2026年4月26日の夜、日経ホールは静まり返っていた。
木村太飛さんと黒沢ともよさんによる朗読が始まった瞬間、あれだけ沸き続けていた会場の空気が、音もなく変わった。
『HUNDRED LINE -最終防衛学園-』発売1周年を記念したイベント「1周年記念学生祭(クラスフェスティバル)」──その夜公演の幕引きに用意されていたのは、サプライズのラストシーンだった。
昼夜2部制で開催された本イベントには、ディレクション&シナリオを手がけた小高和剛氏(トゥーキョーゲームス)に加え、澄野拓海役・木村太飛さん、蒼月衛人役・櫻井孝宏さん、九十九今馬役・緒方恵美さん、九十九過子役・伊藤梨花子さんが集結。
また、夜の部ではサプライズゲストとして黒沢ともよさん(霧藤希/柏宮カルア役)も登場した。本稿では夜公演の模様を中心にレポートしよう。
開幕を告げたのは、作品の空気をそのまま持ち込んだ朗読劇
イベントの幕開けを飾ったのは、キャストによるオープニング朗読劇だった。
クラスフェスティバルの開幕前に緊張する澄野・蒼月・九十九姉弟のやり取りを描いたオリジナルシナリオで、澄野が「呼吸ってどうやるんだっけ?」とパニックになるコミカルなシーンから始まり、場内の笑いを誘った。
「ハンドレッドラインのステージで気負いすぎても仕方がないか」と吹っ切れた澄野が「出たとこ勝負でいっちょやってやりましょう」と煽る流れで幕を閉じ、イベントのスタートにふさわしい助走となった。
朗読劇を終えてキャストが登壇すると、会場の熱気はすでに高かった。
木村さんは「夜の部ってだけあって、皆さんも温まってきてる感じを感じました」と語り、伊藤さんは「人生2回目のイベント」と昼夜連続登壇の新鮮さを噛みしめた。
小高氏は登場するなり「なんだかもう気がいいですね、この空間。なんでかわかりますか? ハンドレッドラインが神ゲーだからです。神ゲーのイベントは気がいいです」と笑いをとった。
870時間プレイヤーの出現、そして”エロルート”への愛
イベントの軸となったのが、ファンからのアンケート企画だ。夜の部では「何時間ハンドラをプレイしましたか?」「一番好きな部隊長TOP5」「最初にたどり着いたエンディングルートTOP5」の3本立てで実施された。
プレイ時間ランキングのトップは870時間。その数字にキャスト・スタッフ陣は絶句した。
小高氏は「元々は100ルート全部ではなく、自分でいい区切りをつけてプレイしてもらえればと思っていたので、一気に100ルートを行きたいという人がたくさんいてくれて嬉しい」と語った。
部隊長人気ランキングでは1位にイヴァーが輝いた。小高氏はキャスト内での事前予想との一致を明かしつつ、「イヴァーとヴェシネスはそれぞれのルートがある部隊長なので、まあそれはそうだよな」とコメント。
チューラムタミーについては「設定資料集で素顔が見られるかも」という含みのある発言も飛び出した。
最初にたどり着いたエンディングTOP5では、1位に真相解明ルートが挙がった一方、いわゆる”エロルート”系のエンディングも複数ランクイン。会場が静寂と笑いに包まれる中、「選んだのは皆さんですよ。どんだけエロルートにたどり着きたかったんですか」と緒方さんが笑いながらツッコんだ。
ファンからの質問コーナーも印象的なやり取りが続いた。
こだわりポイントを問われた小高氏は「食堂の水槽など、オブジェクトを調べた時のセリフを周回ごとに変えた」という細かい仕込みを告白。「木曜日って”もきゅ曜日”って言うと可愛いよな、と入れたりしてた」という愛らしいエピソードに会場が沸いた。
木村さんは澄野が「極限と絶望」を味わったシーンの筆頭として1周目の蒼月の鎌シーンを挙げ、「台本読んでて普通にビビりました」と振り返った。
演技のこだわりを問われた櫻井さんは、蒼月が「醜い化け物」「臭い」と言い続けるキャラクターについて「その描写を想像すると気持ち悪くなってきて、蒼月に同情しながらやっていた」と明かした。
長台詞の連続シーンをほぼワンテイクで収録したというエピソードには、小高氏も「さすがだな、気持ち悪いなと思いながら(褒め言葉)」とコメントした。
緒方さんへの「小高作品の特徴をどこに強く感じますか?」という質問では、「人と違うぶっ飛んだことをしたいというのが先頭に立ちつつ、絶望の中に希望の光を見せようとする。それでいて遠慮なくエロを突っ込んでくる」と鋭く言語化。
「『この女性声優にこのセリフを言わせるんですか?』というものが山のようにあった」という一言に、会場は大きく沸いた。
説得チャレンジ、センブリ茶、そしてサプライズケーキ
夜の部のバラエティーコーナーは「澄野・蒼月 説得チャレンジ」。特防隊脱退をちらつかせるキャラクターを、キャストチームとクリエイターチーム(小高氏)がそれぞれ書いた台詞で説得するという企画だ。
澄野の不満は「主人公なのにひどい目に遭いすぎ」。
小高氏の回答は「拓海はみんなのお母さんなんだから我慢しなさい」。対するキャストチームは「わかったよ。君は本当に醜いな。もっとひどい目に遭いたいんだね。澄野滅ルートを用意してあげるよ」と、説得とは名ばかりの脅迫に近い一手を繰り出した。会場の判定はキャストチームの勝利。
続く蒼月の説得はキャストチームの自滅に終わる。「蒼月、これで終わりだ」という事実上の殺害宣告に、蒼月演じる櫻井さんは「肝心なところでやらかしちゃったね」と一蹴。罰ゲームとして木村さんには「とっても苦いセンブリ茶100ml」が課された。
ここで会場の熱が頂点に達した直後、MCを務めた田口尚平さんが「敬意を表してこんなものをご用意させていただきました」と切り出し、木村さんの新人声優賞(第20回声優アワード)受賞を祝うケーキがサプライズで登場。
木村さんは「大好きな作品のイベントで祝ってもらえるのは感無量すぎて、目がいっぱいです」と感極まった。罰ゲームの直後に祝賀へと反転する、緩急の激しい構成が夜の部らしかった。








