『朧村正』シリーズが、帰ってくる!
2009年にWiiへ向けて発売され、後にPS Vitaにも移植された『朧村正』は、ヴァニラウェアが開発し、マーベラスが販売を担当。絵巻物のような和風のタッチと、爽快な剣戟アクションを楽しめる良作として、高く評価されていた。
そんな『朧村正』が、DLC『元禄怪奇譚』とセットになり、高精細なグラフィックで蘇ったのが、本作『朧村正怪奇譚』である。
2027年2月4日の発売へ向け、今も開発と調整が進む本作。電ファミ編集部は、プロデューサーの塩田誠氏とディレクターの中西渉氏にメールインタビューを実施し、両氏の『朧村正』シリーズ再始動に懸ける思いや、過去作からのアップデート要素についてうかがうことができた。
また、弊誌では『朧村正怪奇譚』の先行試遊レポート記事も掲載しているので、こちらもぜひあわせてお読みいただきたい。
ファンからも、制作側からも望まれ続けた念願の『朧村正』シリーズ再始動。決め手は中西ディレクターの「やりたい!」という大声?
──本作は『朧村正』ファンが長らく待ち望んでいた新展開かと思いますが、どういった経緯で『朧村正』シリーズの再始動が決まったのでしょうか。
塩田氏:
マーベラスの中でも『朧村正』を現行機で遊べるようにしたいという声は常にあって、ヴァニラウェアさんとはこれまで何度かお話をしてきたのですが、ようやく両社のタイミングが合ったので実現することができました。
ディレクターの中西さんが大きな声で「やりたい!」と言ってくれたことも大きかったと思います。
──今の世に『朧村正』シリーズを復活させることについて、どのような思いをお持ちでしょうか?
塩田氏:
原作から十数年が経ちますが、年月の経過を感じさせないというか、すぐにその世界に入り込める妖力のようなものを持っているタイトルだと思います。当時やり込んだ方はもちろんですが、今回はじめて『朧村正怪奇譚』に興味を持ってくれた方にも、ぜひこの妖力を体験してもらえたら嬉しいです。
中西氏:
長年、『朧村正』を現行機に蘇らせてほしいというありがたいお声をたくさんいただいていました。それがようやく実現し、皆さんにお届けできるようになってとても嬉しく思っています。自分自身、新人時代に企画として関わった作品ですので、本作への思い入れは人一倍あります。今回再び開発に携わることができて本当に幸せです。

──Wii版やPS Vita版といった過去作への反響を、どのようにとらえていましたか?
塩田氏:
私はPS Vita版でプロモーションチームとして参加したのが最初なのですが、その後もありがたいことに『朧村正』の展開を期待する声を繰り返し目や耳にしていましたし、私もファンのひとりなのでいつか実現したいと思っていました。
中西氏:
WiiやVitaの頃から本当にたくさんの方に応援していただき、とてもありがたく感じていました。今回の発表の際も、当時遊んでいただいた方はもちろん、原作を遊んだことのない方からもたくさん反応をいただけて、とても嬉しかったです。トレーラーのちょっとした変化にもすぐに気づかれていて、ファンの皆さんの観察力には驚かされました。
新たなる『朧村正怪奇譚』では、「温泉」に要注目。富士山を拝める露天風呂から、澄み切った洞窟風呂まで、各地の温泉を“ぜいたくに”演出
──今回の『朧村正怪奇譚』で意識して変えたところ、変えなかったところを教えてください。
中西氏:
意識して変えたのは、戦闘と探索の自由度です。プレイヤーの遊びの幅を広げることを目標のひとつに、奥義の着脱や街道の往来の自由化などを取り入れました。
一方で変えなかったのは、『朧村正』の体験を形づくっていた手触りの部分です。
本作の代名詞とも言える爽快な剣戟アクションはもちろんのこと、風景を眺めながら颯爽と道を駆け抜けていく冒険の気軽さは、変えずに残すべき部分として大切にしました。そのうえでそうした旅を快適にする便利な要素を加え、体験をより良いものにすることを心がけました。

──本作をプレイしていて、奥義の複数セットなどアクション面での拡張性を感じましたが、これによってどのようなやりこみ要素が生まれるとお考えでしょうか?
中西氏:
奥義の着脱に加えて、奥義や刀の強化といった育成要素も加わったことで、戦い方の選択肢がより広がっていると思います。最強の組み合わせを追い求めるのも良し、とにかく手軽で安定した戦いを重視するのも良し、なかには多彩な奥義を駆使した魅せる戦いにこだわる方もいらっしゃるかもしれません。
また、ほぼすべての刀に異なる装備効果が付いていますので、お気に入りの刀を鍛え上げて使い続けるといった楽しみ方もできます。遊ぶ方の好みによって、それぞれ違った戦い方が生まれてくれればと思います。
──数々の新要素は、前作をやりこんだプレイヤーも意識して設計されていますか?
中西氏:
はい、原作を遊び込んでいただいた方にも新鮮に楽しんでいただけるよう意識しています。
もちろん今作が初めてという方にも遊びやすいよう調整していますので、プレイ経験を問わずぜひ遊んでいただければと思います。

──本作は、過去作に比べてアイテムが使いやすくなっているように感じました。アクションや戦闘面以外のゲームの快適性、いわゆるQoLの面で、どのような調整をされていますか?
中西氏:
道具の使いやすさに気づいていただいて嬉しいです。ゲーム的な要素以外ですと、例えばイベントシーンの早送りやスキップ、バックログの表示、クリアした親玉エリア内でのショートカット移動、戦闘を任意でやり直せるリトライ機能、どこでもセーブなどなど…、様々な便利機能を追加しています。
──『朧村正』といえば、美しい景色や美味しそうな料理の描写も特徴です。この点で、本作において新たにこだわった点はありますか?
中西氏:
景色の面では、なんといっても新たに追加した温泉です。本作ではぜいたくにも各地の温泉の背景が描き分けられており、富士山を眺める絶景の露天風呂から、澄んだ水質が特徴の洞窟風呂まで、どれも原作に引けを取らない仕上がりになっています。温泉ごとに効能も異なりますので、道中はぜひ温泉めぐりも楽しんでみてください。
料理については、茶屋・蕎麦屋・割烹でいくつか新しい品が増えたほか、原作からある料理にも手を入れています。当時から料理のデザインを担当しているシガタケさんのこだわりで、テクスチャだけでなくアニメーションもほぼ一から作り直しているので、より滑らかに、より美味しそうに進化しています。


──本作を機に、『朧村正』シリーズへ参入されるプレイヤーもいるかと思います。そのような方々にどんな体験を届けたいですか?
中西氏:
まずは何より、初めて見る風景やキャラクター、そして物語をご堪能いただければと思います。和の美しさや外連味が凝縮された一作ですので、きっと圧倒されることと思います。そのうえで、奥義を自由に組み合わせた爽快な剣戟や、自分の意思で行き先を選ぶ冒険も楽しんでいただけたら嬉しいです。
──過去作を作るうえでやりたかったことのうち、今回新たに実現できたことはありますか?
中西氏:
あったらいいなと思っていた要素は細々といくつか実現しています。例えば、原作ではアイテムを拾ったときに手持ちがいっぱいだと、そのまま捨てられていました。溢れた分を自動で売却する仕組みがあれば無駄にならないと思っていたので、今回その仕組みを取り入れてみています。(もっとも、原作にはそもそも所持品を売却する仕様自体が無かったので、そこから作る必要がありましたが…)

──最後に、発売へ向けた意気込みをお聞かせください。
塩田氏:
アクションの爽快感は言うに及ばず、セリフのひとつひとつから生き様がにじみ出るような登場人物たちの色気にどうぞ酔いしれてください。発売まであと少し、このあとも続報にご期待ください。
中西氏:
発売に向けて、スタッフ一同最後までしっかりと仕上げていっています。原作を遊んでくださった方にも、初めての方にも楽しんでいただける一作になっていると思いますので、令和に蘇った『朧村正怪奇譚』の世界を、ぜひ思う存分旅していただければと思います。(了)
