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『VRカノジョ』はプレイヤーが“ただのVRエロゲー”から“面白いことができるVRゲーム”にシフトさせていた――開発者×プレイヤーが示した新たな可能性とは

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 通常ゲームメディアが、成人向けゲーム──俗にいうアダルトゲーム/エロゲーを取り扱うことはほぼない。
 だがアダルトゲームがほかのゲームや周辺メディアに与えてきた影響は計り知れなく、本来ならばその影響と功績は、後世に残されてしかるべきではないだろうか。

 また近年はVRの到来により、バーチャル空間で展開されるアダルトゲームが多数登場している。その中でも代表的なもののひとつに『VRカノジョ』が挙げられるだろう。

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 この作品は長年3Dポリゴンでアダルトゲームを作り続けているアダルトゲームメーカー・ILLUSIONの手によるもの。2018年2月で発売1周年を迎え、4月9日にはSteam版もリリースされた。

 『VRカノジョ』は、バーチャルな女の子と濃密なスキンシップが行えるゲームだ。従来の3Dアダルトゲームにはなかった、VRゴーグルを通じた没入感と、VRコントローラーによるリアルな触れ合いがアダルト題材という極めて個人的な体験と抜群にマッチ。

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 プレイヤーは、近所に住む女の子“夕陽さくら”に勉強を教えるという名目で彼女の家を訪れ、彼女との距離や関係を縮めて急接近すると……というストーリーが展開される。

 こうした内容からもとより話題を集めていた『VRカノジョ』だったが、本作がいっそう注目を浴びるようになったのは、むしろ発売後だろう。まずはシステムメッセージによって「プレイエリアの外です」と野暮なことを言われないことが話題となった。

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 この「プレイエリアの外です」とは、PlayStation VRのゲームで表示される警告のひとつで、たとえば『サマーレッスン』プレイ中であれば、女性キャラクターのスカートの中を覗こうとするなど、プレイヤーが設置されたカメラのトラッキング外に出ると表示されるもの。
 そのため、プレイヤーからは「警告でパンツが見えない!」という意見をよく耳にした。だがそもそも『VRカノジョ』はアダルトゲーム。そうした行為はたやすく行えたのだ。

 ところが興味深いのは、そういうセクシャルな部分ではない点まで──ニコニコ動画やTwitterに投稿されていた動画によって大きく話題になったことだ。

 それらの動画では性的な行為は行われず、ある種のコメディー的な、エロとは別の自由度という面から『VRカノジョ』は注目されていくことになったのだ。
 その拡散力は凄まじく、動画の面白さも相まって本作の知名度は格段に向上。動画を投稿したプレイヤーは、いつしか“世界一『VRカノジョ』を楽しんでいる男”と呼ばれるようになった。

 本稿は、このようにして話題となった『VRカノジョ』の発売1周年を記念し、『VRカノジョ』の成功と同作をめぐるILLUSIONの思想に迫るインタビュー記事である。
 話を伺ったのはプロデューサーの大鶴尚之氏、リードキャラクターアーティストの平井雄一氏、そして プレイヤー代表として“世界一『VRカノジョ』を楽しんでいる男”ことhisabilly氏の3名だ。彼らの話から、『VRカノジョ』が成功するべくして成功した理由が明らかになった。

聞き手・文/クリモトコウダイ
写真/レオ・ハリス


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画像左:大鶴尚之氏、画像中央:hisabilly氏、画像下:平井雄一氏

この現象はPC-8801版『イース』以来

──『VRカノジョ』が発売から1周年を迎えました。ILLUSIONさんの過去の作品と比較したとき、反応に違いはあったのでしょうか。

大鶴尚之氏(以下、大鶴氏):
 見たいところを見られて、したいことができる──VR作品ということで、体験された方からは「いままでのゲームとは違う楽しみかたができる!」という感想を多くいただいています。

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大鶴尚之氏(収録はイベントのバックヤードで行った)

 何より、「女の子との距離がこれまでとは全然違う」と直感的に感じられた方が多いですね。

平井雄一氏(以下、平井氏):
 そもそも過去の作品とはユーザー層が違いましたね。過去に我々が手掛けてきた作品には、恒常的にエロゲーを楽しんでいる方が多かったのですが、『VRカノジョ』に関しては、「VRには興味があるけど、エロゲーはやったことがない」という層にまで広がりましたね。

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平井雄一氏

──いわゆるガジェット好きや、非エロのPCゲーマーも興味を持ち、本作をプレイしていたんですね。

大鶴氏:
 じつはPCショップのツクモさんとコラボレーションして『VRカノジョ』推奨PCというものを販売しているのですが、店頭で「『VRカノジョ』が動くパソコンはどれだ?」という問い合わせがかなり多いそうなんですよ。これはツクモさんいわく、「こんなことがあったのは『イース』の発売以来だ」ということです。

──え、あの『イース』ですか?

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『イース』PC-8801版プレイ画面
(画像はプロジェクトEGG|イースより)

大鶴氏:
 そうです。あのときは「『イース』がしたいからパソコン(PC-8801シリーズ)をくれ」という問い合わせが多かったらしいんですが、それ以来──およそ30年ぶりの多さで「特定のソフトを遊びたいからパソコンをくれ」という問い合わせが来ていると(笑)。

──それはレジェンド級ってことじゃないですか! それだけの反応を得られたのは制作者冥利ですね。

我々は10年20年先を見据えている──と言っていたのがちょうど20年前

大鶴氏:
 ええ、『VRカノジョ』はそもそもOculus Rift DK1【※】のころから構想していたものなので、ここまで広がってくれて本当に嬉しく思っています。

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※Oculus Rift DK1……2012年にOculus社より発表された、開発者向けバージョンのVRヘッドマウントディスプレイ。DK1とは「Development Kit 1」の略称。2014年には新型のOculus Rift DK2、2016年には製品版のOculus Rift CV1が発売された。
Image by Sebastian Stabinger. Licensed under the terms of cc-by-3.0.)

──『バーチャルボーイ』や『VR-1』などひと昔前からVRをゲームに活かそうという試みはありましたけど、やはり2012~13年ごろのOculus Rift DK1登場の衝撃は大きかったですよね。

大鶴氏:
 そうですね。あまりに衝撃的で、あれを見た瞬間に「VRを使ってアダルトゲームを作らなきゃいかん」と体に電気が走ったんですよ。「これを使って女の子のスカートを覗かない手はない──いや、覗きたいんだ!」と。

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──(笑)。

平井氏:
 何より弊社は『リアル彼女』という『VRカノジョ』の前身となった作品を含め、対話型のエロゲーを昔から出しています。それがウリであり、お客様が求めているものでもあったので、作品にVRを取り入れたのは、ある意味で自然な流れでしたね。

──いまでこそ“VR×エロ”は想像しやすいのですが、DK1の当時はそうではなかったと思うんです。開発はスムーズにスタートしたのでしょうか?

大鶴氏:
 VRの話を会社に最初にしたときは、ポツーンって感じで……。「凄いけど、売れはしないよ」という反応でした。でも「これを使ってエロゲーを作らないなんて、将来何も面白くならない」と強く思いまして、3人のコアメンバーで頑張って作っていったんです。

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──3人!? そんな小規模なものだったんですね。あまり順風と言えない状況だったけど、プロジェクト自体は細々と続けていったと。コアメンバーの皆さんの情熱を支え続けたものは何だったのでしょう?

平井氏:
 1997年に『魔界』という、弊社の3Dとしては2作目となるエロゲーが出たんです。
 そのときの広告に「僕たちは10年後20年後を見据えてゲームを作っている。そうじゃなければエロゲーでポリゴンなんて使わない」と書かれていて、そのひと言に非常に感銘を受けまして。

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 その20年後が──じつはいまなんです。だからいま我々は、いまからさらに10年20年を見据えてゲームを作っているんです。

大鶴氏:
 『VRカノジョ』も発売前の段階では、いまほど売れるとは思っていなかったんですが、「未来につなげるためにも、失敗してでもやるべきだ」という思いがありました。結果、幸いにも売れてよかったです。

──言ってみれば、ILLUSIONさんの20年越しの想いですからね。そういう部分でILLUSIONさんは、非常に生真面目ですよね。

大鶴氏:
 ええ、真面目に新しいことをやらないとメーカーとして生き残っていけませんから。もちろん失敗も多いんですが(笑)。

平井氏:
 何より、同じことばっかりしていると、お客さんが飽きちゃうんですよ。だから企画を立てるときは毎回、新しい要素を必ずひとつふたつは入れるようにしています。

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 『VRカノジョ』に関しては、VRの空間を楽しむものであるため、うちのほかのエロゲーに比べてゲームとして用意されているボリュームは少ないのですが、「アダルトはVRで何ができるのか」を示すことができたと思っています。……いやー、でも本当に成功してよかったです。

開発中の悲劇「もげちゃうぅ」

──ILLUSIONの皆さんにとっても、VRでのアダルトゲームは初の試みだったわけですが、実際に手がけるとなってからあらためて意識したことなどありましたか?

大鶴氏:
 まずコンセプトは「普通の女の子を登場させる」ことだったんです。また着手の当時はまだVRは世に知られていない、ある種のキワモノだったので、より多くの方にVRのよさをアダルト方面から知ってもらおうと思いまして、表現する女の子は軽いタッチと言いますか、清純なほうがいいだろうと決めました。

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平井氏:
 だからヒロインのサクラちゃんは“濃くない”というか、特徴的なキャラクターにはせず、ある意味取っ付きやすくしています。そのほうが可愛らしさも際立ちますからね。

大鶴氏:
 ただその結果、「キャラクター以外の部分をどうするか」という課題が生まれました。

──VRは空間の表現ですからね。

平井氏:
 そうです。「マップをどのくらいリアルにするのか」について、いろいろと検証しては作ってみてリテイクを繰り返したんですが、キャラクターがリアル寄りでしたから、背景がチープだとキャラクターが浮いてしまうんですよ。
 ですから実際にあるものをとことん参考にして──お風呂なども自分の家の風呂を参考にしています(笑)。

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大鶴氏:
 部屋にあるものも、あまりキャラクター的なアクセサリーなどは置かず、いかに普通を表現できるかに力を入れましたね。

平井氏:
 ゲーム以外のアダルトVRは、受け身が基本。相手から攻めてくるんですが、ゲームであればこちらから攻めることができる。

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 『VRカノジョ』ではそこを実現したかったんです。そういう自由度の高さがほしかった。

大鶴氏:
 360度映像は普通の映像と違ってキョロキョロすることができますが、人が周囲を見るのは、だいたい探し物をしているときや道に迷ったときで、人を普通に見るときはキョロキョロしたりしないじゃないですか。
 人を見る場合は、その人を基準として、いろんな角度や方向から見たりするんです。でも360度映像だと、それが難しい。

平井氏:
 それにVRのAVは、最初は興奮するんですが、空間の中に忽然とモザイクがあるから醒めちゃうんですよ。

──モザイクの問題はありますよね。没入感が阻害されて「ああ、自分は映像を観ているんだ」と思ってしまう。

大鶴氏:
 本当はとことんリアルを追及したいんですが、そこにリアルでないものが紛れ込むと、途端に現実に戻されてしまう。また没入感について言えば、リアルさよりもむしろ女の子との距離やしぐさなど、そういった部分が重要になります。

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 うまく没頭させられると「あ、これVRだった」となるほどにできるんですよ。『VRカノジョ』はそういった部分のトータルバランスが上手くいったと思います。

平井氏:
 本当に没入すると、なぜか女の子の温度を感じるんですよね。VRだから温度なんて感じるはずがないんですが、女の子が前に来ると、なぜか感じてしまう。

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──脳が騙されている状態なんでしょうかね。

大鶴氏:
 だからキスをするときもこちらが照れるんですよね。Hシーンも「こんなことしてごめんなさい」と思いながらテストプレイしていました。VRだと想像以上に罪悪感が生まれるんです(笑)。

平井氏:
 手で奉仕してもらうシーンも、最初はふざけてもの凄いスピードにしていたところ、「もげちゃうぅ」って感覚に襲われて(笑)。いやー、VRって凄いですよね。

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──(笑)。

大鶴氏:
 バグで高速で動いたときなんかたいへんだよね(笑)。「これはやばい」って(笑)。

平井氏:
 そうそう(笑)。そういえば、そのもげたりもげなかったりする部分は、製品版では単純なスティックの形をしていますが、最初はもっとリアルだったんですよ。当然お蔵入りになりましたけどね(笑)。
 僕らの先輩世代からの伝統なんですが、なぜか我々はそこの作り込みを極めてしまうんですよ。

──愛おしいんでしょうね(笑)。

大鶴氏:
 開発中はリアルとバーチャルを行き来しているせいか、どんどんその境目がなくなっていくのを感じて、「これは規制されるんじゃないか」と思うときもありましたね。

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 だからそういうことも考えて、どんな影響があるか計り知れませんから、グロテスクなものやバイオレンス的な表現は一切していません。リアルにし過ぎると怖いことが起こるかもと。あくまでファンタジーだからいいんです。

──リアルとファンタジーのさじ加減……なるほどです。

平井氏:
 『VRカノジョ』は、あの子が無敵だからいいんですよね。

動画が“ただのVRアダルトゲーム”を“面白いことができるVRゲーム”にシフトさせた

──それにしても、ここまで話題になると思ってはいなかったんじゃないでしょうか。

平井氏:
 動画の影響が大きいと思います。SNSでプレイ動画を投稿してくださっている方がいらっしゃるんですが、その方にはめちゃくちゃ感謝しているんです。どんだけ“スゲーやつ”なんでしょうね。

──ということで、今日はその世界一『VRカノジョ』を遊んでいると言われている“スゲーやつ”をお呼びしたんです。

大鶴氏:
 ……え?

平井氏:
 ……まさか。

hisabilly氏:
 ……はい、私が動画投稿のhisabillyです。

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hisabilly氏

平井氏:
 えええ! 取材に同席されているライターさんだと思っていました(笑)。

──じつは今回、『VRカノジョ』をより深堀りするならと、hisabillyさんを聞き手としてお呼びしまして。

大鶴氏平井氏:
 お会いできて光栄です!

hisabilly氏:
 こちらこそ光栄です(笑)。素晴らしいゲームをありがとうございます。先ほどユーザー層の違いの話がありましたが、僕はいわゆるエロゲーマーなので、『VRカノジョ』のために30万円出して新しいパソコンとHTC Viveを購入しました(笑)。これまでのマシンじゃスペックが足りなくって。

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平井氏:
 おお……その結果、あんな面白い動画が生まれたと……。

大鶴氏:
 全体の売り上げの1割2割はhisabillyさんのおかげなんじゃないかと思います。

hisabilly氏:
 そこまではないですよ(笑)。

──hisabillyさんはさまざまなアダルトゲームをプレイされているとのことですが、『VRカノジョ』をプレイされてみて、何を感じたんでしょうか?

hisabilly氏:
 とにかく衝撃的でしたね。VR自体は“VR ZONE”などですでに体験していたんですが、エロゲーがVRになると言うことで、発表以来、ずっと注目していまして、発売前にパソコンを買い、発売と同時にソフトを購入しました。ですから自分にとっての初めてのアダルトVR体験になります。

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 それで何が衝撃的だったかというと、部屋の外に出て、木の脇から部屋を覗いたら、そこに女の子がいたことです。「これはさまざまなシチュエーションが再現できるぞ」、「これはエッチなことをしなくても面白い」とやっぱりその自由度に驚いたんですね。

平井氏:
 じつは最初は、エロに関係ない物は全然動かせなかったんですよ。でもデバック中に、「あれ? これ動かせたら面白いんじゃない?」と気づき、いろいろなものを動かせるようにしてもらったんですよ(笑)。

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大鶴氏:
 ただ実際に動画を見ると、「そんな使いかたがあったのか!」と我々が想定していない使いかたをされているのがもう驚きで(笑)。木を登る演技とか凄すぎです。

平井氏:
 あれは手の動きがいいですよね。

hisabilly氏:
 『VRカノジョ』って、自分のキャラクターとは別にカメラを動かせるじゃないですか。だから木に登っているときも何か台を使っているわけじゃなくて、カメラを上手く動かして登っているように見せているんですよ。

大鶴氏:
 その発想はありませんでしたよ(笑)。

──敬語になっていますね(笑)。

大鶴氏:
 いやいや、hisabillyさんは『VRカノジョ』の可能性を広げてくれた方ですよ(笑)。あの動画がなかったら、『VRカノジョ』はただのVRエロゲーで終わっていたんですが、動画のおかげで「面白いことができるVRゲーム」にシフトできたんです。

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平井氏:
 VRゲームの本当の楽しみかたを体現された方ですよね(笑)。何か演劇部などに入っていたんですか?

hisabilly氏:
 いえいえ、ただのエロゲーマーですよ。僕の家は広いわけではないんですけど、とはいえ思う存分遊ぶにはある程度の広さが要りますので、『VRカノジョ』のために机を捨て、ソファを捨て──と、とにかく物を排除して遊ぶ場所を確保しています(笑)。

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──本気ですね(笑)。そこまでhisabillyさんを虜にした要因は、やはりゲーム内での自由度の高さなんでしょうか。

hisabilly氏:
 その通りですね。『VRカノジョ』はいろいろと発想できる余地が残されているゲームなんですよ。「ここでこんなことができるんじゃないか?」って。もう女の子が出なくても十分に面白い(笑)。

平井氏:
 『VRカノジョ』はエロゲーですけど、先ほども言いましたように、自由度の高いゲームを目指して開発していたんです。

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大鶴氏:
 空間だけ作って、ある意味では投げっぱなしでもあるんですが、とにかくできることをとことん注ぎ込んだんです。だから物を持ち上げてもストーリーが変化するわけではない。でもそこにhisabillyさんがストーリーをもたらしたんです。

hisabilly氏:
 そう言っていただけると嬉しいですね……。

──一方、hisabillyさんのほうにはどんな反響が届いているんでしょうか?

hisabilly氏:
 「ブラジャーの外しかたが分からない」という動画を上げているんですけど、あれのせいで童貞認定されました(笑)。もう、動画を投稿した翌日あたりから、ブラジャーの外しかたを説明したリプライがたくさん届いて……「慣れれば片手でできますよ」とか(笑)。

大鶴氏:
 大丈夫です。開発者全員、「童貞だろ」と言われていますから(笑)。

──開発者、hisabillyさん、ユーザー、視聴者と、『VRカノジョ』をめぐる界隈には、なんだか中学生男子のような連帯感がありますよね(笑)。

真の自由度はアダルトゲームにしかない

──ここからは少し真面目な話をしたいんですが、先ほどから「自由度」という言葉が幾度となく登場していますよね。『VRカノジョ』の成功はこの自由度があってこそだと思います。
 ですがよくよく考えると、ILLUSION
さんの作品は昔から自由度が高い。そこを突き詰める社風のようなものがあるんでしょうか。

大鶴氏:
 それはありますね。3Dって、いちばんいいところを上手く使うと幅広さや自由度が上がるんです。その意味で女の子のカスタマイズなど、そここそが弊社の得意分野なんです。

平井氏:
 いまはほかのゲームでも採用されていますが、“おっぱいスライダー”を最初に作ったのはうちなんですよ。ですが、うちの場合は乳輪も乳首の立ち具合も自由自在です(キッパリ)。

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大鶴氏:
 もう自由度が高すぎて、よくわからなくなりますよ。それこそゲームによっては、ゲーム内でZガンダムを作るプレイヤーさんまで現れたり……しかもちゃんと変形するんですよ(笑)。

──意味がわからない(笑)。

平井氏:
 小物を組み合わせて作っているんですよね(笑)。たとえれば『マインクラフト』みたいな感じですね。

hisabilly氏:
 ILLUSIONのユーザーさんには、そういう玄人が多いイメージがありますね。

──もはや話がエロと関係なくなっています(笑)。

大鶴氏:
 でも真の自由度を実現するにはエロゲーである必要があるんです。

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──どういうことでしょうか。

大鶴氏:
 エロゲー以外のゲームでは、エロはできないじゃないですか。その時点ですでに自由度は低いんです。エロゲーのいい部分は、エロもOKだし、エロ以外もOKというところなんです。

──なるほど……!

大鶴氏:
 hisabillyさんのように表現をされる皆さんも、エロゲーでなければエロにまつわる表現ができませんしね。我々はそういうエロゲーを日々真面目に作っています。

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──そういえばILLUSIONの皆さんはスーツを着てゲームを開発されていると聞いたことがあります。

大鶴氏:
 その通りです。

平井氏:
 ネクタイも着用しています。

大鶴氏:
 僕らはスーツを着ておっぱいを揺らしているんです。「自分たちの身だしなみからしてきっちりとしていないと、やっぱりいいものは作れない」という考えかたなんですよ。

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hisabilly氏:
 スーツですか……そういえば大鶴さんは、あまりエロゲーに関わられている雰囲気がありませんね。

hentai masterと呼ばれた男

──せっかくなのでお伺いしたいんですが、皆さんはなぜアダルトゲーム業界に入られたんでしょうか。

大鶴氏:
 私はアリスソフトさんの初代『ランス』に衝撃を受けまして。「エロがなくても十分楽しい。エロゲーでこんなことができるんだ」って驚いたんですよ。
 のちにILLUSIONに入る前に『監禁』という作品をプレイして3Dの凄さを知り、入社に至るんです。

平井氏:
 僕はPC-98からのエロゲーマーなんですが、xyzの『緊迫の館』というゲームが凄く好きで、あれ、いろいろ食べたりするのが衝撃的で。あれで完全に性癖がおかしな方向に向きましたね。あとはILLUSION作品の『犬どもの地獄』など、アニメーションとCGが混合する作品を好んでやっていたので、弊社に入りました。

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hisabilly氏:
 あー! ありましたよね。ILLUSIONさんだと他にも『まんぐり』『生本』とか。

平井氏:
 そういう系のシリーズですね。入社後は毎月10本はエロゲーを買っていました。ずっと彼女もいませんから、すべてのお金をエロゲーに捧げられるんです。そして絶対に積まないようにしていますし、CGが100%になるまで実用に使いません。

hisabilly氏:
 これ、エロゲーメーカーさんの前で言うのもなんなのですが、僕、エロゲーを実用に使ったことがないんですよ。もちろんHなCG目当てで遊んでるんですが、Hなシーンを迎えると満足してしまうと言うか。

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──えー!?

平井氏:
 いやでも気持ちはわかります。CGなども埋まっていくことに達成感を感じ、絵を見るのが楽しいんですよね。だからエロシーンは全部スキップして、フルコンプ後に活用しながら見ます(笑)。僕はそれが醍醐味だと思っていて、36年間続けています。

hisabilly氏:
 え、僕も36歳ですよ!

平井氏:
 おおお! 僕はILLUSIONに入って16年。まさかの同世代……(笑)。16年間ずっとエロゲーを作っています。エロゲーを作って得たお金でエロゲーを買っています。

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hisabilly氏:
 リサイクルされている(笑)。

──いやー、皆さんアダルトゲームにかける思いが凄いですね。

大鶴氏:
 やはりエロゲーは表現の枠が広いのがいいんですよね。もちろんやってはならないことはあります。ですが、とくに作る側になってからは、その中で「どれだけやりたいことをするか」が醍醐味だと感じるようになりました。自社のヘンタイなものがとにかく好きなんです。

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平井氏:
 僕は先日海外で「hentai master」と言われましたよ(笑)。
 『VRカノジョ』をアニメエキスポという海外のイベントに出展したんですが、お客さんの前でおっぱいを「ガァー」って揉むデモをしていたら、「Oh! hentai master!!」と褒めてくれたんです。我々はクレイジージャパニーズでいいんですよ。

大鶴氏:
 我々は胸を張ってエロゲーを作っていますからね。ゲームでスカートを覗きたかったら、覗くんです。

今後VRが発展するために必要なモノとは?

──『VRカノジョ』以降はどんな活動をされているんでしょうか。

大鶴氏:
 昨年、“IVR(ILLUSION VR)”という一般向けのVRブランドを立ち上げまして、現在『SUMMER VACATION VRカノジョ サマーバケーション』『VRカレシ』という2作品を開発しています。

平井氏:
 『サマーバケーション』はヤバいですよ。自由度が半端ないです。

大鶴氏:
 鋭意制作中で、よりボリュームと自由度が増すように頑張っています。また一般向けではないのですが、将来的にはマンガの『ルサンチマン』【※】じゃないですけど、バーチャルセックスをどこまで実現できるのかに挑戦したいですね。

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※ルサンチマン……花沢健吾によるSF漫画作品。『ビッグコミックスピリッツ』誌にて2004年から2005年にかけて連載。モテない三十路の男が現実世界を諦め、仮想現実世界で美少女AI・「月子」との関係を築いていく。
(画像はAmazon|ルサンチマン(1)Kindle版より)

hisabilly氏:
 いまのVRゲームはやっぱり手応えに乏しく、映像で何かに触れても、手の感触は空を切るじゃないですか。『ルサンチマン』のように、感触がフィードバックされるようになれば凄いことになりますよね。

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大鶴氏:
 触ったときの感覚の再現については、作りながらつねづね考えていますね。

hisabilly氏:
 ただ『VRカノジョ』は、胸やお尻などに触れた際にコントローラーのが振動するじゃないですか。あの振動があるとないとでは全然違いますよね。

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大鶴氏:
 現状ではそれが限界で、これ以上はそれこそ一般消費者向けの全身スーツなど、新しいデバイスが必要なんですね。ことエロに関して言えば、意外と「触る」よりも「触られる」感覚が欲しいんですね。

──それはVR全体についての、かなり重要な示唆である気がします。そうしたことを踏まえ、今後VRがさらに発展するには何が必要だと思いますか?

大鶴氏:
 VR全体で言うなら、アダルトの力もありますが、どれだけ非アダルトが出てくるかだと思います。ゲームだけじゃ不十分で、もっともっとほかの分野でも盛り上がっていくことが必要だと思いますね。

平井氏:
 まあ、僕らはエロゲーを作り続けますけどね(笑)。

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大鶴氏:
 そして何よりライバルが必要ですね。それこそILLUSIONを脅かす存在。やはりライバルがいないと切磋琢磨がありませんし、何より市場が大きくならず、ある程度以上は売れないので。
 市場を争うライバルに増えてほしいですね。ですからいまはほかの会社さんに我々はどんなお手伝いができるのか──ということをよく考えています。

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 また、もっと市場を大きくするには女性向けの作品も必要だと思っています。弊社はそういった考えから『VRカレシ』の開発を行っています。

──『VRカレシ』は市場拡大のための一手なんですね。そういえば『VRカノジョ』も女性の方たちが体験会などでプレイされていますね。

大鶴氏:
 女性からの反応は予想以上にありますね。「パンツ覗ける!」、「おっぱい揉める!」というダイレクトなもの(笑)。対女性であれば、男性よりも女性のほうが恥ずかしさがないぶん、オープンにリアクションが取れるのかもしれません。

hisabilly氏:
 女性がエロゲーの体験会でわいわいプレイしているのは今っぽい風景って感じがします(笑)。冒頭の話にもあったように『VRカノジョ』は若い方も多くプレイしていますよね。

『VRカノジョ』はプレイヤーが“ただのVRエロゲー”から“面白いことができるVRゲーム”にシフトさせていた――開発者×プレイヤーが示した新たな可能性とは_040

 昔の話ですが、1990年代のPC-98エロゲーが全盛期だった頃、例えばエルフの様な超有名メーカーだとプレイヤーの多くが10代や20代だったそうなのですが、そんな中、ILLUSIONのゲームを遊んでいるプレイヤーの多くは30代以上で、ILLUSIONさん自身が「当社の作品はR40です」なんて冗談も言ってたじゃないですか。

平井氏:
 よくご存知ですね(笑)。まったくもっておっしゃるとおりです。

hisabilly氏:
 当時はおじさん向けのエロゲーを開発して、若い子があまりエロゲーをしなくなったと言われる現在に、『VRカノジョ』は老若男女問わず幅広くプレイされ注目されている。なんか面白いですね。

『VRカノジョ』はプレイヤーが“ただのVRエロゲー”から“面白いことができるVRゲーム”にシフトさせていた――開発者×プレイヤーが示した新たな可能性とは_041

大鶴氏:
 VR専用と銘打ったからからもしれませんね。これはVRの発展を考えたときに、「パッチ対応ではいかんだろう」と考えたんです。VR専用と覚悟して、高いものですがユーザーさんには機材も買っていただこうと。その代わりすばらしいVR体験を提供しますと。

──なんだかVR業界全体を背負っている感がありますね。

大鶴氏:
 たいへんおこがましいですが、アダルト方面からVRをどれだけ盛り上げられるかは、つねに考えています。
 そのため価格も4980円なんです。いまのVRゲームには低価格のものが多いんです。ですがVR業界全体の将来を考えると、もう少し引き上げないと「元が取れない」と言いますか、「発展が遅くなる」と思うんですよ。

『VRカノジョ』はプレイヤーが“ただのVRエロゲー”から“面白いことができるVRゲーム”にシフトさせていた――開発者×プレイヤーが示した新たな可能性とは_042

 ある程度は儲からないと次のソフトに繋がりませんからね。だから弊社は少し高めに設定させていただいています。ほかのメーカーさんもそれに追従してくださると嬉しいですね。

平井氏:
 低価格が主流になっちゃうとなかなか上げにくいじゃないですか。だから我々は何とか下げずに……という感じなんです。

hisabilly氏:
 昔のエロゲーの多くは定価が6800円から8800円ぐらいだったと思うんですけど、そんな中でエルフが1995年に『同級生2』を9800円で出した事で、エロゲー業界がざわついたそうじゃないですか。

『VRカノジョ』はプレイヤーが“ただのVRエロゲー”から“面白いことができるVRゲーム”にシフトさせていた――開発者×プレイヤーが示した新たな可能性とは_043

 当時のエロゲー誌で他メーカーの方も語られていましたが、あの価格は当時最大手のエルフだから許されたんですよね。実際『同級生2』はめちゃくちゃ売れましたし。
 こんな感じで大手のメーカーが少し高めの価格設定にするのは大切だと思うんですよ。儲からないくらい価格を下げるというのはもってのほかで……それこそ今後、クオリティの高いVR作品を開発するメーカーの参入が難しくなってしまうでしょうしね。

大鶴氏:
 VR業界全体で「ソフトを安くしよう」という空気感がありますので、そこは何とか変えたいところですね。

平井氏:
 そうしないと最終的にどのメーカーも共倒れになりますからね。

大鶴氏:
 先ほども言いましたが、ある程度儲けて多彩なタイトルが出せないと市場が広がらず、VR自体が発展しませんからね。だからエロだけではなく、多彩なジャンルからVR作品が出てきてほしいですね。我々はエロを作り続けますから。

──めちゃくちゃ真面目なお話でビックリです。

平井氏:
 先ほども言いましたが、じつは真面目な企業なんです(笑)。(了)

『VRカノジョ』はプレイヤーが“ただのVRエロゲー”から“面白いことができるVRゲーム”にシフトさせていた――開発者×プレイヤーが示した新たな可能性とは_044

 「アダルトはVRで何ができるのか」を見事示した『VRカノジョ』。だがそれ以上に、本作は「VRが持つ自由度という名の面白さ」を示したのではないだろうか。
 この自由度は、20年先を見据えた想いと、それに感銘を受けたクリエイター、そしてアダルトゲームというジャンルが合わったからこそ実現できたものである。真の自由度を実現するにはアダルトゲームである必要があるとインタビューで語られていたが、まさに一般的なゲームではタブーとされるエロを取り込まずして、この自由度はなかったと言えよう。

 そして何より興味深いのは、その自由度を最大限に堪能し、楽しみかたを示してくれたのが、いちプレイヤーだった、ということだ。hisabilly氏が投稿した動画は、“ただのVRアダルトゲーム”を“面白いことができるVRゲーム”にシフトさせ、『VRカノジョ』の可能性を広げたのだ。

 プレイヤーとゲームの関係性は、一方的に作られたものをプレイヤーが楽しむところから始まっているが、現在はプレイヤーがゲームを遊ぶという単純な構造から飛躍し、ゲームをプレイする姿を鑑賞して楽しむという、観る文化に至っている。
 一方VRゲームに関しては、HMDのしわざで、ひどく個人的な体験で、共有性は乏しいと言わざるを得なかった。それだけに、hisabilly氏のプレイ動画が楽しさの共有に繋がっていることは、大変興味深いのだ。

 おそらくこの自由度とその楽しみかたの関係は、『VRカノジョ』に限らず、もっと普遍化できるものだ。そういう意味で、『VRカノジョ』とhisabilly氏が示したものは、今後のVRの楽しみかたと楽しまれかたの可能性に新たな道を示す貴重な一歩だったように思える。

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インタビュアー・著者
『VRカノジョ』はプレイヤーが“ただのVRエロゲー”から“面白いことができるVRゲーム”にシフトさせていた――開発者×プレイヤーが示した新たな可能性とは_045
新聞配達中にトラックに跳ね飛ばされたことがきっかけで編集者になる。過去に「ロックマンエグゼ 15周年特別スタッフ座談会」「マフィア梶田がフリーライターになるまでの軌跡」などを担当し、2017年4月より電ファミニコゲーマー編集部のメンバーに。ゲームと同じぐらいアニメや漫画も好き。
Twitter:@ed_koudai

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