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『ゼルダの伝説 時のオカリナ』先行プレイ、綺麗すぎて思い出が負けた。28年前、作り手が思い描いたハイラルは「これ」だったのか 。コキリの森の清水をガブ飲みしたい序盤レビュー

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親の顔より見た景色が、上書きされちゃいました。

私は今、フルリメイクされた『ゼルダの伝説 時のオカリナ』を遊び、約28年ぶりにハイラル平原に繰り出している。

精細に描かれた衣装、リンクやサリアたちの豊かな表情、何度も飛び込みたくなるほど美しい川、一枚一枚が舞い散る葉っぱ、そして広大なるハイラル平原。すべてがあたらしく、そして懐かしい。

当時、脳内で補完していた景色に対して、公式がついに正解を見せてくれたかのようだ。

脳内の任天堂さん「さぁ、これがフルリメイク版の『時オカ』だよ。どうだい、美しいだろう」

脳内補完の私「あ、あぁぁ……ああああぁぁぁぁ!!!!!(すべての記憶が上書きされていく音)」

28年分の思い出が、一瞬で負けました。

『ゼルダの伝説 時のオカリナ』先行プレイ。綺麗すぎて思い出が負けた。28年前に開発が思い描くハイラルはコレだったのか_001

さて、グラフィックも音声も、操作性もカメラワークも、すべてがあたらしくなった本作は、1998年にNINTENDO64向けに発売された3Dアクションゲーム『ゼルダの伝説 時のオカリナ』のフルリメイク作品だ。

原作からは約28年、ニンテンドー3DS版『ゼルダの伝説 時のオカリナ 3D』から数えても15年が経っている。

剣と盾を手に馬に乗り、広大な世界を駆け、こども時代とおとな時代を行き来する冒険には誰もが夢中になった。当時の体験はプレイヤーの心に深く刻み込まれ、本作は「神ゲー」の代名詞となった。

もちろん、その後のゲームに与えた影響も計り知れない。
そんな名作が、長い年月を経てついに新生する。これはもはや事件である。

『ゼルダの伝説 時のオカリナ』先行プレイ。綺麗すぎて思い出が負けた。28年前に開発が思い描くハイラルはコレだったのか_002

「あの景色を、現代の技術で、任天堂が本気を出して描き直したらどうなるのか」

そう切に願い、フルリメイクを待ち望んでいたのは私だけではないはずだ。

今回は、11月5日の発売に先がけて本作の序盤を遊ぶ機会をいただいた。
紹介できるのは、リンクがこども時代のコキリの森からハイラル城下町にたどり着くまで。そして、おとな時代の森の神殿での戦闘シーンである。

紹介できる範囲は広いとは言えないが、そのなかに28年ぶりの「そうそう、これこれ。あたらしくしてくれてありがとう」が、ぎっしり詰まっていた。

※本記事に掲載されている画像は、『ゼルダの伝説 時のオカリナ』リメイクの英語版のゲーム画面です。

文/TsushimaHiro
編集/柳本マリエ


コキリの森、水を飲みたくなる。天然水を売ってくれ

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「キャッキャッ」←本当に言ってる。

森で目覚めたあと、あまりにも水が綺麗すぎて、私はひたすら川にジャンプして飛び込んでいた。まるではじめて山の川に飛び込んだ子どものようにはしゃいだ。

遊んでいるうちに、飲みたくなった。岩肌から染み出すコキリの清水をすすりたい。
「コキリの森の天然水」とかあったら買ってしまうかもしれない。

ちなみに水に飛び込めばリンクの服はちゃんと濡れるし、深く水中に潜ったあとは「ぷはぁ」と息継ぎもするモーションも刷新されている。ちゃんと息ができて、偉いね。

さて、まずはリメイクされたリンクをなめるように見た。
カメラワークを自由に回転させられるようになったので、見放題だ。

率直に言うと「3D映画みたい」と思った。お人形のように精巧な顔立ちで、こども時代ならではの足の骨格や、ぷにっとした肉付きも、全部こどもである。腰に手を当てる仕草ひとつ、服の装飾やしわ一本まで作り込まれている。

そして、冒険の相棒兼、案内役の妖精「ナビィ」は日本語で喋る。
原作でもあったおなじみの「ヘェイ!」「リッスン!」「ルック!」といった掛け声だけではなく、ムービーでは日本語で喋るのだ。

脳内の任天堂さん「これがフルリメイク版の喋りまくるナビィだよ。どうだい、かわいいだろう」

脳内補完の私「ああああぁぁぁぁリッスンリッスンリッスンリッスン(狂)」

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個人的な感想となって恐縮だが、実際に聴いてみると原作のナビィと比較してもあまり違和感がない。日本語音声だとしても、原作の声にちゃんと寄せてくれているように感じられた。任天堂さん、ありがとう。

さて、自宅から外に出ると、サリアが「妖精がやってきたんダ!」と、あのカタカナ混じりの喋り方そのままに出迎えてくれた。サリア、めちゃくちゃ表情豊かになっている。

リンクを見つけた瞬間に顔がぱっと明るくなり、話しているあいだも目や口元が細かく動く。「そうそう、サリアってこういう子だったな」と、28年間ろくに動いていなかった記憶の中のサリアが、元気に、そして鮮明になる。

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デクの樹サマに会いに行こうとすると、ミドが止めに入る。彼もまた、親の顔より見た人物である。表情もしぐさも豊かになったミドは、ちょっとかわいい。まるで思い出の同窓会である。

なお、ミドの家の中にかけられた看板に「ルピーは持っていっていい」と書かれている。
これは原作にはなかった表現であり、彼の素直ではないが誰かを助けようとする人となりが垣間見える。序盤から親切なミド。ちょっと新鮮です。

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さて、最初のダンジョンに向かうためにはコキリの森で「コキリの剣」と「コキリの盾」を入手する必要があり、そのためにはこの世界の通貨「ルピー」をある程度稼がなくてはならない。

28年前、私はかつてこの森でどれだけルピーを稼いだことか。
石を持ち上げ、高いところに登り、草を刈り、ミドの家の宝箱を漁る。
以前と同じことをしたら、よりたくさんルピーが出てきた。
草を刈れば葉が一枚一枚飛び散るし、石を片付ければお礼におこづかいも貰える。

さまざまな場面において、グラフィックだけではなくゲームバランスが親切になっている気がする。

デクの樹サマも新要素多数。ドライアイスを焚く

剣と盾を手に入れたら、いざデクの樹サマのもとへ向かう。
デクの樹サマから鳴る「ギィィ」「コココココォ……」という独特な効果音もリメイクされ、より荘厳になっていた。

また、自らの体内に入れてくれる際も原作は口が上下に開いていたが、今回はヒゲが左右にわかれて入口が登場するという演出に変更。こういう表現のひとつひとつに、神が宿っているかのようだ。

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口の中へ入ると、そこは28年前と同じ大空洞だった。
壁を這うクモに身構え、時間制限つきの足場に急かされ、ダンジョンマップとコンパスを手に入れ、妖精のパチンコを構える。全部懐かしい。攻略の手順を、頭より先に身体が覚えている。

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そうやって進んでいると、朽ちた足場がいきなり崩れた。これは原作にはなかった演出だ。デクの樹サマが限界を迎えていることを、言葉ではなく足場で伝えてくる。

そして宝箱を開けると、中からもやが立ちのぼった。
よく見ると床にも霧が這っていて、歩くとふわりと動く。これ、どうやって作っているんだろう。任天堂さん、ダンジョン全面にドライアイスを焚いているというのか?

サービスしすぎだ。現代の子どもたちに向けて、サービスしすぎですよ。

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ただいま、ハイラル平原。逢いたかったよ

ハイラル平原に出る前には、サリアとの別れのシーンがある。
これも何度も見た場面だ。せつなげにオカリナを手渡すサリアと、ためらいながら旅立つリンクの動作も表情もしぐさもすべてが刷新されていて、原作以上に心を揺さぶられる。ぜひ、その目で確かめてみてほしいシーンだ。

サリアに見送られて森を出ると、視界が一気に開けた。フルリメイクされたハイラル平原である。

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とにかく広い。そして綺麗だ。遠くにそびえる山は、デスマウンテンなのだろう。
28年前は「この先に何かがある」と想像するしかなかった地平線の向こうが、今はクッキリと見えている。

思えば、この平原こそ「親の顔より見た景色」だ。
走っているうちに昼が夜になり、城下町から締め出されて骨と戦い、夜が明ける。
その繰り返しを、私たちは何百回と眺めてきた。

だからこそ、見慣れたはずの平原の解像度がバカ高くなっていることがうれしい。
あのころ、脳内で補完していた雄大な景色が、そのまま目の前にあるのだから。

“お泊り”もできるようになったハイラル城下町

ハイラル城下町はとても賑やかだった。
犬やコッコ(鶏)が駆け回り、人々が行き交い、28年前より明らかに人口密度が上がっている。

大量のツボ壊しも健在である。壊すと破片がその場に残るので、「ちらかしました!」という証をこれでもかと残せる。

また、パチンコを用いた的当ても健在だ。
本作では10ルピーで挑戦できて、2回失敗すると「もう一回やる? おまけ」と、ただでもう一度やらせてくれる。やさしい。なんてやさしい世界なんだ。

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城下町を散策していると、取っ手のついた扉は開けられた。
犬を飼っている貴婦人の家には、ちゃんと犬の写真が飾ってあった。
そして、本作からの追加要素として街には旅人用のベッドがあり、休むことができる。城下町の一等地で、市場まで徒歩数秒の好立地だ。最高である。

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正直、平和のままならここに住みたい。朝は倉庫ツボを割り小銭を稼ぐ。昼は的当てで10ルピーを溶かし、夜は宿で寝る。この暮らしが城下町の一等地でできるなら、住人になりたい。

おとなリンクとファントムガノン

そして、おとな時代である。マスターソードを引き抜き、時を経て成長したリンクはめちゃくちゃたくましくなっている。鼻も高くなった。いや、64版でも鼻は鋭利だったね。

伝家の宝刀マスターソードはもちろん、弓、フックショット、オカリナを使いこなし、こども時代とは別人の身のこなしで森の神殿へ向かっていく様子が見られる。

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森の神殿は、おとな時代に挑めるダンジョンのひとつだ。原作では廊下そのものがねじれている「ゆがんだ回廊」で知られている。

天井が押しつぶしてくるようなデストラップも存在しており、こども時代のコキリの森の明るさを見たあとだと、同じ森の奥にあるこの神殿の空気の違いが7年という時間の重さとして迫ってくる。

そのすべてを抜けた先に、ボス敵「ファントムガノン」が現れる。
魔法弾を連続で打ち返し合う、プレイヤーを白熱させた戦いがここでも楽しめる。
カァン!カァン!と弾き返す。これこれ。これですよ。

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すべてがあたらしいはずなのに、懐かしい。

28年前、この景色は映っていなかった。
それでも私は、勝手に頭のなかで風景や登場人物の表情を補いながらハイラルを見ていた。

今回のリメイクは、当時ユーザーが脳内で補っていた部分を実現し、画面に出してきたのだ。

28年前、作り手が思い描いていたハイラルは、これだったのか。
そう思わずにはいられなかった。

私の記憶の中のハイラルは、28年かけてすこしずつ美化されてきた。

思い出すたびに、実写版を想像したり、声優を勝手にあてがったりもした。
それを28年も繰り返せば、記憶の中のハイラルは、原作の何倍も美しい場所になる。

筆者は本作に先立って64版をNintendo Switchで遊びなおしてみた。
脳内補完の景色とは、ずいぶんと違う。それでも、足りない部分は、脳が補ってくれる。それを許してくれるだけの手応えが、この作品には最初からあった。だから私の記憶は、安心して美化をつづけられたのだ。

そして今回のリメイクは、その美化された思い出に、笑顔で答えをだしてきた。
私の思い出は上書きされたが、決して悔しくはなかった。
むしろ、こう言いたい。答え合わせをしてくれて、ありがとうと。

リメイク版『ゼルダの伝説 時のオカリナ』はNintendo Switch 2 向けに11月5日発売予定だ。

親の顔よりハイラル平原を見てきたあなたも、本作にまだ触れたことがないあなたも、この作品をリアルタイムで体験できる唯一無二の瞬間を、ぜひ見逃さないでほしい。

そして、リンクとともに冒険し、あらたな思い出と伝説を紡いでいただきたい。

編集・ライター
『MOTHER2』でひらがなを覚え、ゲームと育った生粋のRPG好き。キャラメイクや物語が分岐するTRPG的な体験を好む生態。『Divinity: Original Sin 2』の有志翻訳を経て、『バルダーズ・ゲート3』を独力で全訳し完走。『ゴースト・オブ・ツシマ』の舞台となった対馬のガイドもしている。 Xアカウント(旧Twitter)@Tsushimahiro23
編集
幼少期からホラーゲームが好き。RPGは登場人物への感情移入が激しく的外れな考察をしがちで、レベル上げも怠るため終盤に苦しくなるタイプ。自著『デブからの脱却』(KADOKAWA)発売中
Twitter:@MarieYanamoto

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