いま読まれている記事

『グランド・セフト・オートⅥ』の「銃撃アクション」の完成に至る道について、ロックスター・ゲームスの過去作品を通じて考察【マスク・ド・UH 連載プロローグ】

article-thumbnail-2610082w

ENTER THE VI ~Prologue プロローグ:『GTAVI』26分デモ映像から探る原点

それにしても、それにしても前作から13年は長い。長すぎた。

『グランド・セフト・オートⅥ』マスク・ド・UH氏の連載企画|プロローグ_001

長すぎたのだが、『グランド・セフト・オートⅥ』(以下、『GTAⅥ』)の公式長編トレーラーは、やっぱり凄かった…。

多くの人々の感想が巨大な渦となり、その期待値はいまMAXの状態だろうから、筆者自身の細かい感想は割愛するが、今回発表された長編トレイラーから見え隠れするルーツと、その断片について、筆者が四半世紀に渡ってロックスター・ゲームスの全タイトルをプレイしてきた経験値に基づき、「歴史の継続」と「感覚の革新」という視点から、『GTA』シリーズ以外のロックスター・ゲームス社のタイトルも含めた集大成として、そして巨大ブランドと化した『GTA』シリーズ並びにロックスター・ゲームスの背景情報と予備知識の予習復習&考察研究テキストによる短期集中連載をお送りしたい。

まずはそのプロローグ回として、本稿では長編トレイラーでも注目度の高かった銃撃アクションを中心に解説していく。

『グランド・セフト・オートⅥ』マスク・ド・UH氏の連載企画|プロローグ_002
画像は『GTAⅥ』公式サイトより

文責/MASK DE UH(マスク・ド・UH)

『GTAⅥ』の原点は『マックス・ペイン』にあり

すでに多くのユーザーからも指摘されているとおり、『GTAⅥ』の全体的なゲームデザインは『レッド・デッド・リデンプション 2』(以下、『RDR2』)【※】に近い。『GTA』シリーズから派生した西部劇の世界で構築された技術が、現代社会を舞台に大きくブラッシュアップされたものだが、技術的な面だけではなく『RDR2』は『GTA』の世界に直接的にもつながっている(『GTA ONLINE』において、キャラクタークリエイトで父親にジョン・マーストンが選択できるのが、何よりの証左である)。

※『レッド・デッド・リデンプション 2』……ロックスター・ゲームスより2018年10月26日に世界同時発売されたオープンワールド型アクションアドベンチャー。『レッド・デッド・リボルバー』、『レッド・デッド・リデンプション』に続く『レッド・デッド』シリーズの3作目。『レッド・デッド』シリーズを象徴する「デッドアイ」システムは、激しい銃撃戦を有利に進めるためのスローモーション(バレットタイム)機能。

『グランド・セフト・オートⅥ』マスク・ド・UH氏の連載企画|プロローグ_003
画像は『レッド・デッド・リデンプション 2』|ロックスター・ゲームスストアより

まず、『VI』の開発の中枢であるロックスター・ゲームスのHead of Development・Co-Studio Head、ロブ・ネルソン氏の存在が重要だ。ネルソン氏は、『RDR2』においてはプロデューサーを務めた人物。『RDR2』の壮絶な銃撃アクションはネルソン氏の手腕が発揮されていたが、筆者が注目したいのは『マックス・ペイン3』【※】だ。

ネルソン氏がアートディレクションとして参加していた『マックス・ペイン3』こそ、『GTA IV』以降のHDユニバース(本稿ではとくにIV、V、VIのメイン作品を指す)における、真の意味でのレボリューションを担っていたタイトルだと確信している。

※『マックス・ペイン3』……2012年発売。シリーズの特徴である「バレットタイム」システムを踏襲し、新たに「カバーシステム」や「ラストスタンド」が導入。本作からロックスター・ゲームスが開発を手がけている。

『グランド・セフト・オートⅥ』マスク・ド・UH氏の連載企画|プロローグ_004
画像は『マックス・ペイン3』|ロックスター・ゲームスストアより

『マックス・ペイン』は古参タイトルで、1作目は2001年にリリースされており、『GTAIII』と、ほぼ同期。TPSとしてはまだ荒削りなグラフィックだったが、「動くバンド・デシネ」という独特の演出が画面作りとマッチしていた。

ゲームデザインの売りとなっていた銃撃のスロー効果「バレットタイム」が投入されており、発売当時の25年前は映画『マトリックス』のガンアクションと比較された。

『MAX PAYNE 2: The Fall of Max Payne』【※】以降はシリーズが途絶えたかに思われていたが、前作から9年ぶりの新作として2012年に発売された『マックス・ペイン3』は、ロックスター・ゲームスが目指すネクストレベルのアクションに激変進化。これが『GTAV』における、アグレッシヴかつ乱戦気味な銃撃戦への布石だった。

※『MAX PAYNE 2: The Fall of Max Payne』……2003年に発売されたTPS。日本未発売。スローモーションで銃を乱射するバレットタイム&シュートドッジシステムを多用し、映画的演出が絶賛された『MAX PAYNE』の続編。開発はレメディー・エンターテインメント、販売はロックスター・ゲームス。クライムアクション寄りだった前作から一変し、犯罪と陰謀の交わるフィルムノワール調へと作風が変化。日本語版未発売。

『マックス・ペイン3』は、通常であれば「遮蔽物にカバーしながら敵の猛攻を切り抜ける」ゲームデザインになりがちなところに、「猛攻の中で積極的に前に出て勝機を作る」という方向に大転換を遂げた、じつに野心溢れるタイトルだった。

この『マックス・ペイン3』で生み出された「攻めの姿勢」は現在まで進化が継続。この濃密に詰め込まれたアクション要素が、『GTAV』以降のゲームデザインの核となり、『RDR2』を経て『GTAVI』で集大成に到達したと考えると、じつに感慨深い。まさしく「ロックスターは1日にしてならず」である。

『RDR』シリーズとの緊密な連携

一方、カプコンが海外スタジオ(サンディエゴのエンジェル・スタジオ=のちのロックスター・サンディエゴ)を拠点に開発していたが、ロックスター・ゲームスが開発スタジオを買収したことや、カプコン側の社内事情によって開発が引き継がれてリリースに至ったという、なかなか数奇な出自のタイトルだった『レッド・デッド・リボルバー』【※】も忘れてはならないだろう。のちにギネス級のメガヒットになるとは、誰も予想し得なかった怪物タイトルのオリジンである。

※『レッド・デッド・リボルバー』……2004年にロックスター・ゲームスから北米・欧州で発売された、西部開拓時代を舞台にした3Dガンアクションゲーム。日本では2005年にカプコンから発売された(現在はテイクツー・インタラクティブが同シリーズを日本国内でローカライズ)。

『グランド・セフト・オートⅥ』マスク・ド・UH氏の連載企画|プロローグ_005
画像は『レッド・デッド・リボルバー』|ロックスター・ゲームスストアより

キャラクターデザインと総合的なディレクションには、当時カプコンに所属していた「あきまん」氏がメインスタッフとして参加していたことからもわかるとおり、『レッド・デッド・リボルバー』は歴史が違えば国産アクションゲームとしてリリースされた可能性があった。

カプコンが開発を手放した経緯については、あきまん氏本人やプロデューサー(当時)を務めていた岡本吉起氏が後年忸怩たる思いを語っているが、あきまん氏がデザインした主人公レッド・ハーロウは、ビジュアルイメージの骨子がジョン・マーストンに引き継がれており、その仕事はしっかりと根付いていると断言しておきたい。

当時の予算的な問題や企画立案者である岡本氏の退社もあり初代『レッドデッド・リボルバー』の制作が頓挫。ロックスター・ゲームスが引き継いで完成させるに至った。

『レッド・デッド・リボルバー』最大の特徴は、やはりデッドアイシステムだろう。デザインは『マックス・ペイン』のバレットタイムとは異なり、ターゲットとAIMのモーションが重視されていた。『マックス・ペイン』のバレットタイム要素と銃撃モーションの融合を果たしたのが、『レッド・デッド・リデンプション』【※】である。

※『レッド・デッド・リデンプション』……ロックスター・ゲームスより2010年に発売されたオープンワールド型アクションアドベンチャー。北米では2010年5月18日、日本では同年10月7日に発売された。

また、狩猟や自然環境の構築も『RDR』から『GTAVI』に至るまでを語るうえで外せない要素だ。大都市圏が舞台の『GTA』に砂漠や山間部が登場したのは『グランド・セフト・オート サンアンドレアス』【※】からだったが、狩猟が加わったのは『GTAV』が初となる。『GTAVI』においては、深みまで進化した狩猟アクティビティの集大成を味わえることだろう。

※『グランド・セフト・オート サンアンドレアス』……2004年にロックスター・ゲームスから発売されたオープンワールド型クライムアクションゲーム。開発はロックスター・ノース。『GTA』シリーズのメインタイトル5作目。前作『グランド・セフト・オート・バイスシティ』に続き、『GTAIII』の前日譚が描かれる。

『グランド・セフト・オートⅥ』マスク・ド・UH氏の連載企画|プロローグ_006
画像は『グランド・セフト・オート サンアンドレアス』|Steamストアページより

ちなみに、初代『レッドデッド・リボルバー』は、2004年にプレイステーション2とXboxで発売となり、日本版は紆余曲折を経てカプコンから2005年にリリースされた(世界累計売上は150万本)。

銃撃アクションだけをフォーカスしても、軽くこれだけ語るべきことがあるのが『GTA』の世界。銃撃戦時のオブジェクト破壊の驚くべき細かさ、新たな構えやカバーモーション、被ダメージ時のリアクションなどすべてがネクストレベルであり、我々はもうすぐロックスター・ゲームスの四半世紀に及ぶ歴史の集大成に立ち会うことになるのだ。

『グランド・セフト・オートⅥ』マスク・ド・UH氏の連載企画|プロローグ_007

今回はプロローグ回ということで、直近の2010年代から『GTA』と関連タイトルについて『GTA』ユニバースの一端として解説したが、『GTA』には当然ながら、もっともっと長く複雑で壮大な歴史と文化的な背景がある。次回は、原点となる2D時代のオリジナル『GTA』誕生から、『GTAVI』に至るまでの系譜について、日本未発売タイトルのレビューを交えながら解説したい。

『グランド・セフト・オートⅥ』マスク・ド・UH氏の連載企画|プロローグ_008
画像は『GTAⅥ』公式サイトより

本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ている場合がございます

新着記事

新着記事

ピックアップ

連載・特集一覧

カテゴリ

その他

若ゲのいたり

カテゴリーピックアップ