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『恋と深空』は「手」が口ほどにモノを言うゲームだった。物語を楽しんでいたはずなのに……肌キメや血管の浮き、深爪までじっくり観察して「手」から目が離せない。助けてください。

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突然ですが、みなさんは人と会話するとき、まず相手のどこを見ますか?
顔?髪型?それとも服装?
あるいは、顔のパーツ一点集中型?
人それぞれですよね。

私の場合は、「手」。

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「手」です。

正確にいうと、「手」を意識するようになってしまいました。たったいま。

『恋と深空』をプレイしてしまったせいです。

あれは、たしか2週間ほど前のこと。

編集部「『恋と深空』のクラウド版が出たんですが、レビュー記事を書いてみませんか?」
私「乙女ゲームやったことないんですけど、大丈夫ですか?」
編集部「大丈夫です!」

そんなこんなで、はじめて本作を遊べることになりました。ちなみにクラウド版というのは、大容量のゲームデータをダウンロードせずに、本編を楽しめるというもの。

しかも、通常版の容量が約40~50GBに対し、数百MB程度でプレイ可能。なにかと容量不足な我々のことをわかりすぎている。科学技術さん、ありがとう。

『恋と深空』は、Infold Gamesが手がける3D恋愛シミュレーションゲーム。プレイヤーは怪物「ワンダラー」と戦う深空ハンターとなり、さまざまな男性キャラクターたちと交流を深めながら壮大な物語を進めていきます。

前述したように、筆者は乙女ゲーム未経験者。恋愛シミュレーション自体、あまりやったことがありません。『恋と深空』について、「生理周期を管理してくれるらしい」という噂だけは耳にしていましたが、それ以外の事前知識はほとんどありませんでした。

いったいどんなゲームなんだ……はたして楽しめるだろうか……

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はぇ~主人公の過去はやたらと重いし、物語は序盤から複雑な展開に。話のつづきが気になって仕方ありません。登場するキャラクターたちはそれぞれ魅力的で会話も楽しい。

あと、みんな手がキレイだな~。

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攻略対象となる5人の男性たちとは、メインストーリー以外でも、一緒におしゃべりしたり、触れ合いが可能。「指を絡める」「あごのせ」など、さまざまなアクティビティが用意されている。それにしても、みんな指が長いなあ~……。

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見てください、
この美しい指!!!!!!

…
……
………おかしい。

ストーリーを楽しんでいたはずなのに、なぜか、手ばかり見てしまう。

というかこのゲーム、なんかやたら「手」が主張してこない?気のせい?
大切なものを手渡したり、相手のごはんを奪ったり。スキンシップ以外の場面でも、手のカットインがとにかく多いのです。

キャラクターの顔を見ようとしても、「俺を見ろ」と言わんばかりに手が映り込んできます。

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“グラフィックがすごい”ゲーム──リアルな人体表現や精緻な造形、ただただキレイに描かれた作品は山のようにあります。しかし、キャラクターの「手」をここまで意識したのは初めて。ゲーム画面に向かって、「すみません、手を見せてくれませんか?」と言ったのも初めてです。怖すぎる。

本作に登場する「手」は、つるんとした何一つ知らないドールのような手ではなく、関節やシワがあり、体温が伝わる、血の通った「仕事人」の手です。

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そして、すごいのはその質感だけではありません。同じ手でも、何をするか、誰に触れるかによって動き方は変わります。指をそっと添えるのか、力強く握るのか。

顔に表情があるように、手にもさまざまな表情があることを思い出させてくれる。『恋と深空』は、「手」は口ほどにものを言うことを教えてくれるゲームだったのです。

そんなわけで、みなさんの美しい手をじっくりと見せてもらいましょう。

※この記事は『恋と深空』の魅力をもっと知ってもらいたいInfoldgamesさんと電ファミ編集部のタイアップ企画です。


パワータイプの絵を描いているのに、どうしてそんなに手がキレイなんですか?──ホムラの「手」

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まず観察していくのは、ホムラの手。

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初対面の際に、見事な“ポイさばき”で小さな魚をすくってくれました。話を進めていくうちに、謎多き売れっ子天才画家であることが判明します。

彼の手は、すらりと伸びた細い指と、なめらかな皮膚が印象的。どこから見ても実に綺麗な手をしています。さぞ繊細な絵を描くのでしょう。

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パワー系だ。

ゴリゴリのペインティング、しかも巨大な絵を描くタイプのアーティストでした。手だけで勝手に判断してごめん。

それにしても、いいアトリエだな……美術を学んだ身からすると、彼の制作スタイル&手には興味をそそられます。

あれだけ大きくて、汚れそうな絵を描いているのに、どうしてそんなに手がキレイなんですか?あとツナギやエプロンも着ずに、服もキレイなまま。なんで?ふつうにすごい。

彼は画材へのこだわりも強く、サンゴから絵具を作ることまであるようです。見たところ粘度の高そうな画材を盛っているようなので、おもに油絵を制作しているのでしょうか。

だとすると、サンゴを細かく粉砕して、粒子に乾性油を混ぜてオリジナルの色を作っているのかもしれません。かなり手間がかかる作業です。しかもカラーサンプルまで作ってて偉すぎる。画家の鑑や……。

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最初は自由奔放で気まぐれなイメージでしたが、制作に対しては用意周到でかなり真面目な印象を受けました。しかし、本人はそれすらも楽しんでいる様子。きっと筆圧もそれほど強くないし、下地作りだって慌てず丁寧に進めているのでしょう。なんというか、作家としての余裕を感じます。

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やはり本人も手を大切にしているらしく、嫌いな猫に手を舐められただけでこの反応。

血管もそれほど浮き出ておらず、線はしなやかですが、頼りになる手です。肌もみずみずしいので、どんな光の下でも映えますが、やはり筆を持っているホムラの手が一番美しいと感じました。

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「手が冷たいな」……その言葉に、自分の指先まで冷たくなった気がした──レイの「手」

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続いては、心臓外科医のレイの手。
主人公の主治医でもあり、幼馴染でもある彼は、いつでも冷静沈着。ただし、健康については何かと気にかけてくれます。

そんなレイの手は、いい感じに骨ばった手の甲、適度に透けた血管、細長い指に対して第二関節がしっかりとしている部分が特徴的です。あと血色がいい。

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やはり、お医者さんの手となると見方も少し変わってきます。日々の診察や手術で繊細な作業をこなし、手洗いや消毒を繰り返していることでしょう。また、極寒の地へ赴くこともあるようなので、手荒れや乾燥にはくれぐれも気をつけてほしいところです。

ところで、レイの手については忘れられない出来事があります。
手を繋いでみたところ、こんなことを言われました。

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この瞬間、本当に自分の手がスーッと冷たくなったように感じて、思わず自分の手を触ってしまいました。実際には常温でしたが、画面のなかで交わされた言葉を、自分の身体に向けられたものとして受け取ってしまったのです。

めっちゃ怖い……これが暗示の力?

道具を使わなくても、画面越しの言葉がリアルに身体感覚に作用するというのは、ある意味で新しい「寄り添い」の形なのかもしれません。

月のようにしなやかで、捉えきれない柔らかな光──セイヤの「手」

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セイヤは、主人公とともに怪物「ワンダラー」と戦う深空ハンターです。

序盤で出会うものの、ミステリアスかつ神出鬼没で、なかなか捉えきれない人物。しかも主人公の上の階に住んでいることが判明。とんだ偶然ですね。

仕事中は黒い手袋をしていることが多いのでわかりにくいですが、光の影響を一番受けやすい手の持ち主。少年のような、女性のような、年齢相応の青年のような……七色の風合いをもっています。指はもれなく細長い。

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セイヤの手を観察していて印象に残ったのは、彼の柔軟さがよく出ているな~ということ。ワンダラーと対峙している時とは打って変わって、日常では驚くほど柔らかな表情を見せてくれます。主人公を小突いたりする場面での指先や手首の動きは実にしなやか。

ひとつの印象に収まらない彼の性格が、そのまま手元にも表れているようです。

ちなみに、セイヤは立ったまま眠れるほどの“睡眠上手”でもあります。つねに眠いらしく、立ったまま眠るという奇妙な得意技も習得。かわいそうなので、普通に寝てほしい。

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もしかして、深爪?

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ちょっと深爪だ……!

夕焼けの下で、やさしい“お兄ちゃん”の思い出がよみがえる──マヒルの「手」

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主人公の“お兄ちゃん”ことマヒル。
戦闘機のパイロットなので、こちらも仕事中は手袋をしています。

明るく面倒見のいい人物で、料理も得意。何かと主人公の世話を焼いてくれる、とても頼もしいお兄ちゃんです。そして、とにかく頭をポンポンと撫でてくる。

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マヒルの手は、一番生活感があるように感じられました。

特に序盤では、夕暮れの道や西日の差し込む部屋で会話するシーンが多いため、光の当たり方によって細かなシワや毛穴が見えてきて、その質感が際立ちます。ずっとだれかを守ってきた、美しい人間の手です。

主人公はもう大人ですが、マヒルはまるで子供をあやすかのように頭を撫でてきます。何気ない仕草からは、ふたりが長い時間を一緒に過ごしてきたことが伝わります。

「あったかい家族がいるんだ、よかったよかった」と思った矢先、まさかあんなことになるとは……

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メインストーリーで一番びっくりしました。

なんでこんなことに……!

顔を見ただけでわかる。この男、絶対に手が大きい!!!!!──シンの「手」

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最後は、裏社会の組織「暗点」を率いる男・シン。

初めて彼の顔を見たとき、ひとつ確信したことがありました。
ルックスで人を判断したくないが、もう顔を見ただけでわかる。

この男……

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絶対に手が大きい!!!!!!!!!

あと筋張ってる。血管も結構浮いてる。絶対に。
なぜかというと、私はそういう手が好きだから。

てか頼む。手デカくあってくれ………
バキバキの手をプリーズ…………頼む頼むお願いします

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やっぱりね。

は~~~~~~~~~~よかったよかった、一安心です。
手ソムリエをナメるなよ

長い指に、はっきりとした関節。手の甲にはしっかりと血管が浮き出ており、見るからに力強い。ひときわ骨格の存在感が際立っているように感じます。

熟年の職人のような質感ですが、形はバキバキのピアニスト向きです。とにかくデカい手が必要なラフマニノフとか弾いてほしい。てか弾けそう。

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ちなみに、シンについては、手に関する描写そのものがとても多いです。というのも、彼と主人公が力を共鳴させるためには、手をつなぐ必要がありまして……困ったことに、主人公がシンに対して恐怖や嫌悪感を抱く限り、共鳴はうまくいきません。

だから、駆け引きをしたり、共闘したりすることで、とにかく仲良くならないといけないのです。そしてことあるごとに手を繋ぎます。アツすぎる。

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主人公はシンの手について、「すらりとした指に、冷たい手のひら。軽く握っただけでも、強烈な圧力を感じる」と語っています。指の節でテーブルをトントンと叩き、主人公に食事を促すような場面も。

横柄な態度をとったり、トゲのある言葉を放つ人は日常生活にも溢れかえっていますが、指先まで一貫している人はなかなかお目にかかれません。自分をどう見せたら良いか、一番よくわかっていそうな気がします。

まあ、とりあえず……手なんてデカければデカいほど良いですからね。手がデカくて困ることなんて、基本的にないと思ってます。

怪物は出るし、人は死にまくる。それなのに『恋と深空』の世界はなぜかあたたかい

さて、ここまで、5人の手をじっくり観察してきました。

画家、医師、ハンター、兄、そして裏社会のボス。職業も性格もまったく違う彼らですが、手元を観察しているうちに、ひとつ共通して感じられたことがあります。

『恋と深空』の世界は、とんでもなく過酷な状況なのに、なぜかあたたかさが溢れている。

人々を脅かす怪物「ワンダラー」のほか、連続して起きる爆発事故、のしかかる過去のトラウマ……物語は容赦なく主人公の傷を抉ってきます。正直こんな世界で暮らしていても、幸せな未来なんてないんじゃないか、と思えてくるほど。

それなのに、プレイしていると妙な安心感があります。なぜでしょうか?強い男が絶対に守ってくれるから?いつか必ず幸せな未来が訪れるから?

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本作の主人公は、一方的に守られるような人物ではありません。

強い力を秘めており、次に何が起こるか考え、つねに前へ進もうとしています。自らハンターとして戦い、困っている人を見かければ率先して手を貸すようなタイプです。

では“無敵の超最強主人公”なのか、というと、決してそうではありません。力が及ばず、一人で解決できない問題もたくさん抱えています。

しかし、主人公には仕事があり、仲間がいて、日々の暮らしがある。そして、その日常にはほんの小さな気遣いが溢れています。同じ職場の先輩や友人たちとのシスターフッドも形成されており、実存的な孤独が入り込む隙間はなさそうです。

誰かが一方的に守り、誰かが守られるのではなく、それぞれが自分の足で立ちながら、必要なときには互いを頼る。過酷な世界なのに不思議な安心感が生まれるのは、そんなホスピタリティが溢れているからでしょう。

そして、そのあたたかさは、大げさな愛情表現だけでなく、何気なく差し伸べられる「手」にも表れています。


『恋と深空』を遊びはじめたとき、まさかこんなにも「手」を観察することになるとは思っていませんでした。

しかし、いざ注目してみると、関節やシワ、血管の浮き方など、造形そのものに違いがあるのはもちろん、手を伸ばすタイミングや相手への触れ方にも、それぞれの個性が感じられました。手は雄弁ですね。

さて……これだけ精緻なグラフィックと多彩なストーリーを楽しめるのだから、さぞ容量も大きいことでしょう。
というわけで、ストレージを確認してみました。

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ひぇ~~~~~~~~~~~~~~~~軽い!
これは普通にびっくりしました。

もちろん、クラウド上でゲームを処理する仕組みだからこそ実現できる容量ですが、それにしても驚きです。あれだけの美しい手が、226MBで??恐ろしい時代ですね。

そういえば、今回『恋と深空』をプレイしていて、ひとつ大切なことを思い出しました。

ネイルのオフをすっかり忘れてました。

思い出させてくれてありがとう。人の手ばかり見ている場合じゃない。予約、とってきます。

ライター
物語、テキスト、音楽や演出──何かしらの要素で自分を揺さぶってくるような、引力のあるゲームに惹かれます。特に『デスピリア』『シルバー事件』『プラネットライカ』『夕闇通り探検隊』など、90~00年代のアドベンチャーゲームが好き。最近は、国内外のインディーゲームで遊ぶことが多いです。普段は美術作品を作ったり、フロアでゆらゆら踊ったり。
Twitter:@___sayome___
編集者
3D酔いに全敗の神奈川生まれ99’s。好きなゲームは『ベヨネッタ』『ロリポップチェーンソー』『RUINER』。好きな酔い止めはアネロンニスキャップとNAVAMET。
Twitter:@d0ntcry4nym0re

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