レベル1」のデザインが出てきて、ビジュアル的なわかりやすさがあったので、「これで行こう」となったんです。 その時点ですでに、レベルアップのコンセプト以外にも「1Pと2P」のような、後々登場するコンセプト案がいくつかありました。いま思うと、そのときに出されていたコンセプトは、1年間で全部使ったんじゃないかと思います(笑)。

※レベルアップ
今作の仮面ライダーはそのフォームごとにレベルがあり、レベルが上がっていくにつれ、その装甲も変形していく。ここではそのレベルが上がることを指している。

“8bit感”を大事にしたデザイン

――デザインは最近のゲームというより、どちらかというとレトロなモノをイメージされた印象がありますね。

大森氏:
 ファミコン世代、スーファミ世代の人たちが子ども向けにゲームキャラクターを作るとこうなる、っていうことでしょうね(笑)。
 いわゆる「8bit感」、「ドット感」、「ピコピコ感」というのは、ボクらの世代にとってゲームをあらわす「記号」のようなものですから。

 最近は3Dグラフィックで、何でもキレイにできますから、「レトロゲームの時代じゃないよ!」と思いはしつつ(笑)、でも「現代の子どもたちに向けた“8bit感”」という雰囲気にはなっていると思います。

高橋氏:
 最近のゲームは、ジャンルはイロイロあるし、グラフィックがスゴくキレイになりはしたけれど、似たような雰囲気のモノが多い気がしていたんです。それよりも、昔のほうがもっとバラエティー豊かだったという印象があったんです。

 そういうところが、ライダーのフォームなどのバリエーションを作るにあたって、コンセプトがわかりやすくなった理由なんじゃないかと思います。

―― 2号ライダー「ブレイブ」【※1】は「ロールプレイングゲーム」、「スナイプ」【※2】は「シューティングゲーム」、「レーザー」【※3】は「レーシングゲーム」がそれぞれモチーフになっています。ゲームジャンルの選定と当てはめは、どのように考えられたのですか?

※1 仮面ライダーブレイブ
鏡飛彩が変身する勇者型の仮面ライダーで、モチーフとなったゲームジャンルはロールプレイングゲーム。

※2 仮面ライダースナイプ
花家大我が変身する狙撃手型の仮面ライダーで、モチーフとなったゲームジャンルはシューティングゲーム。

※3 仮面ライダーレーザー
九条貴利矢が変身する仮面ライダー、モチーフとなったゲームジャンルはレーシングゲーム。

高橋氏:
 ライダーの戦い方のバリエーションから入ったんじゃないかな。「アクションならハンマー、RPGなら剣。でも、それだと近距離攻撃ばかりになってしまうから、遠距離攻撃のできるシューティングを加えて……」というような。

画面左から「仮面ライダーブレイブ レガシーゲーマーレベル100」、「仮面ライダースナイプ シミュレーションゲーマーレベル50」、「仮面ライダーレーザーターボ バイクゲーマーレベル0」

大森氏:
 ゲームはジャンルによっていろんな武器で分けられているイメージがあるんです。主人公のモチーフを“アクション”にしたのも、パンチやキックで戦うことが多い「仮面ライダー」にはちょうどいい、という考えがありました。
 それから、「ゲームならそれぞれが勝負することもあるけど、協力プレイもあるだろう……」と、4人同時プレイの「ドラゴナイトハンターZガシャット」【※1】のアイデアなども出てきました。
 その中で、「1人ぐらい割とどうでもいいヤツがいてもいいんじゃないか」と思って作ったのが『仮面ライダーレーザー』でした。

※ドラゴナイトハンターZガシャット
今作に登場する変身アイテム「ライダーガシャット」のひとつ。強力アイテムだが、それ故に1人で使用すると暴走の危険がある。

——どうでもいい……(笑)。かわいそう。

大森氏:
 いや、「どうでもいい」っていうのは、“キャラが”じゃなくて方向性が違うというか、「バトル」ではなく「レース」で勝負を決めるっていう部分でね(笑)?
 「仮面ライダー」だから、バイクはもちろん必要なんですよ。ライダーが変身してバイクになっちゃう、っていうのは意外でしたけど(笑)。

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