発売から29年の時を経た『スーパーマリオワールド』のRTAが熱い。バグ無し全クリアから数十秒でエンディングまでを紹介

 1990年11月21日にスーパーファミコン用ソフトとして発売された『スーパーマリオワールド』RTA(リアルタイムアタック)がにわかに活気づいている。

 隠しゴールを含めた全てのゴールをクリアする「96 Exit」まいば氏が世界2位の記録を出したのをはじめ、道中の行程を大幅にスキップできる「スターロード」を通ることを禁止する「No Starworld」でも泥酔氏が1位の記録を奪取するなど、日本人プレイヤーの活躍が目立ってきているのだ。

 そもそも『スーパーマリオワールド』のタイムアタックにはどのようなものがあるのか? 本記事では同作のRTAの簡単な紹介から最近の展望までをまとめてみよう。

※Area51氏によるRTA映像。現時点での「11 Exit」世界記録となる「9:45:283ms」

 『スーパーマリオワールド』のRTAで基本となるのが「11 Exit」というカテゴリだ。これはエンディングに飛ぶテクニックや任意コードの実行を禁止する代わりに、ほかのテクニックは全て許可されるルールである。クリアするために通るゴールの数が11個なことから、「11 Exit」と呼ばれている。

 このルールでの最速ルートは、ふたつめのワールドである「ドーナルへいや」のステージで隠しゴールから裏道を通り、スターロードを介して最後のステージである「クッパのしろいりぐち」に突入し、そのままゲームをクリアしてしまうというものだ。

 クリアの容易さや見た目の分かりやすさなどから、プレイヤー人口は1000人に迫る勢いで、『スーパーマリオワールド』のRTAでもっとも挑戦する人が多い人気カテゴリとなっている。世界記録の上位に食い込むには10分を切るタイムが必要となる。

※まいば氏による「96 Exit」解説映像

 続いて紹介するのは「96 Exit」というカテゴリだ。前述した「11 Exit」に対し、「96 Exit」はゲーム性を破壊するバグを禁止した上で、『スーパーマリオワールド』に存在する96個のゴール全てを通ってクリアすることを条件としたルールとなっている。

 必然的に全てのステージをクリアすることになるので、知識もプレイングのテクニックも要求される過酷なカテゴリと言えるだろう。現在世界記録を持っているのは1時間22分12秒で走破したイタリアのLui氏で、冒頭で述べたように日本のまいば氏が先日記録を更新、4秒差で2位に食らいついている。

 「96 Exit」のRTAについてはテクニックも知識も非常に多くのものが要求されるが、プレイヤーのまいば氏が作成した解説動画が非常に分かりやすいので、詳しい情報が知りたい方は上記動画をご視聴いただきたい。

 ひときわ変わったカテゴリが「0 Exit」となる。一度もゴールをせずにエンディングを見るという狂気じみたルールで行われるRTAとなっており、最初のステージで特定の操作をして強引に任意のコードを実行、なにもないところからエンディングを呼び出すことがクリア条件だ。

 本来はPC上でツールを用いて操作する、いわゆる「TAS」のみで実現できると考えられていたカテゴリだった。だが、エンディングを呼ぶためには緻密な操作が要求されるものの、実機でも実現可能なことが2014年に証明され、それに呼応するように多くのプレイヤーが参戦している。

 「0 Exit」では日本語で記された文献が見当たらない状況だが、英語文献でよいならば解説動画「Super Mario World Credits Warp Explained」が一番詳しい。要は『スーパーマリオワールド』のメモリの使い方を悪用したテクニックとなっている。

 最後に紹介するのはスターロードの使用、さらに強力なバグを使用することを禁じたカテゴリである「No Starworld」だ。「96 Exit」ほどではないものの、多くのステージをクリアするために相応のテクニックが必要であり、『スーパーマリオワールド』の中でも人気カテゴリのひとつとなっている。

 このカテゴリは最近になって英語圏でトーナメント大会「Super Mario World No Starworld Tournament 2018」も開かれている。ベスト4に世界1位から4位までのプレイヤーが勝ち残っており、その中で泥酔氏とまいば氏という日本人プレイヤー同士の決勝戦が開かれる予定となっている。

 決勝戦の日程はまだ決まっていないが、日本の視聴者に配慮して日本の標準時刻でゴールデンタイムとなる時間帯を選んでくれることは決まっているようだ。

(画像はSuper Mario World – Leaderboard – speedrun.comより)

 『スーパーマリオワールド』では今回紹介したもののほかにも、さまざまなカテゴリが存在しており、RTAの記録集積サイト「speedrun.com」で確認できるものだけでも13カテゴリと非常に多岐に及んでいる。また、特筆すべきはプレイヤーの国籍の豊富さであろう。「96 Exit」のカテゴリだけ見ても1位から順に「イタリア」、「日本」、「オーストラリア」、「スウェーデン」、「アメリカ」と、それぞれバラバラになっている。

 『スーパーマリオワールド』が世に出てから29年が経過しているが、RTAの世界においては今なお新しい戦略が日々生まれ続けており、現在も世界中で活発に遊ばれているゲームのうちのひとつとなっている。来年で30周年を迎える『スーパーマリオワールド』だが、彼らの飽くなきタイムへの探究心はこれからも続くだろう。

ライター/もか

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ライター
小学校の頃にゲーム雑誌でタイムアタック特集を見てこんな遊び方もあるんだと感動し、RTAという言葉が生まれる以前からゲームの早解きを行い続けて現在に至る。
Twitter:@moka_peer
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