『モンスターハンターワイルズ』(以下、モンハンワイルズ)のフィールドに息づく生物の描写は、非常にリアルである。
なぜそう感じるかというと、筆者は日本全国の「環境調査」の仕事をしていたことがあるからだ。調査にはさまざまあるが、爬虫類や哺乳類の「フン」から生息域を調べるということもしていた。
『モンハンワイルズ』ではすでに特定のモンスターが排泄を行うことは確認されている。そこでこの記事ではモンスターたちのリアルな生態を追うため、「モンスターのフン」に焦点を当てて調査していこうと思う。
ババコンガやドドブランゴなど「いかにも “しそう” なモンスター」から、リオレウスやリオレイアなど「アイドル枠(?)のモンスター」まで調査した結果をお届けしていく。
ちなみに現実世界の調査では、フンを見つけると「痕跡」「宝石」などとも呼んでいた。
文/TsushimaHiro
編集/柳本マリエ
モンスターの生態調査に用意する装備とスキル
それではさっそくモンスターのフンを調査するための準備をしていこう。ハンターの装備やスキルは戦闘用ではなく、下記のように「モンスターを観察することに特化したもの」が必要になる。
・原生生物に気づかれにくいもの
・速やかに移動できるもの
・環境変化に強いもの など
スキルは主に下記を発動させるよう調整を行った。
威嚇:小型モンスターに気づかれにくくなり発見されても戦闘が発生しづらくなる
忍び歩き:しゃがんだ状態での移動スピードを上昇させ大型モンスターに見つかりにくくなる
環境適応:暑さや寒さの影響ならびに溶岩地帯などの地形効果を無効化する
また、羽織ることで一時的にモンスターに発見されにくくなるアイテム「隠れ身の装衣」も使用した。
装衣の効果は一定時間しかもたないので、保険として装衣を再使用するまでの時間を短縮する「整備」のスキルも装着。
実際に、緋の森で自然に溶け込みながら、「刺花蜘蛛 ラバラ・バリナ」に発見されないか試してみる。
上記の画像のとおり、気配すら放つことすらなく茂みと一体化することに成功。ラバラ・バリナも素通りした。これで、準備はばっちり!
「攻撃」と「排泄」を使い分けている?ババコンガ
最初の観察対象は「桃毛獣 ババコンガ」だ。見てのとおり、フサフサである。2017年に発売された『モンスターハンターダブルクロス』以来となり、『モンハンワイルズ』で約8年ぶりの登場となる。
本作では緋の森に生息しており、さまざまなキノコを食して、上からも下からも多彩な攻撃(腹芸)を繰り出すトリッキーな戦法スタイルを得意とするモンスターだ。
自慢のお尻をプリプリとアピールしながらジャングルを闊歩するババコンガさん。これは期待できます。きっと、すさまじいブリッぷりを見せてくれることでしょう。
ババコンガさんの周囲には、自然と小型のモンスターである「コンガ」たちが群れていく。彼らにも社会性があり、巨躯をほこるババコンガさんはリーダー的な存在として慕われているのかもしれない。リラックスしているように見える。
動物は自分のにおいが強く残っている住処やリラックスしている状態、あるいはマーキングする際などに排泄をする場合が多いので、これはチャンスだ。

想像より、ずっとあっさりとしたフンの仕方でした。
なぜなら、ババコンガさんといえば人間が数メートル吹き飛ぶほどの激しい風圧を誇るオナラ攻撃が有名。フンなんて出そうものなら「その威力は弾丸に匹敵するのでは……」と身構えていたのに。
参考までに、下記はオナラ攻撃を繰り出すババコンガさんの様子を映した写真だ。

フンをする際のリラックスしている状態とは、まるで違う。
ババコンガさんはオナラだけでなく、自ら排泄した「フン」をしっぽで掴んで投擲するという残虐な攻撃も得意とするが……もしかして、攻撃と排泄を使い分けている?
人間でいうところのオナラをつかさどる筋肉や腹筋のような部分が著しく発達しており、排泄の威力や量を自在に操れる生物なのかもしれない。
もしくは、腹の中にガスをためて一気に噴出しているのか?
警戒していない状態での排泄姿は普通だが、すさまじい威力のオナラも出せる。
ババコンガさんにとって、オナラやフンはただの排泄行為ではないようだ。
また、ババコンガさんの近くでは「トリュフ・ド・コンガ」という貴重な食材を入手できることもある。どこから出るのかは、お察しいただけると幸いだ。
ここまでリアルに描くのか、『モンハンワイルズ』! どんどん行きましょう。
調査開始から20秒でドドブランゴのフンを確認
ババコンガさんがフンをするなら「雪獅子 ドドブランゴ」もしてくれると期待して、訪れたのは凍てつくフィールド氷霧の断崖だ。
自らの巣の近くで、配下のブランゴを従えて闊歩するドドブランゴさん。
氷の息や地面に潜ってからの突き上げ攻撃を得意とするため、ババコンガさんとは似て非なる生物だ。よく見ると、おなかもスマート。
ん? なにやら気になるポーズをとりはじめるドドブランゴさん。
これって…あれだよね? ふんばるときのポーズだよね?

筆者が調査を開始してから約20秒ほどでしてくれました。
偶然にも巣の近くだったので、安心していたのでしょうか。
なかなかいいアングルで撮影することができました。
近くにいるブランゴも、香りを確かめています。
フンは情報の塊なので、ボスの排泄物の香りからさまざまな情報を嗅ぎ分けていることでしょう。