“歩くドラクエ”だった『テクテクテクテク』が『ポケモンGO』と共存する“一生歩けるRPG”になるまで──『不思議のダンジョン』生みの親・中村光一×麻野一哉が贈る“リアルな冒険”の開発秘話

“歩くドラクエ”だった『テクテクテクテク』が『ポケモンGO』と共存する“一生歩けるRPG”になるまで──『不思議のダンジョン』生みの親・中村光一×麻野一哉が贈る“リアルな冒険”の開発秘話

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現実の地図を使って遊ぶことの“納得感”がほしかった

──最初は“歩く『ドラクエ』”をコンセプトに掲げていたのが、途中で麻野さんの”地図帳を塗る遊び”に回帰していったと思うのですが、地図が街区にわかれていて、そこを塗るというゲームの形は、ずっと一貫しているんでしょうか。 

麻野氏:
 もともとは、僕が地図帳で塗っている形が理想だったんですけど、これをプログラムでやるのは無理だろうと思っていたんですよ。なので、違う形で塗る方法をいろいろと考えていて。

 最初は自分が歩いて行くと、その周囲の半径がヌルヌルと、虫食いみたいな感じで塗られていくのをやろうとしたんです。でも、ぜんぜん気持ちよくないんですよ。

 これはアカンとなって考えたのが、『Ingress』みたいに、行った場所の3ヵ所を頂点にして、三角形に塗っていくというもので。すると中村さんが「三角形と聞いた瞬間に遊ぶのを止めちゃう人がいるよ」と(笑)。
 確かにそういう人も世の中にはいるだろうと。

中村氏:
 ほかにも、六角形のヘックスで塗られるとか、四角形で塗られるとかの話も出たんですけど、現実の地図を使っている感じがぜんぜん出なくて。

麻野氏:
 納得感がないんです。道路と関係なく真四角に塗られても、なんで現実の地図でこれをやる必然性があるのか、となってしまって。

中村氏:
 あとは、投げたら爆発する塗り爆弾みたいなのをやろうとかいう話も出ましたね。

麻野氏:
 塗り爆弾にしてしまうと、テロリストのゲームにしか見えないんですよ(笑)。『スプラトゥーン』にも似ちゃうし。

 それで結局は、道路に囲まれた最小区画をポンと押すと変わるというのが、いちばんわかりやすいというのに落ち着いたんですけど。

 プロトタイプを作ったときに、目の前の道路がわかれて、さらに向こうでまたつながっているのを見たときに、本物の地図だという納得感がスゴいんです。実感が違う。
 「やっぱりこれだな」と思いました。

──街区を分割するプログラムは、かなり苦労されたのですか?

麻野氏:
 メチャメチャ大変ですよ。イチから作りましたから。

──プログラムである程度判別するとして、その後に人間の手でちょっと調整したり、直したりというのをやっているのかどうかが、気になりました。

麻野氏:
 基本的にはやってないですね。できる範囲のところはやっていますけど、それも限界があるので。

 でも逆に言うと、それが面白さでもあると思うんです。たとえば川沿いに行くと、ものすごく細長い、よくわからない街区があったりするんですよ。
 「なんだ、この長いのは?」って(笑)。そこらへんはむしろ、人間の浅知恵でどうこうするよりも、世界の神秘に触れたほうが面白いと思うんですよね。

中村氏:
 街区を塗るごとに、宝箱が出たりモンスターが出たりといった判定を、毎回ランダムに決めているんです。自動車教習所みたいに狭いエリアに街区が密集しているところを一気に塗ると、ブワッと宝箱やモンスターが出てきたりして。そういうのも、想定していなかった面白さというか、驚きですよね。

──マップに配置されているショップなどは、全員共通のものなんですよね?

麻野氏:
 そうですね。全員共通です。

──そういったオブジェクトの配置みたいなものは、どのように調整しているのですか?

中村氏:
 マクロでの数の調整みたいなものはありますけど、普通のRPGみたいに、ここにはこれがあってとか、ガチガチに決めているわけではないですね。

──都市部と地方だと、遊び方が変わってきたりは?

麻野氏:
 若干変わるかもしれませんけど。“となりぬり”もあるので。そんなにものすごく大きく変わることはないと思います。

中村氏:
 都心だと街区が小さくて、田舎に行くと大きくなるんですね。街区の面積によって得られるポイントが変わるので、面積が大きいほど一気にランクが上がりやすくなるんです。

 奥多摩湖の周りとか、めちゃくちゃ街区がデカくて、ランクが5つ6つ、一気に上がりますよ。そのために僕は2回ぐらい、奥多摩湖まで行ったんですよ、車を飛ばして(笑)。
 初めて行ったときは夕方近くで、向こうに着いたらけっこう暗くなっちゃって。夜7時、8時くらいになるともう、誰もいないんですね。電気もついていなくて、めっちゃ怖いという(笑)。

麻野氏:
 リアルな冒険だからね。

──リアルな冒険というのはいいですね。これまでのゲームと違う遊び方がよく伝わってきて。

麻野氏:
 山奥とかだと道がないところもあるので、そういう場所は街区が大きくてもいいかなと。

中村氏:
 なにせ都心部の小さな街区と、日本でいちばん大きな街区だと、面積の差が10万倍くらいありますから。このでっかい街区を実際に塗れるどうか、リアルに試さないとダメだよねって、麻野さんとふたりで行ったんです。北海道のとある場所にあるんですけど。

 飛行機で札幌まで行って、そこで1泊して、ふたりでレンタカーを借りて行ったんですけど、これがぜんぜん着かない(笑)。4時間ぐらい走ってようやくその付近に着いたんですけど、後でよくよく調べたら、札幌からそこまで、東京から浜名湖まで行くぐらいの距離があるんです(笑)。

──さすがに北海道は雄大ですね。

中村氏:
 北海道を舐めてたらダメですよね(笑)。それでようやく現地に着いて、「このへんかなぁ?」とスマホを見たら、電波が届いていないという(笑)。「えーっ、塗れないじゃん!」みたいな(笑)。

 そういうこともリアルだからこそあり得る話で。

麻野氏:
 結果的には、なんとか電波を見つけて塗れたんですけど。

中村氏:
 今度は衛星電話を持っていくしかない(笑)。

麻野氏:
 最初は世界同時リリースをしたかったんです。でも無理だというので、まずは日本からにしたんですけど。世界を舞台にすると、シベリアとか、北海道どころじゃないとんでもないところがあると思うので(笑)。

中村氏:
 それは塗ってみたいね(笑)。

麻野氏:
 塗ってみたいでしょ。現地に行くと大変かもしれないけど(笑)。

ジャンルを新しく作る仕事は、初めての体験が多くて面白い

──じつは今日、コンシューマーゲームを作っていたおふたりが、スマホでゲームを作ったり、現実のなかにスマホを持ち出して遊んだりするものを考えたときに、どういうところに面白みや新鮮さを感じてプロジェクトに取り組んだのだろうかというのを、お聞きしたいと思ったんです。
 『テクテクテクテク』を作るにあたっては、これまで作ってこられたゲームとは違う感覚や、違う面白みを感じながら、いろいろな判断があったのではないでしょうか。

麻野氏:
 スマホだからどうという感覚は、特になくて。どっちかというと、この地図帳がすべてですね。この地図帳を自分で塗るのって、楽しい反面、面倒くさいんですよ。実際、このゲームとは別に、地図を塗るためのアプリも自分用に作ったんですけど、極端なことを言うと、僕自身はそれで良かったんですよ。そのアプリは本当に地図を塗るだけのもので、ゲーム性はゼロで。

──中村さんはどうだったんですか?

中村氏:
 僕は、コンシューマーで作る前にはパソコンでゲームを作っていたし。その前はゲーセンのゲームを遊んでいたし。もっと言うと、コンピュータゲームが出る前は、デパートの屋上にある機械仕掛けのゲームも遊んできたので。

 だからターゲットとされるハードウェアが変わったからといって、自分の中で何かがすごく大きく変わるということは、基本ないと思っています。そう考えながら作ってはいるものの、やっぱり現実的には違うんですね。
 テレビの前に座ってじっくり遊ぶのと、実際に歩いて移動しながら遊ぶということは。

 消費するエネルギーの質と量がまったく違うというか。コントローラーをものすごい勢いで操作して5分、10分遊ぶのと、10分ぐらいテクテク歩いて移動したときの消費カロリーって、やっぱりぜんぜん違っていて。
 ディスプレイから得られる刺激だったり情報だったりと、現実の世界を自分で歩いて得られる情報や、そこから生まれる満足感も、まったく違っているので。『テクテクテクテク』を作ってみて、やっぱり思っていた以上にすごく、そういうところは感じましたね。

──『テクテクテクテク』は中村さんがゲーム開発の現場に久しぶりに戻ってきたタイトルでもあると思います。プロデューサーに徹するのではなくて、なぜ現場に入ってきたのかという理由もお聞きしていいでしょうか。

中村氏:
 先ほどお話しした、最初のプロトタイプを見て思い出した自分の子どもの頃のワクワク感と、RPGをリンクさせているというのは、きっと作るのが面白いだろうなと思ったので、ぜひとも参加したいと。それが純粋な思いですね。

 ゲームって、できあがったものを遊ぶのも面白いんですけど、作るのはそれ以上に楽しいんですよね。いろんな企画やアイデアが実装されていって、それが上手くいく場合もあれば、ダメな場合もあるし。
 不具合やバグでダメになることもあるんだけど、そのバグがキッカケでまた面白くなることもあるし。未知な部分から想定以上のものができていく瞬間みたいなのが、すごくドラマチックで。今回のように新しい試みが多いプロジェクトほど、そういうことがすごく多いんですよね。

 麻野さんとは以前、一緒にサウンドノベルを作ったんですけど。あれも出来上がったものを見れば、テキストが流れて絵が出て音が流れて……という、そんなに難しくないもののような感じを受けるんですけど。
 でもじつは、テキストの出し方ひとつにしても、いろんなものを試してみたんですよ。今のように1文字ずつ出てくるパターンだけじゃなくて、すーっと1ドットずつ出てくるようなパターンとか、スクロールしていくようなパターンとかね。

 すーっと1ドットずつ出てくると、カラオケみたいで思わず歌いたくなっちゃうとか(笑)。スクロールしていると画面の下ばっかり見て、画面全体を見ないので飽きてきちゃうとか、それぞれに良いところと悪いところがあって。

──そうだったんですね。

中村氏:
 想定外の事態から自分たちが学べることも、すごくあるんです。『街 ~運命の交差点~』【※】では実写を導入したんですけど、あれも最初は役者さんが演技しているところをビデオに録画して、そこから静止画を切り出す形でやればいいと思っていたんです。

※『街 ~運命の交差点~』
 1998年にセガサターンで発売された、『弟切草』『かまいたちの夜』に続くサウンドノベルシリーズの第3弾。渋谷の街を舞台に交錯する8人の主人公の物語が描かれており、プレイヤーは各主人公をザッピングで切り替えて、他の主人公の行動に影響を与えながら物語を導いていく。画面には俳優によって演じられた実写の静止画が使用されている。

 ところがビデオの静止画というのはどうしても、「早く再生してよ」みたいな絵になっちゃうんですよ、なぜか。だから実際に役者さんに止まってもらって、マンガみたいにきっちりと型にはめたカットをひとつずつ作っていかないと、どうしても静止画にはならなくて。

 そういう、ジャンルをいちばん最初に作るという仕事って、すごく面白いんですよ。初体験だからこそ味わえることがあるので。
 今回の『テクテクテクテク』もそういうネタだらけですね。

──麻野さんは、中村さんに企画書を見せてプロジェクトに誘ったときに、中村さん本人も一緒に開発に参加してもらうつもりでしたか?

麻野氏:
 そのつもりでした。最近の人から見ると、中村光一はプロデューサーとして一歩引いているというイメージかもしれませんけど、僕と一緒にやっていた頃は、『弟切草』【※】も『トルネコ』も『シレン』も、ホワイトボードの前でお互いに書き合いながら進めていましたから。もう一度それをやりたいと思って、中村さんに声をかけたので。だからお金だけ出してもらうとか、そういうことはまったく考えていなかったですよ。

※『弟切草』
 1992年にスーパーファミコンで発売されたサウンドノベルシリーズの第1作。麻野一哉氏が原案・脚本を担当し、ベテランシナリオライターである長坂秀佳氏の参加によって、多彩に分岐するホラー仕立てのストーリーが展開された。本作を契機として、ノベル形式のテキストアドベンチャーゲームが日本で広く定着することになる。

 中村光一という人は、操作性オタクであり、ユーザーフレンドリーオタクであり、ゲームの裾野を広げるオタクだと、僕は思っているので。その職人としてのマイスターぶりがスゴいんですよ。

 僕はそのへん、面倒くさがり屋なので。8割ぐらいできたら、もういいかと思っちゃうんです。
 でも中村さんは、それを120%にするので。案の定今回も、無茶振りをやってくれて助かりました。

中村氏:
 これでもけっこう抑えたんだけどね(笑)。

麻野氏:
 わかってます(笑)。

 でも最終的には、中村さんがさっき自分で言っていたように、今回のスタッフのなかでは中村さんが、いちばん僕に近い原理主義者になってしまったので(笑)。

 最初はそうじゃなかったんですよ。「もうちょっと裾野を広くしよう」と言っていて。
 たとえばTTPを使って“となりぬり”ができるというのも、中村さんは前からそうしたかったんだけど、僕が原理主義者として反対するだろうからと、気を遣っていたんですよ。

 ふたりでたまたまお酒を飲みながら話したときに、「現地に行かなくても塗れるようにしようか」と僕が言ったら、「やっぱりそれしかないよね。いいよね、麻野さん?」って。
 そうしたほうがいろんな人に間口が広がるからと。

──それが今は、奥多摩湖まで自動車で行っちゃう人になったんですね(笑)。

位置ゲーなのに移動しなくても遊べる、すべてを受け入れるゲームになっている

──麻野さんから見た、中村さんの無茶振りのエピソードというのは、どういったものでしょうか?

麻野氏:
 これは無茶振りともまた違うんですけど。今回、47都道府県にモンスターが出るんですけど。そのときは実際の名所、たとえば東尋坊であるとか東京都庁であるとか、そういう実景の写真を背景にして出すことになったんですよ。

 はじめはネットのフリー素材とか、あるいはお金を払って写真の権利を買って使おうと思っていたんですけど、中村さんはどうも気に入らなかったらしくて。ある日突然、「全部撮ってくる」と言い出して、カメラを担いで日本中を飛び回りはじめたんです(笑)。
 でもそれって開発の末期も末期、完成の1カ月前ですよ。田村君なんか「こんな大事なときに、プロデューサーが現場を離れているのはどういうことですか!?」と怒ってましたから(笑)。

 結局、47都道府県のうち、40カ所ぐらいは行ったんでしたっけ?

中村氏:
 8割ぐらいですね。

 夜中に東京を出発して、午前2時とか3時ぐらいに福島県の磐梯山の裏のほうにある五色沼に到着して。怖いなぁと思いながらそこで写真を撮って。
 それから高速道路で新潟まで行き、新潟で写真を撮って。さらにその次は群馬に行って、高崎観音を撮って。そこから、翌日の松本城撮影に備えてさらに長野まで車を飛ばしていくという(笑)。

──それは何人かのスタッフで出かけたのですか?

中村氏:
 ひとりですよ(笑)。これはひとりじゃないと、相手に気を遣ったり、トイレ休憩を挟んだりして、今言ったみたいな殺人的な移動ができないんですよ。

 なぜそんなことをするかというと、観光地を撮影するので、普通の時間になると観光客の人がいっぱい来ちゃうんです。人がぞろぞろ写っている写真は、ゲームの素材としては適切じゃないので。
 だから朝一番に誰よりも先に行って、後ろから人が来るまでのほんの5分ぐらいの間に、パシャパシャ写真を撮らなきゃいけないという(笑)。

麻野氏:
 おかげですごくいい写真を撮ってもらったので、それは感謝しています。

中村氏:
 本当に朝、仙台の青葉城からスタートして、中尊寺に行って、最後は弘前城。これはけっこう車で飛ばしたんですけど、すごい距離でキツかったですよ。帰りはさすがに新幹線で帰らせてもらいましたけど。

──それにしても、すごく遊びの幅があるゲームですよね。位置ゲーなのに電車や自動車に乗っていても遊べますし、その場所に直接行かなくても塗ることができますし。

麻野氏:
 人によって、遊び方がぜんぜん違うんですよ。バトルばっかりをずっとやっていて、塗るのは本当に“となりぬり”だけで、現地塗りはしないという人もいますね。それはそれで面白いと言ってくれるので。

中村氏:
 あらゆる攻略において移動がメインとはいえ、移動ができない状況とかそういったことも、全部受け入れるように作ってあるので。結果として、すごくいろんな攻略法をできるようになっているんです。本当に自分の生活スタイルに合った攻略の仕方ができるんですね。

 ゲームバランスの調整にしても、たとえば僕のやった方法で「このアイテムが強すぎてダメだ」という話をしても、別の人のやり方だと「そんなアイテムよりもこうやるほうがいい」と言われたりして。
 攻略法がみんなあまりにも違いすぎて、バランスの比べっこにならないというか。そういう意味で、結果として全部を受け入れるゲームになっているというのが、僕は面白いなと思っています。

──バトルに関しても、シンプルにスラッシュで攻撃するだけかと思いきや、敵の攻撃をガードできるのが、いいアクセントになっていますよね。

中村氏:
 あのガードは向こうの攻撃をまさに盾で受ける感じですよね。敵の動作が、わざとタイミングをずらすように考えられているので、なかなかピタッとは来ないんですけど。

──あのあたりのモーションを見切る感じとか、ところどころゲーム的な駆け引きの要素をちゃんと差し込んできているのが、イイですよね。

中村氏:
 スターファクトリーという会社にアプリの開発をお願いしたんですけど、優秀な方が揃っているので、何も言わなくてもどんどんできあがっていくんですよ。

 モンスターなんて、長谷川薫【※】君の描いたイラストは各キャラ1枚しかないんですけど、あとはすべて開発の現場が、自分たちで三面図や動き方を想像して作ってくれましたから。

※長谷川薫
 スパイク・チュンソフト所属のイラストレーター。『風来のシレン』シリーズのキャラクターデザインを担当している。

麻野氏:
 僕はディレクターと名乗ってはいますけど、どちらかというとグランドコンセプトのほうに近いので、バトルなどで実際に人を采配している現場のディレクターは別にいますね。

──今回のお話を聞いて思ったのですが、これまでのゲームというかエンタメというのは、現実とは別の世界に行って遊びます、というものだったじゃないですか。ある意味、逃避というか。
 『テクテクテクテク』の場合はどちらかというと、まず現実の面白さがあって、そこにプラスアルファで面白さがさらに追加されているという、そういうものだと思うんです。
 それはゲームの間口を広げたり、より多くの人に遊んでもらうといったことを考えたときに、すごくイイものなんじゃないかなと。

中村氏:
 この開発をやっている間、麻野さんと一緒によく飲みながら話していたのが、「ある一定の年齢以上にならないと、地図に興味を持たないよね」ということで。地図を眺めてみたり、道路の脇に建っている石碑に興味を持ったりするのは、やっぱりそれなりに年齢を重ねた人が多いだろうと。そういう意味では自分も、もういい歳なので(笑)。

 今は良い時代だと思うのが、地図を見たり、実際に歩いたりして疑問に思ったことを、ネットですぐ調べられるんですよね。なんでこんな地名がついているんだろう? とか、これってなぜここにあるんだろう? とか思ったりしても、その由来をすぐ調べることができるので。

 本物の地図で遊ぶゲームを作っているからこそ、結果としていろんな興味が湧いてきて。最近になって発見したんですけど、皇居ってじつはすごく広いんですよ。
 銀座と丸の内を全部足しても、まだ皇居のほうが広いんですよ。そんなことに興味が湧いたりとか、本当に地図ゲーを作ったおかげで面白い体験がいっぱいできますよ。

──麻野さんと中村さんが、これまで『弟切草』などでやってこられた、コンピューターを使った新しい面白さへの取り組みに、この『テクテクテクテク』でまた新しい形で向き合われたというのが、すごく興味深かったです。

中村氏:
  みなさんもこのゲームを遊ぶことで、初めて体験できるものが絶対にあるはずなので。実際に僕はたくさんありましたから。

 僕としてはぜひ、新幹線で予約しながら塗るというのを体験してもらいたいですね。これはもうね、人類が初めて経験するぐらいのエンターテインメントなんですよ(笑)。

 「なんで位置ゲーを11月にリリースするんだ、寒いじゃないか」と言われたんですけど、でもそうじゃないんです。年末年始の帰省で新幹線に乗ったり、高速道路を自動車で走ったりしながら塗れるんです。

麻野氏:
 僕は新幹線だと速すぎると思うけど。山手線とか京葉線、あるいは阪神・阪急ぐらいがちょうどいいと思う。

中村氏:
 新幹線だと名古屋から東京駅まで、ぜんぜん気を抜けないからね。たまにトンネルに入って、GPSの電波が届かないときはやきもきしたり(笑)。

麻野氏:
 止まっている間にちょっと別のことをしたりしながら、各駅停車で行くのがいいですよ。あんまり速いと忙しすぎるので(笑)。

──本日はありがとうございました。(了)

 『テクテクテクテク』の中核となっている“歩いて地図を塗りつぶす”遊びは、麻野氏個人の趣味から生まれたものである。そのアイデアに共感した中村氏が、自分自身も現実世界そのものをRPGのフィールドとして遊ぶことに魅了されていったのは、今回のインタビューで語られたとおりだ。

 だが、たとえアイデアそのものに普遍的な面白さがあったとしても、その面白さを誰もが実感できるものにするには、なんらかの工夫が必要となる。その工夫こそが、ゲームクリエイターの腕の見せどころであろう。

 その点において、サウンドノベルシリーズでテキストアドベンチャーゲームを、そして『トルネコ』や『シレン』でローグライクゲームを誰もが楽しめる作品にしてきた中村氏こそ、麻野氏のアイデアを具現化するのにふさわしい人物であったというのが、このインタビューでよくわかる。

 そしてなにより中村氏と麻野氏が、『テクテクテクテク』を生み出す過程において、かつてサウンドノベルを生み出したときのような“新ジャンル”を開拓する喜びを感じていたことが、我々ゲームファンにとっても嬉しいことだと思うのだ。

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インタビュアー
電ファミニコゲーマー編集長、およびニコニコニュース編集長。
元々は、ゲーム情報サイト「4Gamer.net」の副編集長として、ゲーム業界を中心にした記事の執筆や、同サイトの設計、企画立案などサイトの運営全般に携わる。4Gamer時代は、対談企画「ゲーマーはもっと経営者を目指すべき!」などの人気コーナーを担当。本サイトの方でも、主に「ゲームの企画書」など、いわゆる読み物系やインタビューものを担当している。
Twitter:@TAITAI999
著者
過去には『電撃王』『電撃姫』で、クリエイターインタビューや業界分析記事などを担当。現在は『電撃オンライン』『サンデーGX』などでゲーム記事を執筆中。また、アニメに関する著作も。
Twitter:@ito_seinosuke
編集
新聞配達中にトラックに跳ね飛ばされたことがきっかけで編集者になる。過去に「ロックマンエグゼ 15周年特別スタッフ座談会」「マフィア梶田がフリーライターになるまでの軌跡」などを担当し、2017年4月より電ファミニコゲーマー編集部のメンバーに。ゲームと同じぐらいアニメや漫画も好き。
Twitter:@ed_koudai
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