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『ニーア』ヨコオタロウ氏×『エンダーリリーズ』岡部佳祐氏対談。「傑作に嫉妬したら『賛否両論』のゲームを遊んで自信を養う」岡部流“ストレス物作り”にヨコオ氏も驚いた【The Tenth Mosaic対談】

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2026年9月22日、23日の2日間、ゲームカルチャーを祀る祭典「The Tenth Mosaic」が東京日仏学院で開催された。本イベントは、ライブや展示やワークショップなどを巡る散策型のイベントで、国内外のクリエイターを迎えたステージ対談も数多く実施された。

そのうちのひとつが、『ドラッグ オン ドラグーン』『NieR:Automata』(以下、『ニーアオートマタ』)のディレクターであるヨコオタロウ氏と、『ENDER LILIES:Quietus of the Knights』(以下、『エンダーリリーズ』)『ENDER MAGNOLIA:Bloom in the Mist』(以下、『エンダーマグノリア』)のディレクターである岡部佳祐氏の対談だ。

ヨコオタロウ氏×岡部佳祐氏対談|「The Tenth Mosaic」レポート_001

今回の対談は、ヨコオ氏がMCとなり、岡部氏から『エンダー』シリーズ制作背景を聞き出す形で行われた。

そこで岡部氏が明かしたのは、同氏の熱意や欲求と、ドライな戦略性がせめぎあう物作りの姿勢だった。ジャンルは「作りたいもの」ではなく市場の状況を踏まえて決めたと語り、良い作品に嫉妬したときは、あえてSteamで「賛否両論」のゲームで遊び、自分の自信を養うという。岡部氏は、これを「ストレス物作り」と呼ぶ。さらに対談は一方的な質問にとどまらず、岡部氏がヨコオ氏に切り込む形でも話題が発展。

いっぽう、ヨコオ氏にとって自分の仕事は、まだ誰も作っていない領域の「穴埋め」であり、いまは余生で「認知症予防のため」に働いているといった、ヨコオ氏らしさに溢れた興味深い話が引き出された。

世代も、作品を制作するときの姿勢も大きく異なるが、儚くも心を揺さぶる世界を生み出す、意外な共通点を持ったふたり。その1時間のトークセッションレポートをお届けしよう。

取材・文/ホドウ
撮影/Kristof Sagna

漫画家志望が『大企業の歯車にはなるまい』と選んだ道

ヨコオタロウ氏(以下、ヨコオ氏):
最初に自己紹介から始めましょうか。僕はヨコオタロウと言って、スクウェア・エニックスが販売するアクションゲーム『ニーアオートマタ』などを作ったゲームディレクターです。

岡部佳祐氏(以下、岡部氏):
私はBINARY HAZEという会社の岡部です。『エンダーリリーズ』と、その続編『エンダーマグノリア』という作品のディレクターを担当しています。

ヨコオ氏:
僕は去年もこのイベントに出ているんですが「今年はMC担当で、若手のホープの岡部さんから話を引き出してほしい」と言われています。

だから、今日は岡部さんの話を中心に聞いていきたいと思います。

岡部氏:
私はヨコオさんの話も聞きたいので、状況によっては話を返して、ふたりの話ができたらなと目論んでおります(笑)。

ヨコオ氏:
ではまず、岡部さんがゲームクリエイターになろうと思ったきっかけからお聞きしてもいいでしょうか。

岡部氏:
私は元々ゲーム業界に入ろうと思ってたわけではなくて、学生時代は漫画家になろうと思っていました。

ただ、私が漫画やイラストを描いていた学生時代は、mixiとかニコニコ動画が少し流行り始めた時代で「作品を世に出せ」みたいな同調圧力的な空気感があったんです。

そんな時に、同人ゲームを作ってみないかという話が上がったんです。

そうして、人に手伝って貰いながら制作しているうちに、人と物作りをすることの楽しさに気づいてしまいました。

同時に「漫画をひとりで作り続ける孤独さ」に耐えられなくなってしまったので、ゲーム業界を目指してみようと思い、今に至るというかたちです。

ヨコオ氏:
なるほど。では同人ゲームを作りながら、面接を受けてゲーム会社に入ったんですか。

岡部氏:
はい。ただ、自分はその当時からひねくれていて「大企業の歯車にはなるまい」と任天堂さんやカプコンさんのような大きな会社は避けていたんです。

ヨコオ氏:
任天堂とかカプコンとかに入るのは大変なことですけどね(笑)。じゃあ、最初から会社はBINARY HAZEを受けられたんですか。

岡部氏:
最初はヴァニラウェアと、ネバーランドカンパニーという会社を受けていました。ネバーランドカンパニーは『ルーンファクトリー』などを手がけていた会社ですね。

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画像はWayback Machineより

というのも私が求職をしていたタイミングでは、企画職の募集がそのふたつの会社しかなかったんです。そこでネバーランドカンパニーに絵本のような企画書を送りました。すると、その企画書を評価していただき、ゲーム会社に初めて入社しました。

ヨコオ氏:
岡部さんは新入社員としてゲーム会社に入って、今こうして『エンダーリリーズ』や『エンダーマグノリア』のディレクターをされてるわけですね。新入社員からディレクターを目指すときの、ルート取りのコツみたいなものはありますか。

岡部氏:
私は少し特殊なので、ディレクターになるコツをお教えするのは難しいかもしれません。というのも私のルートは、モバイルゲームの新規案件の募集から始まったからです。

私は絵が描けたので、自分で絵を描いて、話を書いて、ゲームを作るという形で、2、3人のチームでゲーム作りを任せてもらえたんです。

そこから、ゲームを徐々に出していって、自然とディレクターを担当していくような形でした。このように、小規模のタイトルをチャレンジとして社員に任せてくれる会社にうまく巡り合ったから、ディレクターになれたのだと思います。だから、正規のルートとは違うかもしれないですね。

ヨコオ氏:
やはり大きい会社に入社すると、最初はどうしても大きなプロジェクトの一番小さいパートを担当することが多いですよね。

だから岡部さんが最初に大規模ではない会社を選んだことは、小さなプロジェクトの様々な役割を担当できたという点で、悪くない選択だったんじゃないでしょうか。

岡部氏:
そうですね。私が今いるBINARY HAZEやSteamも、そうしたチャレンジができる環境だったと思います。ある意味、自分が就職する際に目論んだ通りでありつつも、運が良かったなとも感じています。

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『エンダーリリーズ』『エンダーマグノリア』誕生秘話。予想外のヒットとその呪い

ヨコオ氏:
ちなみに、『エンダーリリーズ』と『エンダーマグノリア』について、どういう気持ちで作って、出た後はどういう気持ちになったか、そのあたりを伺ってもいいですか。

岡部氏:
まず自分は、じつはBINARY HAZEという会社の社員ではなく、同系列のライブワイヤーという会社の社員なんです。そして、BINARY HAZEとライブワイヤーは、アドグローブという会社のグループ会社なんですよ。

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(画像は株式会社アドグローブより)

そのアドグローブという会社は元々IT系の仕事をずっとやっていたんですが、アドグローブの社長には、堅い仕事で貯めたお金を使ってゲームを作りたいという思いがあったんです。

そこで実際に「10億円ぐらい貯まったから、社内でゲームの企画を募集する」ことがあったのですが、誰も企画書を書いてこなかった。そこで私が『エンダーリリーズ』の構想を出したところ、都合よく面白がっていただき、採用されたんです(笑)。

最初の3ヵ月ぐらいで「見た目だけ作って見せる」ようなモックを作り、騙し騙し作っていった結果、なんとかリリースまでこぎつけることができたというのが『エンダーリリーズ』開発の経緯です。

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(画像はENDER LILIES:Quietus of the Knightsより)

ヨコオ氏:
『エンダーリリーズ』はすごくヒットしたと思いますが、インディーゲームって今ものすごい本数が世の中に発売され続けてますよね。

そうした環境を振り返ったとき、『エンダーリリーズ』がヒットした要因はなんだったと考えていますか。

岡部氏:
そうですね。もし今『エンダーリリーズ』を出しても、売れるかは正直わからないと思います。当時、日本から出ていたインディーゲームには、それなりに予算をかけたタイトルが少なかったんですよ。そういった環境の中、大体3億から5億円ぐらいの予算感で、ネバーランドカンパニーにいたスタッフたちと『エンダーリリーズ』は作られました。

目指してたのはヴァニラウェアのような「2Dでキャラクターを動かす」ことを武器にしたゲームです。その武器を一番発揮できるジャンルを考えたときに、当時ちょうど売れていたタイトルが「メトロイドヴァニア」と呼ばれるジャンルの『ホロウナイト』というゲームだったんです。だから、ジャンルもメトロイドヴァニアになりました。

そうして、キャラクター性のキャッチーさや2Dキャラクターの魅力などを、自分たちが培ってきたヴァニラウェアのような見た目、日本的なアートのスタイルで表現できれば、1万から5万本ぐらいは売れるんだろうと考えていました。

いざ結果が出てみると、そこに想像以上の訴求力があったのではないかな、と分析しています。

ヨコオ氏:
予算が3億〜5億円は、今ではありえないくらい安い予算だと思うんです。今後もこの規模で、同じクオリティで開発できそうですか。

岡部氏:
コストは徐々に上がっていますが、いまでも「5億円ライン」が上限です。そのかわりに開発期間は長く取らせていただいています。総勢20名以下の少人数、しかもシナリオとプログラムはそれぞれひとりなので、1本に3〜4年はかかりますね。ヴァニラウェアさんも、おそらく同じ作り方をしていると思います。

ヨコオ氏:
岡部さんは先ほど、『エンダーリリーズ』開発当時の日本のインディーゲーム市場では、そこまでたくさんタイトルが出てなかったと分析されていましたね。

以前の対談から、岡部さんは口の回る頭のいい人だと思っているので聞きたいんですが、当時の市場を見たうえで2Dアクションを選んだんですか。それとも、2Dアクションを作りたいという思いが先にあって、そのための環境を整えたんでしょうか。

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(画像はSteam:ENDER LILIES:Quietus of the Knightsより)

岡部氏:
状況が先ですね。ゲーム制作においては、状況が全てです。

私はSteamのユーザーとして、Steamのランキングや新着を毎日見てゲームを遊んでいます。だからこそ、ユーザーの感覚で「こういうゲームあったらいいのに」と気づき「こういうゲームができるんじゃないか」と考えてゲームを作っています。

当たり前のようですが、お金を動かせる人やゲームのディレクターが本当に状況を見られているのかは、よく疑問に思いますね。

ヨコオ氏:
『エンダーリリーズ』の後、続編の『エンダーマグノリア』は、どういうアプローチで制作にあたったのでしょうか。

岡部氏:
『エンダーマグノリア』の時は、『エンダーリリーズ』がある程度ヒットしたという基盤がありました。

『エンダーリリーズ』の時は、森があって、お城があって、魔女がいて、騎士がいて……という、世界観を捻らない誰でもわかる定番のファンタジーを徹底しました。ですが、私が本当にやりたかったのは、もうちょっとオリジナリティのある世界観だったんですよ。

ですから今までできなかった自分のアートスタイルを叶えられたのが、『エンダーマグノリア』です。だから私としては『エンダーマグノリア』の方が自分の味が出ていると思います。売れたのは『エンダーリリーズ』なんですが(笑)。

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(画像はSteam:ENDER MAGNOLIA:Bloom in the Mistより)

ヨコオ氏:
今の話だと、『エンダーマグノリア』で自分の味を出してやり残したことをやり切った、という風に感じたんですけれども、そういう意味での「やり切った感」はあるんですか。

岡部氏:
いわゆる「メトロイドヴァニア」と言われている探索型のアクションRPGについては、結構やりきったと感じてます。同様に、世に出ているメトロイドヴァニアを見ても、やりきってると思うタイトルしか出てないと思います。

つまりは、アクションにはハイジャンプ、ダブルジャンプがあって、床を壊せて、壁を壊せて、フックショットがあって……という具合に、もうどのメトロイドヴァニアにも同じ機能が漏れなく入っているんですね。あとは舞台が日本か中世ヨーロッパか、グラフィックのクオリティは写実的かどうか、みたいな差分でしかない。どれも同じなんです。

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(画像はSteam:ENDER MAGNOLIA:Bloom in the Mistより)

こうした状況を見ても、今はゲーム自体が過渡期にあって、アクションのアイデアはもう無くなってきているのかな、と思うところはありますね。

ヨコオ氏:
じゃあ今後ゲームを作るとしたら、また毛色の違う、別ジャンルのものを作りたいと思いますか。

岡部氏:
気持ちとしてはまさにそうです。しかし、自分たちが置かれてる現状としては、売れたタイトルにある程度紐付けられていると思うんです。だから、さてこれからどうしよう……という感じです。

ヨコオ氏:
もう呪いですよね(笑)。ヒットしたらありがたいんですけど、そのヒットに足を引っ張られるのはよくある話です。

物作りの哲学━━岡部流“ストレス物作り”

ヨコオ氏:
ここからは創作論の話をしていきましょう。たとえば『エンダーリリーズ』なら「儚さ」といったように、ゲーム作りにはそれぞれ作風のスタイルがあると思うんです。岡部さんのスタイルについて教えてもらえますか。

岡部氏:
まず、どんなキャラクターが何をして、ストーリーの中でどんな結末に至るのかを最初に考えています。舞台装置や背景は、それが成立するように、後から考えていきます。

いちばんこだわってるところは、キャラクターの対比関係ですね。『エンダーリリーズ』も『エンダーマグノリア』も、主人公はバディの関係性です。『エンダーリリーズ』であれば少女と騎士たち、『エンダーマグノリア』であれば男女ともつかない小さい子とホムンクルス。『エンダーリリーズ』で言えば、少女の方は白くて可愛くてか弱く、騎士は黒くて醜くて力強い。このように、お互いに相反する要素を持たせています。

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(画像はENDER LILIES:Quietus of the Knights | Nintendo Storeより)

メトロイドヴァニアはジャンルの特性上、テキスト量が多くなく、ゲーム内でお話を語る場所が少ないんです。だからこそ、ぱっと見の絵でキャラクターの魅力が伝わるように、できる限り対比を作るようにと心がけています。

ヨコオ氏:
すごく興味深い話ですね。キャラクター以外のデザインでも、対比構造を意識しているところはありますか。

岡部氏:
『エンダーリリーズ』では、汚れがなさそうな少女と、ゲームの世界観そのものを対比させています。

逆にヨコオさんは、どういったスタイルで世界設定や作風を作っているのでしょうか。

ヨコオ氏:
僕は「要件に合わせて作る」ことが多いです。

たとえば『ニーアオートマタ』で言うと、「スクウェア・エニックスのアクションRPGで、シリーズの続編」という要件がある。そのなかで、パズルのように「そうじゃない何か」を作ろうとするんです。

前作『ニーアレプリカント』はファンタジー寄りのビジュアルで男性が主人公だったので、今度はSF感の強い世界で女性主人公に変えよう、というように、対比を気にしました。

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(画像はSteam:NieR:Automata™より)

そうした、作品同士のコントラストを意識して作ったデザインのひとつが「2B」と「9S」というキャラクターです。

彼らはよく「お姉さんと若い男の子」の組み合わせで注目されるんですが、僕自身にはそういう嗜好がまったくなくて(笑)。濃いファンアートとかを見てもピンとこないんです。自分でピンとこないものを、よく作ったなぁと思っています。

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(画像はSteam:NieR:Automata™より)

岡部氏:
そうなんですか(笑)。

ヨコオ氏:
物作りに話を戻しましょうか。岡部さんは「ストレス物作り」を心がけているという話を聞きました。そもそも「ストレス物作り」ってなんですか。

岡部氏:
物作りというのは、本当に過酷なんです。新しいアイデアのために良い作品に触れると「最高だな」と思うと同時に、嫉妬心も芽生えてくる。だから良い作品と一緒に、Steamの評価で言うところの「賛否両論」のゲームも遊ぶんですよ。それで「これは勝てるぞ」と、自分の自信を養うんです。

そして、賛否両論のゲームから出たストレスに対して「こうしたらめっちゃいいのに」「ここはこれがおかしいんだよな」というポイントを見つけて、自分のゲームに活かす。これが「ストレス物作り」です。

ヨコオ氏:
すごいやり方を聞いた気がします(笑)。優秀な作品に対して嫉妬を感じるんですか。

岡部氏:
感じますね。特に自分の琴線に触れる作品ほど、より強く感じます。

最近だと『PRAGMATA』(プラグマタ)がそうでした。『エンダーリリーズ』に似た、おじさんと女の子のバディが主人公のゲームなんです。その女の子の造形や動きがすごく可愛く作り込まれていて、私のやりたいことと近かった。

でも私は、恥ずかしいとか、時代的に受け入れられないんじゃないかとか思って、やらなかったんです。だから「素晴らしいな」と思うと同時に、すごく嫉妬しましたね。

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(画像はSteam:PRAGMATAより)

ヨコオ氏:
僕は他の作品に対して嫉妬を感じることはないですね。いいものを見ると、ファン目線になっちゃいます。それでコレクター気質が発動して、買い集めたくなっちゃうんですよ。あんなに良い作品を作っている岡部さんが嫉妬するというのも意外ですし、踏み台にしている作品があるのも面白いですね。その「ダメな作品」は、どういう基準で選んでいるんですか。

岡部氏:
いやいや、それだけは言えないですよ(笑)。

ヨコオ氏:
忙しいと、良いゲームばかり遊びたくなるじゃないですか。だから僕は面白くなさそうなゲームを頑張って遊ぶ気力が持てないんですが、岡部さんは怒りを溜めるために、そういうゲームを無理してクリアまで遊んだりするんですか。

岡部氏:
さすがに賛否両論ならなんでもいいわけではありません。

基準は、Steamのページで見られる説明文を読んで「これめっちゃいいな」と思えるのに、評価が低いゲームです。そういうゲームは、いかにも良さそうなゲームなのに、ゲームのサイクルがうまく回ってなかったり、キャラクターの言い回しに気持ちが乗らなかったりする。そうした部分を見つけて「自分だったらこうするのに」とモチベーションに変えていくんです。

ヨコオ氏:
良いところからも悪いところからも学ぶやり方はいろいろありますが、岡部さんのやり方はすごい。口から聞くと邪悪なやり方に聞こえますけど(笑)。

岡部氏:
個人的に、物作り自体が多少邪悪だと思っているので「ダークサイド」も少し取り入れた方が強いかなと。ヨコオさんは、ストレスのあるゲームから何かを感じたりはしないですか。

ヨコオ氏:
僕はずっと穴埋めする気持ちでゲーム業界で仕事をしていますね。「これまだ誰もやってないからやんないといけないな」という義務感です。だから作風とかが全く同じで、その上ですごく良いものがあったら、別に新しく作らなくていいとまで思ってます。

たとえば僕、『ICO』や『斑鳩』というゲームとかすごく好きなんですが、遊んだときにあまりにパーフェクトだったので「このジャンルのゲームは、僕は作らなくていいんだ」と思いました。

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それは嫉妬ではなく、「その穴はもう埋まっているから、違うところを埋めなきゃ」という気持ちです。僕のゲームがひどいことがいっぱい起きる下品なゲームなのは、綺麗なところをみんな先駆者に奪われてしまったからなんだと思います。

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ライター
ゲームを学びながらゲームを遊ぶ、天ぷら学生。すべてのゲームは面白い……はず!をモットーに、めげずに色んなゲームに挑戦中。プレイ中に百合要素を見つけると、どんなゲームでもお気に入りになる、信用ならないやつ。

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