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レオンの指輪、まだ見つかっていない要素、今後のミニゲーム、DLCについて教えてください! 『バイオハザード レクイエム』開発陣に発売後の反響や今後について直接聞いてきた

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『バイオハザード レクイエム』は、なぜこれほどおもしろいのか?

『バイオハザード レクイエム』発売後インタビュー|レオンの指輪、まだ見つかっていない要素、今後のミニゲーム、DLC等いろいろ_001

シリーズ最新作、『バイオハザード レクイエム』は、発売からわずか2週間あまりで、全世界販売本数600万本を超えた。

これはシリーズ最速の記録となるのだが、ただ「売れた」だけではない。これだけ多くのユーザーが手に取っているにも関わらず、非常に高い評価を得ているのだ。

海外のレビュー集積サイトmetacriticではメタスコア平均「89/100」。これは2026年発売タイトルの中でトップクラス。さらにユーザースコアは9.4と、歴代タイトルの中で2位タイというすさまじい評価を得ている(いずれも記事執筆時点)。

また、Steamでの購入者のうち約70%がエンディングに到達していることも話題となっており、大作ゲームとしては驚異的なクリア率を誇る。評価している人の意見を見ると、「ペース配分や魅力的なゲームプレイ」、「テンポのよさ」などがプレイヤーを引き込む要因となっていることがわかる。

『バイオハザード』は2026年3月にシリーズ30周年を迎えた、世界中にファンを抱える老舗タイトルだが、既存ファンはもちろん、外側にいるゲーマーを取り込み続けている。

新たな主人公、グレースのパートでは「恐怖」を感じ、シリーズおなじみのレオンのパートでは「爽快感」が存分に味わえる。ふたりの主人公を据えたシステムは新規ユーザーを取り込み、往年のシリーズファンも納得の出来栄えとなっている。

シリーズ最高傑作の呼び声も高い『バイオハザード レクイエム』。そのおもしろさの秘密に少しでも迫るべく、電ファミニコゲーマーは、本作のディレクターを務めるカプコンの中西晃史氏、プロデューサーの熊澤雅登氏にインタビューを敢行。発売後の手応えを聞くとともに、世界中の人の集合知で解決された「最後の謎」を開発陣がどう見ていたのか、そして発売後だから言える「ちょっとした小ネタ」など、興味深い話をうかがってきた。

聞き手/豊田恵吾
執筆/恵那

※この記事には『バイオハザード レクイエム』のネタバレが含まれています。あらかじめご注意ください。

シリーズ最速で販売本数600万本突破。新規層を惹きつけた「入りやすい店構え」

──本日はよろしくお願いします。『バイオハザード レクイエム』は発売からわずか2週間で、全世界販売本数が600万本を突破しました。さらにメタスコアも2026年発売タイトルの中でトップクラスです。また、Steam版プレイヤーの約70%がすでにエンディングに到達しているというデータも話題となっています。この反響の高さを、開発陣はどのように受け止めているのですか?

中西晃史氏(以下、中西氏)
カプコンとしては、率直に「よかった~」という安堵の空気感が漂っています(笑)。

メタスコアの高さはもちろん、個人的には「ユーザー評価」歴代2位という非常に高い数字をいただいて本当にうれしく感じています。

──販売本数の分母が大きいタイトルで、実際に遊んだユーザーの評価がこれほど高いというのは驚異的だと感じています。

中西氏:
SNSなどを見ていても、今回初めて『バイオハザード』シリーズを遊んだという方を数多く見かけました。

「これまでは実況動画を見るだけだったけど、買って遊んでみたらおもしろかった」といった方や、「実況者はスイスイ進んでいたけど、自分でやるとめちゃくちゃ怖い! でもハマる!」と言った声もあって、うれしかったですね。

──前作も高い評価を得ていますが、過去作と比較しても新規ユーザーの声が多かったのでしょうか?

中西氏:
そうですね。今回は制作意図として「昔の『バイオハザード』が持っていた世界観の魅力に立ち返ろう」という意識がありました。また、初めてのお客さんが「入りやすい店構え」を目指したんですね。

たとえば、『バイオハザード7 レジデント イービル』(以下、『バイオハザード7』)はストイックで逃げ場のない恐怖を突き詰めていました。それはそれで魅力ではあるのですが、今回は明るく電気がついていて「いらっしゃいませ!」と声が飛んでくるような、ひとりでもふらっと入って楽しめるようなお店というか、そういった雰囲気を意識していました。そうしたところが伝わっているのかなと思っています。

反響という点でお話すると、Nintendo Switch 2 版の評判も非常に良いんですね。メタスコアでも、プレイステーション5版を上回る評価をいただいています。開発陣も制作しながら「Switch 2 でもこんなに動くのか」と衝撃を受けましたから(笑)。

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熊澤雅登氏(以下、熊澤氏)
プレイステーション5や高性能なPCを持っていなかったという方にも、携帯機という手に取りやすい環境向けにご用意できたというのは大きかったと思います。

──実際、Switch 2 版が登場したことで、新規層が増えたという実感はありますか?

熊澤氏:
本作と同時期に、『バイオハザード7』『バイオハザード ヴィレッジ』(以下、『ヴィレッジ』)のSwitch 2 版もリリースしているのですが、「まず『バイオハザード7』から遊び始めて、その流れで最新作の『レクイエム』まで来ました」という方も結構いらっしゃるようです。

「気にはなっていたけれど、遊ぶ手段がなかった」という方々が、Switch 2 版をきっかけに『バイオハザード』の世界に来てくれたというのはうれしいですね。

──本作は海外ユーザーからの評価も高い印象があります。

熊澤氏:
特定の地域で販売本数が多いわけではなく、世界中のあらゆる国や地域でバランスよくセールスが伸びている、というのが現状です。

本作では裾野を広げるようなゲーム作りを目指していたので、それが反響をいただいてるのではないかと感じていますね。たとえばTPS(三人称)とFPS(一人称)の視点を切り替えられるようにしたり、レオンとグレースという異なる役割を持つ主人公をふたり用意したり。

──TPSとFPSの切り替えは本作の大きな特徴ですが、実際にどちらの視点が多く選ばれているのか、といった具体的なデータなどは出ているのでしょうか?

中西氏:
集計しています。発売から約1ヵ月のデータで見ると、なかなかおもしろい傾向が見えますね。まず、初回プレイではレオン編は、約9割の方がTPSでプレイされています。

一方、グレース編はFPSが6割、TPSに切り替えて遊んでいる方が4割という比率になっています。

じつはこのデータに関しては、プラットフォームや地域によって明確な違いが出ています。日本やアジア圏のプレイヤーは、TPSを好む傾向がありますし、プラットフォームがPCの方になると、今度はFPSでプレイされる方が増えます。

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熊澤氏:
普段から親しんでいるゲームジャンルの「慣れ」が大きく関係しているのだと思いますね。開発側としては、おおむね予想通りの結果でした。

難しくてもわかった気になれるゲームにするために、徹底した「引き算」で研ぎ澄ます

──前作『ヴィレッジ』の完成度が高かっただけに、本作の開発は重圧も大きかったのではないかと思っています。本作を設計するうえで重視された点を改めてお聞かせください。

中西:
『バイオハザード7』、『ヴィレッジ』、そして今回の『バイオハザード レクイエム』も、根底にあるマインドは近いと思うのですが、重視しているのは「いかにプレイヤーの感情を動かすか」ということですね。

本作で言えば、レオンとグレースという、ゲーム性の異なるふたりの主人公を採用したのは、プレイヤーの感情の「揺れ幅」をこれまで以上に大きくできると確信したからです。

感情を動かすためには、いろいろな要素があるのですが「このゲームは油断できないな」と思わせる驚きや、いい意味での裏切りは意識していますね。

作りながら「やっぱりこっちのほうが感情が動くよね」となれば壊してやり直す、というのを何度も繰り返しました。

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──そうした作り直しは、本作の開発では頻繁にあったことなのでしょうか?

中西氏:
これまで『バイオハザード7』には開発中に消えた幻の「チャプター2」があった、ということをインタビューなどでお話しています。最初の離れから本館へ移動するシーンだったのですが、じつは『バイオハザード レクイエム』にも幻の「チャプター2」があったんです。

──えっ!

中西氏:
ゲームの構成を固めていく過程では「このシーンはもっと先に持っていこう」とか、「ここは思い切って削ろう」、「ここには別の要素を足そう」という取捨選択を激しく行っているんです。

もちろん開発終盤でいきなり削るわけではなく、初期の荒く作ってみた段階で繰り返し修正することが多いです。その過程で、チャプターが丸ごと消えるといったことはよくありますね。

──しかし、一度作ったものを削るという決定は、相当な勇気と判断力が必要ですよね。どのようなロジックで「ないほうがいい」という結論に至ったのでしょうか。

中西氏:
考え方としては、文章や映像の編集に近いと思います。素材をいっぱい撮ってきて、並べてみて、意図したことが伝わるか、テンポやおもしろさはどうなのかを考えながら、余分なものがあれば削っていきます。「ない」ほうがトータルで良くなることは意外とあります。引き算って本当に重要なんですよね。

もちろん、制作した担当者にとっては残念だろうし、怒ったりすることもありますが、結果として良くなっていればみんな納得してくれます。逆に言えば、僕らはその結果には責任を持たなければいけないわけです。

──何を削って何を残すか、という基準のようなものはあるのでしょうか?

中西氏:
意図したユーザー体験になっているかどうかです。情報量が多いというだけでユーザーが受ける感覚は違ってきます。

僕がバイオハザードに関わりはじめたときに言われたのは「バイオは難しそうに見えて、普段まったくゲームしないカジュアル層でもわからないとダメ」という教えです。

──なるほど。それは感覚的にわかります。ゲームから遠い場所にいるような方々にも遊んでもらえるような、エンターテインメントとしての「門戸の広さ」ですよね。

中西氏:
まさにそうです。ストーリーが複雑そうに見えても、雰囲気で伝わる、わかった感が得られる。逆に開発側が心配になってあれこれ説明しようと加えていくほど、どんどんわかんなくなりがちですし、めんどくさいと思っちゃいますよね

ゲームプレイも同じで、いろんなことをやればやるほど、難解で不親切なゲームになってしまいますから。苦労して作ったものでも「ないほうが飲み込みやすい」と判断すれば、削ることを選びますね。

600万人が遊ぶゲームは600万分の1の偶然が起こる。練り込んだ「最後の謎」も集合知には勝てず

──本作でとくに印象に残っているのは、チャレンジコンテンツの「最後の謎:二人に声を聞かせて」です。全世界のプレイヤーが「これは何だ?」、「どうすれば達成できるのか?」と情報を出し合い、集合知で解決していく過程をリアルタイムに体験できたことは、イチゲーマーとして最高に興奮しました。

中西氏:
「集合知で謎を解く」という遊びを『バイオハザード』に取り入れたかったんですよね。謎解きも、シリーズの大きな魅力のひとつでもありますから。

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──解かれていく過程については、おおむね想定通りだったのですか?

中西氏:
いや、早かったですね。以前『バイオハザード7』の体験版でも「人形の指」という同じようなことをしていたのですが、そのときも「誰も解けないんじゃないか?」と不安だったんですね。でも、蓋を開けてみたら半日で解かれてしまって(笑)。

だから今回の「最後の謎」に関しては、「少なくとも2週間は持ちこたえるネタ」として設計したつもりでした。開発チーム内ですら「これは誰も気づかないんじゃないか?」と言われていたんですけどね。

熊澤氏:
僕も中西から内容を聞いたときは、「いや、これは絶対に誰も解けませんよ」と言いましたからね(笑)。

中西氏:
ですが結果として御覧の通りの早さです。

──プレイヤーの「偶然」が積み重なったというのも大きかったと思いますね。謎解きに関連した場所を訪れたタイミングで、たまたまプレイを放置して食事休憩したプレイヤーが現れたり……。

中西:
そうなんです! あれは驚きました……。本作は600万人が遊んでくれているゲームなので、それだけいると600万分の1が起こり得るんですよね。もし次回やる機会があれば、そこも踏まえて考えたいですね(笑)。

──ゲーム全体を見渡して「これはまだ誰も見つけてないかも?」という要素は、もう残っていませんか?

中西氏:
じつはレオンの操作で「しゃがんだ状態で銃を撃つと、照準の収束が速くなる」んですよ。

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──えっ? それは気づきませんでした。

中西氏:
物影から覗き込んで撃つときにはさらに照準収束が速くなっています。しゃがんだときより速い。

気持ち程度のものではあるんですけどね(笑)。ネットで見かけたことがないのはこれぐらいかも。

熊澤氏:
ゲーム序盤の大通りの人のちょっとした立ち話に仕込んでるようなものまで、もう発見されてますからね(笑)。

──これから本作をプレイする人は、ネットの情報は一切見ないでプレイを始めてほしいですね(笑)。

中西氏:
僕自身が楽しみにしてるものは映画でもゲームでもなるべく情報を入れない派なので、発売前から皆さん、けっこう知りたがるんだけど、「それ本当に言っていいの?」と思ってました(笑)。

バイオハザードは特に初見で何も知らずにプレイするのがいちばん楽しいと思いますね。開発内でもよく「記憶を消して、何も知らずにやってみたい」って言っています。

いまこれを読んでて、まだあまり内容知らない人は本当にラッキーです。いますぐ遊んでください(笑)。

世界中のファンからSNSを通じたプレイ体験の声

──ゲーム実況は人気コンテンツになっていますが、開発陣の皆さんもYouTubeやSNSは日常的にチェックされているのですか?

中西氏:
「一日中張り付いてるの?」みたいに思われるのは心外ではあるのですが、なんだかんだで見ています(笑)。ファンダムの熱狂が直に伝わってくるのは、見ていて本当にうれしいです。

──そうした声は、やはり開発のモチベーションにつながるのでしょうか。

中西氏:
もちろんです。ポジティブな声だけではなく、批判的な意見も含めて受け止めています。

僕らの世代だと、某大手掲示板で評判を見ていたりしましたから、それに比べるといまのユーザーさんはすごく民度が良くて優しいなと感じますね(笑)。

熊澤氏:
僕が印象に残っているのは、『バイオハザード』シリーズをまったくプレイしたことがない配信者の方が、『バイオハザード』が大好きな別の配信者さんからレクチャーを受けながら、どんどんシリーズの魅力にのめり込んでいくという動画ですね。

開発側が「初めての方でも遊べます」と伝えることも大切ですけど、コミュニティの中でファンの方がゲームを広めてくれることには及びません。『バイオハザード』シリーズ30周年という長い歴史の積み重ねを感じました。

中西氏:
最近はファンアートのクオリティが恐ろしく高くて、「あれ、こんなのウチで作ったっけ?」と一瞬わからなくなるほどです(笑)。

もうひとつ実感しているのが「世界」との繋がりです。いまや『バイオハザード』の売上の多くは海外が占めていますが、SNSを通して声を聴けるのはありがたいですね。

──本作はゾンビに個性がありましたが、点滴ゾンビのノイジーを誘導してほかのゾンビを倒させたり、気づかれないように行動を観察して楽しんだりと、ユーザー側が作り込まれた部分を満喫していたのも印象的でした。

中西氏:
そうですね。グレースの「考えて生き残るゲーム」を楽しんでもらえてよかったです。

ノイジーの利用も想定どおりなのですが、「チャンクを一撃で倒せる」というのは、開発中にも「一撃じゃなくてもいいんじゃない?」という意見はありました。

──実際に試したときは驚きました。「あのチャンクが一撃で……」と(笑)。

中西氏:
せっかく工夫してやったことだから、そういうご褒美があってもいいんじゃないかという判断で最終的にあの形にしていますね。

──おふたりが好きなゾンビを挙げるとすると?

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中西氏:
歌手(歌姫)ゾンビが気に入っています。

熊澤氏:
ネタバレになるので、詳しくは言えないのですが……大きな乗り物に乗ってくる人はもう少し活躍させてあげたかった、という気持ちがあります(笑)。

──3月27日には「フォトモード」が追加されましたが、こちらも実装後の反響が大きかったですよね。

熊澤氏:
フォトモード自体は、もともと本編に入れておきたかったコンテンツのひとつだったんです。

ただ、昨今のプレイヤーの皆さんのクリエイティビティは本当にすさまじくて、我々の想像を遥かに上回るようなすばらしい作品を次々と生み出していただいています。

そうした皆さんの熱量に応えられるクオリティアップが必要という判断から、発売後に少しお時間をいただいて、アップデートという形で実装させていただきました。

──実際に触らせていただきましたが、できることが多くて驚きました。

中西氏:
開発スタッフも、意気込んで作っていました。自由度の高いものになったと思います。

実際にユーザーさんが撮影してアップしている作品を見ると、どれも本当にかっこいいんですよね。

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熊澤氏:
皆さんがSNSなどに投稿してくださっている写真は、我々も日々楽しく拝見しています。

『バイオハザード』らしい雰囲気を取り戻すには、深みのあるキャラクターが必要だった

──本作の新主人公であるグレースですが、ユーザーからの反響や手応えはいかがでしょうか?

中西氏:
めちゃくちゃ愛されていますね。

熊澤氏:
シリーズで初めての怖がりな主人公だった、という点もあるかと思いますが、声優さんの演技も非常に高く評価されていますね。日本語版の貫地谷しほりさんも、英語版のアンジェラ・サンタ・アルバーノさんも、おふたりともすばらしい演技をしてくださいました。

その演技も相まって、グレース自身の成長というドラマが、プレイヤーの方々にもすごくポジティブに受け止めてもらえたのだと思います。

中西氏:
物語の最後までやり遂げたプレイヤーさんの中には、グレースの成長を見て「ワシが育てた感」というか、親のような心境を感じていただいている方も多かったようで(笑)。SNSなどでは、その後のさまざまな二次創作なんかも作られたりしているみたいですし。

僕らとしても、今後の彼女の活躍をまたどこかで見られたらいいな、という思いはありますね。

──グレースは自身の経験と重ねるように、終盤は「母性的な強さ」が描かれていたと感じています。これまでのシリーズに登場した女性たちのタフさとは異なる強さが感じられたのですが、設計段階から意識されていたのでしょうか?

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中西氏:
そうですね。『バイオハザード7』では、あえて主人公サイドのキャラクター性を強く押し出さない方針をとっていました。「主人公=プレイヤー」という感覚を重視して、キャラクター性をあえて抑えていたんです。

ですが、『バイオハザード レクイエム』では、『バイオハザード6』以前のトーンに回帰しようとする流れの中で、主人公のキャラクター性は深く掘り下げるべきだとチームと話していました。

もうひとりの主人公であるレオンも、「50代を目前にしたレオンって、どうなってるんだろう?」という部分から掘り下げていきました。

グレースも同様で、「怖がり」という設定にしてはいますが、それだけでは話が進みませんから、物語の推進剤として母親のことを知りたいという気持ちだったり、彼女なりの責任感や知的好奇心を組み込んでいきました。

実況者の方が言っていたのですが、「「怖い、怖い」って言ってるやつは、ふつうホテルの前で帰るだろ!」となってしまいますから(笑)。

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──ふたりの主人公のうち、どちらを先に着想されていたのですか?

中西氏:
プロジェクト最初期の構想は「レオンとラクーンシティ」でした。ただ、それだけではホラー体験をうまく作れないと考え、脇で登場させるぐらいの予定だったグレースのパートをガッツリと作り込むことで、ふたり主人公の構成になっていきました。

──『バイオハザード』1作目からリアルタイムでプレイしている世代としては、アラフィフになったレオンに自分を重ねてしまうような、特別なシンパシーがありました。再びラクーンシティを訪れた際に、オリジナルを体験した人間にはたまらない演出も随所にあって。

中西氏:
リアルで30年追いかけてきてくれたファンにとっては、もっとも感慨深い場所ですよね。

「レオンが廃墟のラクーンシティを再訪する」というのは本作の大きな柱ですし、タイトルの『レクイエム』も、レオンにとっては置いてきてしまったものを「鎮魂する」という意味を持ちます。

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──ラクーン警察署の描き方には驚きました。訪れたときに「きっとここから長い探索が始まるぞ」と身構えていたら、サクッと通りすぎることになって。思い入れがあればあるほど、作り込み過ぎてしまう場所じゃないですか。ですから、この判断ができるのはすごいなと。

中西氏:
開発チームもみんなこの街が大好きですから「あれもやろう、これもやろう」と要素がどんどん膨れ上がってしまいます。
ただ、そこまで思い入れはないよというファンや、最近『バイオハザード』を始めたというお客さんもいるわけです。

レクイエムの物語としての役割とテンポを踏まえて、多くの要素はサブ探索として切り分けました。

思い入れのない人はただのステージとして通り過ぎることもできるし、気になった人は探索することで当時の要素を見つけられる。そのようなバランスに落ち着かせました。

──ちなみに、30年前を経験しているプレイヤーとして「いつエイダが出てくるのか」と身構えていたのですが……(笑)。

中西氏:
開発中、もちろんいろいろなキャラクターの名前が上がりました。ただ単純に、本作のレオンとグレースの話をやる中では、意外と出るところがなかったといいますか必然性のある場面がなくて……。

熊澤氏:
議論を重ねる中で「あのキャラを出したいな」という話はするんですけれど、レオンとグレースの物語が満足感のある仕上がりになっていたことから、そういう決断になりました。

──なるほど。レオンに関しては、左手薬指の指輪も話題になりましたよね。中西さんは以前、海外メディアのインタビューで「レオンには帰る場所がある」、「いつか答えは明らかになるかな」と含みのある回答をされていましたが……?

中西氏:
はい。その「いつか」は、いまではないですが。

あくまで年齢を重ねたレオンの変化を表現するものであり、レクイエムの完結においては、相手が誰かという点は重要ではない、と考えていましたが、そうもいかないですよね。

──ゲーム中での指輪の見せ方も、すごくさりげないですよね。

中西氏:
あの場面で強調すると、他のことが頭に入ってこなくなります。特にレオンファンは。

ですから、あとから「あれ? よく見たら指輪をしてる!?」と気づくくらいにしたつもりです。

「まだ暴れ足りない」人が「うひょー」となるミニゲームの追加も

──今後の展開についても、可能な範囲でお聞かせください。追加DLCの制作発表に加え、5月には「ちょっとしたミニゲーム」が配信されることが公式から発表されています。

中西氏:
追加ストーリーDLCに関しては、現段階では「絶賛制作中」としか申し上げられないので……楽しみにお待ちいただければと思います。ただ、ミニゲームに関しては、もう開発終盤となっています。

──ミニゲームはシングルプレイのものになるのでしょうか?

中西氏:
そうです。「ちょっとしたミニゲーム」とお伝えしているように、あくまで本編の戦闘をベースにしたものです。

とはいえ、本編をクリアして「まだまだ暴れたりない!」と思っている方には「うひょー!!」となって楽しんでもらえるんじゃないかと思いますので、トマホークを研いでお待ちいただければ。

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熊澤氏:
このミニゲームは、本編をクリアすることで解放されるコンテンツになっています。ですので、もしこれから遊ばれる方がいれば、ゴールデンウィークのあいだにクリアしていただけると、ちょうどよくプレイ可能になるかと思います。

──ミニゲームの追加を楽しみにさせていただきます。では最後に、本作を愛してやまないファンの皆さん、そしてこの記事をきっかけに遊んでみようと思っている方々へ、おふたりからメッセージをお願いします。

中西氏:
『バイオハザード』を取り巻くファンの盛り上がりは本当にすさまじいと感じています。熱心なファンを誇らしいと思いますし、よろこんでもらえるものを作れたことがうれしいです。

ぼくら『バイオハザード』関係者、全員のモチベーションも最高に盛り上がっていますので、これからも、さらに皆さんに驚き、よろこんでもらえるものを作っていきたいと思っています。改めて、本当にありがとうございました。

熊澤氏:
僕も同じ気持ちですね。600万人以上という、これほど多くの方々に遊んでいただけて本当に感無量です。シリーズ30周年を迎えて、ファンの皆さんによろこんでいただけるような、さまざまな30周年プロジェクトを動かしています。

先日公開した「バイオハザード30周年展」をはじめ、ユニバーサル・スタジオ・ジャパンさんとのコラボレーション、さらに多種多様なグッズ展開など、『バイオハザード』の世界にさらに深く浸れるような仕掛けをたくさん準備していますので、ぜひ楽しみにしていてください。

……で、最後にもうひとつだけ宣伝をさせてください(笑)。じつは本作のamiiboを制作中で、7月30日に発売が決定しました。フィギュア担当スタッフが並々ならぬ熱意で作り上げた力作ですので、こちらもぜひ手に取っていただければ。

中西氏:
amiiboを読み込むと、Switch 2 版専用の武器のスキンが手に入るようになってます。ボイスも流れるのですが、じつは本編で使ってないボイスが流れたりもしますので、ご期待ください。ちょっとしたものなんですが(笑)。

──スキンの話が出たのでうかがいたいのですが、限定特典/予約特典のコスチュームについて、ダウンロード購入できるようになったりは……?

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熊澤氏:
鋭い質問ですね(笑)。そういった声があることは把握していますので、近い将来での発売を検討しています。

──最後に答えにくい質問をしてしまってすみません(笑)。本日は貴重なお話をお聞かせいただき、ありがとうございました。(了)


より『バイオハザード』らしいタイトルを目指したという『レクイエム』は、シリーズの積み上げによって膨れがちな要素を引き算の哲学で研ぎ澄まし、一方で深くキャラクターの物語を掘り下げ、プレイヤーの感情を動かすゲームになった。

その結果として、驚くべき速さで全世界販売本数600万本を突破したわけだが、本作はまだ発売から2ヵ月ほどしか経っていない。未プレイの方は、ぜひこのゴールデンウィークで本作を味わってみてほしい。

今年30周年を迎えた『バイオハザード』シリーズは、まだまだこの先にも多くの展開が待っているとも語られていたが、今後の展開を楽しみに待ちたい。

©︎CAPCOM

副編集長
電ファミニコゲーマー副編集長。元ファミ通.com編集長。1990年代からゲームメディアに所属しており、これまで500人以上のゲーム開発者、業界関係者、著名人インタビューを手がける。1970年代後半からアーケード、PC、コンシューマーゲームにのめり込み、『ウィザードリィ』のワイヤーフレームで深淵を覗き、現在に至る。
Twitter:@Famitsu_Toyoda
編集・ライター
ル・グィンの小説とホラー映画を愛する半人前ライター。「ジルオール」に性癖を破壊され、「CivilizationⅥ」に生活を破壊されて育つ。熱いパッションの創作物を吸って生きながらえています。正気です。

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