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錦織敦史×CloverWorks×オリジナル3本立てのアニメ映画って……どういう企画!?『GROTESQQQUE-グロテスク-』制作陣に聞く、“グロテスク”だった独特すぎるアニメ作りの舞台裏

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任せたいのに任せられない! 苦労の末に掴んだ「好き」の並べ方

──制作の順序についてもおうかがいします。実際の完成映像は『エリィアンズ』『夜露死駆★少女』『ノクターン~このグロテスクな夜に~』(以下、ノクターン)という順になっていますが、実際にはどの順番で制作を進められていたのでしょうか?

錦織氏:
それぞれの進行には多少の差がありました。

基本的には並行して進める予定だったのですが、『エリィアンズ』に関しては僕が監督・演出としてコミットしています。また『ノクターン』も、ほぼ全工程を自分で手掛けました。一方で『夜露死駆★少女』は基本的に三浦(貴博)さん【※】進行で進めていただき、コンテ以降の作業はお任せしています。

※三浦貴博氏
本作『GROTESQQQUE-グロテスク-』の2番目のアニメーション『夜露死駆★少女』でエピソードディレクターを担当。

『GROTESQQQUE-グロテスク-』錦織監督×福島P対談:“グロテスク”だった独特すぎるアニメ作りの舞台裏_009

当初は作品ごとに自身の立ち位置を変え、全体を俯瞰するイメージを持っていたのですが、結果的には思っていた以上に自分で手を動かして進めてしまいました。「自分自身の作業スピードがボトルネック(遅延の原因)になるリスク」にどう対処すべきか、制作スタッフと議論を重ねながら、「どこまで自分で手を入れなければ自分の作品として成立しないのか」というライン引きを常に模索し、確認を取りつつ進行させていました。

福島氏:
やはりオリジナル作品である以上、最終的には錦織さんの中から出てきた表現が正解になります。誰かのアイデアを当てはめていくにしても、「監督の意図をどれだけ成立できているのか」「何をどう落とし込むか」を見極めてチームを組んでいく作業は、非常に難しい要素となります。

また、何事も「監督に確認する」というプロセスを踏むほど、錦織さんのタスクが増えてしまうため、そこは常に課題として抱えています。負荷を減らしたと思ったらまた増えて……という状況の繰り返しでしたね。3作とも完全にコンセプトが異なることもあり、タスクの取捨選択や並行して行う必要が出てきます。

──確かに、作品ごとにかなり毛色が違いますよね。

福島氏:
そこがやはりいちばん大変なところでしたね。作品の性質上、どうしても錦織さんに頼らざるを得ない構造になってしまう部分はかなりありました。

『GROTESQQQUE-グロテスク-』錦織監督×福島P対談:“グロテスク”だった独特すぎるアニメ作りの舞台裏_010

──今作は錦織監督にとっての「好きなもの」を詰め込んだとお聞きしました。それはなにか、監督の以前からのアイデアなどが、今作で日の目を浴びている形なのでしょうか?

錦織氏:
それでいうと、「この作品のために」と昔から温めていたわけではありません。本作には「これまで培ってきたこと」に加え、「やりたかったけれど機会がなかったもの」や「一度挑戦したもののやり切れなかったこと」が混ざり合っています。

自分の中には明確な基準があるのですが、人には説明しづらい。それを今は「好き」という言葉で乱暴にまとめてしまっている状態です。実際には自分の中の「模様替え」であり「再構築」、あるいは「新たな試み」でもあるような……。

福島氏:
いろんな感情が含まれていますよね。

錦織氏:
だからこそ、そうした部分以外の「ドラマ」「メッセージ性」「テーマ性」といった要素は、あえてシンプルにしています。音楽やキャストの方々も含めて、自身の「ビジュアルアイデア」や「空気感づくり」のバランスを整え、この「3本で1本を成す作品」として成立させることが、今回の大きな挑戦です。

もちろん、好きなものを出せるだけ出すのはマストで考えていたやり方ですが、「出したものをいかに配置するか」に今回はとても重きを置いています。それは3本通してのリズムもそうですが、いままでやってきた作品の内容や、培ってきた経験をいちばん出せると思ったからです。

『GROTESQQQUE-グロテスク-』錦織監督×福島P対談:“グロテスク”だった独特すぎるアニメ作りの舞台裏_011

福島氏:
錦織さんの得意な要素やアイデアが少しずつ3本すべてに分散して割り振られているからこそ、結局のところ、全作に関わらざるを得ないんですよね。

錦織氏:
表現が重複しすぎて、見ている人に「またこれか」「どれも同じ印象だな」と思われると負けなんです。1本目、2本目と観て疲れも出てくるころだからこそ、3本目には表現の要素を少し変え、しっとりとした後味や満足感が残る仕掛けを用意しました。

そうした全体に対する細部のコントロールができるのは自分で3作を統括している利点だと思いますね。もし3人の監督が別々に作品を作った場合、最初に方向性をすり合わすことがあってもふたを開けると内容が重複したり表現が偏ったりする事もあると思うので。だから、結果としてこの「3作品の流れで劇場映画を構成する」というやり方は、これまで培ってきた自分なりのバランス感覚や能力を発揮できるスタイルだなと思いました。

──福島さんは、錦織監督の中から「アイデアを引き出していく」役割に注力されていたのですか?

福島氏:
企画の立ち上げからずっと伴走していました。ただ、基本的には錦織さん自身が、物語の構想と一緒にイメージボードを描き起こしてきてくれるんです。僕の役割は、複数人で話をすることもありますが、基本的には監督から提示されたイメージをどう具現化していくかがベースとなります。

監督から「好き」「興味がある」「挑戦してみたかった」という要素を提示してもらい、対話を重ねながらそれらを丁寧に拾い上げつつ、「出てきた要素をどう集約していくか」を検討していく役割でした。

ですが、裏を返せば「物語」や「ストーリーライン」の軸を構築するのは、どこまでいっても監督自身です。そこに対して僕たちや現場のスタッフが伴走しながら、「では、どこを誰に委ねるか」というタスクの切り分けを行っていきました。それがお互いの役割分担であり、自然な住み分けでもあったんです。

『GROTESQQQUE-グロテスク-』錦織監督×福島P対談:“グロテスク”だった独特すぎるアニメ作りの舞台裏_012

──結果的にあの3本は、リアルタイムで徐々に形作られ、配置されていったわけですね。

錦織氏:
最初からピンポイントで完成形を目指していたわけではなくて。進行に応じて変化もしますし、作業をほかの人に任せることで、自分は別の部分へ注力したり、細部にこだわる余裕も生まれます。

そのあたりは走らせながら調整していった感じです。「すべて自分の濃度100%で」と行きたくなる所ではありますが…そこは、ぐっとこらえて与えられた自分のリソースや参加してくれるメンバーの中で常に最善の手を考えることに終始した感じではありますね。それが監督の仕事でもあり、よく言うと「臨機応変」、悪く言うと「行き当たりばったり」ではあります(笑)。

自虐(?)混じりのタイトル『GROTESQQQUE-グロテスク-』に込めた真意

──『GROTESQQQUE-グロテスク-』というタイトルについておうかがいします。3本ともハードなビジュアルやグロテスクな描写が詰め込まれていましたが、これは単純に映像表現としての「グロテスク」を指しているのか、それとも別の意味が込められているのでしょうか。

錦織氏:
さまざまな意味を掛け合わせているので、あまり具体的に正解を提示することはしていません。

ですが、単純に作品構成の「いびつさ」であったり、「企画の成り立ち」「オリジナルで3本制作する」「しかもそれを映画として届ける」といった、自分自身やプロジェクトが抱える「いびつさ」そのものを指している側面はあります。オリジナルアニメの制作が難しい現代において、そうしたものを求める欲求自体、そして自分自身に対する自嘲や自愛の念も含めている部分、「戒め」でもあります(笑)。

それに、今の時代そのものがどこか「グロテスク」になり始めていますよね。
これから先、「グロテスク」という言葉自体が多義的な意味を帯びてひとり歩きしていく時代になるのではないか、と僕は捉えています。もちろん、ポップな意味としてタイトルを “ハッタリをかます” 要素が大きかったのも確かですが。

『GROTESQQQUE-グロテスク-』と冠してはいますが、「言うほどグロテスクでもないよ」と言いつつも、観客の皆さんには多様な側面からの「グロテスク」を感じ取っていただけたらいいなと思います。あとづけではありますが、自分の中でいちばんしっくりきたタイトルが「グロテスク」でした。

『GROTESQQQUE-グロテスク-』錦織監督×福島P対談:“グロテスク”だった独特すぎるアニメ作りの舞台裏_013

──リアルタイムで立ち上がっていくプロセス自体が「グロテスク」だと感じられたのですね。そうした意味では、自虐的なニュアンスも含まれているのでしょうか。

錦織氏:
もちろんあります。「よくこんな無茶な企画を進めているな」と思いながら作っていますから。「なんで出資してもらえたんだろう」と首を傾げることすらあります。

福島氏:
それと、走り出したはいいものの、側から見ていても監督が本当に大変そうでしたから。「好きでやっている」とは言いながらも……。

錦織氏:
自分が楽しむために立ち上げたはずなのに、作れば作るほど苦しんでいるという。

福島氏:
現場でいちばん苦しんでいますからね。

こちらとしても苦しめる意図はないのですが、結果的に追い込んでいってしまう……。個人的には、その制作状況そのものが、まさにいちばん「グロテスク」と化していく瞬間でした。
単なる作品名にとどまらず、この企画の成り立ちや「僕たちが始めてしまったものに名前をつけるなら」という問いに対して、総合的に辿り着いた答えがこのタイトルだったということですね。

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──先ほど「最初はもっとサクッと作れるかと思っていた」とお話しされていましたが、制作が進むにつれてスケールが膨らんでいったプロセスに、まさに「グロテスクさ」を感じられたわけですね。

錦織氏:
まさにその通りです。実際に手を動かし始めると尺もどんどん伸びていって……僕自身、根が真面目なもので。

福島氏:
「小編のままだと、少し内容が軽すぎるのではないか」と欲が出てきてしまうんですよね。

錦織氏:
「当初は人に適当に任せて、みんなでワイワイ作れればいいや」くらいのつもりだったんですが……(笑)。

でも、いざ作業に入ると「ここにもう少し要素を足したい」「ここはこだわりたい」と欲が出てきて、結果的に時間がかかってしまう。そして時間をかければかけるほど、「これだけ時間を費やしたんだから、良いものにしないと意味がない」というスパイラルに陥っていくんですよね。

ただ今回は、最初から「ストーリーやテーマ性よりもビジュアルに特化した作りにする」と決めていたので、その点においては多少なりとも気が楽でした。

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──ちなみに、実際に作っている中で「劇場映画として公開する」と明確に決めたタイミングはいつごろだったのでしょうか。

錦織氏:
特定の「この瞬間」というよりは、制作期間を通して常に検討してきましたね。

いまはアニメの制作技術が飛躍的に向上していて、テレビシリーズの中でも劇場クオリティの作画が当たり前のように散見される時代になってきて。そうなると「今、わざわざ劇場で観せるストロングポイントとは何だろうか」と考えないといけなくて。

クオリティの高さはもちろんのこと、さきほど挙げた「ほかがやっていないことに挑む」「新鮮味をもたらす」「観客を飽きさせない」「エンタメ性を突き詰める」といった多様な要素が浮かび上がってきます。制作期間が長くなればなるほど、そうした問いに向き合わなければ、当初の目論見だけでは今の時代に太刀打ちできなくなってしまう。常にアクティブであり続け、時代やアニメーション業界全体のトレンドを捉え続けていかないといけない部分があります。

福島氏:
あらゆるコンテンツが溢れかえっている現代において、「アニメ映画」という枠組みで求められているものに対し、今作で自分たちがどうアプローチできるのか。実際、作品が完成してから公開に向けたプロモーションを組む段階にいたるまで、手探りな部分もあります。

目指すべき「絵」のために軸が揺らぐ可能性は潰していく

──企画の最初の段階で、錦織監督や福島さんの中で「これだけはやるぞ」と決めていた、核となる要素はありましたか。

錦織氏:
画作り(ビジュアル表現)ですね。

福島氏:
1本目と3本目に関しては、最初期から比較的しっかりとした骨組みがありました。ただ、3本目に関しては、最初からここまで現在の形に近かったわけではないかもしれません。

錦織氏:
逆に2本目は、人に委ねる部分が多かったからこそ「コンセプト」自体は明確にしていましたね。3本目はどちらかというと、僕が実際に絵として描き起こすまでは……。

福島氏:
そうですね。最初の素案の段階から振り返ると、全体のテイストやベースはあったものの、結果的にかなり変化していきました。

『GROTESQQQUE-グロテスク-』錦織監督×福島P対談:“グロテスク”だった独特すぎるアニメ作りの舞台裏_016

錦織氏:
ですが、「空気感の変え方」「キャラクターの漫画っぽさ」「ゲーム感」「フィルム感」といった要素については、自分の中で最初から明確な目標とテーマがありました。ストーリー自体は制作の中で少しずつ変化していきましたが、表現として作り出したい感触は、最初期からほぼブレずに存在していました。

おそらく僕のことをよく知ってくれている方なら、これらの要素(表現手法)を見れば「あー、はいはい。昔から好きなやつだよね(笑)」と納得してもらえるはずです。ただ、3本目に関しては、これまであまり表に出してこなかったようなアプローチも盛り込んでいます。

福島氏:
ベースのアイデアがいちばんそのまま残っているのは、1本目の『エリィアンズ』ですよね。

錦織氏:
2本目の『夜露死駆★少女』に関しても変わっていないと思います。

──監督の中ではブレない「軸」みたいなものがあったのでしょうか。

錦織氏:
ここがブレてしまうと収集がつかなくなるので、軸が揺らぐ可能性は潰しています。目指すべき「絵」の方向性は3作それぞれきっちり決めてありましたから。制作の過程でより良い方向へ転んだり、逆に大変な部分を乗り切るために多少アプローチを変えたりすることはあっても、作品(フィルム)として達成すべき「空気感」「雰囲気」「クオリティ」の到達点については、最初に設定したラインからほぼ変えていません。

──細かいコンセプトや、「ヴァンパイアといえばこのビジュアルだ」といったアイコンとなる要素は、しっかりと作品に落とし込まれているわけですね。

錦織氏:
あとは、観ている人にどういう感情になってほしいのか、キャラクターのどんなおもしろさを楽しんでほしいのか、という点ですね。その部分について「ほかにもこんなやり方があるのでは」と可能性を探り出すとキリがないので、絶対にブレないように意識していました。

まさかの星野源と乃木坂46──これってどういうキャスティング?

『GROTESQQQUE-グロテスク-』錦織監督×福島P対談:“グロテスク”だった独特すぎるアニメ作りの舞台裏_017

──声優陣も魅力的な顔ぶれですね。特に『エリィアンズ』で星野源さんが演じられている「國蔵謙人」はとても印象的なキャラクターになっていましたが、どのような経緯で起用されたのでしょうか。

錦織氏:
『アイドルマスター』からのご縁で細かな接点はあったのですが、お仕事でご一緒したのは『SPY×FAMILY』のエンディングが初めてで。ただ、そのときの仕事が個人的にすごく楽しかったんですよね。星野さんの作品への関わり方の姿勢が、同世代のクリエイターとして共鳴できる部分が多くて。

そこで「今度は役者(声優)として声をかけてみたらどうだろう」というワクワク感があったんです。作中で主要な男性キャラクターは「謙人」しかいないので、しっかりとした存在感がほしかった。星野さんの持つ声の「アナログ感」みたいな質感が『エリィアンズ』の世界観にどうしてもほしかったのですが、それが驚くほど見事にはまりました。

主演の市ノ瀬(加那)さんも星野さんも、企画の初期段階から「このおふたりに演じてもらえれば、自分の中ですごく収まりが良くなる」と感じていて。「ここが決まれば企画が大きく前進する」と思いお願いしましたね。

福島氏:
ですので、そこはもうストレートにオファーさせていただきました。

『GROTESQQQUE-グロテスク-』錦織監督×福島P対談:“グロテスク”だった独特すぎるアニメ作りの舞台裏_018

──『ノクターン』での乃木坂46メンバーの起用なども含め、キャスティングには並々ならぬこだわりを感じます。星野さん以外にも意識された部分があれば教えてください。

錦織氏:
やはり『ノクターン』における乃木坂46さんの起用ですね。これまでもアイドルの方がゲスト出演するケースはありましたが、メインキャストを完全にアイドルの方々だけで固めるというアプローチは、アニメ作品として非常に珍しいと思って。僕自身、長い間ずっと応援していたこともあり、このタイミングで挑戦してみたいなと。実験的なアプローチも含めて参加をお願いしました。

ただ、作中の「セリフの言葉選び」や「テンポ感」は一般的なアニメのそれよりも、どちらかといえば演劇や舞台に近い設計にしています。セリフの間やリアルな質感をこちらでコントロールすることで、声優的な芝居の様式に縛られなくても魅力的に成立するようなバランスを意識しましたね。

ちょっと個人的な話になるんですが……『ノクターン』の登場人物は全員が乃木坂46の「5期生」【※】という同期メンバーで構成されていて。ライブやバラエティ番組などを通して彼女たちの同期こその空気感や絆をファンとして見てきたのですが、実際にアフレコで掛け合ってもらった際にその空気感がちゃんと画面越しにも出ていたことに感動を覚えました。「お願いしてよかった」とその時、思いました。

※「5期生」 乃木坂46の5期生。グループでは加入時期ごとに「期」で世代が区分され、同じ期のメンバーは「同期」として括られる。この5期生のみで『ノクターン』のキャストを構成した。

『GROTESQQQUE-グロテスク-』錦織監督×福島P対談:“グロテスク”だった独特すぎるアニメ作りの舞台裏_019

錦織氏:
そして2本目の『夜露死駆★少女』に関しても、南(沙良)さんは主演されてた映画「志乃ちゃんは自分の名前が言えない」を観て以来ずっと応援してきた役者さんでしたし、加えて実力派の声優陣で周りを固めていただいています。3本それぞれでキャストのコントラストや見せ方、演技のテンポ感を変え、自分自身の「好き」の中で最も活きる組み合わせを構築していきました。

──監督からの強いご希望によるキャスティングとのことですが、プロデューサーである福島さんとしてはどのような受け止めだったのでしょうか。

福島氏:
もちろん、アニプレックスとも綿密に相談を重ねながら進めていきました。正直、“ダメ元”でオファーした部分もあったので、「本当に引き受けてくださるんだ!」という驚きもありましたね。

実際に参加していただいたことで、声の芝居はもちろん、作品に流れる「音」の成分においても非常に魅力的な要素を作品に与えてくれたと思っています。そういった意味でも、錦織さんがお話しされた通り、本当に素晴らしいキャスティングで実現できて心から良かったと思っています。

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──最後になりますが、3本それぞれ毛色は大きく異なりながらも、全体を通して一貫した「軸」や「思想」のようなものが脈打っていると感じました。そこについての監督のお考えをお聞かせください。

錦織氏:
「女の子が主人公であり、マイノリティとして世界の中心から少し逸れた場所から世界を見つめている」という点は、僕が一貫して好きで描いているテーマですね。

作品全体を通して僕自身が描きたかった要素を綺麗に3つの作品へと切り分けて構築しています。理屈で説明するよりも、作品に漂う「リズム」や「フェチズム」のようなものが、たとえ僕のことを知らない観客であっても「ひとつの統一感」として伝わるのではないかと信じて制作していました。だからこそ、あえて言語化して「3本共通のテーマはこれです」と定義することはしないようにしているんです。

ただ、音楽を含めた作品全体の構成においては、3本のアニメーションを通してひとつの大きな「波」を感じられるように設計したつもりです。ですので、ぜひ身を委ねてその流れを感じ取っていただければと思います。きっと観る人によって「お気に入りの1本」は見つかると思いますが、それと同時に「この3本が集まったからこそ成立しているひとつの映画」として受け止めていただけたらいいなと思いますね。

福島氏:
僕にとっての今作での一貫したテーマは、ただひとつ「錦織敦史」です。錦織さんと実現したかったこと、描いてほしかったキャラクター群に向き合い続けることこそが、僕の中のブレない軸でした。プロデューサーとしての僕のテーマは、文字通り「錦織敦史」なんです。(了)


インタビュー内で「手探り」といった言葉が繰り返し語られたところからも、今作にはある種、実験的な試みが含まれており、同時にアニメの新たな表現を模索するような作品でもあったのだろう。

しかし、作品のコンセプトとなる「絵作り」ははじめから一貫しており、そこには監督の経験や美学、“表現したいモノ”に対するこだわりがある。

また、「短い尺でも満足感があるもの」をベースとして実際に映画館に足を運ぶ方々に向けて届けたい“満足感”が確かにある。それは、「空気感」「雰囲気」「クオリティ」などの、監督がこだわり抜いた“軸”によって支えられている。

また、監督が語る「リズム」という言葉も、とても印象的だった。映画鑑賞となると、眼前に現れた絵のインパクトや激しい動き、衝撃的な展開などに注目が集まりがちだろう。

しかしながら、そこに至るまでのカタルシスや臨場感を支えているのは、尺の組み立てが生む“気持ちよさ”のような、視聴者が普段あまり意識しない部分なのかもしれない。その“リズム”にこそ、作り手のこだわりが注がれているように感じた。

1本の映画に3本のオリジナルアニメ、極めて珍しい形態となるアニメーション映画『GROTESQQQUE-グロテスク-』。本作の空気感がもたらす“ワクワク感”、そして独特で、ある意味「グロテスク」な制作過程を経たからこそ生み出された“見たことのない面白さ”が、今作にはある。

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ライター
ライターとか、いろいろやってます。 名前の表記ブレは気にしないでください。
Twitter:@yomooog
編集者
小中学校では地元の友だちとDS・Wiiを遊び倒す。2014年頃から親に買ってもらったMinecraftにハマり、以降PCゲームが中心の生活に。2018~19年頃からSteamなどのゲームに触れる機会が増えた。コロナ禍以降は、Valorant、Rust、Apex、Tarkovなどの対戦系シューターに熱が入る。その他、No Man's Sky、Starfield、Destiny 2といったSF系タイトルがお気に入り。
編集
幼少期からホラーゲームが好き。RPGは登場人物への感情移入が激しく的外れな考察をしがちで、レベル上げも怠るため終盤に苦しくなるタイプ。自著『デブからの脱却』(KADOKAWA)発売中
Twitter:@MarieYanamoto

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