放課後、通話をつないで一緒に勉強する。学生時代の筆者には、あまりなじみのない過ごし方だった。まして、ギャルとふたりでテスト勉強をする自分は、ちょっと想像できない。
ところが、卒業してからでも間に合う放課後があった。「東京ゲームダンジョン14」の試遊席で初めて作業通話をつなぐと、画面の向こうでとてつもない美少女ギャルが待っている。
この美少女の名前はシオイ。明るくておしゃれで、クラスの輪の中心にいるらしい。ひとりだと勉強をサボりがちなのだとか。
ネストピの『Chill with You : SHIOI’s Sparkling Scenes』は、そんな彼女と机に向かう作業用アドベンチャーだ。シオイが勉強するあいだ、こちらも仕事や宿題に取りかかれる。

作業の合間には、シオイとおしゃべりもできる。こちらには「もうサボっちゃう?」なんて気さくに声をかけてくるのに、自分がサボっていたか聞かれると「えっ。……サボってないです」。この唐突な「です」には、妙な威力があった。
本稿では、たった一度の作業通話でギャルのタメ口と敬語の波状攻撃にすっかり調子を狂わされた筆者の試遊レポートをお届けする。
取材・文/なごみ
両手で“ギャルピ”のギャルも最初は敬語
ネストピのブースで迎えてくれたのは、両手をぐっとこちらに突き出したシオイのパネルだった。
ギ、ギャ…ギャルピだ!!

実際にこのピースを目の前で決めている人は、まだ見たことがない。手のひらを返したポーズに長いネイルがよく映える。この勢いなら、通話でもひと言目から友達みたいに話しかけてきそうだ。
シリーズ前作『Chill with You : Lo-Fi Story』の通話相手は、小説を書くのが好きな文学少女・サトネ。9月の新作発表時点で45万本を売り上げた人気作だ。
会場でネストピの方にうかがうと、前作を遊んだ人からお礼のメールが届くそうだ。なかには、通知表を送ってくれた人までいるという。美少女と一緒に机に向かえる今の学生さんが、素直にうらやましい。
そんなサトネと、両手でギャルピを決めるシオイ。筆者がふたりから受けた印象はまるで正反対だった。シオイは、みんなに愛されているようないまどきの若い子をイメージしたのだと、ネストピの方が教えてくれた。
通話する時間によって、昼なら図書館、夜なら自室と、シオイのいる場所も変わるそうだ。今回つながったのは、彼女の自室。
「繋がったかな? 見えてますか?」
近い!!!
返事の「見えてます」ボタンが、ちょうどシオイの口元にかぶるぐらいのどアップだ。

「はじめまして。あたし、シオイって言います」
あ、最初の挨拶は敬語なんだ。

あごに手を添えて話す姿もかわいい。耳元にはアクセサリー。机のわきのスクールバッグまで、パールみたいな飾りとカラフルなチャームでデコってある。画面の端までしっかりギャルだ。

画面にちょんと触れたら、今度は「どした?」。えっ、心の距離までこんなに近いの?
さっき名前を聞いたばかりなのに、もう何度も通話した友達みたいに返してくれる。教室でシオイのまわりに人が集まるわけだ。
サボった言い訳も敬語だった
ポモドーロタイマーで作業時間をセットすると、シオイが机に向かって勉強を始める。

東京ゲームショウで公開されたビジュアルと違い、今回のシオイは制服の上に紺のカーディガンを羽織っていた。寒い時期には、こんな格好で通話してくれるのかもしれない。明るい髪に、この紺色がよく似合う。

作業に集中したいときは、Lo-Fi音楽に雨音や街のざわめきなどの環境音を好みで重ねられる。やることを書き出せるToDoリストもある。
作業通話をしたことのない筆者には、話す用事がなくても通話をつないでおけるのが新鮮だった。たとえば宿題の途中で顔を上げたら、画面の向こうでもシオイが机に向かっている。
ひと区切りつくと、シオイが少し丁寧な口調に戻って、こちらは集中できたかと聞いてくれた。そういうシオイはサボってなかったのか、こっちからも聞いてみた。
「えっ。……サボってないです」

否定するまでに、ちょっと間がある。こちらを気遣ってくれたときとは違って、今度の「です」はどこかばつが悪そうに聞こえる。「ごめんなさい、だって、ちょっと長くて」と、白状するのは早かった。その素直さがかわいい。
しかも「次は見張っててください」なんて頼んでくる。かわいい。
次の作業時間、画面をちょんちょんとつついていたら、「ほら、集中集中!」とたしなめられた。さっきまで見張られる側だったのに、もうこっちの世話を焼いてくれるのがかわいい。 余談だが、この日の試遊メモは「かわいい」を抜くとほぼ白紙である。

明日の約束をするときは、また敬語に戻るんだ
休憩中のシオイは、肘をついてネイルを見たり、髪を指でくるくる巻いたり。自分の机で通話をつないだら、「いま何してるかな」と、かえってよそ見が増えそうだ。
ブースのメッセージノートには、シオイのキャラクターデザインを手がけた霜降氏のイラストも。
あ、ここでも髪をいじってる! 通話で見たあの癖を、付箋のなかでも見つけてうれしくなった。


試遊でいちばんドキッとしたのは、通話を切る間際だった。今日の勉強を切り上げる相談は「今日はここまでってことにしない?」。じゃあ、明日の勉強に誘うときはというと……。
「明日も、一緒に作業通話してくれませんか?」
はい、こちらこそよろしくお願いします。……と、つられてこっちまで敬語で返事をしたくなる。さっきまであんなに強気だったのに、明日も一緒にって誘うときは「してくれませんか?」。これは効く。
約束に応じると、シオイは「やった!」と目を輝かせた。

「じゃ、バイバイ!」
明日の約束は丁寧に、お別れは軽やかに。タメ口と敬語の波状攻撃に、すっかり調子を狂わされた。
ギャルの唐突な敬語、最高すぎる。
