みなさん、”アノマリー”ってお好きですか? 私は大好きです。
現在の自然科学では説明不能な謎現象、常識から外れてしまった異物、奇異で奇妙で、摩訶不思議な空間。
こういうものってすごくワクワクしませんか?
巻き込まれるものなら巻き込まれてみたい!
で、実際に巻きこまれてみて分かったんですけど、そういうものを調査してるところの労働形態がホワイトなわけないんですよ。
普通に閉じ込められるし、普通にバケモノが襲ってくる。そして、調査員の命はかなり軽い。
「適切な行動をとれば簡単には死にません。研修を受けたはずです。」
「行きなさい。それしか、あなたたちが生き残る道はありません。」
仲間の調査員が目の前で死んでも、「調査を続行してください」と一言。次々と出てくる怪物たちを前に、仲間の死を気にしている暇もない。
とにかく撃つしかない。
ふと気がつくと、サブマシンガンを乱射しながら必死に敵から逃げ回っていた。なんでこんな目に?
そんなわけで、今回はフリューの新作サバイバルTPS『アノマリス/ANOMALITH』(以下、本文では『アノマリス』)をご紹介します。
異界調査、どう考えてもブラック労働だった。“怪異に巻き込まれる仕事”の嫌なリアルさ
『アノマリス』では、主人公たちは異界を調査する「危険区画対策室」の調査要員として、前触れもなく発生する異界へ送り込まれる。任務は、内部の探索とそこに出現する謎のバケモノ“アノマリー”への対応だ。
本作の舞台は、“昭和が終わらないまま続いてしまった”というIFの日本。曇り空の団地、薄暗い病院、やけに天井の高い商店街──不気味なのに、どこか妙に懐かしい。そんな空間が突如”異界化”してしまい、主人公たちはその現象を調査するための機関だ。
「なるほど!こういう場所を探索しながら怪異を調査していくゲームなんですね。わかりました、いってきま~す」
そんなかる〜い気持ちで異界へ。建物のなかに入り、「異界の調査たのしみだな~」とノコノコ探索しているとアノマリーが出現。
さっそく襲われます。あれ、なんか思ってたのとちょっと違うな……?
とにかく「殺らなきゃ殺られる」という状態なので、無我夢中で銃を乱射して進んでいく。最初はゆっくり動いていたアノマリーも、途中から急に距離を詰めてくる。気づいたら囲まれてるし、数も増えている。急に部屋に閉じ込められて死にそうになったりもした。
こちらとしては「調査だけで!今回は調査に来ただけですので!」という気持ちでも、待ってくれる空気は一切ない。
さらに進んでいくと、バケモノたちから必死に逃げる味方の調査員の姿が見える。通信越しに「敵が出ました!撃ちます!」という声が飛ぶが、上官からは「友好的なアノマリーかもしれないので、勝手に攻撃しないように」の返答。もちろんその調査員は死ぬ。これは完全に人災では……?
とはいえ、異界に出現するアノマリーにはさまざまな種類がいるらしく、なかには敵ではない者もいるらしい。元人間である可能性もあるという。だから正確な調査が必要なのか。しかし、そのせいで調査員はどんどん犠牲になるわけですが……。
おびえる調査員たちに対して、上官は一言。
「行きなさい。それしかあなたたちの生き残る道はありません。」
労働!労働!労働!労働!労働!(ヤケクソ)
薄々感じてはいたが、やっと確信した。ここは「死ぬのが当たり前」の職場だ。あつめられた調査員たちは決して“選ばれた英雄”などではなく、調査のためならいくら死んでもいい“捨て駒”として異界に放り込まれる。SCPでいうDクラス職員だ。
本作における「異界調査」とは、未知のバケモノに命がけで対応しつづけるブラックすぎる業務なのだ。仲間はどんどん死んでいき、瀕死の重傷を負っても、いのちある限り任務はつづいていく。
な、なんてイヤなリアリティのゲームなんだ……!
もうこの時点で辞職したい気持ちだが、あいかわらず敵は次々と出てくるので、銃のトリガーを引き続けるしか無い。逃げ道は前にしか無いんだよ!
労働!労働!労働!労働!労働!
最悪の労働環境、最悪の敵対アノマリー、でも世界観がよすぎる
『アノマリス』が厄介なのは、こんな状況下でも「もっと探索したい」という気持ちが消えないところだ。これがやりがい搾取……?
本作の異界は、「リミナルスペース」をベースにしつつ、そこに「昭和レトロ」が混ざったハイブリッドな空間となっている。懐かしさと不気味さだけでなく、「ちょっと前まで普通に人が暮らしていた」ような、生々しい生活感が残っている。
平和だったら普通にお散歩したかったくらいだが、実際にはアノマリーがうごめいており、こっちは銃器を抱えて必死に走り回っている。温度差がすごい。

今回プレイできたのは序盤のチュートリアルと、その次の病院エリア、団地エリアの一部まで。
どこも雰囲気は違うのだが、「知っていそう」なのに何かがおかしい、奇妙な違和感の漂うものになっている。ありふれた日常の空間が突如として現実離れしたものに変わっていてしまっていたりして、ぞわぞわする……!
また、緊張感のある現場にも関わらず、キャラクター同士の会話には妙な軽さもある。
主人公の水無月 玲緒奈は、登場時からクールで調査員としての適性を認められていくが、決して冷血なわけではなく正義感は超強い。探索中にアイテムを見つけると嬉しそうにリアクションもするのでこっちも嬉しい。キミが主人公でよかった……。
そして彼女、負傷などで体力を消耗するとビジュアルが徐々に“異形化”する。これがまたカッコいい。

玲緒奈は銃器での攻撃に加えて、異形化したツメで斬りつける近接攻撃や、相手の攻撃を弾くパリィなども使用可能だ。
これらは便利な反面、MPを消費するため無闇には使いづらいのだが、異形化中は自動でMPが回復していくようになるため、こうしたスキルが使いやすくなるという利点もある。
そんな玲緒奈に初対面でケンカを売ってくるのが、のちに通信オペレーターとなる紅田 唯我だ。登場時から完全にイキっており、「先輩を敬え」という態度をとってくるが、よくよく話を聞いてみるとヘタr……不屈の努力家であることがわかる。
そのほか、異物研究を楽しむマッドサイエンティスト・伏見 伊万里や、鬼上官・須藤 京香など、危険区画対策室にはかなりクセの強いメンバーがそろっている。物語で彼女たちがどのように関わっていくのかも気になるところだ。
また、装備カスタマイズの自由度もかなり高い。戦闘スタイルに応じて銃器にアタッチメントを装着できるほか、部分ごとにカラーや模様を変えることもできる。
用意されている衣装の種類も豊富で、ガチガチにプロテクターで挑むもよし、爽やかな夏服セーラーでサブマシンガンをぶっ放すもよし。任務さえこなせれば、どんな見た目でもいい。アットホームな職場でよかった。

『アノマリス』の試遊を終えて、まず頭に浮かんだのは「すべてが終わったら、みんなでここ(異界)をお散歩しようね」という感想だった。調査員はどんどん死ぬし、上官は容赦ない。いまのところ、たぶん散歩なんて無理だろう。何よりアノマリーが普通に怖い。
そもそもアノマリーとは何なのか。本当に“友好的なアノマリー”なんて存在するのか。そして、異界に消えた玲緒奈の友人はどこにいるのか。
プレイ中に抱いた不安と同じくらい、とにかくこの先の展開が気になる。不思議なことに、つぎに異界へ放り込まれる日がいまから楽しみになっている。


















