開発中の映像を見て、手をたたいて笑ったゲームがある。
それが『横浜機動暴走族 ROCK ‘N’ ROLL SUICIDE』だ。巨大ロボットを乗り回す「機動暴走族」たちの抗争が、90年代ふうの味わい深いグラフィックで表現されたタイトルとなっている。
筆者がこのゲームに大きな期待を寄せたきっかけは、開発を手がけるFujii.Productionの公式Xに投稿されたポストだ。
#インディーゲーム#横浜機動暴走族
— Fujii.Production (@FujiiProduction) October 22, 2026
ジーザス急降下爆撃があンなら
ジーザス急降下爆撃返しもあるんだゼッッッ!!
はいゲームダンジョン間に合わないーーーー pic.twitter.com/bzHNhbTmtg
相手の必殺技らしき「ジーザス急降下爆撃」を力技でねじ伏せる「ジーザス急降下爆撃返し」!
勢いと根性しか感じない!!最高だ!!
そんな本作を、10月31日に東京都立産業貿易センター浜松町館で開催された「東京ゲームダンジョン14」にて試遊することができた。
巨大ロボによる大迫力のタイマンと、コミカルな会話劇で大爆笑するつもりでプレイ開始。待ち受けていたのは、期待通りの勢いある内容と、社会的なテーマと共感が心をしめつけるシナリオとの特大の温度差だった。
本稿では、『横浜機動暴走族 ROCK ‘N’ ROLL SUICIDE』を試遊して、筆者がその温度差に“ととのって”しまった様子をお伝えしていく。
取材・文/としあど
間近で見上げる巨大ロボのタイマン! 暴行コンボでガキィン! ガキィン!
本作のバトルは巨大ロボット同士の1対1の殴り合いだ。目の前で躍動する巨大ロボには、興奮せずにはいられない。
バトルでは相手の攻撃をタイミングよくガードし、隙を見せたところに「暴行コンボ」をたたき込むことが基本となる。
ガードがうまくいくと、ガキィン!ガキィン!と巨大ロボがぶつかりあう音がするし、ロボットの足音や攻撃のヒット音も重厚感にあふれており、これだけでもう楽しい。
しかし本作のバトルが大迫力なのは、アクションやサウンドだけではない。最大の魅力はカメラワークの臨場感だ。
主人公のミホが、総長・ホシの操る巨大ロボの戦いを間近で見上げているようなカメラワークなのだ。
「そんなところにいて危なくない?」と思うくらいの近さで、巨大ロボによる迫力のタイマンを楽しむことができてしまう。
しかもバトルが起こる場所によってカメラのアングルも変わるため、次はどんな場所で戦闘するのかが楽しみでしかたない。
期待以上の戦闘の楽しさに、筆者はプレイ中に自然と口角が上がってしまい、ニヤニヤしながらプレイする変な人となっていた。
行き場のない若者たちの葛藤に共感。胸が締め付けられる
巨大ロボの戦闘に興奮していた筆者の胸を突然締め付けてきたのは、このゲームのシナリオだった。まずは、なぜ巨大ロボで殴りあうのか、本作のあらすじから説明させていただきたい。
22世紀に突入し、人類はあらゆる産業にロボットを用いるようになっていた。同時にロボット犯罪も急増し、日本政府は対抗措置として警察権を持つ武装組織「日本軍警察(Japanese Army Police)」通称「J.A.P.」を新設した。
J.A.P.の取り締まりは横暴で、巨大ロボを乗り回す「機動暴走族」の族員たちは次々と殺害されていた。そんななか、各チームは争いを終わらせるため、「横浜連合」を結成し、日本軍警察と停戦条約を結ぼうとする。
しかし、主人公のミホが所属し総長・ホシが率いる「紅叫徒達(レッドロッカーズ)」はそれに反旗を翻し、横浜連合の幹部4人を決闘でぶちのめすために奔走していく。
いちばん最初に衝撃を受けたのがJ.A.P.による取り締まりだ。機動暴走族の抗争を止めに来た彼らは、躊躇なく族員を銃で撃ち、戦車で機動暴走族のロボットを破壊し、死体を火炎放射器で燃やしてしまう。

……やってることがエグすぎませんか?
これはビビって停戦条約結びたくなるのも理解できてしまう。政府から税金をもらって好き放題するJ.A.P.には、逆らわない方が賢明に決まっている。
それでも主人公のミホが戦いたいと思うのは、嫌なことがあっても、国が悪いと愚痴って、黙って働き続けるような人になりたくないから。
若者の叫びだ……!
正解なんてないかもしれない。だからこそ行き場をなくした感情に、共感で胸が締め付けられる。ホシ総長たちと会話する場面では、明るく楽しそうにふるまうミホの姿を見るとなおさらだ。
いっぽうで、本作では決闘を繰り広げていく横浜連合の幹部たちのエピソードも描かれる。
なんと、幹部のひとりであるチャンバは、恋人のチヨとの間に子供を授かっていた。

J.A.P.と争い続けたら、命の保証はない。子供や恋人をのこして死ぬわけにはいかないのだろう……
ミホもチャンバも、どちらかが間違ってるわけではないからこそ胸が苦しい。そんな二人が決闘の果てにどんな物語をみせてくれるのかが本当に気になる。
試遊だけで30分!? 探索パートのボリュームがやばすぎる
本作では横浜の各エリアを探索しながら「赤タイマン2号君」に技を装備するための「DISK」を集め、決闘への準備を進めていく。この探索パート、ボリューム満点で、試遊プレイにもかかわらず、30分近くプレイしていた。
実写の背景で描かれる横浜を探索し、公園で虫取りをする少年たちや、川辺で写真を撮る女性など、いろんな人から話を聞いたり、他の機動暴走族とバトルしたりすることができる。

イベントは単なる会話だけではない。たとえば区役所通りにいる赤いスーツのおじさんに話しかけると……
スタンガンで気絶させられ(?)
DISKをかけた「横浜直進 ミラクル★クイズ」の会場に連れていかれる(???)
横浜に関するクイズが出題されるのだが、筆者は横浜に詳しくなかったため、残念ながらDISKは手に入らなかった。
そのほかにも、駅前にロボを停めている機動暴走族たちに話しかけると、過去の因縁から決闘に発展したりもする。
決闘に勝つと、相手のロボを溶かして「赤タイマン2号君」の装甲が強くなる。
……けっこうすごいことしてませんか?
普通の暴走族で考えたら、相手のバイク奪ってパーツもらってアップグレードする、みたいなことですよね?
J.A.P.のみなさん、この人たちです。
巨大ロボによるタイマンの興奮と、社会的なテーマさえ感じさせるストーリー、そしてコミカルなイベントが盛りだくさんな探索パートまで。温度差がすごすぎて、サウナと水風呂を行き来しているような気分だった。これが“ととのう”ってやつか……
試遊版でこれだけ感情が動かされていたら、本編を最後までプレイしたらどうなってしまうのだろうか。
それに、筆者が本作に興味を持ったきっかけでもある、必殺技の応酬もまだ試遊版では確認できなかった。
本作のリリースが待ち遠しくてならない。『横浜機動暴走族 ROCK ‘N’ ROLL SUICIDE』は、2027年3月にSteamにてリリース予定だ。







