“演出”でキャラクターの魅力を伝えてくれるビジュアルノベルが大好きだ。
マウスのクリックベースで進むこのジャンルの強みのひとつは、文字情報を頭に描くことが苦手な人でも楽しめる側面があるということだ。じつは筆者もそのひとり。
作中の音や表情、独特な画面を味わいながら世界観に浸りたい。ときにはじっくり考察し、ときには予想すらしなかった演出の数々に驚かされたい。
ゲームでしか味わえない側面を持ちながら、予定調和を気持ちよく“裏切ってくれる”ビジュアルノベルに出会えたとき、それは至上の喜びなのだ。

公安バディ×怪奇事件なミステリーアドベンチャー『天使機構 執行部魂救済課』は、読み進めていてとにかく“画面が楽しい”作品で、キャラクターの魅力がいくつものハイセンスな演出によって強化されている。
10月31日に開催された「東京ゲームダンジョン14」のブースに展示されていた本作だが、まさにひと目見ただけではわからない“試遊”で楽しさが伝わる体験で「正式版でもっといろいろ見てみたい」と期待を感じずにはいられなかった。

そんな『天使機構 執行部魂救済課』は、現在Steamストアページにて体験版が公開されている。本記事では序盤15分程度の展開やゲーム機能に触れるため、どうしても気になってしまう人はぜひ体験版を先に遊んでみてほしい。
取材・文/ryoyuu
推理モノの醍醐味。現場に出向いて「事件資料」集めするだけでも画面が楽しい
『天使機構 執行部魂救済課』の舞台は、怪奇・心霊現象が当たり前に存在する現代日本だ。本作では公安バディのふたりが”霊害事件”と呼ばれるさまざまな事件を調査していく。
「ツジツマ」と「ダミアン」ふたりの捜査官を軸に物語は進んでいく
物語は、有能なのにどこか苦労人っぽい上司「ツジツマ」と、へらへら笑ってるノリの軽い部下「ダミアン」ふたりが、心霊写真が撮れるとウワサの「心霊プリ」の調査に訪れるところから始まる。
ゲームは「会話パート」「推理パート」「救済パート」3つの構成となっており、プレイヤーはそれぞれのパートを行き来しながら事件の真相を突きとめていく。
物語を進めていくと、証拠品や人物リストが溜まっていき、確認することができるのだが……もうこの画面からスタイリッシュさを感じる。そう、このゲームはいろんな角度から「顔がいい」を前面に押し出してくれるゲームなのだ。
メニュー画面への移行がオシャレだ
会話パートでは登場人物の話を聞いたり、現場を調査して情報を集めていく。道中には現場に「通してやれ」系おじさん刑事が出てきたり、ギャルに聞き込み調査したりと“推理モノあるある”もちゃんと盛り込まれている。
現場を操作する様子。注目ポイントはオレンジ色のアイコンで表示してくれる
本作を実際に遊ぶなかで好感触だったのは、適宜証拠品や人物リストが更新されたり、場面切り替えや選択場面の差し込みがテンポよく行われることにあった。しかも、そのパターンが豊富なのだ。あるときは現場をポイント&クリックで捜査し、あるときは現状を振り返り、またあるときは……(後述)。
しっかりとした読みごたえのなかで、「かっこいい」が次々と更新されていく……なんだか、見ていてすごく楽しいぞ。
また、これらの情報をひも解いて進むためには、丁寧に話を聞き、資料を読み込むことが必要になってくる。本作は心霊現象が普通に存在する世界だが、現場状況や証言から事件の全容をロジカルに組み立て、解明する楽しみも当然味わえるのだ。
条件の詳細はどこかにプリントされていたはずだ
そして、本作は公安バディによる推理モノである。ということは、推理した内容を“お披露目”する機会があるということだ!
今の話、妙なところはなかっただろうか……? 手強い霊に対しては「記憶」からアプローチする
本作の「推理パート」では、聞き込み調査の対象がついた“ウソ”を見破り、指摘する形で進行していく。これまでに集めた資料はこの場面で真価を発揮するのだ。
資料が追加されるたびに事細かに読み進めていた筆者にとっては「いよいよか!」と待ちわびていた瞬間でもあった。人のウソを見抜く瞬間というのは楽しい。

聞き込み調査の相手は人間だけにとどまらない。ときには、元凶と思われる“霊”にも話を聞きに行く。ここで明かされるのが、主人公「ツジツマ」の持つ「霊の記憶をのぞき見る」能力だ。本作では物証だけでなく、死者の記憶からも解決の糸口を見つけ出していく。

試遊環境では推理パートが2回用意されていたが、2回目の推理は“霊”を相手にした、よりゴージャスな演出になっていた。こちらでは、対象がひとこと話すたびに背景の記憶が切り替わっていく。
このシーンで特におもしろいと感じたのは、同じセリフでも能力を通して見ると“まったく違う”印象を受けることだった。最初見たときはただの情報として特に何も思わなかったシーンでも、ふたたび能力を通して覗いてみると、セリフひとつひとつから“想い”が伝わってくる。
画像左は聞き込み対象の発言、右は能力を通じて覗いた対象の記憶となっている
本作は、キャラクターの魅力がこうした“演出”の数々によって丁寧に表現されている。攻略を進めていると、事件の全貌が明らかになる前に試遊は終了した。もうちょっとだけ見せてくれ……!
実はこのあと、事件の全貌を振り返る「救済パート」も控えている。Steamストアページによると、本パートではアニメーションとともに事件のナゾが暴かれるようで、どんな演出が待っているのか気になってしかたがない。
本作はCase1~Case4までの全4話構成で、先月よりSteamにて体験版が公開されている。消えた被害者の謎や「天使機構」とはどのような組織かなど、本作が気になったかたはぜひこの「かっこよさ」に触れてみてほしい。












