アクションゲームをプレイしていて気持ちいい瞬間といえば、それは“成長の手ごたえ”を感じたときだろう。
たとえば、必死に集めた素材でキャラクターを鍛え上げ、敵を一方的にボコボコにできるようになったとき。
あるいは、序盤で何度もやられた中ボスの動きを完全に覚えて、ノーダメージで沈められるようになったとき。
もちろん、攻撃を繰り出すだけでも楽しい。だが、アクションの気持ちよさには「自分の努力が敵に上手く刺さったとき、かけた時間や労力が報酬として返ってくる」あの自己肯定感が多分に含まれているように感じる。
でも、“成長の手ごたえ”を感じるにはどうしたって時間がかかる。
「成長には時間がかかる」というのは、重々承知だ。しかし仕事終わりの平日夜に遊べるわずかな時間では、成長を感じる手前で終わってしまう……。
そこで、『ステューピッド・ネバー・ダイズ』だ。本作は、この「成長の気持ちよさ」に至る過程を極限まで「圧縮」した“濃密な10分”を楽しめるゲームだからだ。
成長する時間を「削って」、ヌルゲーにするのではない。「圧縮」している。その仕組みは単純だ。潜るたびにレベル1に戻る本作のダンジョンでは、これまで倒してきた敵の“総数”に応じて、もらえる経験値に倍率がかかる。
たとえば、プレイ序盤は、ザコを何体も倒してようやくレベル2になる程度しか経験値をもらえていなかった。それがいま、筆者の経験値倍率は「8170%」。ダンジョンに入ってすぐ目の前にいるザコとちょっと固めの敵を1体倒すだけで、速攻でレベルが20まで上がる。
それでいて、お手軽無双の歯ごたえのないゲーム、なんてことはまったくないのが驚きだ。レベルアップ効率が上がるのは、ボスを倒すために何度も挑戦を繰り返した結果だし、プレイヤー自身の実力もしっかり上がっている。数値上のインパクトとは裏腹に、アクションゲームの王道の達成感がちゃんとある。
遅ればせながら、本作の主人公を紹介しよう。『ステューピッド・ネバー・ダイズ』の主人公は、クソ雑魚ゾンビの「デイビィ」。一目惚れした“凍死体”の女性「ジュリア」を蘇らせるべく異世界のダンジョンに潜り、敵を喰らって這い上がる。死体が死体に恋する──ヤバすぎるボーイミーツガールだ……。
開発は『デビル メイ クライ』シリーズや『ドラゴンズドグマ』シリーズのスタッフが集まった新スタジオ・GPTRACK50が手がけ、セガから10月22日に発売される完全新作のアクションRPG。そんな本作を、発売に先駆けてプレイしたので、“爆速成長アクション”の気持ちよさをお伝えしたい。
※この記事は『ステューピッド・ネバー・ダイズ』の魅力をもっと知ってもらいたいセガさんと電ファミ編集部のタイアップ企画です。
ヒョロガリゾンビの主人公が、一目惚れした“凍死体”の女の子のためにトイレから敵狩りへ
まず、このゲームの異常すぎる始まりから話させてほしい。
舞台となるのは、モンスターの軍勢が人類の文明を滅ぼした地球だ。そんなヘビーな設定に対して、オープニング映像は子どもの落書きみたいな敵が、実写の人間を襲っているシュールすぎるビジュアル。謎の超技術を駆使するモンスター軍は人間を次々とゾンビに変え、人類を襲う兵隊として使役している。もうこの時点で正気とは思えない空気感だ。
主人公のデイビィも、モンスター軍によってゾンビに変えられた哀れなひとり。なのだが、彼はモンスター軍の「人間と戦え」という命令から逃げて、ショッピングモールに逃げ込んだ引きこもり。
つまりデイビィは、最下級兵のゾンビの中でも落ちこぼれてしまったのだ。自己肯定感のなさが所々ににじみ出ていて、ちょっと不憫にすら思える。

そこで最初に出会うのが、編み込みのフサフサすぎるヒゲに対して、ハゲた頭頂部には謎の改造が施され、両腕も義手という怪しさしかないこの男、フランク博士。
開口一番にデイビィに告げるのは、「このトイレからダンジョンに潜れ」とのことだ。超展開すぎる。
開始から5分間、トンチキすぎる世界観を見せられ続けている。もう頭がおかしくなる!!

じつは、引きこもりのデイビィがトイレに吸い込まれてダンジョンに挑戦するのには、強烈な理由がある。
一目惚れした「凍死体」の女の子・ジュリアを甦らせたいからである。
博士いわく、ダンジョンの奥に潜む敵の王「KOM」を倒せば、ジュリアを蘇らせることができるという。本当に……?
そうしてデイビィはダンジョンに潜り、敵たちをなぎ倒していくアクションゲームが始まる!
……と思いきや、スタート時点のデイビィはクソ雑魚ゾンビそのもので、ゲロを吐いて体当たりすることしかできない。
じゃあどうするんだよ!
“爆速成長アクション”がめちゃくちゃ気持ちいい。経験値倍率が「8170%」←????
その答えは、「爆速成長アクション」である。
序盤はザコ敵を何匹も倒して、ようやくレベルが1上がる。いや、これが普通だろう。レベルアップは努力の果てにあるべきものだ。
でもそんな常識は、本作の「EXPブースト」の悪魔的仕様によって吹き飛ぶ。
「EXPブースト」は、ゲームを通して倒してきた敵の“総数”がもらえる経験値の倍率に加算されていくという、本作特有のシステムだ。ある程度ストーリーを進めた筆者の経験値倍率は約「8000%」。いまはダンジョンの最初の階層でザコを片付けるだけで、序盤の80倍の経験値がもらえるので、レベルが凄まじい速度で上がっていく。
デイビィが何度もダンジョンに潜るたびに、バカみたいな速さで強くなっていく。この“爆速成長アクション”がめちゃくちゃ気持ちいいのだ!
あわせて、レベルが上がると、ランダムに表示される3つの強化からひとつを獲得できる。ダンジョンに潜っている間、恒常的に適用されるバフだ。
強化内容は、「通常攻撃の攻撃力アップ」「ボスに対する防御力アップ」「スキルのクリティカル率アップ」というような堅実な数値の積み重ねが多い。
ただ、ものによっては「クリティカル発生時、スキルのクールタイム減少」や「状態異常となっている敵への攻撃力アップ」のようなものもあって、強化どうしをうまく組み合わせることで、戦い方がさらに広がっていく気持ちよさも、しっかり味わえる。
また、レベルアップ時に発生する衝撃波も爽快だ。
一発で戦況をどうにかしてくれるほどの威力はないものの、ビビッドな色のインクが弾けるような演出と「ギュ──ン!!!」という音がクセになる。強化も衝撃波も、もちろんレベルが上がるたびに発動するので、敵を倒しただけ気持ちよくなれる。


肉を斬らせて骨にかじりつく。クソ雑魚ゾンビが敵の「戦闘スタイル」を奪っていく下剋上アクションが楽しい
「EXPブースト」による爆速のレベルアップ、レベルアップのたびのバフと並んでデイビィを強化してくれるのが、ダンジョン中に出てくる中ボス(本作では「エリートエネミー」と呼称)を喰らって戦い方を奪う、「スタイルイート」だ。レベルアップが攻撃力などの数値部分を伸ばす成長だとすれば、スタイルイートは「戦い方そのものを入れ替える」成長だと言えるだろう。
「狼男」をかじれば、ヒョロガリだったデイビィがムキムキの狼になり、素早い動きと爪の連続攻撃で敵を翻弄する。
「スノーフェアリー」をかじれば、かわいい雪の妖精になって、相手を凍らせる氷結スキルで敵を凍らせ、剣で砕く。
敵を喰らって通常攻撃もスキル攻撃も奪い、その力でブっ倒す。「スタイルイート」をすれば、ついさっきまでゲロを吐き散らしていたとは思えない、大活躍を見せてくれる。雑魚ゾンビのデイビィによる下剋上だ。
この「スタイルイート」は、中ボスの体内の「コア」に喰らいつく必要がある。そして、そのコアをさらけ出させる方法が敵の攻撃に突っ込みつつ、ダメージを軽減して強烈なカウンターを繰り出す、本作オリジナルのパリィ「ステューピッドパリィ」だ。
しかも、「ステューピッドパリィ」をキメてから敵のコアに喰らいつくと、デイビィの体力は全快・ダンジョンの制限時間は加算・おまけにレベルも1上がるという至れり尽くせりっぷり。
これが重めのヒットストップと、デイビィが強敵相手に喰らいつく専用演出も相まって、上手く決まると本当に気持ちいいのだ。
なお、ステューピッドパリィを使用せずとも中ボスを倒すとその場にコアを落とすので、パリィが苦手でもスタイルイートの恩恵を受けることはできる。だがやはり、ステューピッドパリィによるレベルアップなどのボーナスは莫大だ。できるだけパリィを狙うのがおトクだろう。
本作の戦闘は、このパリィを中心に「前に出るほど得」になるよう設計されている。開発陣も解説動画で、ゾンビは「すでに死んでいる」のだから防御や回避よりもガンガン攻めることを推奨しているほどだ。
なぜならば戦闘はハイスピードな乱戦が基本で、敵を1体ずつ絞って戦うようなアクションとはまったく違う手触りとなっている。敵に囲まれ、殴られ、体力バーをゴリゴリ削られるのが基本だ。【※】
(なお体験版初期は、攻撃を敵に当てづらいという声が出ていたのを受け、製品版を前に、自動照準補正やカメラの機能追加などの改良のアップデートが施されており、乱闘の快適性が増している)
だが、食らったダメージはすぐに敵にかじりつけば回復できるし、敵をかじるために必要なゲージも、敵を殴ることで回収できる。痛みを知らないゾンビが、敵を貪って血肉に変える設計となっているのだ。

ヌルゲー化の心配なし。これだけ強くなれるのに、何回ダンジョンに挑んでもちゃんとやりごたえがある
経験値80倍、異様にお得なパリィ。ここまで本作の強化っぷりについて記してきたが、もしかしたら「こんなに強くなったらヌルゲーになるんじゃないか……?」と思った人もいるかもしれない。筆者も最初、そう思った。
そんなことは、まったくなかった。
その理由は、ダンジョンの制限時間にある。物語が進行するほど、一定の制限時間内でより深い層を目指さなければいけない。はやく強くなれるぶん、同じ時間でより深くまでダンジョンを潜り、そこで待ち受けるボスに挑んでいく。
序盤と同じ時間でより深くにたどり着くために、「レイヤースキップ」を活用することになる。ダンジョンを1層クリアするたびに次に向かう層を選ぶことになるのだが、このときにより簡単な浅めの層をすっ飛ばして、敵が強い深い層を選んで潜ることができる。これがまた奥深い!
層を飛ばせば制限時間を残したままボスのもとへ急げるが、そのぶん入手できる強化は減るし、スタイルを吟味する機会もなくなる。逆に多くの層に挑めばより強くなれるが、制限時間により気を配る必要が出てくる。「もうボスに挑めるけれど、普通の層に挑む選択肢もある」という状況が一番のジレンマだ。
実際、「このボスはダメージ床をバラ撒いてくるから、足の遅いサイクロプスよりも、空中から攻撃できるハーピーが欲しい!」という場面があった。制限時間に間に合うかどうかも怪しいうえに、望んだスタイルを持った敵が毎回都合よく出てきてくれるわけでもない。しかし、そんなリスクがあるからこそ、自身の選択によって望んだ結果が得られたときの喜びも大きい。
そして、制限時間と並んで本作のやりごたえをガッチリと守っているのが、レベルアップ時の強化の中身だ。本作の強化は、見た目はローグライトの3択強化そのものだが、安易に火力が何倍にも跳ね上がるようなものはもらえない。むしろ、シンプルな攻撃力アップといった堅実な数値の積み重ねが中心になっている。
強化どうしの噛み合いはあるものの、すべての敵が何の手応えもなく溶けていくような超火力の実現は難しい。どこまでいっても、殴り合いが殴り合いとして成立するのだ。
過去のいわゆるローグライトアクションのジャンルでは、組み合わせ次第でプレイヤーの攻撃が画面を埋め尽くすような”ぶっ壊れ”が完成するタイトルもあるが、本作はおそらくそういった気持ちよさを狙っているわけではないだろう。
だからこそ、敵の攻撃に果敢に突っ込むアクションの楽しさに集中できるように作られているように感じる。
爆速レベルアップで気持ちよくなれるのに、アクションのやりごたえもずっと楽しめる。これを両立しているのが、本作の本当にすごいところだ。実際、経験値倍率が8000%になった筆者も、いま挑んでいるボスにしっかりボコボコにされているし、しっかり悔しい。
『ステューピッド・ネバー・ダイズ』は、アクションも世界もヤバすぎるゲームだ。
ダンジョンに潜るたびにレベルが跳ね上がり、エリートを喰らうたびに姿も戦い方も変わる。爆速成長の気持ちよさと、アクションの手応え。普通なら片方を取れば片方は諦めることになるものが、本作には両方そろっている。
そしてこのゲームに登場する世界観もキャラクターも、何もかもブッ飛んでいる。死体に恋するゾンビ主人公から、トイレから主人公をダンジョンに送り込む博士、なんでも見えるのに何もかも忘れるガーゴイルなど、出てくるものすべてが個性的すぎて、次に何が出てくるのか期待してしまう。
そして、そのバカの中心にいるのがデイビィだ。ゲロを吐いて体当たりするしかなかった最弱のゾンビが、敵界のエリートたちを次々と喰らう爆速成長アクションで、好きな女の子を救うべく下剋上していく。そんな体験が10分のダンジョンに圧縮されているのだから、中毒性がないわけがない。
『ステューピッド・ネバー・ダイズ』は10月22日、PS5とPC(Steam)に向けて発売される。通常版が7689円(税込)で、演出が豪華になるDLCをセットにしたデジタルデラックス版が8789円(税込)だ。
ちなみにこのデラックス版、正式名称は「ゴージャスバカエディション」。最後までこの調子で最高だ。
ゲームのためにまとまった時間が取れなくなった人こそ、平日の夜に30分だけ、と思って本作のトイレに吸い込まれてみてほしい。アクションゲームの成長の実感も、キャラクターも、何もかもが濃すぎる体験ができるはずだ。











