クック先生は恥ずかしがり屋かも?
おつぎは、「怪鳥 イャンクック」の巣に潜入する。
イャンクックといえば、『モンスターハンター ポータブル 2nd G』以前のタイトルでは最初に戦うことになる大型のモンスターだ。大型モンスターとの戦い方を教えてくれるという意味合いも込めて、ユーザーからは「クック先生」と親しみを込めて呼ばれている。
それにしても、すごい数。『モンハンワイルズ』においてのイャンクックは、発表当時から複数頭で登場することが明かされていたが、この群れ方。まるで「クック先生」の職員室だ。
気づかれてしまった場合は間違いなく混戦になるため、ここはイャンクックから動き出すまで耐え忍びます。

2頭で飛び立つイャンクックを確認後、巣に誰もいなくなったのを見計らって、調査を進めました。すると、
そこには、特大のフンがあった。
名称が「モンスターのフン」となっているので断定はできないが、位置と状態から鑑みるにイャンクックが排泄したものである可能性が高いと考えられます。
しかし、「イャンクックのフン」を見たいのでもう少し粘ってみましょう。
水辺で豪快に頭を突っ込み、水を飲むイャンクック。時折、羽虫型のモンスターである甲虫種ランゴスタと遭遇して戦うシーンも見られました。
水を飲むのであれば、フンもするだろう?
茂みと物陰に隠れながら、なるべく警戒されないように追跡を続ける。

……した!? いま、ウサギのフンみたいに「ポロッ」としてました。
したあとに、あたりをキョロキョロするイャンクック。ここまで気づかれることはありませんでしたが、排泄中は無防備になるために警戒心が強くなるのかも。

少量しか出してないように見えましたが、近づいて見たところ想像以上にたっぷり。大型モンスターらしいご立派なサイズのフンを披露してくれました。
ププロポルは「ノーモーション」スタイル
つづいては、可燃性の油が涌き続ける得意な環境が広がる油涌き谷に生息している「沼噴竜 ププロポル」の調査に赴く。
全身に毒ガスの入った袋状の器官を持つこのモンスターは、先端の嘴(くちばし)や尻尾の棘からガスを噴出させ、油の沼にそれを噴出することで爆破のような現象を引き起こす攻撃を得意とする。
その風貌は「ペストマスク」を彷彿とさせるが、実際にププロポルの素材を仕様して作られる頭部の装備はペストマスク風の見た目をしており、意識してこのデザインになっていると思われる。
戦闘に入ると厄介な相手なので、ププロポルを警戒させないように一定の距離を保ちながら慎重に追跡する。すると、突然何もない所で地面に尻尾を突き刺すププロポル。一瞬「ボンッ」とガスを爆発させる。
しかしそこには突き刺した後の痕跡が残っていただけで肝心のフンは見られない。これは、排泄行為とはまた違う習性なのだろうか。マーキングなのか、時折ガス抜きをしないといけないのか……。
追跡していると、日当たりの良い所で寝そべるププロポル。気持ちよさそうに寝ている。これは、ププロポルの巣なのかもしれない。
しばらく息をひそめて待っていると、目を覚ましてあたりをキョロキョロと見渡すププロポル。なにかを警戒しているようだ。……来るのか?

まさかの!!! ノーモーション!!!!
ちょっと「ンッ」って踏ん張っただけ。一瞬、液体のようなものも出したように見えたが、
近づいて確かめてみると確かにこれは「フン」だ。毒性は特にない模様。
リオレウスとリオレイアはアイドル枠(?)
じつは、この記事を書いている時点で筆者の『モンハンワイルズ』の合計プレイ時間は約90時間を超えている。しかし、結論から言うとリオレウスとリオレイアのフンは確認できていない。
もしかして主役級モンスターだからアイドル扱いされているのだろうか。カプコンさんに「リオレウスとリオレイアはフンなんて絶対しません!!!」という確固たるこだわりを持っている人がいる気がする。
ただし、連日張り込んだおかげでリオレイアとリオレウスの生活習慣を見物することができた。そこで以下にその記録をお届けする。
まずは、“陸の女王” こと「雌火竜 リオレイア」だ。必殺技は、その場で1回転して尻尾の棘を敵対生物にぶち当てるサマーソルトアタック。当たると大ダメージなうえに、毒までくらってしまう。



リオレイアの1日は、非常にシンプル。あまり空を飛ぶことはなく、地上を練り歩きながら獲物を探しているようだ。狩りをするときは、大人しい草食竜などをその場で仕留めて捕食する。
そのほか、「川辺で水分補給」、「硬めの地面を見つけたら爪痕を残す」という行為を見せてくれた。これは「ここは自分の縄張りだ」というマーキングなのか、獲物を確実に狩るための爪研ぎなのか。

ちなみに、静止画では伝わりにくいがリオレイアは “めっちゃくちゃに警戒心が強い” モンスターだと思われる。
というのも、気配を遮断するという「隠れ見の装衣」に加えて、戦闘状態に陥り難い装備で挑み、さらには物陰に隠れていてもリオレイアはあたりを警戒することを怠らず、においを辿りこちらに気づくような素振りを見せる。
もう、何回キョロキョロシーンを見たか数え切れないほどだ。
そして、このポーズである。
まるでお辞儀でもしているかのようなシュールなポーズ。「これは来たか!?」と思った。なぜなら、ちょうどふんばっているかのような姿勢だからだ。
いかにも、出しやすそうなポーズではないか。

……毛づくろいでした。
羽根の先端についているウニみたいなトゲトゲ。どうやら、これを口である程度抜いてやる必要があるようで、その場にもいくつかトゲが残っていた。
丁寧にトゲをカミカミするリオレイア。生活感が漂っていてかわいらしい。
つづいてリオレウス。“天空の王者” こと「火竜 リオレウス」は、『モンハン』を代表するモンスターの1体であり、リオレウスがいてくれることによって『モンハン』は『モンハン』になる、と言えるくらい筆者にとっては登場すると安心感のあるモンスターだ。
歴代の『モンハン』シリーズでも圧倒的存在感を放ってきた主役級モンスターの暮らしを知るため、筆者は寝ずの張り込み調査を始めた。すると、興味深い生態が見られた。
どうやらリオレウスは、時に2頭(複数)のリオレイアを連れてハーレム(?)を形成しているようだ。地上では、リオレウスが2頭のリオレイアを従えて連携し、ババコンガさんと戦闘するシーンも確認している。
そして、巣で卵を守りながら眠るリオレイアの周囲を、徹夜で警戒して守護るような姿も見られた。
カッコイイじゃん……。
そのほかにも、リオレウスはリオレイアと異なる部分が見られた。それは、「空を飛んで獲物を仕留めてから巣まで持ち帰り捕食する」という習性だ。
食事をする際は、巣から飛び立ちホバリングした状態で獲物を見定め、急降下して仕留める。その後は、爪でしっかりと獲物を掴んで巣まで持ち帰ってから食べる。その場で食べるリオレイアとは、また違った習慣になっているようだ。
この生態は、現実でいうところの猛禽類「ミサゴ」【※】に近い。ミサゴは自分の子に餌を与えるために空中でホバリングし、魚などを捕らえてきて巣でちょっとずつちぎって食べさせるという習性を持つ。
※ミサゴ:英名はオスプレイ。ホバリング飛行を可能とする航空機V-22の名称の元ネタとなる生物。
一方で、岩場に夥しい爪痕を残す爪とぎ行為のほか、落ち着ける巣で毛づくろいをする姿はリオレイアと共通しているようだ。
………それにしても、本当にフンをしない。ババコンガさんはもちろんだけど、あのクック先生までもが披露してくれたのだから、潔く出してくれないものだろうか。

想像していたより、規則正しい生活を送るリオレウス。ある意味、人間より規則正しいかもしれない。
少なくとも、この数日間ほぼ寝ずにフンを見るために張り込んでいる筆者よりは健全な生活をしていると言える。
嗚呼……リオレウスよ……
偉大なる大空の王者よ。1日に2回の食事に、爪とぎ、毛づくろい、睡眠。こんなに健康的な生活をしているのに、お前はなぜ、フンをしないのか。
朝が来て、夜を迎え、再び、朝を迎える。筆者のリオレウス調査は長きに渡った。しかし、それでもフンを見ることは叶わなかった。
願わくば、誰かがリオレイアやリオレウスのフンを発見してくれることを祈る。
上記の調査以外にも、「炎尾竜 ケマトリス」は茂みの近くでさりげなくフンをして、「闢獣 ドシャグマ」はおしっこのあとにフンを放つ姿が見られ、「鎧竜 グラビモス」はフンではなく黄色いガスを不定期に噴出して壁に体をこすりつけるなどの癖があることがわかった。
ここまでスムーズに調査が進められたのは、地図上にモンスターがどこにいるのかリアルタイムでわかる高性能なマップや、モンスターの位置や痕跡の位置を教えてくれる「導蟲」と、そこまで自動で誘導・運搬してくれる「セクレト」のおかげである。
冒頭で、筆者は「環境調査の仕事で爬虫類や哺乳類のフンから生息域を調べていた」と書いたが、かつて先輩方に生態系の意味を聞いたことがある。
先輩いわく、「生態系」という言葉は「かなり複雑な状況を表している」という話だ。
ただの「生態」だと「生物が生活している状態」を指すが、“系” がつくとそこに生息する生物と、それをとりまく “環境” に範囲が広がるらしい。それは、植生や菌類、周辺に生息する生物なども含めた循環なども含まれているようだ。
フンは生物と違って基本的に動かないため、形状や湿り方、におい、内容物などで、どのような生物が出したものか、なにを食べているのか、いつごろに出されたものなのかを調べられる。まさに、情報の塊なのだ。
筆者の先輩はフンの間近まで近づいて香りを確かめ、肉食獣か雑食性かを確認し、中に毛や種子などが入っているのかを調べ、時にペロッとなめて味まで確認していた。それが、フン調査のプロ【※】である。
※フン調査のプロ:個人差があります。おそらく、その先輩は環境調査員のなかでもすさまじいレベルに達していたと思われる。
ちなみに、筆者の新人時代は肉食獣のフンに顔を近づけただけで悶絶した。雑食・肉食獣のフンは、基本的にくさい。
実際、『モンハンワイルズ』では「モンスターのフン」は「フックスリンガー」に装着してモンスターを逃がす際に使用する「スリンガーこやし弾」として活用できる。きっと、すごくくさいのだろう。
上記の調査結果のとおり、『モンハンワイルズ』には食物連鎖も存在しており、モンスターごとに摂食するものが異なる世界がしっかりと見られるようだ。狩猟だけではなく、ぶらりとモンスターの動きや仕草を見ているだけでもおもしろい。
この記事が、なにかの発見のきっかけになってもらえたら幸いです。