レトルトのひとことレビュー(※ 長めです!)
面白かったところは、もうたくさんあります。まず、雰囲気作りが独特。
美術館という、あまりホラーゲームではテーマにされてこなかった場所を持ってきたのがすごい。しかも、そこに飾られたゲルテナという画家の生み出した作品が不思議な力を持っていて、その中に女の子が吸い込まれていく――もうこれだけで、本当に面白いじゃないですか。しかも、ゲームのギミックも本当によくできている。
ホラーとしての面白さも、なんだか不思議です。追われるような恐怖はあるけど、基本的には幽霊のような怖さではない。まったく前例がないホラーゲームだと思います。しかも、展開は何が起きるかわからないし、ストーリーがどこに向かうかも予想できない。その感じは『ゆめにっき』に近いところがあるかもしれないけど、とにかく謎めいていて怖い。
ギャリーが好き
あと、キャラクターも魅力的ですよね。そもそも当時のホラーゲームって、まだ男の主人公が多かった気がするんですが、ここから小さな女の子が主人公として登場するゲームがどんどん出てきた気がします。
しかも、このゲームはそんな女の子の相方がギャリーという「オカマ」(笑)。普通は男女のコンビって、女子高生と男子高生だとかになりそうなのに、このゲームは違った。ちなみに、ギャリーは僕がこのゲームで一番好きなキャラです。僕はオカマってよくわからなかったのですが、ギャリーのおかげでとても良いものとして捉えられるようになったくらい。もう、本当に素晴らしすぎですね。
それに、2人の関係性もいいですよね。イブが女の子でギャリーが男だったら、普通に考えたら恋愛関係になりそうなところだけど、そうはならない。イブは作中ではしゃべらないけど、そもそもギャリーと年齢差もあるし、きっと趣味も性格も考え方も何もかもが違うはず。でも、そんなオカマと女の子の間に「友情」が成立している。そういうのが、すごくいいなと思いますね。
実況したのはたまたま
実は、僕はこの頃はフリーのホラーゲームをほとんどやってなかったんです。だから、この作品をプレイしたのはたまたまです。確かTwitterで、誰かが教えてくれたんじゃなかったかな。あと、ずっとPCのスペック的にPCゲームの実況が録れなかったのが、この時期にパソコンを買い換えたことでプレイできたというのもあります。いま思うと、タイミングが色々と重なっていたんですね。
そもそも、僕がフリーホラーゲームを色々とプレイするようになったのは、この作品からでした。こんなにフリーホラーゲームって面白いんだ、と気づかされた作品でした。
この実況動画は、最後までいっぺんに録ったんですよ。だから、動画へのコメントなんかの反応も関係あるわけなくて、ただただ一人でプレイしています。でも、そのときに自分が録りながら感じていた「ここは嫌だ!」とか「え、ここで死んじゃうの!」みたいな気持ちを、他の人も感じてくれたのかな、と思います。実況動画を投稿してから、もう一度自分の動画についたコメントを見返しながら一周したときに、そう感じました。
当時の僕は実況の投稿を始めて、まだ一年くらい――そんなに多くの人に見てもらえる機会もなかった頃だけど、このゲームは本当に色んな人から反応がありました。「ああ、こんなに良いゲームだったんだ」と、みんなの反応を見ながら、あらためて思った覚えがあります。
もし『Ib』の続編が出たら
あと、この作品で好きなのは、分岐があるところです。でも、その分岐で出てくるラストは、ハッピーエンドのように見えるエンディングでさえも、決して登場した誰もが幸せになれるわけじゃない。「ああ、幸せって難しいんだな」と思いますね。
しかも、この作品は追加でアップデートされていったんです。特にゲルテナという人物についての追加アップデートが来たときに、ゲルテナ作品の世界観がガッと広がった感覚が僕の中であったんですよ。そうなると、「なんでゲルテナはこんな作品を作ったんだろう」とか「ああ、このゲルテナ作品では別のゲームが生み出せそう」みたいなことを考えてしまう。
もし『Ib』の続きが出たとしたら――ぜひまたプレイしたいし、ぜひ実況したいです。
Ib
発売年月日 | 企画・製作 | プラットフォーム |
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2012年2月27日 | kouri | Windows |
特記事項 | ||
なし |
2012 kouri