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『太陽のしっぽ』には「サーベルタイガーが交尾をしている巣」が存在する──開発メンバーから語られた衝撃の隠し要素(?)を確かめたい。広大なフィールドから「謎の巣」を探す旅

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『太陽のしっぽ』には「サーベルタイガーが交尾をしている巣」が存在する

発売後30年の時を経て実施された座談会で開発メンバーから衝撃の隠し要素(?)が語られたとき、“驚き” と “納得” の感情が同時に押し寄せました。だってあまりにも『太陽のしっぽ』らしいから。

『太陽のしっぽ』が「伝説の奇ゲー」と呼ばれ、現在も熱狂的に愛されている理由については座談会記事を読んでいただければご理解いただけるかと思います。

この記事で検証したいのは、その座談会で語られた隠し要素(?)について。概要をざっくりまとめると下記です。

・フィールド南東の半島に、サーベルタイガーの巣が存在する
・その巣の最奥には「交尾をしているサーベルタイガー」がいる
・その巣を発見させないようサーベルタイガーを配置して守らせる
・バレずにマスターアップできそう→直前で担当者が巣の入り口を閉じる
・しかしサーベルタイガーが交尾しているデータは(見えないけど)残ったまま

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早くて強いサーベルタイガー

つまり、製品版では「巣への侵入を食い止めようとするサーベルタイガーにやたら襲われるエリア」「入口が閉ざされて中に入ることができない巣」が存在しているということ。そして、巣に入れないから見ることはできないものの、奥には交尾をしているサーベルタイガーがいる。

であれば、そこに行ってみたいですよね?

そこでこの記事では、『太陽のしっぽ』の広大なフィールドから「サーベルタイガーが交尾をしている巣」を見つけ出すまでの様子をお届けします。いちばんの問題点は、オープンワールド型のゲームなのに “マップが表示されない” こと

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マップはなく、カメラの画角もほぼ固定されている

原始時代ということもあり周りは草原や山ばかりで目印になるような建築物もほぼなく、「フィールド南東の半島に存在する」というほぼ方角のみの情報で果たしてたどり着けるのか疑問です。

また、運よくたどり着けたとしても巣の入り口は閉じられているため交尾しているサーベルタイガーを見ることはできません。つまりプレイヤーにできることは「ああ、この奥でサーベルタイガーが交尾をしているんだな……」と想いを巡らせることくらいです。

しかしそれでも、筆者はその場所に行ってみたい。

文/柳本マリエ


歩いて日本地図を完成させた伊能忠敬に感謝

フィールド南東の半島に存在するサーベルタイガーの巣を探すにあたり、筆者は伊能忠敬の偉大さを痛感しました。というのも、「自分がいまどこにいるのかわからない」という状況はあまりにも無力だからです。

『太陽のしっぽ』は拠点となる集落がありますが、まずこの集落がフィールド上のどこに存在しているのかわかりません。なぜならマップがないからね

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拠点の集落

しかしながら探索をすると、この集落から東にも西にも南にも北にもそれなりに進めるため「おそらくフィールドの中心に集落があるっぽい」ということは感覚で理解できます。

そこで最大の頼りになるのが、説明書の背景にさりげなく描かれているマップ。

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2025年に発売された復刻版でも当時の説明書を見ることができる

1996年の発売当時は目次に目が行ってしまいまったく気がつかなかったのですが、じつはこれが全体マップだそうです。つまりこのマップの中心部分に拠点となる集落がある可能性が高い。

サーベルタイガーの巣は南東の半島にあるらしいので、右下のエリアに行く必要があります。

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でも、どうやって???

・マップが表示されないため現在地がわからない
・太陽は見えず、星は現実と異なる動きをしている
・自分の影やアイテムの影は時間帯よって変わらない
・カメラがほぼ固定されている(周りを見渡せない)

こうなってくると伊能忠敬より縛りは強い気がしますが、問題は「自分が向かう先」を確認できない状態で進むことです。

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カメラがほぼ固定されているため目的地の方向(南東)が見えない

このように「自分が向かう先」を確認できない状態で進むと、無意識に進行方向がズレる。

というのも、実際のフィールドは平地が続いているわけではなく「それなりに高い山」や「まあまあ太い川」などもあり、南東に進んでいるつもりでも山や川を越えているあいだに進んでいる方向がややズレてしまいます。

3時の方向に進んでいたつもりでも気づいたら2時や4時の方向になっていた、といったように。

そうすると想定していた地形とは別の景色が見えているため迷子になります。現在地がわからないと、人はあまりにも無力

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現在地を知る手がかりがない

歩いて日本地図を完成させた伊能忠敬も、少なからず計測中にそういう苦労があったのではないでしょうか。でも、忠敬が地図作りをあきらめなかったように、筆者もサーベルタイガーの交尾をあきらめません。

また、『太陽のしっぽ』にはさまざまな動物が生息しているので、道中で遭遇する動物に攻撃されると死ぬこともあります。

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油断すると死ぬ

死ぬと拠点から再開することになるのですが、自分がどこで死んだのかがわからないため「途中まで進んだ場所に戻る」ということも簡単なことではありません

さすがに手がかりがなさすぎる状況だったので、座談会でサーベルタイガーの巣の話をしてくださった当時のグラフィックデザイナー・櫻井平八郎氏に改めて「詳細な場所」を聞いてみました。最初からそうするべきでしたね。回答をまとめると下記です。

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・場所は細長くなっている地形の左側
・サーベルタイガー複数配置エリアを越えてさらに南下すると巣がある
・侵入させないようサーベルタイガーがガーディアンのように配置されている
・巣の周辺は草原の地形ではあるが、火山の噴火口のようにくぼんでいる
・くぼみは地形の高い位置にあるためカメラで写りにくい

あっ、これ本当に発見させないようにしていますね。

高い位置でくぼんでいるって、“本気” すぎる。とはいえ、詳細な場所の情報が手に入ったので上記を頼りに行ってみようと思います。

伊能忠敬のように海岸線をひたすら歩く

たとえ巣の詳細な場所がわかっても、現在地を把握できなければ迷子になってしまう可能性が高い。この問題を解決するために、海岸線(陸と海の境目)をひたすら歩くことにしました。そう、伊能忠敬のように。

3時の方向に進んでいたつもりでも気づいたら2時や4時の方向になってしまう原因は、山や川を越えるタイミングで無意識に方向がズレてしまうため。目印になる建築物もほぼないフィールドで「進行方向を保ち続けること」は困難です。

しかし今回の目的地は海に近い場所(半島の左側)ということが判明したので、海岸線に沿って歩き続けていれば近くまでは行けるはず。ということは、拠点の集落からいったん南東の海に出たあと下記のルートであれば方向を見失わずに進めるのではないでしょうか。

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ということでさっそく試してみました。

いったん細かいことは考えず、たどり着くことより周辺の情報取集を目的とします。東南の海に出るまでにかかる時間や実際の地形と全体マップの地形の比較など、大まかな情報を得るための遠征です。

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海岸線を歩く作戦は迷子になりにくく、かなり有効

そうして南東の半島に向かってみると、さっそくサーベルタイガーに遭遇。

第1サーベルタイガーを発見したのもつかの間、横から第2サーベルタイガーがすぐに出てきてパニックに陥ります。

ものすごい速さで追いかけ回され、情けないことにあっけなく死んでしまいました。しかしこれは、巣に近づいているのかもしれません。2匹もいたので可能性は高いのではないでしょうか。

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実際に遭遇するとパニックになる

……でも、いまの場所どうやって行ったんだっけ?

死んでしまうと拠点からの再開になるため、さっきまでいた場所に戻れるとは限りません。ルートを定めてから初めての遠征だったこともあり、わりと適当に進んでしまっていました。

そこで、記憶が新しいうちにさっきと同じように東南の海に出ようと進んでみましたが、前回とは明らかに別の景色が目の前に広がります。

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前回はこんなひまわり畑を通っていない(同じ方向に進んでいるつもりでも進行方向がズレてしまっている)

さらに厳密にいうと、サーベルタイガー複数配置エリアもサーベルタイガーの巣も海に面しているわけではないのでどこかで内陸に進む必要があります。さっきはここについても適当に進んでしまいました。

もうサーベルタイガーに遭遇した場所まで戻れる自信がありません。それに仮に戻れたとしても、たまたまサーベルタイガーがいただけで、巣に近づいたわけではない可能性もあります。

あれ? 私はいったい、なにをしているんだ……?

途方に暮れるとうっかり正気を取り戻してしまいそうになるのですが、「サーベルタイガーの交尾に想いを巡らせる」という目的をしっかりと胸に刻み、調査を続けました。

「巣には近づかせない」という開発者の強い意思

「2匹のサーベルタイガーに遭遇した場所」は、位置関係から考えてもサーベルタイガー複数配置エリアである可能性が高いため、まずはそこに確実に行けるようになりたい。そこで下記のサイクルを繰り返しました。

①拠点となる集落から東南の海に出る
②海岸線をひたすら東に向かって歩く
③ここぞというタイミングで内陸に進む

先述のとおり目印となる建築物はないものの、上記のサイクルを繰り返すことで「落ちているアイテムの配置」や「生えている植物の種類」でだいたいの現在地を把握できるようになりました。それらを通過ポイントとして回収していけば高確率でたどり着けます。

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拠点となる集落から東南の海に出る(通過ポイント①)
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海岸線を東に歩くと、足場のような場所がある(通過ポイント②)
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さらに東に進むと崖があり、そこをのぼるとピンクの和菓子が密集している(通過ポイント③)
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少し南に進むとサルがいるので、体力維持のために捕食(通過ポイント④)
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さらに南に進むと、この植物が増える(通過ポイント⑤)

上記「通過ポイント⑤」の植物を確認後、海岸から内側(3時の方向)に進むとほぼ100%に近い確率でサーベルタイガーに遭遇。ここがサーベルタイガー複数配置エリアだと確信しました。なぜなら、このエリアに入ると毎回必ず執拗に襲われるからです。

「巣にはぜったいに近づかせない」という開発者の強い意思を感じました。

サーベルタイガー複数配置エリアに行きたい方は、ぜひ上記の通過ポイントを参考にしていただければ幸いです。

サーベルタイガーたちは確実に “連携” している

筆者は、「巣を必死に守るサーベルタイガー」にすっかり感心してしまいました。というのも、彼らは単独で襲ってくるわけではなく確実に “連携” しているからです。

どうやら実際のサーベルタイガーも集団で狩りを行い、高い連携能力を持っていたとのこと。その生態がゲームにも反映されているように感じました。そこでここからは、サーベルタイガーたちの連携によって見事に死んだ筆者の様子をお届けします。

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CASE.1 追いかけられた先に別のサーベルタイガーがいる

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2匹のサーベルタイガーに追いかけられて南に逃げる
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南に逃げたら正面から別のサーベルタイガーが出現
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西に方向を変えて再び逃げる(最初の2匹はここで撤退)
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ジャンプなどでなんとか距離を取る
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着地した先に別のサーベルタイガーが出現

いや、賢すぎるだろ!!!

サーベルタイガーはほかの動物よりもかなり足が速いので、逃げるときの方向キー入力に少しでも迷いが生じると追いつかれて攻撃を食らってしまいます。そのため遭遇したら全力で一定方向に逃げるのですが、その先に新たなサーベルタイガーが待機しているため方向転換がうまくできずに死ぬことが多々ありました。

カメラの画角的に南から出てくるとその瞬間にほぼゼロ距離になるので死を覚悟するしかありません。

CASE.2 サーベルタイガーが木の陰に隠れて待機している

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とりあえず北に逃げる(1匹だから逃げ切れるだろう)
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木の陰に隠れていた(?)別のサーベルタイガーが出現

あまりにもガチの狩りすぎる!

シンプルながらも意表をつかれてパニックになります。サバンナに生きる草食動物の気持ちがわかった気がしました。「あっ、終わった……」と察する瞬間が、確かにあります。

このようなサーベルタイガーの生態に感心すると同時に、いっぽうで守るべき対象の「巣」は入口が閉ざされて入れないので、「巣に侵入させない」という使命だけが残ってしまったサーベルタイガーたちに少しだけ胸がギュッとなりました。

ついにサーベルタイガーが交尾している巣を発見

さて、サーベルタイガー複数配置エリアは無事に確認できたので(何度も死んでいるので “無事” ではないですが)、最後に「サーベルタイガーが交尾している巣」を確認しましょう。

巣については、サーベルタイガー複数配置エリアから南下すればいいだけなのでそこまで苦労せず発見することができました。とはいえ地形がややカーブしているので真南というよりやや南東よりに進む必要があります。

実際の巣(の入口)はこちら。事前に聞いていたとおり、火山の噴火口のようにくぼんでいました。

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高い位置にあるためカメラで写りにくい(ここをのぼるとくぼみがある)
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草原なのにここだけ砂でくぼんでいる
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本当はこのような入口が存在していたとのこと

入口の穴に入ると、洞窟のようになっていて内部で分岐する構造になっていたそうです。その奥でサーベルタイガーが交尾をしていた、と。

……では、想像しましょう!

私たちには思いを巡らせることしかできません。しかし、このゲームを遊んだことがあればわりとその様子を想像できるのではないでしょうか。だって、フィールドに和菓子が落ちていることよりサーベルタイガーが交尾していることのほうがよっぽど “自然” ですから。

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約30年ぶりに『太陽のしっぽ』を遊んで感じたことは、人間のたくましさ(生命力)でした。

このゲームはマンモスの牙を集めて塔を作り、太陽のしっぽを掴むことを目的としています。原始人には寿命があり、どんなにうまく立ち回ってもひとりですべての牙を集めることはできません。死んだらつぎの世代の原始人がまた牙を集める。つまり、原始人たちは後世に託す前提でマンモスを狩っています。

筆者は、この「自分が取った行動が受け継がれて進化していくこと」に感動しました。

今回のサーベルタイガーの交尾は、『太陽のしっぽ』の持つテーマを象徴している行為だと感じたので、自分でその場所に行ってみたいと思った次第です。思いのほかたいへんな旅になってしまいましたが、最後まで読んでいただきありがとうございました。

ちなみに、調べたところどうやら伊能忠敬はコンパス(方位磁針)を使っていたようですね。そりゃそうか。一方的に「同じ苦労をした仲間」と思っていましたが、忠敬のほうが筆者より当たり前に立派でした。

この記事の内容は、座談会記事をご覧いただけるとより深くご理解いただけると思うので、あわせて読んでいただければ幸いです。

編集
幼少期からホラーゲームが好き。RPGは登場人物への感情移入が激しく的外れな考察をしがちで、レベル上げも怠るため終盤に苦しくなるタイプ。自著『デブからの脱却』(KADOKAWA)発売中
Twitter:@MarieYanamoto

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