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「キティちゃん」のサンリオがゲーム事業へ本格参入。100億円を投資、3年間でゲーム10本以上を開発予定

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ハローキティでお馴染みのサンリオが、自社ゲームブランド「Sanrio Games」の始動を発表した。

第1弾タイトルとなるNintendo Switch/Nintendo Switch 2向けパーティゲーム『サンリオ パーティランド』は今秋世界同時発売予定で、450以上のサンリオキャラクターから145以上が登場し、45種類以上のオリジナルミニゲームが収録される。

さらに、今後3年間で10タイトルのリリースを計画しており、サンリオのゲーム事業への本格参入が、発表会にて明らかとなった。

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取材・文/高島おしゃむ
編集/kawasaki

サンリオは、4月21日に東京都内にてメディア向けゲーム事業説明会を開催。代表取締役社長の辻朋邦氏より、ゲーム事業参入の背景と今後の展望が語られた。

サンリオはここ数年急成長を遂げており、2024年10月には時価総額1兆円を達成している。また2026年3月期の予想は、最高益となる751億円を達成する見込みだ。
その要因ひとつとなっているのが、キャラクターのポートフォリオの多角化が成功したことである。

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サンリオ 代表取締役社長 辻朋邦氏

同社では、2035年に時価総額5兆円を達成することを目指しており、長期ビジョン「みんなを笑顔に導く灯台に」のもと、「グローバルIPプラットフォーマー」への進化を掲げている。

現在は、キャラクターを中心にしたライセンスや物販事業、テーマパークなどがあるが、こちらは今後も伸ばしていく予定である。それに加えて、多くの人々との接点を強化していこうとしているのだ。

そして、そのひとつが今回発表されたゲーム事業のSanrio Gamesというわけである。特にこのゲームは、同社にとっても重要なものであると捉えており、現在掲げている中期経営計画の中でも、100億円規模の投資と6本のゲーム開発を発表している。

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ゲーム発のIPの登場にも期待

サンリオがゲームに力を入れていくのは、マーケットとして非常に大きいということに加えて、ゲームに触れている時間が長く、エンタメの深度が深いことも理由だと辻氏はいう。
そのため、今後エンターテイメント企業を目指していく同社としても、進出すべき領域なのだ。

もちろんそれだけが理由ではない。これまで同社が育て上げてきたキャラクターたちがゲームに出ることにより、成功する可能性が高い。また、ゲームを通じて様々なユーザーにキャラクターの新たな価値を提供していくことは、ブランディングにも繋がるのだ。

現在は好調な同社だが、ボラティリティ(激しい価格変動)からの脱却も目指している。そのためにも、IPポートフォリオの多角化も進めていかなくてはならない。そうした意味でもゲーム発となるIPの登場にも期待しているのだ。

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そもそもサンリオは、創業以来60年以上にわたり、キャラクター育成やブランディングに努めてきた企業だ。そのため、何も藪から棒にゲーム事業に進出していくというわけではない。
これまで培ってきたIPの育成方法を熟知している企業だからこそ、ゲーム領域に出ていく意味があると考えているのである。

ゲーム発のIPについても、ゲーム領域からのアプローチだけではなく、これまで培ってきたクリエイティブや育成方法を理解しているからこそ実現できるのだ。
また、自社パブリッシングでゲーム事業に参入していくということは、自らコントロールしていくことにより、将来のファン層をどのように作っていくかということにも繋がる。

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そして、ゲームで培ったファンベースは他のビジネスにも波及させることができ、その設計自体も自分たちで自由に行える点も強みだ。

そうやってファンの裾野を広げていき、新たにより深いエンタメに没入してもらうことが、同社がゲーム事業に参入していく大きな理由なのである。

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ゲームを通じてより多くのキャラクターをファンに届けたい

常務執行役員で、ゲーム事業を担当している濵﨑皓介氏より、Sanrio Gamesの詳細について3つの観点から紹介が行われた。

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常務執行役員の濵﨑皓介氏

ゲーム事業を始めるにあたり、どのようなKPIを大事にしていくのかと聞かれることがある。これに対して濵﨑氏は、会社として掲げている「サンリオ時間」をゲーム事業においても大事にしていると断言する。

この「サンリオ時間」には、「寄り添い時間」「夢中時間」のふたつがある。「寄り添い時間」は、家事や勉強など様々なことをしているときにサンリオのキャラクターが寄り添っている時間だ。
「夢中時間」は、映像を見ていたりゲームを遊んでいたりする、サンリオキャラクターに没頭している時間のことを指している。

ちなみに、昨年1年間でこの「夢中時間」はグローバルでは年間5億時間ほど作れてきたと発表している。Sanrio Gamesでは、今後3年間でリリースされる10タイトルを通じて、20億時間くらいの「夢中時間」を作っていけると考えている。

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では、Sanrio Gamesは具体的にどのような役割を担うのか。その位置づけは大きく分けて「IP拡張」「収益基盤の確立」のふたつだ。
サンリオには450以上のキャラクターが存在しているが、グッズの制約やテーマパークなど場所の制約があるため、多くのファンに商品やサービスを届けるのが難しいという状況がある。ゲームを通じて、より多くのキャラクターをファンに届けたいと考えたのだ。

ゲームでは、作品内でサンリオキャラクターたちに触れあうことができたり自らキャラクターを動かしたりできる。そうしたインタラクションも魅力だ。

また、ゲーム自体はボーダーレスで国境を越えて展開できる。まだサンリオの商品やテーマパークなどがサービスとして行き届いていない場所にも届く可能性がある。こうした意味で、IPの拡張をしていけると考えているのだ。

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もうひとつの「収益基盤の確立」の方は、言い換えるとエコシステムの拡大である。従来までは、同社ではライセンス形式で様々なゲームをファンに届けてきた。その一方で、もっとサンリオのキャラクターを通じていろんなゲームを作れるのではないかとも考えてきたのである。

自らリスクを取って投資していくことで、広大な海のようなゲーム市場に向けてサンリオキャラクターのゲームを届けることができるという実績を築くことができる。
それならば、うちでもライセンス形式でこんなゲームが作りたいという話につながり、新たな海に浮く島のように広がっていき、その周りに新しいゲームのデジタル領域が広がっていく。

これは、サンリオのみならず、協業パートナーの開発会社やライセンスパートナーにとっても新しいエコシステムが広がっていくという意味である。

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濵﨑氏はサンリオの強みについて、顧客接点が多いことだと考えている。これは別の言い方をすれば、いろいろな入り口でサンリオキャラクターに出会うことができるということでもある。

たとえば、サンリオ商品を買ったときに店員から秘密の鍵のようなものをもらい、それを使ってゲームをプレイすることで、新しいワールドに行けるなどリアルとデジタルを繋ぐような体験ができる。
その逆のパターンとして、ゲームで作ったアバターや着飾ったサンリオキャラクターの衣装などが、サンリオピューロランドのアトラクションに反映させることも考えられる。

それだけではなく、親子で一緒に遊んでいるときにゲームを通じて父親が「このキャラクター、昔商品持っていた!」というような、コミュニケーションができるかもしれない。
このように、Sanrio Gamesは時空を超えるような体験を提供していくことができるのだ。

ゲームジャンル自体も、サンリオ自ら開発・開拓していく。また、サンリオの新たな仲間として、ゲーム発となるIPも、今後は出てくることもあり得るのだ。

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このようなゲームや体験を、どのように提供していくのだろうか? 実は、つい3年ほど前までは、サンリオにはゲーム事業は全く存在していなかった。
そこに、すでに多くのゲーム業界の経験を持つプロデューサーやディレクター、マーケティング担当などがジョインし、多くのチームでゲーム開発が行われるようになったのだ。

とはいえ、サンリオ自体には自社内に開発チームは保有していない。そのため、今後発売されるゲームタイトルも、開発会社や協業パートナーと一緒に作っているものになる。
この開発パートナーも非常に重要な存在で、サンリオ側からぜひ一緒に作らせてほしいという意向で、企画を持ち込んでいる。

「投資規律」という部分では、ゲームの企画であれば何でもいいというわけではない。会社としてはステージゲートを設けながら、それぞれの段階でチェックを行う。これにより、ゲーム事業が継続的に運営していけることを担保しているのだ。

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『サンリオ パーティランド』には『いちご新聞』の秘密も入っている!?

このSanrio Gamesの第1弾として今年の秋に世界同時で発売される予定のタイトルが、『サンリオ パーティランド』だ。こちらは、Nintendo SwitchとNintendo Switch 2向けとなっており、ジャンルとしてはパーティゲームである。

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サンリオでは、創業当初より「みんななかよく」を企業理念に掲げてきた。それをゲームで体験することができるということから、Sanrio Gamesの第1弾として本作が選ばれている。

ゲームについてはあまり詳しくないという両親でも、パーティゲームならば家族全員が楽しむことができる。もちろん、友達同士が集まっても楽しいのだが、そこで思わず笑顔が生まれ、それがコミュニケーションに繋がっていくのである。

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具体的には、この『サンリオ パーティランド』には45種類以上のオリジナルミニゲームが収録されているほか、145以上のサンリオキャラクターたちが登場する。

オリジナルミニゲームのラインナップもバラエティに富んでおり、ボードゲームのようなものから着せ替えや、最近流行りのシール集め、定番の魚釣りなどいろいろと用意されている。具体的な内容は明かされなかったが、ミニゲーム以外にも楽しめる要素が詰め込まれている。

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ちなみに、企画段階から関わってきた濵﨑氏の開発秘話として、制作会社の開発責任者と話をしているときに「濵﨑さん、私このゲームを作るにあたって、『いちご新聞』を全部読んできて、秘密に気づいちゃいました」と言われたというエピソードを披露。
もちろんネタバレになってしまうので触れられないが、この「秘密」の部分についてもゲーム内に盛り込まれているという。

本作が発売された後は、2027年3月期中に第2弾タイトルもリリースされる予定だ。さらに、今後3年間で10タイトル程度がリリースされていく予定となっている。現在は、それらを鋭意制作中ということなので、続報も楽しみに待とう。

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まずは第1弾タイトルのさらなる詳細が気になるところだが、今後Sanrio Gamesとして発表されるタイトルにも注目が集まりそうだ。

© 2026 SANRIO CO., LTD.

ライター
ライター/編集者。コンピューターホビー雑誌「ログイン」の編集者を経て、1999年よりフリーに。 現在はゲームやホビー、IT、XR系のメディアを中心に、イベント取材やインタビュー、レビュー、コラム記事などを執筆しています。

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