いま読まれている記事

『ドラクエ』堀井雄二&『ブルーロック』金城宗幸が参画した『転生ゲーム』──大御所ふたりのシナジーはどんな”おもしろさ”を生み出すのか? 堀井氏と金城氏に直接聞いてきた

article-thumbnail-260520t

1

2

近年急成長したゲーム実況文化との親和性

──堀井さん、金城さんはゲーム実況のどういった部分におもしろさや時代性を感じているのですか?

堀井氏:
プレイヤーというかMCの力が大きいですよね。人気の実況者は、みなさん表現力が豊かな方だと思うんですよ。「こう来たらこうしゃべろう」とか、瞬間瞬間の判断力を持っていると思います。

狩野英孝さんとか、天然っぷりがすごいですよね。何か持っているというか(笑)。彼のゲーム実況は本当におもしろい。予期せぬ事態が起こるので実況を見たくなりますよね。あとはキヨさんもすごく人気がありますよね。彼の実況はとってもおもしろいです。

──堀井さんは、ご自身が作られたゲームの実況もご覧になるのですか。

堀井氏:
ときどき見ます。「こんなリアクションをしてるんだ」と見るのがおもしろいですね。動画や切り抜きの場合は、いい場面を切り取っておもしろいシーンにフォーカスするから見やすかったりしますし。『転生ゲーム』の場合、プレイヤーどうしが裏切りあったりするので、実況者さんたちのやり取りがきっとおもしろくなるんじゃないかと思っています。

『転生ゲーム』インタビュー|堀井雄二&金城宗幸、大御所ふたりのシナジーはどんな”おもしろさ”を生み出すのか?_009

──早くその反応が見てみたいですね。

堀井氏:
「お前、虫じゃん」とか、「なんで動物になってるの」とか、言い合いが楽しそうですよね。

──虫のときはしゃべれないとか、特殊ルールでのプレイも楽しそうですね。

金城氏:
あ、それいいアイデアですね。システムとして入れておけばよかった(笑)。

堀井氏:
虫は虫で得なこともあって、虫ならではの能力があるんです。場合によっては虫でよかった、と思うときもあるんですよ。

──金城さんもふだんからゲーム実況をご覧になられているのですか?

金城氏:
見ています。堀井さんのおっしゃったとおり、「この兄ちゃん、おもしろ!」と見ることが多いですね。作業しながら見たり、仕事終わりとか学校終わりにパッと見るという方もたくさんいらっしゃると思いますが、そういうものの中に「大きなエネルギーが生まれているんだな」というイメージを持っています。こういった産業は20年前とかになかったと思うんです。

堀井氏:
だよね。昔はなかった。

金城氏:
この大きなエネルギーからゲームの新しい形が出るんじゃないかなと思っていて、興味がすごくありましたし、そこに懸けてみてもいいんじゃないかな、というのが『転生ゲーム』のひとつの軸です。ゲーム実況を見たうえで「僕もやりたい」、「私もやりたい」、「いっしょにこのゲームで遊ぼう」となるのが伝播の形としていちばんいいと思っています。

『転生ゲーム』インタビュー|堀井雄二&金城宗幸、大御所ふたりのシナジーはどんな”おもしろさ”を生み出すのか?_010

──実況者がよろこぶような要素を意図的に入れているのですか?

室松氏:
ゲームの映像ももちろんですが、4人対戦のゲームになるので、人どうしの掛け合いが「いちばん映える」と思っています。「そこで裏切るのか」とか、「運の要素でこれを引けた」とか、そういったよろこびのシーンや絶望のシーンが実況映えすると思っているんですね。

堀井氏:
ひとりでも遊べますが、ひとり用は基本的にコンピューターいじめになりがちですから。まあ、それが逆に楽しかったりするんだけど(笑)。

──アートやビジュアルイメージはどういったものなのでしょうか?

金城氏:
冒頭で『蜘蛛の糸』の話をしましたが、そんなおどろおどろしいデザインとか世界観ではなくて、広く楽しめるようなところをラインとして設計しています。現代が舞台ではなく、神秘的な森のようなところから始まり、輪廻城に向かっていくという感じです。

『転生ゲーム』インタビュー|堀井雄二&金城宗幸、大御所ふたりのシナジーはどんな”おもしろさ”を生み出すのか?_011
眞島氏のイメージスケッチ(輪廻城に向かうエリア)

堀井氏:
サイコロを振って進んでいくわけですが、分岐を数多く用意しているので、いくらでもルートが選べるようになっています。

金城氏:
ほかのプレイヤーと別のルートに行くのか、同じ器を取りに行くのか、選択肢はたくさんあります。全員が同じところに行くというものではなく、状況に応じてさまざまなルート選びができるようになっているんです。加えて、動きながらカードで攻撃したり、マスに止まってほかのプレイヤーを呪ったりもできます。

堀井氏:
前半戦と後半戦があって、ある程度進むと後半の盤面になるんですけど、このときうまく進まないとほかの人に壊されちゃうギミックもあったりします。あと、カルマの泉というカルマがいっぱいもらえるマスがあったりとか。

金城氏:
そこに”舐めカルマ親方”というオジャマキャラが出てきたり(笑)。

──(笑)。先にゴールすればいい、というものではないんですね?

金城氏:
ゴールはありません。ターン制で、各プレイヤーがどれだけ積み上げられるかというゲーム性です。

堀井氏:
22ターンでゲームは終わりで、その時点でいちばんカルマを持っていて、いい転生をしているプレイヤーの勝ちとなります。ある程度、ゲーム時間が限定されている設計です。

──短いターンで終わる設定などもあるのですか?

室松氏:
22ターンのみですね。

堀井氏:
時間がない人は、自分たちでルールを作って1面だけで終わりにしちゃうのもいいのかなと。

レジェンドでありながらつねに新しいことを取り入れる
堀井雄二というゲームデザイナーの異質さと偉大さ

──開発していく中で苦労したところや、堀井さんと金城さんがいっしょに制作を進めていく中でお互いに感じたところがあれば教えていただけますか。

堀井氏:
大きな変更でいうと、最初は白カルマと黒カルマがあったんですよ。どっちを集めるかというゲーム性だったんですが、わかりにくかったので白だけにしました。

──いいカルマと悪いカルマみたいな感じですか?

金城氏:
そうですね。でもそれはややこしいから止めようと。

室松氏:
かっこよかったんですけどね。

金城氏:
堀井さんといっしょにゲームを作らせてもらっていちばんすごいと思ったのは、「毎回ちゃんと子どものような心で楽しまれている」んですよ。これは本当にすごいことで、先ほどご自身でミーハーとおっしゃっていましたけど、制作中「いまおもしろいかどうか」とおっしゃっていたんですね。これほどのキャリアを持っている方が、いまおもしろいかどうかのアンテナをつねに張っていて、僕らの目線にも立ってくれるという。それは本当にすごいなと。

堀井氏:
作り手になると「本当におもしろいかどうかがわからなくなっちゃう」ことがあるんですよね。テストプレイをするときはいちプレイヤーになり切ることが大事。

──堀井さんはずっとその姿勢を貫いて実践していらっしゃいますが、なぜそれができるのでしょうか?

堀井氏:
僕もわからないです(笑)。単純になり切るだけです。

『転生ゲーム』インタビュー|堀井雄二&金城宗幸、大御所ふたりのシナジーはどんな”おもしろさ”を生み出すのか?_012

──ご自身の中で切り替わるスイッチのようなものがあるのですか?

堀井氏:
スイッチはありますね。作っているときと遊ぶときでスイッチが切り替わります。遊んでみてわかりにくかったり、めんどくさいところがあったら止めちゃおうということがあります。

──作り手の堀井雄二の意見と、遊び手の堀井雄二の意見が頭の中でぶつかり合っていると。

堀井氏:
そうですね。

金城氏:
僕らはだいたい遊び手の堀井雄二さんとしゃべっていました(笑)。今回ずっと遊び手だからすごくかわいらしい人だなって。レジェンドゲームクリエイターですから、かなり怖い、きびしい方なのかなと思っていたらとてもやさしくて……。

──金城さんとしても、ご自身のクリエイティブ人生の中で参考になった部分があったわけですね。

金城氏:
堀井さんといっしょにゲームを作らせてもらったことは本当に財産になりました。今後の自分のやりたいことも変わっていきそうな、すごく貴重な体験でしたね。堀井さんと同じ時間を過ごせたことは本当にありがたかったです。

──堀井さんは金城さんのマンガを読まれていたのですか?

堀井氏:
じつはあまり知らなかったんです(笑)。

金城氏:
デスゲームの毒々しさは、入れられる範囲で本作にガンガン入れたつもりです(笑)。

──金城さんから見て、堀井さん節というか、堀井さんらしさはどういったところだと思っていますか?

金城氏:
少年がおもしろいと思うかどうか、ですかね。「自分の中の少年がおもしろいと思うかどうか」をつねに問いかけられている気がしていて、だからこそ大勢のファンがいらっしゃるのだと思います。

たとえば少年っていうカテゴリーは僕はちょっと違っていて、もう少し上の年齢層をターゲットにしていることがあるんですね。僕はケレン味を効かせて局地的に刺すタイプの人間なのですが、それが今回の企画には合っていると感じました。そこに堀井さんが「こっちのほうがおもしろい」などとアドバイスをしてくれたおかげでいい作品に仕上がったかなと。

──ちなみに、キャラのセリフなどはゲーム中にあるのですか。

室松氏:
はい、セリフはあります。

金城氏:
ゲームマスター側はみんなセリフがありますね。

『転生ゲーム』インタビュー|堀井雄二&金城宗幸、大御所ふたりのシナジーはどんな”おもしろさ”を生み出すのか?_013

堀井氏:
ゲームシナリオは杉村さん【※】が担当してくれました。彼女は『ドラゴンクエスト』のセリフもけっこう書いていたので、信頼してお願いしました。

※杉村さん……アルテピアッツァの杉村幸子氏。堀井雄二氏の初代秘書を務めた人物で、『いたスト』の制作にも参加している。

金城氏:
僕が提案して、杉村さんが直してくれたんですね。僕が尖ったことを言いすぎたときは「こういう世界観はどうですか」と返してくださったり。意見交換をしながら、ベースは僕で杉村さんが仕上げてくれたという感じですね。

堀井氏:
アイデアを形にしてくれたのがアルテピアッツァですね。言い忘れてましたが、本作はオンラインでもプレイできるので、離れた人とも遊べます。

金城氏:
初対面の人どうしで遊んだらエグいことになるかもしれませんけども(笑)。遠慮しなくていいわけですから。

──(笑)。

室松氏:
これも言い忘れていましたが、手に取りやすい価格帯とする予定です。

──続報の発表をお待ちしています。では、最後におひとりずつ、本作に期待を寄せている方々へ向けたメッセージをいただけますか。

室松氏:
プレイヤーそれぞれの性格、人間性が現れるボードゲームになっています。そういうところをみなさんに楽しんでほしいですし、こういったゲームだからこそ「ゲーム実況者さんがどういうプレイをするのか」を楽しみにしてほしいと思っています。プレイするたびに毎回違うドラマが生まれるところをぜひ楽しんでください。

金城氏:
仲よしの人たちと遊んでもらったり、家族で遊んでもらったり、遺恨を残しつつそれでも生きていく……というか(笑)。人間とはそういうもの、カルマというのはそういうものだと思っています。自分がやった行いがあとになって返ってくる、善悪というか、それをカジュアルに体験できます。

もしかして死んだらこの世界に行っていて、ゲームを勝ち上がって「いま自分が人間になっている?」といった想像が膨らむストーリーになっています。生きているのか、死んでいるのか、そしてカルマという概念が皆さんの中に少しでも入ればいいなと思っているので、仲よく喧嘩してください。ふだんは出せない自分を出すのもいいですし、運でも勝てますし、策略でも勝てます。新しいボードゲームが出たんだな、とカジュアルに手に取っていただければ。

堀井氏:
カルマを貯めて転生するというのが基本なんですが、「監査所(かんさしょ)」というマス に止まると鋭い質問を急に受けたりするんですよ。たとえば、「こういう場合、あなたはどうしますか?」という2択を迫られたり。選択肢を選ぶときはほかのプレイヤーにも見られちゃうので、「あ、こいつはこういう生き方を選ぶんだ」と思われたり(笑)。

選択によっては黒い生き方になるか、明るい生き方になるかが決まるのですが、これはゲームだからできるおもしろさなんですよね。いろいろな業(カルマ)が出ちゃう部分を遊んでもらいたいです。

『転生ゲーム』インタビュー|堀井雄二&金城宗幸、大御所ふたりのシナジーはどんな”おもしろさ”を生み出すのか?_014

© Any / ArtePiazza

1

2

副編集長
電ファミニコゲーマー副編集長。元ファミ通.com編集長。1990年代からゲームメディアに所属しており、これまで500人以上のゲーム開発者、業界関係者、著名人インタビューを手がける。1970年代後半からアーケード、PC、コンシューマーゲームにのめり込み、『ウィザードリィ』のワイヤーフレームで深淵を覗き、現在に至る。
Twitter:@Famitsu_Toyoda

本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ている場合がございます

新着記事

新着記事

ピックアップ

連載・特集一覧

カテゴリ

その他

若ゲのいたり

カテゴリーピックアップ