筋骨隆々の「超能力戦士」(と書いて「サイバーソルジャー」と読む)が“陸に降りず”、人類滅亡を目論むエイリアンに立ち向かう横上下スクロールシューティングゲーム。
それが36年前の1990年、ナツメ(現:Winning Entertainment Group株式会社、WEG)から発売されたファミリーコンピュータ(ファミコン)向けタイトル『ファイナルミッション』である。

1980年代のどこかで聞いた覚えのある戦闘スタイルとオーラをまとっていそうなプレイヤーの設定、そして少しシュールな絵面が目を引く本作。
原作は、プレイヤーを追走する2機の「オプション」の角度を調整しながら前後方から襲い来る敵を迎え撃つ戦術的なゲームプレイと、横から上や下にスクロールする独特なステージ構造と演出などで高い評価を得ていた。
当時の技術力を駆使して実現させた2人協力マルチプレイ、一部に英語ボイスが流れる演出、そして怪作の呼び声がある『アイドル八犬伝』などを手がけた禎清宏氏による重厚な音楽も特色のひとつである。

海外では『S.C.A.T.: Special Cybernetic Attack Team』の名で発売され、2026年現在は海外向けの「Nintendo Entertainment System – Nintendo Classics」でも配信されている。
そんな『ファイナルミッション』がオリジナル版の発売から36年の時を経て、『奇々怪界 黒マントの謎』『闇の仕事人 KAGE Shadow of The Ninja』などを手がけたWEGのスペシャル開発チーム「TENGO PROJECT」の手によって、16bitスタイルに改められてリメイクされることになった。同プロジェクトの第5弾にあたる。
その名も日本語版と海外版のタイトルを掛け合わせた『Cybernetic Attack ファイナルミッション』である。
このたび、そんな『Cybernetic Attack ファイナルミッション』が「東京ゲームショウ2026」に参考出展された。遊べる内容や体験できる部分には相応の制限がかけられていたほか、いくつか未実装の仕様も含んだ“文字通りの参考版”だったが、もはやリメイクの枠を超えて『ファイナルミッション』を原作とした新作になる手触りは十分に感じ取れた。
幸運にもシングルプレイと2人協力のマルチプレイを連続して体験したことで見えたその特色を、現地でお会いした「TENGO PROJECT」のシニアマネージャーである宮部寿保氏から伺ったお話も交えてレポートする。
なお、参考版ということで、紹介する特色と仕様の一部はあくまでも現時点における“予定”であるという点にご注意いただきたい。
まず、ゲームプレイの内容は原作の『ファイナルミッション』と同じだ。
横上下スクロールで展開されるステージクリア型のシューティングゲームで、戦闘機……ではなく、人類の英知を結集した攻撃部隊「サイバネティックアタックチーム」の戦士を操作し、襲い来る敵を迎え撃ちながら戦っていく。
ステージ最後に現れるボスを倒せればクリア。逆に被弾した時に減る「ライフゲージ」が空になったらゲームオーバーだ。ちなみに残機の概念はない。これは原作のファミコン版も同じである。
いかにも陸地で戦えそうな見た目をしているのにそこへは降り立たず、空中で戦い続けるというプレイヤーの設定も同じである。
しかも今回はキャラクターのデザインが原作以上の重武装になり、たくましい筋肉も合わせて「もう普通に戦えるだろう」と思えるぐらいビルドアップしている。
だが、それでも陸地に降りて戦うことはない。この徹底ぶりも本作らしさのひとつと言える。
ただ、原作とは異なり選べるキャラクターは4名に増えた。サイボーグ兵士で原作にも同名のキャラクターがいた「フレデリック」、粒子共感装置を操る「セイレーン」、工業用ロボットの「タイタン」、そして天才理系女子の「クインビー」から選択可能だ。
今回の試遊版ではフレデリック以外の3名は選べなかったのだが、それぞれ戦闘スタイルから操作感まで異なる特徴があるとのことで、1本で4度は楽しめる内容になるようだ。
中でもクインビーだけは自らが宙を舞うのではなく、ホバーバイクに乗って戦うスタイルになるという……なんだろう。彼女だけ、シューティングゲームとしての見た目の説得力が強くなりそうに思うのは気のせいか?

唯一選べたフレデリックに関しては、本人自身と2機のオプションによるショット攻撃(メインショット)を基本とするスタンダードタイプといった趣だった。
最初に体験したシングルプレイでは目まぐるしく移り変わる展開に対応しきれず途中で撃沈してしまったのだが、続くマルチプレイでは片側のプレイヤーが対応できない方向に専念した結果、最終的にステージクリアを達成できた。
とはいえシングルが極端に難しいわけではない。
敵の出現タイミングや弾の軌道はほぼ固定パターンに沿っているため、トライ&エラーを重ね、アイテムによるメインショット強化と高火力な技の「チャージブラスト」を適度に駆使すれば、ひとりでも突破口がハッキリ見えてきそうな塩梅だった。
実際に宮部氏によれば、本作はシューティングゲームながらもアクションゲームに寄った感じのゲームバランスを目指す方針のようで、上達がハッキリと感じられる手触りになるようだ。難易度も複数の選択肢が用意されるとのこと。
さらに一連の特徴が物語るように、本作は原作を見た目だけ変えてそのまま再現した内容ではない。現に今回体験できたステージも原作再現と思わせて一部、見覚えのない巨大な敵が出現したり、最後に対決するボスも攻撃パターンから倒し方までほぼ別物という違いがあった。
原作はファミコン版だが、中身は若干違う……というのが本作の真髄のようで、プレイ経験がある人にも新鮮な驚きと発見がある内容になりそうだ。
「TENGO PROJECT」の手がける16ビットスタイルのリメイク作品と言えば、重厚で細かいパーツが生き物のように動くドット絵がセールスポイントのひとつだが、本作でもその魅力は健在。
過去の「TENGO PROJECT」リメイク作品では、このドット絵自体をすべて、ファミコン時代から現代までゲーム制作に携わるひとりのベテランクリエイターが描いていたのだが、どうも今回もそのようである。相変わらず職人芸の一言だ。
参考出展ゆえ、確かめられたのは本当に一部ではあったが、原作の特徴はそのままに別のゲームと錯覚するような手触りと歯応えを滲ませる部分があるなど、なかなか手の込んだ仕上がりになりそうな期待は持てた。
操作も基本的には方向キー(スティック)と3つのボタンを使うだけと単純。

そして、現時点では本作がどのプラットフォーム向けに発売されるかについても未定である。そのため、本稿では現地で体験できたプラットフォームの詳細や操作の具体的な情報については伏せさせていただいた。
発売時期も宮部氏いわく今の時点では明言できないようだが、2027年以降に随時、「TENGO PROJECT」の公式Xなどで情報を出していくとのこと。気になるフレデリック以外の3名の戦闘スタイルや操作感、操作周りの拡張について、詳細を知れるその時と本作の完成を心待ちにしたいところだ。
原作はまさに知る人ぞ知る作品で、今回、36年の時を経て装いも新たに“陸に降りない”戦士たちが蘇ることになる。原作を知る人に限らず、シューティングゲーム好きは今後の発売に向けた動きを要チェックだ。




