物への愛着は、どこから生まれるのか。答えのひとつはきっと「過ごした時間」にあると思います。
果てしなく広がる砂漠でキャンピングカーを操縦し、荒れ果てた世界で物を集めていくゲーム『Nomad Drive』は、キャンピングカーの中に自分の“イイ”と思ったものが詰め込まれていく、小さな満足の積み重ねが楽しい作品です。
全体的に“ユルい”終末世界で、やることと言えば気に入ったものを「拾い」「積んで」「並べる」だけ。それなのに、本作のゲームプレイにはどこかプレイヤーの収集癖や“こだわり”をくすぐる妙な中毒性がありました。
プレイヤーが移動すればするほど、詰め込んだアイテムやインテリアが増えていき、豊かな環境になります。長く過ごせば過ごすほど、アイテムのバリエーションが増えて楽しい。本作の舞台は砂漠の終末世界ですが、ゲーム中の世界観は絶望というより、小さな希望の繰り返しに満ち溢れたものでした。
Steamでは現在、体験版が配信中です。現時点では、戦闘や厳格なリソース管理はなく、自前のキャンピングカーで廃墟を巡りながら気に入ったものを収集していくスローライフがメインとなっています。そこで感じたのは、小さな“こだわり”を持つことが、この時間をより豊かにしてくれるということです。
食器が欲しい、棚が欲しい、冷蔵庫が欲しい!
本作では、道路を進んでいくと誰かの住んでいた形跡のある廃墟や構造物に出くわします。そこで見つかるのは、食料や水、フライパンやテーブルなどの日用品にくわえ、絵画、観葉植物、車のパーツなどさまざまな他人の“生活の跡”です。
生きていくため、これらの資源を頂戴してキャンピングカーに詰め込んでいきます。その作業を何度も何度も繰り返していくと、ある“欲”が出てきました。
──それは「整理整頓欲」です。


キャンピングカーは最初まっさらな状態で、棚などは特にありませんでした。なので、取っては入れ、取っては入れを繰り返していくのですが、これがあまりにも味気ない。
アイテムも微妙に取りにくいし、何か使いたいときにどこにあるか頭の中で整理しておきたい。機能別に分けて、すぐ取り出せるようにしたい。
あと、終末世界において贅沢な悩みかもしれませんが、食品を地面に直置きしたくない気持ちもあります。
そんな気持ちが高まっていたところ、とある民家でキッチン用の棚を見つけたので、ゴチャゴチャの車両後部を整理整頓してみました。


すごくスッキリ。すぐに使わなさそうなものを下の棚に収納したことで全体的にスペースが空いて、棚の横に空いたスペースはポリタンクがきれいにハマっています。少し頑張れば、横になって寝られるかも。
整理整頓をやったところでゲーム的に何かあるわけではありませんが、このゲームはどんどんアイテムが増えていくので、「何がどこにあるか」を整えるのは気持ちがいいです。『マイクラ』や『RUST』で増えすぎたチェストの中身を種類別に区分けして、整理してる人の気持ちがわかった気がします。
ただ、食料の直置きは解決していないうえ、この世界には食器らしき食器がぜんぜんありません。保存するために良さそうな、代わりになりそうな“何か”を探し続けていると……
なんと“冷蔵庫”も発見しました。食料は数と種類が多い上に、定期的に摂取する必要があるので厳格に管理したい。そんな欲求を抱えたなかタイミングよく出現したので、見つけたときは「おっ」と声が出るくらい驚きました。ですが、いざキャンピングカーに持ち込んでみると……
──入らない。
置き方が悪いのかと思い、いろいろと設置方法を試してがんばってみたものの、どうがんばっても置けない。泣く泣く元の場所に返すことに。
あとあと知ったことですが、この世界には今のサイズより大きいキャンピングカーがあるようで、そちらには入るかもしれません。
理想の環境は手に入りませんでしたが、物を探すときにちょっと“こだわり”を持つと、楽しみが広がる。それが、この終末世界で旅をしていくなかで感じたことでした。
ひとり旅は快適だけど、喜びを分かち合う相手も欲しくなる
Steamストアページの説明によると、本作は複数人で一緒にプレイできるようです。レビューでは、複数人で一緒に遊んでいるときの「雑談」や「空気感」も好評となっている様子で、本作の本領はマルチプレイにあるのかもしれません。
今回筆者はシングルプレイで遊びましたが、イベントの節々で「隣に人がいたらいいな」と感じました。ひとりではアイテムを運ぶのもひと苦労ですし、発見したアイテムや、自分好みに装飾したインテリアを人と“共有”したくなる瞬間があります。
本作では、キャンピングカーの部品を取り外して、別のものに付け替えることができます。そのなかには“意外なモノ”が部品となることがあります。
たとえば、ある民家で見つけたダイニングチェアは、最初に見たときはただ座れるだけの装飾に見えました。ですが本作では、キャンピングカーの部品を取り外して、別のものに付け替えることができます。
少し考えてから「座席に取り付けられるのでは」と気づいて持ってくると……きれいにハマり、絵面の面白さから「誰かに座ってほしい」と思うひと幕も。このような何かに「気づいた」瞬間では、話す相手が無性にほしくなります。

ただし、ひとり旅にはひとり旅の良さもあります。突然思い立って道路から外れた方角へ進んでみたり、出発した直後にさっき置いてきたインテリアがやっぱり欲しくなって戻ってみたりと、自由気ままでナンセンスなプレイスタイルがどこか楽しいです。

『Nomad Drive』は現在体験版が配信中、2026年10月前半には早期アクセス版が配信予定です。また、本作は最大4人での協力プレイに対応するようです。
※体験版ページでは1~3人、製品版ページでは1~4人と表記
散らかった部屋を片付けたくなるタイプの人、拾い物を誰かに自慢したい人は、キャンピングカーで砂漠の終末世界にユルく飛び出してみるのも楽しいかもしれません。






