リミナルスペース。
ねじ曲がった日常風景。
なんとなく不安な気持ちになる、不気味な空間。
こういう場所が好きな人は多いだろう。
わたしも好きだ。見ているだけでも、たまらなくて背筋がゾクゾクしてくる。こういうビジュのゲームを見かけたら、とりあえずウィッシュリストに入れている気がする。
だが同時に、こういう声も聞こえてくる。
「ま~たリミナってるよ……」
そう、いま世はまさに“大リミナルスペース時代”だ。
ゲーム、映画、写真集、あらゆるところにリミナルスペースが溢れかえっている。
「ちょっと怖い雰囲気の空間を歩くインディーゲーム」など、一年は遊び続けられるくらいあるだろう。
もはや環境は飽和状態。いまさらリミナルスペースを歩けるだけのゲームには、食傷気味だという人もいるのではないだろうか。
そんな感じの理由でこの『アノマリス』をスルーするのであれば、ちょっと待っていただきたい。
確かに『アノマリス』はリミナルスペースを探索するゲームだ。
わたしも初めは、このビジュアルが一番のウリだと思っていた。だが実際にプレイしてみると、オタクが語りたくなってしまうポイントが、他のところからも湧き出ている。
泥臭い銃撃戦かと思いきや盛り込まれる変身シーン。
イカれた主人公を支えるオペレーターのヤンキー。
このゲーム、なんかメッチャ……ノリが「深夜アニメ」味なのだ。
というわけで、今回は『アノマリス』の魅力を語らせてほしい。
もちろん、本作の「リミナルスペース」感もバッチリだったので、ここまで貼ったスクリーンショットで既に十分な魅力を感じていたら本作をウィッシュリストに入れてしまおう。
※この記事は『アノマリス』の魅力をもっと知ってもらいたい[クライアント名]さんと電ファミ編集部のタイアップ企画です。
オタクなら一度は夢見る“消耗品”。異界で泥臭いサバイバル
まず軽く設定を紹介しておこう。リミナルスペースっぽいこの世界は「異界」と呼ばれる。

「異界」は突然発生する特殊な空間のことを指しており、政府によって管理されているほどに危険な場所だ。中には異形の生命体である「アノマリー」がうろついている。内部は変形・増殖を続け、入ると出口も分からなくなる。
同時に、異界には、異常な機能を持つオブジェクト「異物」も存在している。その管理のためにも、異界の調査は人類の急務になっている。
主人公は、異界を調査する組織「危険区画対策室」の調査員として、異界の調査に送り込まれることとなる。

この調査員の仕事に、命の保証は一切ない。完全な使い捨て要員だ。
何が起こるか分からない危険な異界でも、あくまで成果最優先。上層部からの冷酷な指令に従わなければならない。扱いとしては、銃を撃てるモルモットである。
……
全く顧みられない命ひとつで、無骨な銃を担いで、出られるかもわからない異界を行く……
無骨な銃を担いで、粛々とアノマリーを処理し、異物を回収……
怪しげな組織の歯車として、それでも生きるために戦う……
イイ。
かなりイイ。
いや、こう、一兵卒の無力さの美学というか、報われぬ哀愁というか……こういうのがイイ。
いっぺんなってみたかったんだよな〜消耗品!

さらに、実際のシステム面も、予想以上に硬派だ。装備まわりはちゃんとミリタリーしており、実銃を撃つ感じも重々しい。
銃弾や持ち物の管理も必要だし、遠距離戦ではカバーも重要になってくる。

設定としての「消耗品」感と、この愚直なサバイバル感──ロマンがくすぐられる。
主人公は狂人。相棒はヤンキー。なんかメッチャ「深夜アニメ」の味がする!
では、本作が「操作は硬派一辺倒なリミナルスペースのゲーム」かというと、そういうわけでもない。さらなるオタク喜ばせポイントが用意されているのが、本作のすごいところなのだ。
それを最初に感じるのは、“変身シーン”だ。
この、半分だけ異形になるのが……な!
なんと主人公は、異界の力で異形化し、人ならぬ力を振るうことができる。この能力を使うことで、さきほど紹介したような泥臭い銃撃戦とは打って変わって、ダイナミックでスタイリッシュなアクションが可能になる。

この、オタクが「キタキタキタキタ!」となるような、ケレン味の効いたアニメっぽい質感もまた、大きな魅力のひとつだ。『アノマリス』は、リミナルスペースを陰気に歩き回るだけではないのだ。
物語もまた、深夜アニメテイストで進行する。謎の人型のアノマリーや暗躍する別組織が登場するなど、ただの異界調査を超えた謎多き展開を見せていく。
物語を彩るメインキャラクターだって、当たり前に魅力的だ。わたしのお気に入りである、主人公と相棒を紹介させてほしい。
主人公の水無月玲緒奈は、暗い過去のある調査員だ。一見するとダウナーで厭世的な皮肉屋だが、話を進めていくとその印象も変化していく。危機に晒された人を助けずにはいられない、熱血漢な一面が見えてくるのだ。
やはり主人公にこういうヒロイックさがあると、一気に好きになってしまう。なってしまいませんか?

あと、それはそれとして、ヤバいヤツということも徐々に判明する。

敵であるアノマリーにも臆せずにずんずん進んでいくし、危ないから待てと言われたときにはもう触っている。
異界より、コイツの方がヤバい気すらしてくる。たしかに「消耗品」とは言ったが、さすがに命知らず過ぎである。

そんなイカれた主人公を支えるのが、オペレーターの紅田唯我である。
だがこいつはこいつで、アホでヘタレのヤンキーなのだ。
人材不足の組織とはいえ、ナビゲーションキャラがアホでヘタレのヤンキーなのはありえない気がするが、接しているうちに彼女もなかなか有能でかわいげがあることがわかってくる。

しかも、主人公の玲緒奈が狂人なせいで、ツッコミ役も担当するハメになっている。アホでヘタレのヤンキーがツッコミを担当するのはありえない気がするが、主人公がそれ以上にありえないので仕方がないだろう。

しまいには「異常者らしくもっと異常者ムーブしてろよ」。ひどい言われようだ。
異界での命がけの仕事にしては、なんとも気の抜けるこの感じ。
だが、このふたりのかけ合いがだんだんクセになってくる。こんなやりとりがリミナルスペースで繰り広げられるというのは、まさに本作ならではの「味」なのだ。
つまり、『アノマリス』はリミナルスペースで狂人が実銃を撃つゲームである。
……いや、違う。なんだか誤解を招きそうな文になってしまったが、個人的に好きだったところをまとめるとこうなってしまう。
リミナルスペース、一兵卒の無力さの美学、深夜アニメの出汁が出たキャラ──本作が「オタクが好きなやつ」をぎゅっと詰め込んだ作品なのは、わかっていただけているはずである。
うろつくだけでは飽き足らない、イカれた主人公と共にリミナルスペースで命を投げ出したい……そんな方はぜひ、本作をチェックしてほしい。







