『RPGツクール』の新作が出る! その朗報を聞いたとき、筆者の胸は高鳴った。
なぜなら、新作『RPGツクールU2U』ではドット絵の温かみを残しつつ「立体的な奥行きのあるマップ」が作れるというからだ。
これまでの2Dツクールも良かったが、立体感が加わることでゲーム画面の「お店で売ってるゲームっぽさ」が一気に跳ね上がる。
さらにテンションを上げてくれるのが、従来の『RPGツクール』の2Dアセットがすべて装飾用マップタイルとして再利用可能な点だ。
過去に作られたグラフィックが無駄にならないうえに、すぐに使える完成済みのP2Dマップも「100種類以上」収録されているという。過去作のリメイクなどにも期待できる。
さて、『RPGツクール』といえば、むずかしい操作やプログラミング技術がなくても、RPGやアドベンチャーゲームを作れる画期的なエディターとして多くのユーザーに愛されてきた制作ツールのシリーズだ。
その最新作『RPGツクールU2U』が、京都のみやこめっせにて2026年5月22日から24日まで開催中のインディーゲームの祭典「BitSummit PUNCH」に出展されていたので、さっそく試遊させていただいた。
実際にマップエディタを触ってみたところ、ゲーム制作に関してはまったくの素人である筆者でも「これなら積み木感覚でマップがツクれる」と、本気で思える内容だった。
文/TsushimaHiro
編集/kawasaki
積み木を並べるように、家も城も湖も作れる
『RPGツクールU2U』を触ってまず驚いたのは、「素材リストからパーツをマップにひっぱるだけで、立体的なジオラマ風の世界が出来上がる」という点だ。
3Dモデリングの専門知識などは一切必要ない。あらかじめ用意されたオブジェクトをリストから選んで、マップ上にポンポンと配置していくだけで奥行きのある立体的に見える空間ができあがる。
イチから3Dモデルを作らなくても、透明のブロックの表面に絵を貼り付ける仕組みになっているため破綻なく立体的に見えるのだという。この映像表現を公式では「P2D(Perspective 2D)」と呼んでおり、専用の「P2Dマップエディタ」でマップを制作する。
試しにマップに家を配置し、その屋根の上にヘリコプターを置いてみたところ、あっという間にシュールな景色が完成した。
これもまた、立体的に見える。また、壁を自作する際も高さや横幅を自由に変更でき、Shiftキーを押しながら消しゴムを使えば手ブレせずにまっすぐ壁を削ることもできる。
まさに積み木を並べるような感覚で、どんどんマップが形になっていく。これがめちゃくちゃ気持ちいい。
「机の上にカゴを置く」のも楽ちん。ハウジング気分で作れる
ただパーツをポンポン置くだけでも十分に楽しいのだが、本作は「細部までこだわりたい人」への対応もハンパない。なんと、複数のパーツを組み合わせて、自分だけのオブジェクトを作れてしまうのだ。
たとえば、「台座パーツ」の上に「石像パーツ」を乗せて立派なモニュメントを作ったり、「机」の上に「果物が入ったカゴ」を乗せて部屋の生活感を出したり……といった具合で、かなり細かくオブジェクトをいじれる。
この機能をいじっている際に筆者が思わず唸ったのは、右クリックで呼び出せる「位置補正」の機能だ。
オブジェクトごとにマウス操作で上下左右の細かな微調整が直感的にできてしまうこの仕様は、まさにかゆいところに手が届く神機能だ。
さらに最高なのが、木や石像などのパーツに「風で揺れるエフェクト」を後から付け加えられること。「ここにこれを置いて、風で揺らしてみたらどうなるかな?」といろいろ試しているだけで、本当に時間が溶けていく。
壁の裏に回ればキャラが「シルエット」になる
筆者はマップが立体的になったことで、「建物の裏や高い壁の奥にキャラが隠れちゃったら見えなくなって困るかもしれない」と思ったが、そこは最新のツクール。先回りして解決してくれている。
キャラクターが壁の裏に回り込んだ瞬間、キャラが「シルエット」表示に切り替わるようにできていた。
これは指定した壁の裏にキャラクターが配置されたときに、壁を半透明に透けさせたり、キャラのシルエットのみ表示させる機能だ。
最近の3Dゲームではおなじみの親切なシステムを、自分で作るゲームに最初から組み込めると知り、つい「わかってるな〜!」と嬉しくなってしまった。
重力の概念も設定可能。飛び降り可能な「アスレチック地形」も作れる
立体マップの恩恵は見た目だけではない。このマップエディタにはしっかり「重力」の概念が用意されている。
階段や段差の上り下りはもちろん、高い場所から「飛び降りる」といったアクション機能も備わっている。
足を踏み外したら落ちる設定がされたブロックの上から一歩踏み出すと、キャラクターが重力に従ってヒューンと下に落下する。
これを利用すれば、ただ歩き回るだけのマップにとどまらず、タイミングよく足場を飛び移っていくような「立体的なアスレチックゲーム」だって作れてしまうのではないだろうか。
水位も色も自由自在。一瞬で「毒の沼地」を作れて感動
試遊中、筆者が「すげえ!」と思わず声を上げてしまったのが、本作の水表現のこだわりっぷりだ。
エディタ画面のパラメータをいじるだけでマップ上の水位を自由に変更可能で、浅い湖から深い海まで直感的に作れてしまう。さらにこの機能では水の色まで自由自在に変えられる。
青く透き通った美しい清流を作るのはもちろん、紫色に変えて「触れたら大ダメージを受けそうな毒の沼地」を演出することもできる。
また、環境の演出として画面全体に「熱による揺らぎ効果」をプラスする機能も用意されている。これをオンにすれば、砂漠ステージ特有の、あのボヤーとした陽炎が立ち上る空気感までバッチリ再現できる。
本作の水の表現と組み合わせたら、海岸や砂漠地帯のオアシスも作れるかもしれない。
これまでの『RPGツクール』シリーズは、『Ib』『OMORI』『ゆめにっき』『クミとクマ』『シルフェイド見聞録』『Ruina 廃都の物語』『夜明けの口笛吹き』など、数々の名作インディーゲームを生み出し、クリエイターを支えてきた。
今回の『RPGツクールU2U』をきっかけに、またあらたな傑作が生まれるのかもしれない。
本作は、マップ描画が苦手で制作を諦めていた人や、立体的なジオラマ作りに惹かれる人にこそ、ぜひ触れてほしいと思えるツールだった。
冒頭でも触れた通り、本作は過去作のドット絵素材を流用でき、最初から使えるP2Dマップも100種類以上収録されている。初心者が「いきなりゼロから作るのは不安」と立ち止まらないよう手厚く配慮されているのが本当にありがたい。
試遊を終えた筆者の心には、そんなワクワク感が渦巻いていた。 『RPGツクールU2U』はGotcha Gotcha Gamesが開発中。最新情報は公式Xにて発信されているので、気になった方はぜひチェックしてみてほしい。


















