ゲーム業界のトップランナーとお酒を飲みながら、居酒屋のノリでぶっちゃけ話を聞き出す動画企画「ゲーム人生酒場」。
第3回となる今回のゲストは、人気VTuberグループ・ホロライブのインディーゲームブランド「ホロインディ」の企画者である、株式会社シー・シー・エムシーの代表取締役・加持太郎氏。ホロライブを手掛けるカバー株式会社のゲーム事業開発室長も兼任する加持氏に、今回は根掘り葉掘り話を聞いていく。
VTuberゲームにフォーカスしたパブリッシャーという、ゲーム業界の中でも独特なスタンスを取るホロインディ。その活動はどのように始まり、どのような方向を目指しているのか。今回はそのキーマンである加持氏に、企画立ち上げ当時の状況から現在、そして将来のビジョンまでを聞いてきた。
なお今回は、社内での対談ということもあり、残念ながらお酒はNGとなってしまった。「おいおい、コンセプトはどこへ行った?」と言われては返す言葉がないが、大人の事情ということでどうかご容赦を。もっとも、お酒こそ入らなかったものの興味深い話はたっぷりなので、そこはご安心いただきたい。
また今回も、動画をもとに書き起こしたテキスト版も用意させていただいている。電ファミのインタビュー形式で読みたいという方は、このまま下に続く記事にぜひ目を通してみていただきたい。
聞き手はいつものように弊誌編集長・TAITAIと、先日『異世界居酒屋「のぶ」』などで知られる作家・蝉川夏哉氏らとともにゲーム化・コミック化100%を目指すノベルブランド「キマイラ文庫」の立ち上げを発表した、元ゲーム会社社長で小説家の喜多山浪漫氏が務める。

喜多山浪漫氏の小説作品『魔法捜査官』はこちら(小説家になろう)
案件を渡してみたら「純粋にパワーがすごい」と感じた。ホロインディの仕掛け人となる男が、カバー入社を決めるまで
TAITAI:
今日はレッドブルで乾杯ということで!
一同:
乾杯!
喜多山氏:
よろしくお願いします。あらためて紹介しておくと、「ゲーム人生酒場」はゲーム業界のトップランナーたちにお酒を飲ませて、あれこれ根掘り葉掘り聞くという企画なんですけども。
ただ今回は会社の中っていうこともあり、お酒は控えてレッドブルで酔っぱらいましょうということで。
加持氏:
この企画って、本当に居酒屋とかでやってたんですか?
喜多山氏:
居酒屋でやったのが第一回で、第二回はインティ・クリエイツさんの会議室でお酒を持ち込んでやりましたね。あちらはOKだったので(笑)
加持氏:
ああ、さすが(笑)まあ、うちもOK出るかもしれないけど、ちょっと承認までが大変そうで。
喜多山氏:
なので今日はエナジードリンクで行くということでお願いいたします。
加持氏:
よろしくお願いします。
喜多山氏:
じゃあ、まず簡単に自己紹介していただいてもよろしいですか。
加持氏:
加持と申します。カバー株式会社には2020年の頭から入社しまして、もともとは営業のところを任されていて、途中から追加でマーチャンダイジングも見て、今はライセンス事業本部というところを見させていただいているような感じですね。
喜多山氏:
もともとどういうご経歴で業界に入られて、今このカバーさんにいらっしゃるのかというのを教えていただけますか。
加持氏:
僕はキャリアで言うと、完全にPCオンラインゲーム業界の人です。前職はウォーゲーミングジャパンというところにおりまして、そこの日本支社設立から7年ちょっと在籍させていただいて、どちらかといえば開発というよりかは、運営・運用する側の人間でした。
ウォーゲーミングジャパン
ベラルーシで創業し、現在はキプロス共和国に拠点を置くオンラインゲーム企業・Wargamingの日本支社。戦車ゲーム『World of Tanks』や戦艦ゲーム『World of Warships』の日本国内展開などを行っている。
加持氏:
前職はちょっと、外資ですごく特殊ではあったので、なにをしていたかという説明は結構難しいんですけど、ローカライズのマネージャーもしながら、コミュニティのマネージャーみたいなこともやっていたみたいな感じですね。
喜多山氏:
そういった経験を経て、なぜカバーに入られたんでしょうか。
加持氏:
これはきっかけは明確で、当時ってインフルエンサーマーケティングが割と流行っていた時代だったんです。それでカバーの中にマーケティング本部の知り合いがいたんですが、その方からゲームのPRをしないかという営業が僕に来て、それで実際に生放送の案件をやったんですよね。
それを見た時に、数字的なところから純粋に「パワーがすげーな」と思って。当時のホロライブって正直そこまで有名ではなかったとは思うんですけど、それでも生放送の実況配信で同時接続数が3000人超えてるみたいな感じで。
加持氏:
その3000人という数字が結構難しいことは知っていたんですよ。企業の公式放送で、もちろん有名なタイトルであれば、それぐらいは全然出ると思うんですけど…
とはいえああいう硬派な、外資の会社がやっている船で戦うようなゲームであれだけ数字が出るっていうのを見て、すごいポテンシャルを感じたというところが、まずはきっかけですかね。
カバーって、どんな雰囲気の会社?「いい意味で頭がおかしい人たちが多い。でも最近は、頑張ってまともな感じを見せている」
TAITAI:
ところで、カバーってどんな会社なんだろうってのを実はわかってないんですが、たとえばIT系だったらこういう感じとかっていうのはあります?
たとえばドワンゴはめちゃオタクっぽいけど、サイバーエージェントはちょっと泥臭いよな、とか色々あると思うんですけど、カバーってどういう系なんだろうっていう、色が僕の中で見えてなくて。
加持氏:
それ、よく言われるんですよね。
TAITAI:
なんだか、お話を聞いてるとすごくニコニコとか、私の前職だったドワンゴにこういう人いたなあ、みたいな感じがするんですけど、カバーがただそういう色ではなさそうだとも思うので。
加持氏:
最近、まともな感じを頑張って見せてはいるんですけど。でも、たぶん元々はそういう、いい意味で頭がおかしい人が多かったんじゃないかと思ってて…たとえば毎週日曜日に公開している「ホロぐら」って3Dアニメーションはご覧になりました?
加持氏:
なんか、あの内容とか見てると「どうやったらこんなの思いつくの?」みたいな感じなんですけど、やっぱりそういう…要は日清さんの「カレーメシ」のCMみたいな、あれもけっこう狂ってると思うんですけど、ああいう感じの狂い方をしてる人が多かったなって印象ですね。
喜多山氏:
今はだいぶそうでもない?
加持氏:
今は…いや、いますよ(笑)。いますけど、やっぱり最近は、ちゃんとした大企業に勤めていた人とかが来て、仕組みを色々作ったりしているので。なので、今はハイブリッドみたいな組織かもしれないですね。
ちなみにその中でも、僕はふざけた方かもしれないです。
喜多山氏:
なるほどなるほど(笑)
会社としては、タレント事務所って考えたほうが分かりやすいんですかね?
加持氏:
うーん、そう言うとたぶん怒られそうな気がするので…あくまで今は事業のひとつとしてVTuber事業というのがあるという感じです。ご存じだと思うんですけど、ほかにも『ホロアース』のようなメタバースプロジェクトとか、色々なことをやろうとしているので。
うちの会社もけっこう、世間の情勢に合わせてピボット(事業転換)をかなりしてきている会社ではあって。もともとVTuberの会社でもなく、VRの卓球ゲームを出していたみたいな感じではあるので、この先もどんどん変わったりだとか、事業を複数走ったりということにはなっていくとは思うんですよ。
喜多山氏:
では強みとしてホロライブタレントがいるっていうのがあるけれど、総合エンターテインメント企業であるっていう感じですか?
加持氏:
うーん…
喜多山氏:
とも言えない?(笑)
TAITAI:
コンテンツを制作するのか、しないのかとかが、結構ひとつの分岐になりそうですけど、それで言うと制作する側のイメージなんですか?
加持氏:
あー、そこは難しいですね。制作も一応するはするけれど、どちらかといえばクリエイターをサポートするみたいな考えのほうが強いですね。その、VTuberも広義のクリエイターと考えたうえで。
喜多山氏:
なるほど。そういった活動がホロインディにも繋がってくるという感じですか?
加持氏:
そうですね。