2026年5月22日から24日まで、京都みやこめっせでインディーゲームの祭典『Bitsummit』が開催されている。たくさんのインディーゲームが集まる本イベントだが、今回はその中から一風変わったアドベンチャーゲームを紹介しよう。
タイピング×ミステリーアドベンチャーゲーム、『Pain Pain Go Away!』(通称ぺぺごあ)だ。
本作は5月20日にリリース予定なので、この記事が出るころには既に多くのユーザーが本作を楽しんでいることだろう。開発、パブリッシングを務めるアドベンチャーゲームブランド「Lorebard」の初の作品となっている。
それでは、早速そんな『Pain Pain Go Away!』の中身をお伝えしていこう。
タイピングで病んだ心を癒す、かわいい見た目のゆるふわゲー……?
冒頭にもお伝えした通り、本作はタイピングゲームだ。
ゲームの目的は、少女の心のトラウマを暴き、そして癒すこと。プレイヤーは”裏の心療内科”のカウンセラーとなって、様々な悩みやトラウマを抱えた患者たちをタイピングで治療していく。
基本的なゲームプレイの内容は、タイピングのみのシンプルなもの。画面に表示された文字をキーボードでカタカタと打ち込んでいくことで、ゲームが進行していく。
また、ビジュアルも非常にかわいらしくてポップな仕上がりになっている。
とくにメインキャラクターであるフフカちゃんやココロミちゃんのキャラクターデザインは、ふんわりとしたタッチに淡い色遣いがマッチした「ゆめかわ」、「やみかわ」な感じで、非常にかわいらしい。
患者である少女たちの心の奥を覗くために開発された装置「P2GA」の見た目も、なぜか蟹の形をしていてとってもファンシー(?)。
シンプルなゲーム内容に、かわいらしいビジュアル……なんともゆるいゲームじゃあないか!!
と、思ってかかると、本作の思うツボ。このゲーム、ゆるいゲームではない。……いや、むしろかなり”重い”ゲームなのだ。
ヒステリック、共依存……タイピングゲーにしては物騒じゃない?
ゲームを起動すると、タイトル画面が出る前にこんな一文がある。
「このゲームには、一部ショッキングな表現や精神的な負担を感じる可能性のある描写が含まれます」
ホラーゲームなどでよく目にするヤツだ。
えっ、「ぺぺごあ」の「ごあ」ってそういう……?
と一瞬思ってしまうが、視覚的なゴア表現等はないので安心してほしい。しかしこのゲーム、実はシナリオがかなり重く、ショッキングな展開が繰り広げられるのだ。
より具体的に言うと、本作のシナリオは精神的にしんどめのテーマを扱った作品となっている。
カウンセラーとなって少女たちのトラウマを探っていくと、いつしか思いもよらない出来事や危なすぎるトラウマへとたどり着き、人殺しや自殺、あるいは自己否定など、やたらとネガティブで物騒な言葉のタイピングを求められる。
プレイヤーはカウンセラーとして、親子関係のトラウマや友人間の隠れた秘密などへと深く立ち入っていくことになるのだが……。深い闇に呑まれた少女たちは、もはやヒステリー状態になってしまう。矢継ぎ早に流れてくるタイピング問題に焦らされるのもあいまって、プレイヤーの感情と精神を追い込んでくる。
なお、本作には3つの難易度が用意されており、チュートリアルいわく「できるだけ難しくする方が楽しい」とのこと。
人よりかなりタイピングが速い自負がある筆者は難易度HARDで挑戦したが、演出に急かされることもあって、かなりスリリングで手応えたっぷりのゲームプレイを楽しめた。
HARDよりうえにも、さらにふたつの高難易度が用意されているので、タイピングの腕に自信のあるプレイヤーならストイックなタイピングゲームとしても楽しめるだろう。
ただの「タイピングゲーム」じゃない。シナリオ分岐やマルチエンディングで、アドベンチャーゲームとしての魅力もたっぷり
ストイックなタイピングゲームとしても楽しめる……と言っておいてなんだが、じつはこのゲーム、ただタイピングをして腕試しをするだけのゲームではない。
そして、そこがまさに本作の最大の魅力でもある。詳しく説明しよう。
実は、本作はゲームプレイの途中でいくつかの「シナリオ分岐、ないしはフラグを立てる場面」がある。タイピングゲームでどうやってフラグを……?と思うだろうが、そこがキモである。
たとえば、画面の中に複数の言葉が重なって、あるいは乱れ飛んで表示されている場合、プレイヤーはその中から患者にかける言葉を「選ぶ」ことができる。
あるいは、表示されている言葉をあえて「タイピングしない」、つまりカウンセラーとして患者に言葉をあえてかけないことや、別の箇所で知ったキーワードを打ち込むという選択をとることもできるのだ。
このことを知ると、このゲームのもうひとつの側面である、物語の真相を推理するミステリーゲームとしての姿が見えてくる。
カウンセラーという設定を活かしつつ、アドベンチャーゲームとしてプレイヤーに選択肢を与える、そしてタイピングというゲームプレイとも噛み合った、興味深いシステムだと感じた。
ゲーム内の重要な場面で「とどめの一言」をタイピングするときには、骨太な推理ゲームで謎の最後の鍵を差し込むときの「王手」のような快感を感じることができる。
それと、既にお察しの方もいると思うが、本作はマルチエンディングのアドベンチャーゲームである。1時間で終わるゲームかと思いきや、意外とボリューミー……そういった意味でも、決して「軽い」ゲームではないことをお伝えしておこう。
ちなみに、本作はBitsummitでの試遊だけでなく、Steamでも体験版を公開中だ。「まだ誰も見たことがないアドベンチャーゲーム」を謳ったこのユニークなタイピングゲームを、是非体験してみてはいかがだろうか。










