とんでもないものを引っ提げて、彼女たちはやってくる。
11月6日、『ステラーブレイド コンプリートエディション』がNintendo Switch 2に登場する。そして同時に、満を持して『ベヨネッタ』コラボの新衣装が『ステラーブレイド』の世界に持ち込まれるのだ。
はっきり言っておこう。この新衣装、あまりに美しすぎる。美しすぎると言ったが、本当は違う言葉が喉まで出かかっている。
その言葉は、ここではひとまず飲み込んでおく。語らないことで、伝わるものもある。我々は知っているはずだ。
その代わり、語れるものはすべて語る。縫い目の一本一本、布に命を吹き込むシワ、靴の裏に至るまで。その作り込みの狂気を、一着ずつ丁寧に確かめていく。
そうしてフォトモードで撮影した画像は、気づけば約500枚に達していた。偏りはあるが、どれも確認に必要だった。本当に必要だったのだからしょうがない。
本作は、『勝利の女神:NIKKE』のSHIFT UPが2024年に世に送り出したアクションゲーム。荒廃した地球を舞台に、主人公・イヴが怪物たちと戦いを繰り広げる。爽快感のあるパリィと、しなやかに動くイヴの姿が、多くのプレイヤーたちを虜にしてきた。
今回のコンプリートエディションには、これまでの『ニーア オートマタ』『勝利の女神:NIKKE』とのコラボコンテンツもすべて収録されている。どちらも、数多の少年たちをその後ろ姿で導いてきた作品だ。こちらはこちらで、衣装も中身も申し分ないボリュームである。
そこでこの記事では、まずは『ベヨネッタ』コラボの4着を、細部まで眺めるところから。続いて、衣装が素晴らしい『ニーア』、中身が濃い『NIKKE』コラボを。
そして最後に、Switch 2でも本作のアクションの醍醐味が失われていなかったことを、存分にお届けしていく。
シワで魅せて、艶で惹きつける。布の頑張りを見届けるだけで、もう忙しい
『ステラーブレイド』は、着せ替えが楽しいゲームである。たくさん戦って、たくさんお着替えする。
誤解のないように言っておくと、本作のアクションはかなり楽しい。敵には歯ごたえがある。パリィや回避が決まった瞬間の快感は、アクションゲームとして一級品だ。
ただ、衣装のほうがアクションより少し業が深いだけなのだ。
衣装だけで100種類以上(DLC含む)。それにくわえて、髪型やメガネ、イヤリングまで組み合わせられる幅広さ。気付けば、戦っている相手は敵ではなく、己の嗜好になっている。
そんな本作に今回、『ベヨネッタ』コラボの4着がくわわり、着せ替えは、ひとつの到達点を迎える。
まず一着目は、初代「ベヨネッタ」の衣装だ。この装いのイヴは、どこか目線が高い。顔立ちには、まだあどけなさが残っている。それなのに、思わず屈したくなるのは、この衣装に一分の隙もないからだろう。
注目してほしいのは、ボディスーツの質感とシワだ。
光が当たると、表面にしっとりと艶が生まれる。その艶が、細かなシワを浮かび上がらせる。長手袋には、腕を曲げたときのシワ。腰まわりには、張りジワまである。
シワがあるということは、つまり布がどこかで苦労しているということでもある。
ふざけているわけではない。布がどこで引っ張られ、どこでたわむのか。それを全部わかっていなければ、この至高のシワは生まれないだろう。
もうこの時点で、本家への敬意がヒシヒシと伝わってくる。
ちなみに、本家ベヨネッタの服は、自らの髪で編み上げたものなのだが……その設定まで、本作はきちんと拾っている。肩口に寄ってみて、思わず声が出た。黒い髪の流れが、そのまま布に溶け込んでいたからだ。
驚くのは、まだ早い。
胸元のブローチには、赤い石が。そのまわりを、細かい金の飾りが囲んでいる。両腕のベルトは三重。バックルの金具ひとつまで、ちゃんと形がある。
そして、身体の前をつたう金のチェーン。黒いスーツの上で、そこだけが細く光っている。
きれいだ。
どこに寄っても、何かしら見つかる。この作り込みは、狂気ともいえるだろう。
そのこだわりは足元にも宿る。ヒールに、銃が仕込まれている。両手だけでなく両足でも引き金を引く、ベヨネッタの代名詞ともいえるあのスタイルだ。
しかも、細かい。銃身には文字まで彫られていて、今にも撃てそうに見える。試してはいない。試し方がわからない。でも、撃てる気がする。
だが、本当のとどめは背中だ。
前から見れば、あれほど隙のない装いだったのに。後ろに回ったとたん、ずいぶんと風通しがいいじゃないか。もちろん、これは本家どおりのデザインだ。そして本作は、その背中の開き方ひとつまで、律儀に守っている。
しばらくカメラを止めて眺めていた。
まだ一着目である。それでこの本気度だ。
見えない場所まで、ここまで作るのか。見つけた以上、こちらにも責任がある
ひとしきり堪能したあとに、ふと思う。あれだけ大胆に背中を見せていた魔女が、もしもすべてを隠したら。
その答えが、2着目の「修道女」だった。
さきほどの衣装とは打って変わって、肌はほとんど見えない。白い衣が、首元から足首までを覆っている。純白のベールが、髪をすっぽりと包む。
あれほどこちらを見下ろしていた魔女が、今は丸いメガネの奥から、静かに遠くを見つめている。その横顔を見れば、こちらの信仰心も否応なしに高まる。
なぜ修道女? と思う人もいるかもしれないが、これにはちゃんと理由がある。
初代『ベヨネッタ』の冒頭、墓地で棺を囲む場面。そこに現れるベヨネッタは、修道女の姿をしている。つまりこの衣装は、本家のファンなら覚えのある、始まりの装いなのだ。
となれば、細部までしっかりと確認したい。
遠目に見たときは、そういう質感の布なのだと思っていた。ところが、近づいてみて驚いた。白い衣の表面に、細かいレースの模様がびっしりと入っている。
試しにジャンプさせてみると、ベールがひらりと翻る。布の揺れひとつにも、作り手の手間が見える動きだ。
感心しながら眺めていたら、めくれたベールの下に、何かが見えた。ちょっと待ってくれ。はやる気持ちのまま、フォトモードを開いて、カメラを背中に回す。
背骨のラインに沿って、小さな穴が一列に並んでいる。こんなところに……
普段ならまず目に入らない場所である。そこまで作るのか。いや、違う。見えない場所だから、作るのか。
画面に向かって手を合わせなければならない。ただ、感謝を。
気持ちを切り替えるために3着目、赤いスーツに着替えた。こちらはベヨネッタの宿敵、「ジャンヌ」の衣装である。だが、こちらでも新たな作り込みにひれ伏すことになる。
ジャンヌの衣装でまず語るべきは、光沢だ。
艶のある赤い生地は、まるで濡れているかのように光を弾く。しかも、ただ光るのではない。イヴが一歩動くたびに、光が肩から腰へとすべり落ちていく。
そして、その光沢が、またしてもとんでもないものを浮かび上がらせている。
腹筋である。
これは衣装の話だったはずだ。なぜ、服の上から腹筋の割れ目まで見えるのか。生地の厚みと、その下にある起伏を、両方考えて作っているのか。いったい、どこまで突き詰めれば気が済むんだ。
さらに、胸元から腰へ斜めに走るボタンの列が、身体のひねりに沿って、腹筋を通り、弧を描いている。「この順番に見惚れてね」と言わんばかりのガイドの役割を果たしているかのようだ。
いや、そんな意図はないのかもしれない。ないのかもしれないが、こちらはもう目を奪われてしまっている。
飾るための身体ではない。戦うために鍛え上げられた身体だと、一目でわかる。その事実を、布一枚がむしろ雄弁に語っている。好敵手と呼ばれる魔女の美しさとは、こういうところからもにじみ出るのだろう。
隠して魅せる衣装が続いたところで、隠し事のできない一着がやってきた
そして、最後の一着。「ブラックトレス」は、ほかの3着とは生まれが違う。
キム・ヒョンテ氏がプラチナゲームズに「一緒にコラボ衣装を作りたい」と持ちかけて生まれた、この企画のためだけの一着だ。
どれどれ、と着替えさせた。軽い気持ちだ。ここまで3着も見てきたのだから、もう大抵のことでは驚かない。
やられた。3着も見てきたからと、すっかり油断していた。
黒いレースのコルセット。何重にも渡された金のチェーン。網タイツ。
布が、明らかに少ない。
これまでの衣装が、隠すことで色気を語ってきたのなら、この一着は、見せることで語り尽くそうとしているのか。
それでいて、ただ大胆なだけでは終わらない。この衣装には、迷いがないのだ。迷いがないから、美しいのだ。
どのパーツを見ても、「ここは、こうでなければならない」という作り手の声が聞こえてくる。胸元の赤い石、レースの奥行き、チェーンがだらりと下がる角度。どれも、ここしかないという場所にある。
さらに足元を見ると、左右で靴が違う。脚を包む素材まで、右と左で別物だ。わざわざ揃えない。そこにも、作り手のこだわりが出ている。
本家の再現ではない。
『ベヨネッタ』と『ステラーブレイド』がひとつに溶け合ったら、こうなるのか。
参りました、SHIFT UP。
一着の衣装に、ここまでの手間をかける。その執念こそが、『ステラーブレイド』という作品の正体なのだと思う。
そして、その執念は『ベヨネッタ』コラボだけに留まらない。
2Bに見とれ、ニケの太ももにひれ伏す。この荒野に逃げ場はない
コンプリートエディションには、これまで有料DLCとして配信されてきた『NIKKE』と『ニーア オートマタ』のコラボも、すべて収録されている。背中で魅せる作品たちが、一堂に会している。
『NIKKE』は、同じくSHIFT UPが手がける姉妹作。一方の『ニーア オートマタ』は、SHIFT UPのキム・ヒョンテ氏が影響を受けたと公言してきた作品だ。
そして筆者が思うに、この3作品は服の見せ方がよく似ている。身体の線をそのまま活かし、覆うところと見せるところのバランスで勝負を仕掛けてくる。
『ニーア』コラボは、衣装と髪型、アイウェアが中心だ。正直に言えば、量は決して多くない。ところが、一着一着の作り込みがやはり尋常でなく、その少なさをあっさり忘れさせてくれる。
衣装の名は「ヨルハ二号B型制服」。あの制服に、白い髪と黒い目隠しをそろえた瞬間、イヴがヨルハ部隊の一員になっている。
再現度が、高すぎる。
再現度が高すぎるのだ。
袖のふくらみも、裾に重なるフリルも、黒い生地のわずかな光沢も、あの機械仕掛けの世界で見た服そのものだ。似せたというより、質感ごと持ち込んできた、と言ったほうが近い。
ちなみに、A2の衣装もある。さらに、仲間たちに着せられるエミールの頭や9Sの服まで用意されていて、それを荒野で売り歩いているのは、エミール本人だ。
話を戻そう。当然、ヨルハの制服にはフォトモードで寄ってみた。寄るたびに、まだ見ていない縫い目が見つかる。気づけば、いちばん長くシャッターを切っていたのは、この衣装だったかもしれない。
人類に、栄光あれ。
『NIKKE』コラボは、姉妹作だけあってかなり贅沢な内容だ。メインコンテンツは、紅蓮とボルトがこの世界に直接やってきて、5つの依頼を持ちかけてくるというもの。
まあ、よくあるお使いクエストだろうと、軽い気持ちで受けた直後。
画面が、『NIKKE』になった。
物陰に隠れ、敵の攻撃が止んだ隙に、身を乗り出して撃つ。ゲージが溜まれば、フルバースト。あの本編の戦闘が、そのまま『ステラーブレイド』の中で始まったのだ。
衣装を期待していたら、ゲームごと持ち込まれていた。仰天である。
もちろん、衣装にも抜かりはない。アニスやラピたちをモチーフにした衣装は、こちらもよくできている。推しのニケの服を着て、荒野を冒険できるのだ。『NIKKE』のファンなら、それだけで遊ぶ理由になるだろう。
そして、『NIKKE』となると、太ももの話をしないわけにはいかない。
黒いベルトが締めつけるたびに、肌がほんのわずかに押し返す。ニーハイの履き口には、布が食い込む段差まで刻まれている。太ももまで、丁寧なのである。
ついさっきまで、2Bのすらりとした立ち姿に見とれていたのが嘘のようだ。
同じイヴのはずなのに、衣装ひとつでここまで変わるのか。SHIFT UPの魔法には驚かされる。
そして、依頼をすべてこなした先には、ある相手との一騎打ちが待っている。
誰と、どこで戦うのかは、ここでは伏せておきたい。ただひとつ言えるのは、本編のボスと並べても見劣りしない手ごわさだということ。パリィが決まるたびに、気持ちよさが全身を駆け抜ける。腕に覚えのある人ほど、きっと燃えるはずだ。
お洒落は済んだ。あとはパリィを決めるだけ。この気持ちよさは健在
ここまで衣装の話ばかりしてきたが、最後にひとつ、念を押しておきたい。
『ステラーブレイド』は、アクションゲームとして、めちゃくちゃ面白い。
その魅力は、なんといっても音が気持ちよすぎる「パリィ」だ。敵の攻撃に合わせてボタンを押す。弾き返した瞬間、相手の体勢が崩れる。そこへ一気に斬り込む。この流れが、とにかく完成されている。
かといって、プレイヤーを甘やかしてはくれない。油断すれば、しっかり死ねる。だからこそ、パリィが決まった瞬間の快感が段違いなのだ。
気になるのは「Switch 2でその気持ちよさが損なわれていないか」だろう。
結論から言えば、少なくとも筆者にとって、その心配はいらなかった。
PC版の発売当時に、本作を遊び込んだ身だ。その感覚のままSwitch 2版を手に取ってみたが、イヴの身のこなしはなめらかで、敵の攻撃に合わせてボタンを押すリズムが狂うこともなかった。
Switch 2版は、TVモードでも携帯モードでも、60fpsでの表示を目指して作られているという。筆者は携帯モードを中心にプレイしたが、その狙いは、きちんと手触りとして届いていた。
そしてSwitch 2版には、もうひとつ大きな強みがある。
イヴを、持ち歩ける。
ここまで散々語ってきた魔女の4着も、2Bも、アニスもラピも。この記事では語りきれなかった衣装たちも。そのすべてが、手のひらの中に収まる。
少し手が空いたら、フォトモードを開いてカメラを回す。誰にも見られない場所で、心ゆくまで細部を確かめることができるのだ。
あくまで、確認のために。
ここまでたっぷり語ってきたが、言いたいことはひとつだ。
とにかく、美しい。
一着の衣装に、ここまでの手間をかける。その執念が、『ベヨネッタ』コラボの4着には詰まっている。フォトモードを開けば、きっとわかってもらえるだろう。
余談だがそのフォトモードも、もともとはアップデートで追加されたものだったりする。ありがとう、SHIFT UP。
コンプリートエディションには、『ニーア』『NIKKE』とのコラボを含む、これまでのDLC衣装がすべて収録されている。そこへ『ベヨネッタ』の4着が加わり、もう、どこから着ればいいのかわからない……なんて贅沢な悩みを抱えられるだろう。

『ステラーブレイド コンプリートエディション』Nintendo Switch 2版は11月6日発売。価格はパッケージ版・ダウンロード版ともに7980円(税込)だ。『ベヨネッタ』コラボ衣装4着は、同日よりSwitch 2・PS5・PC版へ無料で配信される。






































