私たちは、きっと想像以上に「インターネット」に支配されている。
朝起きた時、SNSをチェックする。
昼に外出して、マップで行き先を調べる。
夜寝る前に、YouTubeで暇を潰す。
ある日世界から突然インターネットが消え去ったとして、私たちはこれまで通り生きていけるだろうか？ いや、結構難しいと思う。何事も進むのは簡単だけど、戻るのは難しい。それは技術も人間も同じ。私たちはインターネットを使い倒しているようで、インターネットに生かされているとも言える。
……などと高尚そうな始まり方をしましたが、みなさん「旅行先でインターネットが一切使えなかったら」と考えたことはありますか？
そう、見知らぬ土地にやってきたのに、マップもお店の情報も調べられない。すべて、自分の足で情報を稼ぐ必要がある。いやいや、そんなの現代人には絶対無理でしょう！
ですが、私は今回、インターネットの一切合切を禁じられた状態で佐賀県にやってきました。
空港から降りた瞬間、そもそもこの空港がどこにあるのか、いまどこにいるのかもわからない。調べるのも禁止。スマホからタクシーを呼ぶのも禁止。人間ひとり、思った以上になにもできない。うん、私たちはきっと想像以上にインターネットに支配されている。
しかも、私自身、「佐賀県」に来たのが初めてなのです。
つまり、土地勘ゼロ。ここから2泊3日で、ホテルも事前に取らず、佐賀県を攻略する必要がある。本当に正直言ってしまうと、こんな企画やりたくなかった。
だってこれ土日稼働なんだぜ？
土日にこんな過酷なことしたくないんだけど！？
要するに、私のテンションは過去最低です！！
※この記事は「ロマ佐賀」の魅力をもっと知ってもらいたい佐賀県さんと電ファミ編集部のタイアップ企画です。
まず、「マップ」がない
最初に、この旅の趣旨を説明する必要がある。
「サガ」シリーズと佐賀県のコラボである、「ロマ佐賀」のことを佐賀県はもっと広めたかったらしい。
なんやかんやあって私に声がかかり、「えー、じゃあロマサガらしく、ネット禁止で佐賀県回ったらハードになって面白いんじゃないですか？」と、迂闊な企画提案をしてしまった。
その迂闊な企画がアッサリ通り、私には七英雄になぞらえた7つのミッションが課された。
・コラボメニューを食せ
・ロマ佐賀列車の謎を解け
・「せんせい」のステッカーを入手しろ
・ロマサガ2をプレイせよ
・ロマ佐賀ポストから手紙を出せ
・「電球ボトル入り閃きふりかけ」「ロマンシングサバ」を入手せよ
・県知事に会え ※高難度
以上の7つ。
これをネットが禁じられた状態で、2泊3日で攻略する。
しかも土日稼働で。ただの苦行だ。もう二度と迂闊なことは言わない。
佐賀駅に到着。
しかし始まってしまったものは仕方がない。
やることになった以上、もうやるしかないのだ。
そして私の中で、この旅の「指針」がひとつあった。
きっとこの企画、佐賀県側も、読者側も、私がヒドい目に遭わないかとニヤニヤしているに違いない。これは被害妄想じゃない。始まる前からその空気を感じ取った私は、「じゃあもう徹底的に攻略してやろう」と思った。私が始めた企画だ。私自身の手で完膚なきまでに破壊する。
要するに、「なにも用意されていない旅行」という状況に対する「最善手」を打ち続ければ、あまり苦労せずにサクッと終われるのではないか？ ……と考えた。
空港を出て、バスで佐賀駅の前にやってきた。
まず最初に取った行動が、「地図を買う」こと。
なぜ地図を買うのか？
答えは簡単、なんとしてでもホテルを確保したいから。
適当に佐賀市内を散策しながらホテルを探してもいいけど、それでは時間がもったいない。私は早くこの企画を終わらせて、都内に戻りたいのだ。ならば、スマホのMAP機能の代わりに佐賀市内の地図を最優先で確保して、駅周辺のホテルを全部回る。とにかく無駄を抑えて、安全に、7つ終わらせたい。
運のいいことに、書店で佐賀市内の地図を確保できた。
てか、こういうの普通に売ってるもんなんですね。
地図を確認したところ、駅周辺にホテルが何件もあった。
さっそくアパホテルとルートインに突撃し、2軒目のルートインを抑えた。しかもその場で土日の2泊分を確保！ 完璧だ！！ ハハハ、ざまあみろ！！
あ、なんか結構元気になってきたかも。
今日と明日に温かい宿があると思うと、急に元気になってきた。
思ったより余裕が出てきたので、とりあえず「ロマ佐賀列車の謎を解け」というミッションに挑んでみる。このミッション、佐賀駅をブラブラしている時に「ロマ佐賀列車ラリー」なるものを入手した。七英雄が列車に乗って佐賀県に来るらしい。列車に乗ってくるなよ。
ざっくり説明してしまうと、「電車に乗って佐賀県内のあちこちを回って、キーワードを埋めてみよう！」という、電車を使った謎解きゲームである。7つのキーワードを集めて正解すると、ロマ佐賀仕様のエコバックがもらえる。「あちこち回って」の時点で「なんか、面倒くさそうだな」と思ってしまった。
そして、私は真っ先に思った。
この手の謎解き、わざわざ真面目にやらなくても机の上で解けるのでは？
私は、結構「メタ読み」が好きだ。
要するに、「作る側はこうやって考えるから、こう解くのが最善」という制作者の心理から逆算する考え方である。
そして私がこの企画の制作者なら、間違いなく「本当に佐賀県全域を回らなければ解けない問題」は作らない。だって、そうするとゲームのハードルが高すぎる。
そうなると特典のエコバックも余るし、「企画の参加者が少ないじゃないか」と上司から激詰めされること確定である。あと、どうせこの手の問題はみんなネットで攻略を見る。
だから、そもそもネットを見る必要すらなく、机の上で解ける気がした。
※編集部注……佐賀県庁の方は、「列車に乗って佐賀の冒険を楽しんで欲しい」という想いで企画しているので、メタ攻略は推奨していません。
まず目をつけたのは、パンフ内の「ヒントは黄色い車両の名前」。
つまり、わざわざ佐賀県全域を回らなくても、この「黄色い車両」さえ見つければ解ける。もっと言うなら、「黄色い車両そのもの」である必要もない。写真かなんかでこの車両を見つければいいのだ。
そしてパンフレットをじろじろ見ていたところ、同じパンフ内にこの車両の絵があった。そして、細かく「×××××（※モロ回答なので伏字にします。電ファミ編集部より）」と書かれていた。勝ち確ですね、ありがとうございました。
こうして、7つのキーワードのうち、5つの「×××××」は解けた。
しかし、残りのふたつが未確定。
問題的には、現在「〇〇×××××」となっている。
最初の2文字が不明なのだ。
ここは常識的に「JR×××××」ではないかと思ったけど、念には念を込めて佐賀駅3番のりばにあるベンチの絵柄を確認することにした。このベンチの絵柄が気球なら、1文字目の答えは「J」になる。
そしたらもう間違いなく「JR×××××」が答えだろう。ああ、もう「明らかな難問として設置されていたのにデスク上で解いてしまう」気持ちよさで絶頂しそうだ！！
はい気球。勝ち確ですね、ありがとうございました。
そして用紙に「JR×××××」と記入し、係員に提出。
無事正解。大体10分くらいでエコバッグをゲット【※】した。
ねぇ、ちょっとこれ難易度甘いんじゃないですか？
※エコバッグの配布は終了しています。
もしかしたら、読者のみなさまは「お前そんなことして人生楽しいわけ？」と思われているかもしれない。いいや最高の気分だね、ズルして大人負かすのは！！
でも、サガってこういうとこあるでしょう？
システムをハックしてこそサガというか、ゲームをぶっ壊してこそのサガというか……。
とにかくツラい目に遭いたくない
実は、駅構内で佐賀市内における「ロマ佐賀ガイド」を入手してしまった。
このガイドを見る限り、どうやら「ロマ佐賀」に関するイベントやお店は、「佐賀市内の大通り」に集約されているようだ。そして、ここでも「メタ読み」をすることができる。
つまり、おそらく残りの6つのミッションも、この一直線の道に集約されているに違いない。そもそも、このイベントはきっと「サガ」シリーズのファンが佐賀県外からもやってくる。そうなった時、初めて佐賀県に来た人々を市内の四方八方に行かせるようなイベント配置を行うだろうか？
いや、私が佐賀県の企画担当者なら、間違いなく「せっかく県外からも人が来るのに、なんで迷うようなイベント配置にするんだ！わかりやすく特定箇所に集中させるか、導線を用意しろ！」と言っている。そう考えた時、まず佐賀市内の大通りに「ロマ佐賀」の全イベントを集めるべきなのだ。
そこから逆算すると、この7つのミッション自体が「佐賀市内で完結し、かつ大通りの直線上を移動すれば、すべて解けるもの」として用意されているはず。なので、残りの2日間、私はひたすらこの直線上を移動し続ければいい。無駄に横道に逸れる必要もない。
流石に移動中「そういうメタ読みやめてくださいよ！？」とツッコまれたけど、そもそもメタ読みを許すような設問にする方が悪いと思う。
次に達成したのは「コラボメニューを食せ」。
大通りを直進していったところ、「SAGAアリーナ」という巨大なアリーナが見えてきた。その近くにある「La Pause」というカフェにて、コラボメニュー「嬉野茶ラテ『翠の波動』feat.DivaNo.5」をいただくことができた。もうサガエメのメニューあるんだ。
この抹茶ラテを飲んで、なんなくふたつ目のミッションも達成。
マズい、これはこれで撮れ高ゼロなのでは？
なんか逆に不安になってきた。せっかくの土日を過酷な旅にしたくないがゆえに、あまりにも塩プレイをしすぎてしまった気がする。割とすぐにふたつ達成してしまった。『ロマサガ2』だってクジンシーとロックブーケを倒すのにもうちょい時間かかるはずだ。バカなフリしてうっかり長崎県まで行ってしまった方が面白かったのだろうか？
ダメだ、「ツラい目に遭いたくない」と頭をフル活用して旅のリスクを下げれば下げるほど、比例して企画の面白さが下がっている気がしてならない。わざとホテル取らない方が面白かったのだろうか？ もうわからない、なにも……なにも……。
次に手をつけたのは、「ロマ佐賀ポストから手紙を出せ」。
これもパンフレット上に「ロマ佐賀ポスト」の場所が書かれていた。そして佐賀県公式アプリである「SAGATOCO」でスタンプラリーをすると、ロマ佐賀のポストカードがもらえる。そのロマ佐賀ポストカードを、ロマ佐賀ポストから出せとのこと。
ここでみなさん思うでしょう、「もうインターネット使ってんじゃねーか！！！！！」と。
謎の出題者であるヨッピー氏いわく、「（スタンプラリーが）こういうシステムだって知らなかった……」そうです。どうなってんだヨッピー！！
なので、ここだけ普通にiPhone使いました。もうスタンプラリーに佐賀市内の地図出ちゃってんだけど？ えっ、書店で地図買ったのなんだったんすか？？ こんな無軌道な企画あるか？？？
SAGAアリーナから佐賀駅まで戻る道の中で、無事にスタンプラリーは達成。
そのままアルベルトのロマ佐賀ポストに投函。
これで「ロマ佐賀ポストから手紙を出せ」は達成。
オイオイオイ……マジでぬるっと7つクリアしそうじゃないか……？
割と普通に佐賀県楽しんで終わりそうじゃないか……？
ガイドマップを見る限り、残りのミッションもサクサク達成しそうで余計に不安となっていた中、ここで「時間の壁」にぶち当たった。
つまり、この3つを終わらせた時点で時間が17時となり、イベントに対応したお店がほとんど閉まり始めてしまったのだ。よかった、それっぽいハプニングが起きた！！
とはいえ、なんだか時間がもったいない気がしたので、ギリギリ18時までオープンしている「佐賀県立博物館」にタクシーで行ってみることに。博物館がミッションに関係あるのかはわからないけど、とりあえず時間を無駄にしたくないので、行くだけ行ってみる。
実は博物館では、「ロマ佐賀」に合わせて『サガ』シリーズの原画や開発資料を公開している特別展示が行われていた。てか、そうパンフレットに書いてあった。
これ……なんか思った以上にファン的に嬉しい展示なんですよね。
特に、『サガフロ2』の開発資料がそのまま展示されてるのがめちゃくちゃ嬉しい。ほら、あのやたらと気合の入った背景美術……まさか資料として残ってるなんて。うん、これ見れただけで割と佐賀県来た意味あったかも。
ただ、この博物館自体はミッションと関係なかった。
1日目、これで終了！！
「佐賀県に行く」と聞かされた時、どうしても行きたいところがあった。
それがこの、「ドライブイン鳥」。
そもそもこの企画の発端は「私が佐賀県に一度も行ったことがない」のが発端となっているのだけど、少しだけ知っていることがあった。それが、「ドライブイン鳥」。
企画段階で「佐賀県になにがあるか知ってます？」と聞かれた時も、「ドライブイン鳥がおいしいことだけは知ってます」と即答していたくらい、私の中では「佐賀＝ドライブイン鳥」だった。
そしてなんと駅の近くに「ドライブイン鳥」を発見し、そこで夕食を食べた。おいしかったです。サガ全然関係ないけど、どうしてもこれだけ残したかった。
