先日までクローズドβテストが行われていた新作三国志ゲーム『三國志 戦棋版』が、10月24日に都内で開発プロデューサーらを招いた先行試遊会を実施。なんとその会場にて、本作が『ファイナルファンタジータクティクス – イヴァリースクロニクルズ』(以下、『FFT』)とコラボすることが発表された。
ラムザやディリータといったキャラたちが、劉備や曹操、関羽に趙雲といった三国志の武将たちとまさかの共演を果たすことに。マジ!?
会場には多数のゲームメディアに加え、CBTに参加した一般プレイヤーの人たちも集まったほか、セガで『三国志大戦』シリーズを手がけた後、独立して『三国志BOND』を立ち上げた西山泰弘プロデューサーも登場。
これまで長く三国志を題材としたゲームを開発してきた西山氏の視点から、SRPG×SLGの融合を目指すという『三國志 戦棋版』について語られるという一幕もあった。
本稿ではそんな『三國志 戦棋版』の先行試遊会の模様をお届けしていく。
取材・執筆/恵那
『三國志 戦棋版』はSRPGのミクロなおもしろさと、SLGのマクロなおもしろさの融合を目指す
改めての説明になるが、『三國志 戦棋版』(以下、『戦棋版』)はコーエーテクモゲームスの歴史シミュレーションゲーム『三國志14』から正式ライセンスを受けてQookka Gamesが開発する大規模オンラインストラテジーゲーム。
だが本作はそんな多数の人間が参加するストラテジーゲームでありながら、SRPGのように個々のプレイヤーが指揮する“いち盤面の戦い”にもフォーカスしている点で、スマホ向けストラテジーとしては異色のタイトルだ。
まず登壇したのは、本作の開発プロデューサーである桐氏と、パブリッシングプロデューサーである卓氏。ふたりのプロデューサーたちから、本作『戦棋版』が何を重視し、何を目指しているのかといった開発理念や、日本でのリリースに向けた取り組みについての説明がなされた。
実際に開発に携わっているふたりの話からは、彼らが三国志のファンとして『戦棋版』でより没入的なプレイ体験を目指し、固定化した編制などに縛られることなく、自らの手で戦場を指揮する体験の創造を目指したことが伝わってきた。
桐氏によれば、本作が目指したのはSRPGのミクロな操作と、従来の戦略ゲームのマクロな操作を融合させることだという。
従来のスマホSLGをよくプレイしている人ならご存知だろうが、現在リリースされているスマートフォン向けSLGの多くは、同盟(ギルド)同士の大規模GvGをメインとした、まさに“戦略級”のゲーム。
大勢のプレイヤーとの共闘や、人間同士の対戦であるがゆえの駆け引きといったおもしろさは引き出されているが、個々の戦闘単位で見ると省略化されている部分が多い。自身の部隊と敵の部隊が戦略マップ上でぶつかると、戦闘はその瞬間に“内部的に”処理され、プレイヤーは勝敗と戦闘ログからのみ、戦闘の詳細を確認できるといった具合だ。
一方で、本作『戦棋版』は“戦略級”のゲームでありつつ、個々の戦闘をしっかりと描くことに力を入れており、すべての戦闘をSRPGのように自身で一部隊ずつ指揮して戦うことができる。

とはいえ、大勢のプレイヤーが関わるオンラインストラテジーゲームで、ひとつひとつの小さな戦闘を操作可能にすることは、簡単ではなかったという。
「盤上戦」と呼ばれるこのSRPG的な戦闘システムは、従来のマルチSLGと異なり、武将や戦法(スキル)の編制が同じでも、戦う場所の「地形」や「どの部隊から動かしていくのか」といった個々の操作と判断によって戦闘の経過も勝敗も都度変化していく。
従来の“戦略級”ゲームではできなかった、個々の部隊を動かしつつ戦場を左右していくSRPG的なおもしろさを実現しつつ、大勢のプレイヤーと協力して「天下取りを目指す」といった大局的なおもしろさも実現することが、本作の目的。SRPGとSLGの体験を融合させる体験こそ、開発チームが日本のユーザーに届けたかった「盤上戦」の定義なのだという。
また一方で、本作はこれまでのSLGが抱えていた根本的な「ログイン負担」を軽減することも目指したという。スマートフォン向けのSLGではとにかく「数が力」になるため、個々のプレイヤーがとにかくゲームに参加することを求めるからだ。
たとえばこれが、プレイヤーがPCの前に腰を据えて没頭することを前提に作られたストラテジーゲームであれば、その煩雑さこそが魅力になることもある。けれど多くのプレイヤーがスマートフォンでプレイすることを前提にしたゲームでは、生活の隅々までゲームが入り込んでくることにもなるのだ。
桐氏がこのログインの負担を改善するために『戦棋版』で採用した例として紹介したひとつが、「攻城戦の予約機能」だ。
これは、同盟の盟主があらかじめ攻城先&時間を指定しておくことで、所属するプレイヤーがその時間を指定して部隊を出陣させることを予約する機能だ。攻城戦の時間にログインができなかったとしても、プレイできるタイミングで予約さえしていれば、味方の足を引っ張っているようなバツの悪さを感じずに済む。
このほかにも、ログインしていなかった間に溢れてしまうスタミナを「経験値」に変換するシステムや、序盤から資源地を奪い合わなくて済むように同盟勢力内で共有できるポイントを設置することなど、SLGの負担を軽減することも、本作が目指したポイントだという。SRPG的なミクロな操作を要求しつつも、プレイの負担になりそうな箇所をスマートに削ぎ落としたのがこの『戦棋版』だという。
三国志の世界に『FFT』のキャラクターたちが登場。馬の代わりにチョコボで移動までできちゃう
さて、そんな壮大な目論見をもった『戦棋版』だが、続いて登壇したパブリッシングプロデューサーの卓氏は、のっけから衝撃的な発表を行う。なんとリリースに先駆けるかたちで、あの『ファイナルファンタジータクティクス』とのコラボレーションを発表したのだ。
『FFT』と言えば、『タクティクスオウガ』や『ファイアーエムブレム』シリーズなどと並んで、SRPGというジャンルを代表するタイトルとして知られる作品だ。
リメイク版にあたる『ファイナルファンタジータクティクス – イヴァリース クロニクルズ』が2025年に発売されて注目を浴びるなど、現在でも高い人気を誇っている。そんなファンタジー世界を舞台にしたタイトルが、まさか「三国志」の世界とコラボ!?
驚きの情報だが、初公開となる今回の会場でもすでに6キャラクターの登場が発表。ディリータ、ラムザ、アグリアス、ムスタディオ、オルランドゥ、オーランの6人が、劉備や曹操といった三国志の名将たちに混じって戦場に現れるという。
こうしたキャラクターたちは期間限定のイベントをクリアすることで入手可能になるとのことで、キャラクターたちだけではなく、コラボ用の戦法(スキル)が実装されることもあわせて公表されている。
加えて『ファイナルファンタジー』シリーズおなじみの「チョコボ」もコラボで登場する。本作ではプレイヤーは馬に乗ってマップ上のさまざまな場所を探索できるのだが、チョコボは馬に代わるプレイヤーの“足”として登場することになるようだ。
卓氏からはこうしたコラボ情報に加えて、『戦棋版』の根幹をなす「盤上戦」の戦いをさらに盛り上げるための試みとして、PvP戦のランキングイベント「天下一棋道会」の実施についてもあわせて発表。
個人戦だけではなくグループ戦も用意されているということで、賞金や特別な賞品「玉璽」を賭けた争奪戦トーナメントの実施などが紹介された。
Qookka Gamesでは、本作のリリース後もより三国志の世界を広げ、これまでにない遊び方を追求していくと表明。コラボについても『FFT』だけではなく、今後も様々なコラボレーションの可能性を探っていく方針を示している。
このほか、会場に集まった一般のプレイヤーからの質問に、プロデューサー自身が答えるFAQコーナーなども実施。熱心なファンからは先のCBTなども踏まえた今後の運営やゲームの仕様に関する質問が飛び出し、運営側と交流する一幕もあった。
目玉の「盤上戦」を実際に体験。会場では『三国志大戦』西山泰弘氏のエキシビションマッチも
今回の試遊会では、もちろん本作の醍醐味であるSRPG的な「盤上戦」を体験できる時間も設けられた。実は本作、通常のGvGによる城取り合戦だけではなく、「盤上戦」のみの対戦マッチングモードも常設で存在しているのだ。
しかもこのモードでは、なんと自分で育成した武将だけではなく、ほとんどの武将や戦法をレンタルして編制を組むことが可能。無課金でも強力な武将の編制を自由に組むことが可能で、まさに自分自身のプレイヤースキルのみでほかプレイヤーとしのぎを削ることができる。
会場にはメディア以外にも、CBTなどを経て本作について知った多くの一般のプレイヤーたちが集まっており、自身の手で「盤上戦」を指揮するという遊びを、思い思いに熱心にプレイしている様子だった。
今回の試遊では、あらかじめ魏・呉・蜀に加えて、呂布や袁紹などを中心とした群雄勢力をまとめたおすすめ編制が用意されており、それぞれの武将について詳しく知らないプレイヤーでも遊びやすくなるように調整されていた。
筆者もCBTはプレイしていたが、その際には使用していなかった編制の武将たちも、戦法を含めて使いやすく調整されていたことで、「この武将はこう使えば良いのか」という新たな発見もあった。CBTで圧倒的な人気を誇った諸葛孔明と愉快な三兄弟+趙雲の(蜀漢)編制も用意されており、ぞんぶんにその強さを味わうことができた。
とはいえ、もちろん自身の手で武将や戦法を入れ替えることも本作の醍醐味で、多くのプレイヤーたちが自分なりの編制を探してみようと調整を行っている様子だった。
ちなみに、筆者はCBT参加時に「どう考えても孔明と蜀が強すぎる……!」と思っていたのでその旨を開発陣の方にぶつけてみたところ、「実は今後、別種類のマップが追加されることで魏や呉の評価が上がってくる」との話を伺うことができた。孔明に平手打ちしてやりたい魏・呉ファンの方、朗報です。

また、今回の試遊会には『三国志大戦』シリーズや『三国志BOND』を手がけたスゴロックスの西山泰弘氏も登壇。『戦棋版』の対戦機能をもちいて、桐氏とのプロデューサー対決に挑むという一幕もあった。
「こういうゲームなら、皆さん分かりますよね」「知識が大事なゲームですからね」と開始前から弱音を吐いていた西山氏ながら、いざゲームが始まると、通行できるタイルが少ない「橋」を挟んでの攻防から果敢な攻勢に出る展開に。
観客たちからの応援も受けつつ、桐氏の率いる孫呉の守備を崩すべく趙雲や関羽などで攻めかかったが、そこはさすがにゲームの開発者であるプロ。寄せ手に付け入る隙を与えずに、突出した西山氏の部隊を各個撃破していき、さらに周瑜・陸遜らの火計によって大きなダメージを与えていった。
最終的には厚い守備を崩せずに敗れてしまったものの、桐氏に対して健闘を披露した西山氏には、会場に集まったプレイヤーたちから温かい拍手が贈られた。
また自身も長く三国志に関するゲームを製作してきた西山氏は、その経験から本作『戦棋版』についての感想も披露。CBTのときからこの題材を「どう料理するのか?」と気にしていたという。
西山氏は『エイジ オブ エンパイア』や『シヴィライゼーション』シリーズなど、大作ストラテジータイトルを好むと言うが、そうしたタイトルはとにかく1プレイに時間がかかる。一方で同氏が開発してきた『三国志大戦』などはゲームセンターでプレイするタイトルであり、1戦にかけられる時間は短い。
短さの中でおもしろさを伝えなくてはならないというのが難しいところであり、そうした意味で『戦棋版』の調理法に注目していたという。「戦闘の進め方のテンポについては、だいぶ気にしていそうだなという体感があった」という。
最後には集まったメディアからの質問時間が設けられ、FFTコラボや、今後のゲーム運営についての細かい質問などがいくつも飛び出した。
たとえば、CBTを受けての今後の改善・改修予定について。今回のCBTでは多くのデータが集まったが、寄せられた意見の多くは戦闘に関するものに集中していたという。
そうしたフィードバックを受けて、育成や成長に関するシステムは大幅に簡略化。またチュートリアルのプロセスが長いという声もあり、こちらについても調整を進めているという。
また第1シーズンの場合は、遊び方についてはあえてそれほど幅を広げない、ということも語られた。プレイヤーが「盤上戦」についてある程度まで習熟するのを待って、今後のアップデートでマップの障害物や陣形についての新たな要素を追加していくつもりなのだという。
そのほかにも1シーズンは約2ヶ月程度になること、シーズン中に獲得した建築や研究などのレベルなどは次シーズンでリセットされるが、ガチャで獲得した武将などについては保存されること、また意外だったこととして、新シーズンでの出生地(所属する同盟に関わる)は、同盟内で組むことができる「一派」を単位にして再編成されることなども明かされた。
筆者が気になったこととしては、「どうしてFFTとのコラボをすることになったのか」ということ。『FFT』といえばファンタジー作品であり、三国志とは世界観が大きく異なる。驚く人は多いだろう。
その理由として語られたのが、『戦棋版』はSRPGxSLGのゲームである、ということだ。『FFT』はSRPGジャンルにおける、誰もが知るようなトップクラスのタイトルであり、プレイの仕方や考え方についても一致する部分が多いから、ということだった。
実際今回のコラボの話を打診した際にも、大きく賛同されて、それによって今回のコラボでは豊富なコンテンツを用意することができたのだという。
以上、ここまでざっくりとした内容ではあるが、『三國志 戦棋版』の先行試遊会の内容や、発表された情報についてお届けしてきた。
現在のところ、まだ正式リリース日については発表されていないが、今回コラボに関する情報が先行して発表されたこともあり、そう遠くないうちにプレイ可能になるものと見込まれる。
ミクロとマクロ、SRPGとSLGという異なるおもしろさを両輪に据えた作品として、今後の展開が気になる本作。CBTを受けてどのような調整が行われていくのか、『FFT』以降のコラボタイトルはどうなるのかなど気になるポイントも多く、今後の発表を楽しみに待ちたい。
なお現在、本作は事前登録の受付中だ。気になる方は公式サイトなどの情報をご確認されたい。


















