『トータルウォー:ショーグン2 コンプリートエディション』は、戦国の世で天下統一を目指す、めちゃくちゃ硬派なストラテジーだ。
そう思っていたのにサブ要素のカスタムバトルが楽しすぎて、プレイの大半をそこに費やしている。おかげで本編がいっこうに進まない。
というのもカスタムバトルでは「アームストロング砲VS源氏武者」みたいな、時代を超えたありえない戦いができるんですよ……!!

まるでB級映画みたいな絵面だ。でも、本作ならこんなシチュエーションを手軽に組めてしまう。
本作は、2011年に発売された戦略ゲーム『Total War: SHOGUN 2』の決定版だ。オリジナル版はSteamのユーザーレビュー3万7900件のうち91%が好評で、評価は「非常に好評」(2026年10月時点)。
そんなオリジナル版に、これまでのDLCをすべて収録し、シリーズ初の日本語フルボイスとテキストにも対応したのが本作『トータルウォー:ショーグン2 コンプリートエディション』となっている。
くり返すが、本作は硬派なストラテジーだ。キャンペーンでは氏族を率いて天下統一を目指し、軍勢同士がぶつかればリアルタイムの合戦で大軍を指揮する。これが基本となるゲームである。
ただし、勢力を自在に組み合わせて戦えるカスタムバトルにおいては、時代を超えた好き勝手がまかり通る。
というのも、本作には源平合戦を舞台に1175年から始まる「Rise of the Samurai」と、戊辰戦争の時代を背景に1864年から始まる「Fall of the Samurai」という、2種のDLCがはじめから含まれているからだ。
つまり、約700年の時を隔てたドリームマッチをセッティングできるし、戊辰戦争のアームストロング砲だって使える。
本稿では、そんなカスタムバトルで刺さったポイントを中心にお届け。あわせて本来の遊び方であるキャンペーンモードも紹介したい。
文/世界のザキヤマ
700年の時を超えた勢力が激突。アームストロング砲VS源氏武者、はたしてどっちが強いんだ?
アームストロング砲は、日本では戊辰戦争で佐賀藩が用い、その威力を示したと伝わっている。毎分2〜3発を放て、さらに射程は3600mにも及ぶという。いや……3キロ以上って、 射程長すぎないか???
対して、源氏武者のメインウェポンのひとつである弓の射程は最大400mほどと言われている。
これだけ見ると源氏が遠距離からボコボコにされる未来しか見えない。源氏にとって長距離を攻撃できる砲弾は未知の兵器だ。
そんな時代の武者が、鍛えた肉体と技だけを頼りに、どう立ち向かうのか? なすすべなく蹂躙されるのか、それとも弾丸をかいくぐり砲兵を切り捨てるのか? はたしてどっちが強いんだ……!?
本作には多様な兵種がある。要となる武将をはじめ、接近戦が得意な兵、遠距離から弓で狙い撃つ兵、ほかにも騎馬兵など選択肢はいくらでもある。
本当はバランスを考えて部隊を組むことが定石である。しかし「源氏武者が未知の兵器に立ち向かう」という図には野暮な布陣だ。純粋に、撃たれるか切られるかの戦いが見たかった。
というわけで開戦。予想通り、当初はアームストロング砲が猛威を振るう。

しかし流石は源氏だ。味方が弾け飛ぼうと、お構いなく淡々と進軍してくる。音に聞こえた源氏武者の気迫は伊達ではなかった。というか動じなさすぎて怖い。どんな神経してるんだ……!?
こうしてアームストロング砲をものともせず肉薄され、無慈悲な虐殺がはじまった。乗り込まれてしまえば当然ながらもろい。なすすべなく自軍が斬り刻まれていく。
源氏つえええええええ!!!!!!
正直なところ、たどり着く前に殲滅できると思っていた。それはそれで戦場の華かとは思っていたが、砲弾を気にせず突っ込んできて暴れ回る源氏にはロマンがある。最高の絵面だ。源氏バンザイ。
こんな感じのシチュエーションをいくらでも作れるので、ほかにもいろいろ試したくなる。
同じ要領で、「ガトリングガン部隊VS武田家」というマッチも組んでみた。
史実の武田家は、1575年の長篠の戦いで、織田・徳川連合軍の鉄砲の前に敗れたという説もあるが……。
武田つええええええ!!!
気付いたら射線を潜り抜けられて自軍が惨殺されていた。こうなると武者の独壇場だ。阿鼻叫喚のなか、なにもできない。武田の豪槍が慢心したガトリングの砲手を無残に貫き血しぶきが上がる。これもまたドラマである。
そんなカスタムバトルだが、もちろん源氏と平氏をぶつけるような王道の戦いを再現してもいい。というか、むしろそっちのほうが本来の楽しみ方な気がする。
逆に敵味方4対4の戦いも組める。源氏と平氏が手を組み、武田家と織田家まで加わって、幕末の勢力を迎え撃つ──そんな日本史オールスターの大合戦も実現できてしまうのだ。

カスタムバトルなら兵士たちの動きをじっくり楽しめる。アームストロング砲だってエイムし放題
カスタムバトルは時間無制限にでき、敵味方の強さも細かく調整できる。本筋のキャンペーンモードと異なり、勝っても負けても問題ない。
基本は戦場を俯瞰して指揮するタイトルだ。俯瞰で見ているぶんには、兵士たちは「なんか細かく動いてるな〜」くらいの印象しかない。
ところがカメラを寄せると、みんなじつに生き生きとしている。会敵に備えた緊張感まで伝わってくるようだ。
そんな彼らを、兵種によっては指揮官であるプレイヤーが直々に操作できる。部隊に命令を下すという意味ではない。
アームストロング砲をFPS視点でエイムするのだ。
正直、プレイヤーの立ち位置はよくわからない。戦場を上空から見渡して指示する謎の存在が、急に砲兵へ「どれ、ちょっと貸してみな」とか言い出すのだ。砲兵からすれば「おっさん誰だよ」となるだろう。



あ、当たらねえ〜〜〜〜〜〜!!
でも、この「当たらなさ」がむしろ気持ちいい……!!
つまるところ、挙動がリアルなのだ。エイムが悪いとか、そういう話じゃない。すんなり当てられるようなシステムになっていないのだ。
画面右上にレーダーがあるので敵軍の位置はわかる。でも、撃つ段階では方向しかわからない。敵軍の中に放り込むイメージで撃ってみても、相手だって動いているのだからズレる。
当てれば即死だ。一撃で敵兵がはじけ飛ぶ。しかし当たらない。そして近づかれればこちらの首が飛ぶ。
何より、FPS視点で撃つと着弾までほかの行動が取れない。狙う位置にもよるが、着弾まで5秒以上かかることはザラにある。
本来は複数の部隊にいっせいに指示を出すリアルタイムストラテジーなのに、指揮官が1門の砲にかかりきりになって動けないのだ。組織として非効率にもほどがある。
だが、それがいい。実際に戦場でアームストロング砲を撃つということの意味に、思いを馳せられるからだ。
史実ではどうだったのだろうか。当たるか当たらないかではなく、そもそも爆音による戦意喪失や威嚇する効果のほうが大きかったんじゃないかとか、撃ってる側としても近づかれたら詰むから怖いだろうな〜とか……。いろいろ思うところがある。
なんにせよ、ひとりで遊ぶカスタムバトルだから許される遊び方だ。カスタムバトルは1つのロビーに最大8名が集まるオンライン対戦にも対応しているが、そこでこんなエンジョイをしていたらキックされても文句は言えないだろう。
火砲という括りでは、「木製大砲」も気に入っている。
どうですか、この素朴なルックス。活躍した時代はアームストロング砲に近いものの、その作りは遥かに原始的だ。
具体的には、アームストロング砲が砲身の後ろから弾を込める後装式なのに対し、木製大砲は砲口から弾を込める前装式。イメージとしては「縁日での射的銃」みたいに前から弾を込める。
ちなみに木製大砲も自身で照準を付けられるが、アームストロング砲に輪をかけてひどい性能だ。大きな標的に向けてならばともかく、人みたいな的を狙うには不安が残る精度だ。



すげえ……大軍を指揮するリアルタイムストラテジーで、いち兵士たちの動きをここまで細かく作り込んでいるのか……!
名作と言われる所以がここにあるかはわからないが、こうしたこだわりを見るに、細部に神が宿っているような感銘を覚える。
なんにせよ、カスタムバトルが楽しすぎて本編がぜんっぜん進まない。無数にいる兵士たちの動きを掘り下げたい欲求はまだまだ収まらない。
本作のメインは「ターン制の戦略とリアルタイムの合戦を行き来する超骨太なストラテジー」
ここまでを読むと、本作が「アームストロング砲で武者をエイムするゲーム」だと誤解されかねないので、本筋の紹介もしっかりしておこう。カスタムバトルはあくまで本作の一部である。
本作の核となるのは、戦国時代を舞台にした本編の「キャンペーンモード」だ。プレイヤーは戦国の世で覇を競う大名家、つまり氏族のひとつを選んで率い、分裂した日本を統一し将軍の座を目指す。
目的は同じでも、どの氏族で目指すかによって道のりは変わってくる。たとえば武田家は、馬の扱いなら随一だ。騎馬隊を安く雇って維持できるうえに士気も高い。いっぽう毛利家は、海に強い。船を安く造って維持でき、より優れた艦船まで持てる。同じ戦国時代の勢力でも、戦い方はまるで別物だ。
選べるのは有力な大名家だけではなく、中小の氏族からスタートすることも可能だ。下剋上で天下を狙ってみるのもおもしろいだろう。
なお、時代が異なる追加キャンペーンでは、率いる勢力の顔ぶれが変わる。源平合戦の「Rise of the Samurai」では平氏・源氏・藤原氏の3家から、戊辰戦争の「Fall of the Samurai」では、幕府側か朝廷側につく藩を率いることになる。
天下統一までの道は険しい。「大軍を率いて侵略して蹂躙だ!」という脳筋ではどうにもならない。政治もしっかりこなす必要がある。
領地の運営や外交を進める戦略パートはターン制で、手番のあいだは時間が進まない。マップ全体を見ながら、じっくりと方針を決められる。
同盟を結んで味方を増やすか、用が済んだら裏切るか。開戦の時期を見計らい、和平交渉で戦いを収めることもできる。状況が許せば、忍者に要人暗殺を任せてしまう手もある。
そうして根回しをすませたら、軍勢を敵の領地へ進める。敵の軍勢とぶつかると、いよいよ合戦だ。ここでリアルタイムの戦場に切り替わり、プレイヤーは指揮官として部隊に指示を出す。
戦場は野戦だけではない。敵の城を攻め落としたり、待ち伏せを仕掛けたりと、当時の戦術を使った攻防が楽しめる。そして合戦に勝てば領地が広がり、広げた領地でまたつぎの手を打つ。これをくり返して天下に近づいていく。
そんな本作最大の特徴は、日本語のフルローカライズに対応したこと。そう、日本を題材にした作品だが、正式なローカライズはまだだったのだ。
なお、本作のシステムは複雑ではあるが、安心してほしい。チュートリアルに該当する「手ほどき」が非常に手厚い。
強面の家老っぽい人物が「ズームインしまする」など、奥ゆかしい口調ながら現代に寄り添ったワードで、操作方法を懇切丁寧に教えてくれる。
「何からやっていいかわからない」と感じたら、まずは「手ほどき」で基礎を学んでみることが手っ取り早い。
そしてもしキャンペーンで詰まったら、カスタムバトルを好き勝手に遊んでみて、お気に入りの氏族を見つけてみるプレイを個人的にはオススメしたい。
『トータルウォー:ショーグン2 コンプリートエディション』は、PC(Steam/Epic Games Store/Microsoft Store)向けに10月14日発売予定だ。
©SEGA.

















