Netflixは、浦沢直樹氏によるマンガ『PLUTO』をアニメーション化し、独占配信すると発表した。
配信時期は2023年。アニメーション制作はスタジオM2が務めることが明らかになっている。あわせて「制作決定PV」が公開されている。
『PLUTO』は、手塚治虫氏の『鉄腕アトム』の一篇『地上最大のロボット』(1964年)を原案にした浦沢直樹氏によるマンガ。
2003年から2009 年にかけて雑誌「ビッグコミックオリジナル」で連載され、単行本が全8巻で刊行されている。全世界累計発行部数は1000万部を突破しており、手塚治虫文化賞マンガ大賞、文化庁メディア芸術祭マンガ部門優秀賞、星雲賞コミック部門受賞をはじめ国内外で数々の賞に輝いた。
舞台は、人とロボットが共存する社会。世界で最も優秀なロボットが次々に暗殺される怪事件が発生する。真相を追うロボット捜査官ゲジヒトとアトムは、やがて世界を破滅へと導く史上最悪の憎しみの存在に気づく。
今回はこの浦沢直樹氏による『PLUTO』が、アニメーション化することが決定した。制作プロデュースはジェンコ、アニメーション制作をスタジオM2が担当する。原作でも監修を務めていた手塚プロダクションの手塚眞氏が、引き続きアニメでも監修を務める。
またエグゼクティブプロデューサーには真木太郎氏、丸山正雄氏の名前が連ねている。なお監督は明らかになっていない。
主人公・ゲジヒト役にはダニエル・クレイグの吹き替えを担当している藤真秀さんが担当。アトム役には『けいおん』で秋山澪を演じた日笠陽子さん、ウラン役は『マクロスΔ』でフレイア・ヴィオンを演じた鈴木みのりさんがそれぞれ務めている。
原作者の浦沢直樹氏、原作でプロデュースを務めた長崎尚志氏、原作と本作で監修を務める手塚眞氏からもコメントが発表されており、以下のとおり。
■浦沢直樹氏:
60 年前の発表以来、その言いようのない切なさに私の心が揺さぶられたように、多くの人の「心の漫画」となった「鉄腕アトム」の挿話「地上最大のロボット」。
この作品のリメイクがいかに難事業かを身をもって知る私は、今回のアニメ化に挑むスタッフの皆さんの勇気に心から拍手を送るとともに、新たな「心の作品」の誕生に心躍っています。
今こそ手塚治虫さんのメッセージが世界中に届きますように。■ 長崎尚志氏:
60年前、『PLUTO』の原作『地上最大のロボット』が誕生した。
最強の戦闘能力を持つロボット達が競う物語だったが、これまでのアトムにはこの手の対戦形式の作品はなく、当時の少年達は熱狂した。アトムファンというより『地上最大のロボット』ファンの誕生だ。その渦中にいた私は、この作品が単に誰が強いかを描いた作品ではなく、もっと深い何かを伝えたいのではないか、と感じていた。そして『PLUTO』に挑んだ時、答えが出た。手塚治虫は預言者だったのだ。現代、我々が直面している戦争とは、東西の文化や考え方の違いを理解し、尊重しなかった結果である。
『PLUTO』はその手塚哲学を受け継ぎ、ただ反戦を訴えるのではなく、そこには痛みがともなうこと……
それでも平和しかないということを世に問いたい作品なのだ。● 手塚眞氏:
ついに、やっと、『PLUTO』がアニメになる。いつかこれは映像にされるべきだと思っていた。
何度も企画が立ち上がりまた消えていったのは、その内容の難易度の故だ。確かにハードルが高い。
しかしだからこそ挑戦のしがいがある本物中の「本物」だ。
そしてこれは新しい浦沢アニメであると同時に、新しい手塚アニメでもある。
アニメの進化形をどのように見せてくれるか、とても楽しみだ。
また東京ビッグサイトにて開催される「AnimeJapan 2023」にて、原作者の浦沢直樹が初参加することが決定した。 日時は3月25日(土)の11:20から11:50の「BLUE STAGE」となっており、「ネトフリアニメ スペシャルステージ」に浦沢直樹氏を始め、手塚眞氏、日笠陽子さん、鈴木みのりさんが登壇する。
アニメ化解禁後初となる、公の場にて浦沢直樹氏から何が語られるのか気になるところだ。また本作以外の2023年配信開始となる新作も発表も予定だという。ステージ応募権付入場券の販売は2月23日(木・祝)までとなっている。
Netflixによるアニメ『PLUTO』は、2023年に配信予定だ。